「バースデイ・プレゼント」 Birthday Present by donnaallure source

第1章

「あなた? 誕生日に何が欲しい?」 妻が僕に訊いてきた。

「忘れられないようなセックス」 冗談のつもりだった。

「それホント? そう、分かったわ」 それが返事だった。

僕はその時の会話のことはすべて忘れたし、その後、僕の誕生日のことについては何も話しがなかった。

当日になり、僕は職場から帰宅した。多分、美味しい食事と新しいシャツが待っているだろうなと思いながら。それが毎年の誕生日の習慣のようになっていたから。家に入ると、カーテンが引かれ、部屋中にろうそくが灯っていた。妻が僕に近づいてきて、体を擦りつけ、僕の耳に囁きかけてきた。彼女の手が僕のペニスをなでている。

「シャワーを浴びてきたら?」 そう言って、玄関に行き、鍵をかけた。

寝室に行き、服を脱ぎ始めた。見るとベッドの上に、僕が彼女に買ってあげた白いネグリジェが広げられていた。妻は数着ネグリジェを持っているが、僕は、これを着た彼女が一番気に入っている。ペニスが少し固くなっていた。服を脱ぎ、シャワーに入った。お湯を出し、温度を調節していると、シャワールームのドアが開く音が聞こえ、振り返ると、妻が入ってきた。

「あなたの準備のお手伝いをしてあげようと思ってね」 

妻は僕の体を洗い始めた。全身に石鹸の泡を塗りつけた後、小物入れに手を伸ばし、中から彼女の剃刀を取り出した。

「私、愛し合う相手はシルクのように滑らかな肌をしていてもらいたいから」

そう言って、僕の胸毛を剃り始めた。

胸毛を剃り、次に腹の毛を剃る。次第に僕はますます勃起を固くし、脈動するまでになっていた。妻は、その後、僕の腕を上げさせ、脇の下の体毛も剃った。それから、僕を後ろ向きにさせ、 わずかながらも背中に生えている毛を剃り、徐々に下へさがり、尻の毛を剃った。続いて両脚の後ろの面の毛を剃り、再び前を向かせて、脚の前面の毛も剃った。しゃがんだまま剃っていた妻は、にっこりと微笑みながら僕を見上げ、優しく股間の毛も睾丸の毛も剃ってしまった。髪の毛を除いて、僕はすっかりつるつるの肌になったのだ。だが、その時の僕には、剃られた体毛が元通りに生え揃うまで大変な時間が掛かることなど、考えもしなかった。性的な陶酔感にすっかり没頭していたから。

剃り終えた妻は、僕を洗い流した後、排水口に集まっていた剃り落とした毛を集め、ゴミ箱に捨てた。そしてタオルを2つ取って、そのうち1つを僕に渡し、2人で体を拭いた。僕は特にペニスのところを丹念に拭かなくてはならなかった。完全に勃起したまま、少しも萎える気配がない。

「香りも良い方がいいわね」

妻はそう言って、彼女の香水を僕の胸と股間の辺りにスプレーした。いくらかペニスにもかかり、そのアルコール分のせいで焼けるような感覚が広がり、なお一層、勃起したペニスに意識が集まってしまった。妻の方も、自分の胸の谷間と腰から下の部分に香水をつけた。そして、浴室の電気を消し、僕を寝室へと導いていく。僕は、妻があの白いネグリジェをまとった姿を早く見たくて、待ちきれない思いだった。

彼女は、小さなシースルーのパンティを手にし、僕の前にひざまずいた。以前、妻は、そのパンティで僕のペニスをさわさわと擦り、僕を焦らしたことがあった。だから、この時も、彼女が何をするつもりなのか分かっていたつもりだった。だが、予想に反して、彼女はそれを僕の足下に置き、僕にそれを履かせようとしたのである。剃毛された僕の脚に沿って、ゆっくりと彼女の下着が引き上げられてくる。脊椎に沿ってゾクゾクする刺激が走った。その快感はあまりにも官能的で、僕は危うくそのままベッドに崩れ落ちてしまいそうだった。

妻は、パンティを僕の腰の回りに手繰り上げた。両手で尻頬の肉を撫で、しわを伸ばす。それから前に手を移し、パンティの生地を膨れ上がっているペニスの上に被せた。同時にペニスを押し下げ、睾丸の方へ向かせた。僕の勃起は前に向き直ろうと、透明なパンティの生地を外側へ強く押していた。僕はあまりにも興奮し、そのまま彼女のパンティの中に射精してしまいそうだった。この時ほど性的に興奮したことは、それまでなかったと思う。ほとんど失神してしまいそうな気持ちだった。

