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A good boyfriend 「良い彼氏」

「まあ! すごく大きい! こんなことが本当に起きるなんて信じられないわ。これで、あたしたち、ずっとずっと親密な関係に変わることになるのね!」 と彼女が言った。

ボクはすぐには返事しなかった。そのかわり、彼女の隣で四つん這いになり、お尻を高々と掲げながら、どうしても疑念が吹き切れなかった。彼女は、「親密な関係」という言葉で何を意味したんだろう? ようやくボクたちがセックスできることになったと意味したのだろうか? 少なくとも、ボクと彼女のふたりだけでできると意味したのだろうか? それだったら嬉しいのに。

でも、タラは……タラは、ボクが出会ったどの女のことも違っていた。聡明で、明るくユーモアがあり、信じられないほど魅力的な彼女は、ボクが女性に求めるすべてを備えた女性だった。そしてボクたちは終始一貫して親友だった。一方のボクは、苦痛を感じるほど彼女のことが好きだった。でも、ボクが彼女に気持ちを伝えるたびに、彼女はふたりの友情を逆手にとって断った。もし万が一、ふたりの関係が悪化したらを考えると、ふたりの友情を台無しにしたくないから、と言って。ボクは彼女と別れたくなかったので、一縷の望みにすがる思いで、ボクは彼女に合わせてきた。

そんなある日、彼女が突然変わったのだった。まるで、スイッチがパチンと切り替わったみたいに。何が起きたのか分からないまま、いつの間にか、ボクと彼女は現実に恋人同士になっていた。キスをしたり、抱き寄せあったり、デートに出かけたり。ボクが夢に見ていたことすべてが現実化した。ボクは、彼女と人生を共にすることを想像し始めた。

いま思えば、彼女がボクの服装を変え始めたとき、警告ベルが鳴り響くべきだったと思う。あるいは、ボクに髪の毛を伸ばすべきだと言い張ったときや、化粧をするよう説得し始めたときにも。でも、ボクは何も考えず、そのすべてに従った。彼女は、可愛い男の子が好きだとよく言っていた。彼女が以前付き合っていたボーイフレンドたちで「可愛い男の子」に当てはまる人は誰もいなかったけれども、ボクは彼女の嗜好に口出ししようとはしなかった。彼女自身、その嗜好をよく分かっていないみたいだし、ボクが理解できるはずがない。だから、ボクは彼女の言うことに合わせることにした。

ボクが変わり始め、他の人たちに女の子と間違われるようになってきても、ボクは彼女に従い続けた。ボクの周りの友だちが変な行動を取り始めても、ボクは無視したし、親たちに何が起きてるのか正直に打ち明けてほしいと懇願されても、どこ吹く風といった感じでいた。ボクはガールフレンドを喜ばそうとしていただけだよ、それを理解してよ、と。そうするのが良い彼氏じゃないのかな、って。

でも、否認の重荷が山ほど両肩にのしかかってくると、ボクも彼女の新しい要求には神経質にならざるを得なかった。その要求とは、他の人とベッドを共にするという要求。そのアイデア自体、良い男女関係の概念とは正反対に思えた。でも、彼女が説明するには、大胆に冒険できるのは信頼関係があってこそとのことで、ボクは説得され、結局、同意したのだった。でも、彼女に、相手は男性ふたりだと明かされた時には、さすがのボクも危うく大きな声を上げそうになった。ボクはゲイじゃないし、バイセクシャルでもないし、そもそも、そういうことに興味もない。男性は好きじゃないと。でも、彼女は、実際に試してみなければ、確実に分からないじゃないかと反論した。そして、その時も以前と同じく、ボクは最終的に折れたのだった。

そして、今。後ろを向いて、男がふたりこっちに近づいてくるのを見たところだ。ふたりのことは見覚えがあった。ふたりとも、ボクの入会を拒否した男子学生クラブのメンバーだった。そのふたりを見て、どうしても恐怖心が湧いてくる。ふたりとも、巨大なペニスをしているし、体の筋肉も並ではない。すでにこんなに女の子っぽい格好になっていたボクだけど、この時ほど、自分は男だという自覚が薄らいだことはない。でも、これも、タラが望んだこと。自分の彼女が望むことを拒否するなんて、良きボーイフレンドとしてはあるまじきことだ。良い彼氏たる者、彼女を喜ばすためならどんなことでもすべきなのだ。

ボクは、彼女にどれだけ素晴らしいパートナーになれるかを証明しようと、覚悟を決めて身構えた。
















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