698 | 700




Substitute prom date 「プロム・パーティのための恋人代理」

「ブランドン、誰もこんなの信じないよ。ボクには分かる」

「自分の姿、見てみたか? みんな、信じるに決まってるぜ。それに、お前は約束しただろ?」

「キミに、プロム・パーティのデート相手を見つけてあげる約束はしたよ。でも……」

「でも、お前はすっかり忘れていたんだよな。まあ、俺はお前を責めたりしないよ。でも、俺は、友だちみんなに、プロムにすごいセクシー美女を連れてくるって言ってしまったんだ。お前だって、俺がみんなに負け犬と思われるのは避けたいだろ? だったら……」

「いや、いや、だから……。分かってるよ、やるって言ったし。でも、本気でボクにこれをさせるなんて信じられないよ。こんなの狂ってる。それに……ちょっと待って……いま、ボクのこと、セクシー美女って言った?」

「ああ、まあな。お前、ちゃんと鏡を見ただろ? なんて言うか、お前は俺のクラスにいるたいていの女の子たちより、ずっと可愛いんだよ。正直、どの女の子よりも可愛い」

「マジで? それって、すごく嬉しいけど」

「だから、やってくれるよな?」

「やるって言ったよ」

「よっしゃー。じゃあ、俺の妹の彼氏として振る舞うことはできないのも分かってるよな? 一晩中ずっと。誰かほかの人がいるところでは、俺とずっと一緒にいること。彼氏と彼女の関係で。へまは許されないということ。普段の声は使えないし、男のように歩くこともできない」

「分かってるよ。ボクはずっと前から演劇部で演技をしてきたんだから」

「うん。でも、俺がお前に腕を回しても、そのままでいるんだぞ。それに、ダンスをする時は、体を密着させなくちゃいけない」

「それも分かってるよ。他に演技してほしいと思ってることは?」

「そうだなあ……」

「ちょっと待って。いやあ…… 本気?」

「誰でも、そうなると思ってることだぜ、ミッシェル。それに、プロムの後にはパーティがある。そのパーティこそが、もっと大きな試練になる場だ」

「ああ、これって、めちゃくちゃなことにならない?」

「いや、お前が俺を信頼してくれたら、大丈夫だよ。俺のリードに従うんだ。そうしたら、何もかもうまくいくさ。それに忘れないでほしいけど、お前は、本当に綺麗なんだよ。俺のリードに従っていれば、みんな、そういうふうにしか見えないさ。だって、その通りなんだから」

「分かった。信頼するよ」

「それで良し。そう言ってくれると思っていたよ」














List