「私の上に倒れたりしないでね」

僕がぶるぶると震えているのを感じた妻は、そう言ってにんまりと笑っていた。

「まだ終わっていないんだから」

彼女は、今度は薄地の白いストッキングを取り出した。これも僕が彼女の装いにマッチするようにと買ってあげたものだ。

「足を上げて、つま先を床に向けて延ばして」

ストッキングを手繰りまとめ、僕のつま先にあて、ゆっくりと脚に沿って滑りあげてくる。手繰り上げながら、時々、僕の脚を撫で、しわを伸ばした。延ばしきったストッキングは、僕の太ももの途中まで来ていた。ナイロン生地が、毛を剃られ滑らかになった脚を這い上がってくる感触は、表現しがたい快感だった。

「今度は別の足も」

妻は、そう言って僕のもう一方の脚にもストッキングを履かせていく。手を太ももに沿って這い上がらせ、パンティの上から僕のペニスを優しく擦りながら。

次に妻は、白いサテンのガーターベルトを手にした。レースで縁取られている。それを僕のウエストに回し、ホックが僕の背中の中央に来るようにした。ガーターの4本のストラップが僕のヒップに2本、太ももの前部に2本垂れていた。そしてストッキングの端を優しく引っ張り上げながら、押さえとなっている細いゴムの部分を、ストラップの先についている小さな金属製のクリップで挟み、位置を整えた。

僕の脚をストッキングが這い上がり、優しく締め付ける。白レースのガーターベルトがヒップに当たり、ナイロンのパンティが腰と睾丸とペニスを優しく擦る。その感覚に僕は大きな多幸感に包まれ、そのあまりの大きさに失神してしまいそうになっていた。快感のあまり、血が巡る脈動が顔面でも感じられたし、胸が詰まって息ができないほどだった。妻と何度も愛し合ってきたにもかかわらず、これほど強烈な快感に包まれたことは一度もなかった。しかも、妻は僕のペニスをほとんど擦っていないのである。僕は、まるで自分が妻の体の中に入っているような感じがしていた。いつも僕が感じている感覚の代わりに、彼女が女性として感じている感覚を味わっているような気がしたのである。

次に、妻は小さな透明のブラジャーを手にした。そのストラップに僕の腕を通させ、僕の背後に回って、背中でホックを止める。そして後ろから僕に抱きつき、僕の胸の肉を押し上げるようにしてカップの中に押し込んだ。乳首にサテンの生地が擦れ、その感覚に僕の乳首は固く立っていた。妻は、後ろから回した両手で、薄い生地の上から僕の左右の乳首をつねった。甘美で淫らな衝撃が僕の脳にびりびりと伝わってくる。妻は僕のパンティに覆われたお尻にお腹を擦り付けていたが、そうしながら、片手を乳首から離し、その手を僕のお腹を伝って下方へ降ろし、サテンの生地に包まれた僕の勃起を擦った。

それから、彼女はベビードール(参考)のネグリジェを手にした。まずトップから取り上げる。僕に両腕を上げさせ、そのトップに腕を通し、肩から垂らした。ベビードールのトップの布地がブラの上から僕の乳首に触れていた。僕の乳首は、その時にはすでに過度に敏感になっており、つんと固く突き立っていた。

ベビードールを着せられながら、突然気づいたこととして、そのネグリジェは妻のものにしては、僕の体格にはきつすぎないこと、どの点をとっても僕のサイズにぴったりであることだった。その後、ベビードールの上掛けを腕に通され、トップの上に羽織らされた。そして、ようやく、事の真相が僕にも見えてきたのである。さらに妻はベッドの下に手を入れ、細いストラップのヒール高10センチのスパイク・ヒールを取り出し、その片方を僕の右足に履かせた。ぴったり合う。そしてその時には、僕は完全に妻の意図を理解していた。左側の足にも履かせ、ストラップを締めた後、妻は言った。

