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「隔離への順応」(4)

「そんな顔しないで。隔離要請が解除されたので出かけたいって言ったのは、あなたなのよ」

「本気で言ってるの? ヘザー、キミはボクの服を全部売ってしまったじゃないか」

「実際は、大半をグッドウィル(参考)に寄付したんだけどね。でも、あたしに感謝したら? だって、処分した分、全部、替わりの服を用意してあげたんだから」

「女物の服でね! マジで、ボクのこの格好を見てよ!」

「もう、お願いよ。あなた、もう2ヶ月以上メイド服を着てきてるのよ。まだ、婦人服に抵抗するなんてありえないわ」

「でも……でも、あれは違うんだよ。あれは……分かるよね?……ああいう服を着るのは家の中だけのこと。誰にも見られなかったから」

「ええ、そもそもの初めから、あたしの同僚たち以外には誰にも見られなかったわよね。あなたの可愛いショー。あと、あの動画をシェアした人たち以外にはね。みんな見てるってことじゃない?」

「思い出させないで」

「ちゃんと聞いて、フランチェスカ。こういうこと、もう100回は話し合ってきたんじゃない? あなたがこれを一時的なことと思ってたのは知ってる。隔離要請が終わったら、外に出て、仕事に就いて、こういうことは全部終わるだろうって思ってたんでしょ?」

「最初からずっと仕事に戻るつもりでいたよ」

「あなたはちゃんと仕事をしてきてるわ。あたしがその報酬を払ってるわ」

「それとは違うんだよ」

「頼むから、ちゃんとして。あなたは仕事をしてる。あたしは給与を払ってる。それにあなたの仕事ぶり、素晴らしいわ。あなた以上のメイドは他に求めようとしても無理」

「ボクの人生での目標は……」

「その話はもう充分。マジで、またあなたに懲罰を与えたくないの。あなたにお仕置きすると、あなたが感じる痛みより、ずっとあたしの方が心が傷つくのよ」

「本当かなあ」

「いいわ。そんなことどうでも。家にいたいなら、そうしなさい。あたしが外で楽しんでる間に、自分の部屋の掃除でもしたら?」

「嫌だ! ボクはどうしても……ボクは何か月もここに閉じ込められてきたんだ。どうしても……どうしても外に出たいよ」

「じゃあ、文句を垂れるのはやめなさい」

「わ、分かったよ。でも、靴くらいは別のにしてもいい? いまだにハイヒールだとふらついてしまうから」

「いいえ、ダメ。あたし、ヒールを履いたあなたが好きなの。それに、そのロンパー(参考)、可愛いわ。それを着ると、あなたの素敵な脚が良く見えるもの」

「あ、ありがとう……って言っていいのかなあ」

つづく




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