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Spider Gwen 「スパイダー・グウェン」

「いいよ」とバスルームのドア越しに声をかけ、もう一度だけ姿をチェックするため鏡を見た。このコスプレをするのを最初に思い立った時に心に浮かんだ姿、そのものに見えて満足。いや、そんなことあり得るならばの話しだけど、ひょっとすると、思ったより良いかもしれない。「びっくりするかも。心の準備をしてね」

僕のガールフレンドのアナが返事した。「んもう、ロニー。何もかも大げさにすることないのよ。あなたが一生懸命やってきた結果を見せてくればいいの。それに開始までの時間があまりないんだから」

僕は深呼吸して、ドアをさっと開けた。大げさに腰を振りながらホテルの部屋の中へとゆったりと歩き、ポーズを決めて立ち止まった。「どうかしら?」

最初、アナは何も言わなかった。多分、言葉が出なかったのだろう。そして、永遠とも感じられるような長い沈黙の後、ようやく言葉を発した。「オー・マイ・ガッド!」

僕はキャラを演じるのを止め、ニヤリと笑った。「すごいだろ?」

「あ、あなた、女の子に見える」

僕は、嫌味っぽく片眉を上げて言った。「まあ、スパイダー・グウェン(参考)は女の子だし? 男っぽい姿で出てきたらかえって変だったろう?」

「でも……何て言うか……そのヒップ……あなたの顔……それに、おっぱいまであるじゃないの、ロニー!」

「全部、偽物だよ」と僕は答えた。まあ、正直に言えば、ちょっと嘘が混じっているけど。僕は何時間もジムでスクワットをし、半年以上、厳しいダイエットを続けてきた。毎晩、ウェスト・シンチャー(参考)をつけてベッドに入り、顔の毛を電解脱毛までした。さらには化粧の仕方の練習に数えきれないほど何時間も費やしてきた……もちろん、それらの時間には、コスチュームを縫う時間や、適切にあそこを中に引っ込める方法の学習に使った時間は含まれていない。ちなみに、この「アレを中に引っ込める方法」はドラッグクイーンになるインストラクションを探している時に見つけた技術だった。でも、確かにこれだけ時間をかけた価値はあった。このコスチュームは夢のよう。

「それ……あなた、最近変わってきてるとは思っていたけど、でも……ああ、ロニー……」

「君のコスチュームもいいよ」と僕は言った。彼女はワンダーウーマンのコスプレでコミック・コンテストに出場することに決めていて、彼女もそれなりにかなり労力をつぎ込んでいた。この時のために、彼女も半年以上、体の線を良く見せるよう頑張ってきてて、今のアナは、確かにアマゾンの女戦士に見える。

彼女は僕の方に進み出て、僕のウエストを掴み、両手の指で僕の体の曲線をなぞった。「ああ、あたしもこういうふうになれたらって思ってたのに」

僕はにやりと笑った。「気に入ってくれると思ってたよ」




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