「これがあなたへのバースデイ・プレゼントの第一部よ。気に入った?」

僕は唖然としてほとんど声が出なかった。彼女が「第一部」と言ったことの意味が、すぐには飲み込めずにいた。

「僕の人生でこんなに興奮したことがないよ。一体、どうしてこんなことを思いついたんだい?」

「何度か、あなたとレズビアンのビデオを見ながら愛し合ったことがあったでしょう? その時に思いついたの」

確かに、これまで僕も妻も、2人の美しい女性が愛し合い、大きなクライマックスに達する光景を見て非常に興奮することが多かった。妻は、僕が彼女に買ってあげた衣装を僕がとても気に入っているのを思い出し、同一のものでより大きなサイズのものを買い求め、さらに、その仕上げとして同じデザインのセクシーな靴を2組買い求めたのである。パンティ、ガーターベルト、ストッキング、テディ、そして小さな靴。それを身につけた僕。妻は、僕とまったく同じ服装に着替え始めた。それを見ながら、僕は、再び、興奮する自分を押さえ込まなければならなかった。それほど固く勃起していたし興奮していた。

妻は、僕と同じ服装に着替え、ヒールに足を滑り込ませ、ヒールのストラップを締めた。その後、僕を化粧室に連れて行き、鏡に背を向ける形で僕を座らせた。そして僕の顔にメイキャップを始めた。ファンデーション、明るい頬紅、眉毛のライン、マスカラ、アイシャドウ、明るいピンクの口紅、軽いパウダー。そのすべてを施された。それから彼女はクローゼットを開け、輝くブロンドのかつらを取り出し、優しく僕の頭に載せ、ブラシをかけ、目にかぶさる部分を払った。金色の髪の毛はゆったりと降りて、僕の乳首にかかっていた。僕の胸の部分は、その時の僕の感情や、サテンのブラジャーの中で疼いている感覚からすれば、あえて乳房と呼んでも良いかもしれない。

「頭を振ってみて。どんな感じがするか、試してみて」

頭を振ってみた。長い髪の毛が刷毛のように肌を撫で、女性的な嬉しい感触をもたらす。

「どんな感じ?」 妻はにんまりと笑っていた。

「女になったような感じ、だと思う」 声が震えていた。

彼女は僕を反対向きにさせ、鏡に向かわせた。驚きに目を見張った。そこには、非常に魅力的なブロンド髪の美女が座っていたのである。驚いた表情で僕を見つめている。

「さて、今度は、あなたがしなくてはいけないことがあるわ」 

妻はそう言って僕を寝室に連れて行き、テレビとビデオにスイッチを入れた。彼女がさっき言及したビデオだった。ちょうどレズビアン・シーンから始るようにセットされていた。

再生が始ると共に、彼女は寝室のドアを閉じた。ドアの裏には、全面に鏡がつけてあり、それはベッドの上を映している。妻は僕の方に向き直り、体を寄せてきて、僕の乳首を甘く噛んだり、吸ったりを始めた。シルクのように滑らかな生地の上からだったが、僕は膝ががくがくするほどその快感に痺れた。

「胸って、女の体の中でも一番感じやすいところの1つよね? そう思わない?」

妻はそう言って、にんまりと微笑んだ。そして僕の頭を自分の胸に引き寄せ、彼女が僕にしたのと同じことを僕にさせた。

僕は少し顔を横にして、鏡の中を見た。その鏡の中の光景に唖然とする。美しい女性が2人映っている。その中の一人がもう一方の胸にキスをしている。妻の胸に目を戻すと、胸を覆っている生地にピンク色の口紅の跡がついていた。顔を落として、僕自身の胸を見ると、そこにも同じ口紅の跡が残っていた。

「さあ、そろそろ、あなたのその可愛い舌に仕事をさせる時間よ」

妻はそう言って、鏡の方のベッドサイドに腰を降ろし、僕を彼女の前の床へ座らせた。その間、僕は、テレビに映るラブシーンと、鏡の中の僕と妻の姿の両方を交互に見比べていた。

ビデオの中でひざまずいているブロンド女の行為を参考にして、薄地のパンティの上から妻の陰部に鼻を擦りつけ始めた。妻は僕のブロンド髪に両手をあて、自分の股間に僕の顔を引きつけた。ピンク色の口紅の跡が彼女のパンティについていく。

妻の準備が整ったらしいのを見はからって、僕はパンティの布地を横にずらし、バギナに舌を滑らせた。陰部を探り回り、クリトリスを見つけた後は、舌を上下に丹念に動かしてマッサージした。2分ほど、そのようにして奉仕すると、妻は、さっきの僕と同じように体を崩しそうになり、僕に行為を止めさせた。そして、僕を優しく立ち上がらせ、両腕で包むようにして抱きつき、僕の顔を引き寄せ、ディープなフレンチキスをした。僕が彼女の股間を探り回ったのとちょうど同じように、彼女は舌を使って僕の口の中を探り回り、僕の口に残っている彼女自身のジュースを舐め味わう。

ビデオの中の女性は、ベッドの上に移動していた。妻は僕に同じようにさせる。ベッドの中央の位置に僕の頭が来るようにして僕を仰向けにさせる。それから彼女はベッドを回って反対側に歩いていき、向こう側から僕に覆い被さってきた。僕たちは、ベッドの上、シックスナインの体位になっていた。妻は、ビデオの中の女性がしていることを確認した上で、僕に命令した。

「また仕事に戻って」

僕は妻の股間に顔を寄せ、再び舌を使って愛撫し始めた。それを受けて彼女の方も背を丸め、僕の勃起を口に含んだ。強く吸いつけ、できる限り奥深く僕を飲み込もうとする。妻の激しい行為に、僕の方もより激しく、より深く舌を突き入れ、文字通り顔を妻のバギナに埋めて愛撫した。ほとんど息つぎができないほどだった。妻は次第に恥丘を僕の顔に打ちつけるように腰を使い始めた。そして僕もそれに反応して、ペニスを妻の口に突き立て始めたのだった。

このようなことは、これまで一度もしたことがなかった。いつもは、フェラチオでは、妻がしたいようにさせるのが普通で、僕が自分から腰を使って動くことはなかったのである。妻は少し咽せていたようだったが、どうにかして喉門を開いたらしく、僕のペニスは根元まですべて妻の口の中に入れられていた。

それから彼女はゆっくりとリズミカルに頭を上下に動かし始めた。その間ずっと、吸い続けていたし、歯を巧みに使って僕のペニスの敏感な部分に刺激を送り、同時に股間を僕の口、僕の探り回る舌めがけて激しく打ちつけた。

妻はフェラチオを続けながらも、僕のお尻に手を回し、指を僕のアヌスに入れた。口を使うリズムと同じリズムで指を出し入れする。僕も妻のお尻に手を回し、優しく同じことをした。テレビからはエクスタシーが近づいたレズビアンたちの叫び声が聞こえていた。それを聞きながら、僕と妻は二人とも、ビデオの中の女たちと競争するように、呼吸を荒らげ、喘ぎ始めていた。

ビデオの中の女たちが絶頂に達した。それとまったく同時に、僕も妻も絶頂に達した。妻のあそこから液体が僕の口に流れ込んでくるのを感じ、僕は貪欲に飲んでいく。

妻が、僕のバラの蕾に指を深く突き入れた。それを受けて、僕も妻のアヌスに深く指を突き刺した。次の瞬間、僕は妻の口に爆発的に射精していた。

彼女はちょっと顔を引きつつも、僕の精液を吸い、飲み下していた。荒れ狂う強烈なクライマックスが幾つもの波になって僕の脳を襲う。妻は、僕の体全体からすべての呼気を吸い出す勢いで吸い続けた。僕の頭からあらゆる理性的な思考力を吸い取る勢いだった。彼女は、僕のペニスが柔らかくなり始めるまで吸い続け、精液を一滴残らず舐めとった。僕も、体が性的緊張の爆発的解放から次第にリラックスし始めるまで、彼女が僕にしてくれているのと同じく彼女の陰部を舐め続けた。

互いに体の力が抜けたのを受けて、妻は僕のアヌスを貫く指を抜きながら、体の位置を変え、僕の腕の中へ抱かれた。同時に僕の指も彼女のアヌスから抜ける。僕たちはしっかり抱き合いながら、ディープキスをし、二人が出し合った体液を口の中で混ぜ合わせ、互いに味わった。

妻が、少し頭を後ろに倒し、僕に笑顔を見せて言った。

「誕生日おめでとう、可愛い娘ちゃん。今の良かったでしょ?」

**********

彼女の側から

夫と私の2人は、互いに腕を絡ませ抱き合いながら横になっていた。2人ともピンク色に塗った唇で相手の唇に触れ合う。2人が身につけている白いシースルーのブラ。それに包まれた胸を互いに優しく擦り合わせる。彼のパンティに包まれたペニスが、私のパンティに包まれた恥丘に身を寄せてくる。

私は、2人の間に起きたことが本当のことだなんて、とても信じられなかった。これまでの私の人生で、最高の、最も官能的な性体験を経験したところなのだ。しかも、本当の意味で、女性が他の女性と行うという形で経験したところなのだ。私がつけてあげた綺麗なブロンドのかつらに縁取られた、夫の女性的な顔を見ながら、いまだ私の頭の中は混乱している。信じがたいことだけど、メイキャップをして、髪の毛を整え、白いシースルーのネグリジェを着ている夫は、実際、とても美しい。

最大限に淫らに想像を広げた夢の中ですら、彼がこんなに美しくなれるとは思ってもみなかった。まるで、彼ともう一度、一番最初から恋に落ち直したような気持ちだった。ただし、今度は女性としての彼に。

それに、このことに対する私自身の気持ちも思いもよらなかった。これまで、他の女性について、その美しさを褒めることはあったけれど、性的に惹かれることは一度もなかった。だけど、今、女性になった愛する人の隣に横たわりながら、私はこれまでになく強烈な性的愛情を感じている。しかも私自身が彼に抱く愛情は、本質的に完全に女性の立場からの愛情なのだ。

私はこれまでずっと、夫の男らしさ、男性的力強さの感覚に惹かれてきていたし、2人で愛し合うときはいつも、男と女のコントラストを感じ、それを喜んできた。夫の固さに対して私の柔らかさ。私の柔らかい子宮に収まる彼の固い勃起。同じく、彼に私の体の中を満たされる感覚も嬉しく感じてきた。バギナを貫かれるときも、口に入れられるときも。私は、横になりつつ、このようなことを考えながら、今夜、2人で試したことが切り開いた可能性のいくつかに思いを馳せ始めていた。夫と私の間の関係をもっと新しい方向へ切り開いていけるかもしれない。そして2人で体験できるかもしれない、未知の新しい性的喜び。そのような可能性が開けてきたのだ。

夫のビックの美しく彩色された目元を覗き込み、その瞳に浮かぶうっとりと満足した表情をまじまじと見つめた。

「ねえ、あなた? 今夜の出来事についてどう思っている?」

「そうだなあ・・・僕が誕生日プレゼントに求めた、忘れられないようなセックスというのは、確かに与えてもらったよ。その点は、確かだ」

「私が、あなたのヘアを剃って、香水とかランジェリーとかいろいろなものであなたを女の子っぽくしていたとき、どんな感じがした?」

「正直言って、これまでで、一番のエロティックな経験だったなあ。ずっと、いつ、いってしまってもおかしくないほど、興奮のギリギリのところにいた。特に、君がブラの上から僕の乳首をつねった時は、そうだった。僕は、これまで、セックスのことを女である君の立場から考えたことなどなかった。僕が君に対して行うことを、君が喜んでいるらしいというのは分かっているし、僕も、そういうことをすると気持ち良いわけだから、それを喜んでしている。でも、自分が女になって、女の立場から性の行為を経験するという感覚は、ただただ圧倒的だったよ。嘘でも何でもなく、自分が本当に今の自分の体ではなく、女性の肉体に入っていたような気がしている。しかも、女性の体に入っていながら、射精したいという欲求から、爆発しそうな限界にいたわけだし。もし、僕自身がこういうことを計画したとしたら、こんなにすごい経験はできなかったと思う。それに、そもそも、こういうことは一度も心に浮かんだことがなかったのだから、そもそも計画すらできなかっただろう。一番、信じがたいほど興奮したところは、セックスにおいて、受け手の立場になる感覚だったと思う。いつも、僕は、僕が君に対して何かをする側の者であると感じているけれど、今夜は、僕は自分が、夫婦における妻の方になった感じがした。なんと言うか、相手に何かをされ、体を貫かれる側の人間になったと言うか。そこのところは、信じがたい経験だったよ」

夫は顔を近づけ私にキスをした。2人の口紅を塗った唇が柔らかくしっとりと触れ合うのを感じた。私は手を彼のナイロン・ストッキングに包まれた脚に這わせ、さらさらと上方へ動かした。彼が小さく震えるのを感じた。

「どこか変なの? 体調?」

「いや変なところは全然ない。ただ、このストッキングを履いた脚をそういう風に触られると、その感じがすごくて。いつも、君のストッキングを履いた脚を触ると、手触りが良いなとは思っていたけど、君がこんな風に感じていたとは思ってもみなかったから」

私は微笑み、今度は手を彼の胸に這わせた。乳首をつねってみる。彼の乳首は、先に私がつねったときにそうなったのと同じように、また固くなり始める。

ある考えが私の頭の中で生まれつつあった。やってみるべきかどうか? 夫はそれを求めるだろうか? それとも拒否するだろうか? その考えは、夫には話さないことに決め、私は彼のピンク色の唇に再びキスをした。

「もう、眠ることにしましょう? ね?」

彼はベッドから出て行こうとした。どこに行くの、と私は尋ねた。

「これを脱いで、顔を洗ってくるよ」

「どうして? 今夜はそのままでいても良いんじゃない? 着ていて、心地良いでしょう?」

「いや、居心地が悪いってことじゃないんだ。でも、これを着ていると、ちゃんと寝付けるかどうか自信がないんだよ」

そう言って夫はパンティに包まれた股間に目を落とした。彼のペニスは元通りすっかり勃起していた。

「あら、それならお世話できると思うわよ。そうじゃない?」 そう言って、彼女をベッドに引き戻した。「彼女」とは「彼」のことを指しているつもり。

「・・・でも、あなたのそれを、お世話してあげるけど、私も、してもらうこともあるわ」 

私は彼女をベッドに仰向けに押し倒した。ストッキングを履いたままの両膝で彼女の体を挟み、ネグリジェに包まれた胸にまたがり、這い上がった。私のパンティに包まれた恥丘が彼女の口の上にくる。

「・・・今すぐ、私を食べて。早くしないと、門が閉まっちゃうわよ」 ジョークを言いながら、私は彼女の口紅を塗った唇の上に恥丘を押しつけた。

夫は、パンティの上から私の割れ目を舐め始め、それに合わせて、私もゆっくりと前後に腰を動かした。後ろに手を伸ばし、彼のパンティの中に隠れているペニスを優しく擦った。ペニスを包む薄地の生地のしわを伸ばすように擦る。つるつるした手触りが気持ちいい。私の下、彼女が小刻みに震えるのを感じた。彼女も私も、それぞれの淫らな妄想世界に再び没頭し始めている。

彼女は手を出して私のパンティを横にずらし、再び舌を使って私に奉仕し始めた。舌を固くさせて私の奥へと突き入れてくる。時々、先端を丸めて、クリトリスを舐め擦ってくる。私は、ギリギリになるまで彼女の口唇愛撫を堪能した。

いってしまう前に私は、それを中断し、また体を這わせながら下方へくだった。腰を動かして、バギナの部分で彼の大きくなったペニスを擦る。彼のパンティを横にずらした後、ゆっくり、優しく彼の分身を私の中に導きいれた。

夫にのしかかったまま、彼の顔をまじまじと見つめた。綺麗な目がキラキラ輝いていた。ピンク色の唇を半開きにして、小刻みに呼吸し、喘ぎ声を立てている。彼をすっかり私の中に入れた後、私は2人のつながっているところに目を落とした。その時、目にした光景で、私は全身に震えが走った。

「あなた、見てみて」

彼女は頭を上げ、その部分を見た。そしてとても変な表情を顔に浮かべた。彼女のペニスは見えなくなっている。見えているのは、美しい女性の2つの体だけ。その2つの体が恥丘の部分でつながっている姿。

私には、彼女の美しいブロンドの髪が見えるし、お化粧と口紅で愛らしさが強調された、完璧と言ってよい綺麗な顔も見える。そのピンク色の唇はセクシーに半開きになっていて、可愛らしいピンク色の舌が顔をのぞかせている。小さいけれど盛り上がった胸は、シースルーのブラジャーに包まれ、薄地のベビードールとシースルーの上掛けの中、かすかに揺れている。そして、視界の下方では、私たち2人のパンティに覆われた恥丘の部分が見え、一緒に揺れあいながら愛の行為をしている。

「私、この光景を忘れたくないの。だから、良いでしょう?」 そう言って私はナイト・スタンドに手を伸ばし、デジタルカメラを手にした。

「ああ、どうかなあ。でも、他の人に見られるのは困る」

「心配しないで。私たちだけ・・・」 それから、ちょっとからかい気味に付け加えた。「でも、たとえ他の人が見たとしても、レズビアンの綺麗な女2人が、素敵な愛の行為をしている姿としか思わないわよ」

私はカメラをムービー・モードにセットし、録画ボタンを押した。レンズを彼女の美しい顔に向けてから、ゆっくりと下へ移り、私たちふたりのパンティに包まれた部分を写した。彼女の顔を撮るとき、私は、彼女の上で腰をゆっくりと回しながら、彼女に誘惑的に舌なめずりして見せるように命じた。

「それに・・・今度は、こういう風に想像して欲しいの・・・。私の方がペニスを持っている人になっていて、私があなたを貫いているという風に・・・」 

そう言って私は彼女の上、上下に動いた。

「・・・ねえ、想像できる?」

「ああ、できる」

彼女は目を閉じ、うめき声を上げた。そして腰を突き上げ、私のさらに奥に入れてきた。私の方は、彼女と私でダブル・エンデド・ディルド(参考)を使っている光景を想像し、私自身もうめき声を上げていた。

「私のペニスがあなたのバギナに入っているのを感じる? ヌルヌルと出たり入ったりを繰り返しているの。出たり、入ったり・・・」 

ため息混じりに彼女に話し続けた。2人とも互いに股間を押し付けあっていた。

「全部、受け入れるのよ。バギナにも入れてもらうし、口にも入れてもらうの!」 

私はそう言って、録画にセットしたまま、カメラをナイト・スタンドの上に置いた。レンズは、ナイロンに包まれた私たち2人の体に向けられている。私が彼女の上に覆いかぶさっている形。私は彼女の美しい唇にキスをしている。私は、舌を丸め、できるだけ固くして、彼女の口の中へできるだけ深く、奥へと突き入れ始めた。夫は、私の丸く固く尖らせた舌を受け入れ、夢中になって吸っていた。それと同時に腰を激しく突き上げ始める。私は、彼が私になって、私が彼になっている想像をしていた。彼が腰を押し上げてくる度に、私も対抗して強く腰を打ちおろした。

私は、2人がつながっている部分の下に手を伸ばし、中指を彼の肛門に入れた。指が届く限り奥へと入れた。私が彼に指を入れたのを受けて、彼も手を伸ばして私に同じことをした。指をできる限り奥へ押入れる。そして、半分ほど出しては、また入れる動きを始め、人差し指で私のアヌスを犯し始めた。私も同じことをしてあげた。

やがて、私がもはやこれ以上、持ちこたえることができないと感じたとき、彼の方も背を反らせ、声を上げながら、股間を強く突き上げた。文字通り、上に乗っている私の体ごと宙に浮いていた。彼のお尻の頬肉とアヌスが強くすぼまり、私の指をひねりあげた。彼女のペニスから出た液体が私の子宮から溢れるのを感じ、それがきっかけとなって私も絶頂に達した。私は、まるで私が出した精液で彼女を満たしているような感覚になる。私のペニスが彼、いや彼女の中で爆発的に放出を始めた感覚。

私は、「ああ、いい!!!」 と叫び、止めていた呼吸を再開し、それから彼の口に再び舌を突き戻した。彼の喉奥に届かせようと、舌を突き伸ばした。夫は私の舌を吸い、小刻みに体を震わせながら、幼い女の子のような弱い泣き声を出していた。・・・私の可愛い彼女。

彼の突き上げていた腰から急に力が抜け、がっくりとベッドに降りた。私は舌で素早く彼の口の中を舐めまわり、それから、舌を出して、彼のピンク色の唇を舐め、愛おしげに股間を彼の今や柔らかくなったペニスに押しつけた。

「これで、もう眠れるわね」 性的興奮に上気しながら、呟いた。

「そもそも最初から目覚めていたのかどうか分からない。それに、これがただの淫らな夢だとして、この夢から覚めたいかどうかも分からない」

「私のセクシーな可愛い娘ちゃん、これは夢じゃないわ。それに明日になればなったで、目が覚めて良かったと思うはず。今回のことで、私、ちょっと面白いことを思いついたから」

「これよりすごいことなんてありえないよ」 夫はそう言って改めて体を横にした。セックスの匂いと香水の香りが彼から漂ってきた。

「あら、私はそうは思わないわ」 笑みを浮かべてそう言い、手を伸ばしてカメラのスイッチを切り、ベッドサイドの明かりを消した。

「私たちには、この先まだ何年も夫婦生活の時間があるんだもの」

2人、それぞれ満足した溜め息をつき、まくらに埋もれるように頭を休め、眠る態勢に入った。私は、これから先、私たちを待っている楽しい日夜のことを考えながら、眠りに落ちた。


つづく
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