「姉さんと同じく」(翻案)後編

夏休みの間、僕も姉さんも、日中はごく普通の生活を送っていた。宿題をしたり、家の仕事をしたり、友達と遊んだりと、他の同年代の友達と変わらない生活を送っていた。僕も姉さんも、本能的に普通を装っていたと思う。

でも、龍次が帰ってきて夜になると、毎晩のように龍次の部屋からは姉さんの声が聞こえてきた。姉さんは、何度か龍次と衝突したことがあったが、そういう時は決まって朝まで龍次の部屋にいて2階に戻ってくることはなかった。夜中に僕の部屋に来ることもあった。姉さんは、僕に寄り添いながらそのまま眠ってしまうこともあれば、あの夜のように僕が姉さんの体にキスしたり、姉さんが僕に龍次が出したのを飲ませてから眠ることもあった。

姉さんが龍次の部屋に行っていて声が聞こえてくると、僕はたいてい布団に潜って耳を塞いでいた。でも、時々、あの日のようにこっそりと1階に降りて、龍次の部屋を覗くときもあった。夏で暑かったからかもしれないが、いつもふすまが開いていた。

僕は龍次に抱かれている姉さんがとても綺麗だと感じるようになっていた。多分、姉さんも龍次も僕が覗いているのを知っていたと思う。姉さんは、よく僕が潜んでいる方向に顔を向けていた。切なそうな声をあげながら龍次に揺さぶられていた。胸のところを紐で縛られていることもあった。そういうときの姉さんは、悲しいとかつらい目にあってる顔ではなかったのは僕にも分かっていた。そして、そういう風に姉さんを綺麗に変えてしまう龍次のペニスにも、僕はどうしてか分からなかったけれど、目が奪われてしまうのだった。

僕は、龍次と姉さんを覗きに行かないとき、こっそり姉さんの部屋に行ってパンストや下着を取ってくることもあった。それを持って自分の部屋に戻り、身に着ける。下から聞こえてくる姉さんと龍次の声を聞きながら、姉さんの下着を着ると、自分が姉さんになったような気がして、激しく興奮し、そのまま自慰をした。汚してしまったときは、後で洗ってこっそり戻そうと自分の机の引き出しに隠した。

***

その頃、僕は姉さんが少しずつ変わってくるのも感じていた。以前は龍次に反抗していた姉さんだったが、その頃はめったに口答えすることがなくなっていた。むしろ、龍次に代わって僕に注意することが多くなっていた。ある日、僕は龍次に庭の草むしりを命令された。だが、その日、友達と遊ぶ約束があった僕は珍しく強硬に断ったのだった。龍次は、お仕置きがいるのか? と怒りだしたが、姉さんは、その龍次を制して間に入ったのである。

「なに言ってるの! ダメじゃない、おじさんに口答えしちゃ! すぐに草むしりしてきなさい! 遊びに行くのはその後!・・・龍次さん、ごめんなさい。怒らないであげてください・・・もう少しだけ待って・・・」

僕は姉さんに睨みつけられ、仕方なく草むしりをした。

その夜、姉さんは龍次の相手をした後、二階の僕の部屋に入ってきた。すでにその頃までには、僕と姉さんの間では無言の了解ができていて、姉さんが入ってくると僕は裸になるようになっていた。

布団の中、僕に寄り添ってきた姉さんは、いつもより疲れているようだった。それに啜り泣いている様子もあった。僕は姉さんを癒してあげようと、首から肩のところに唇を寄せた。そこの肌には、いつもと違って縄目のような跡が這っていた。背中や胸のところにも同じような跡が残っていた。どこの肌も痛々しく腫れて熱をもっていた。

「・・・姉さん! これ、龍次にやられたの?」

「・・・今日みたいに反抗しちゃダメよ」

「・・・姉さん、ごめん・・・何か僕にできることない?」

「気にしなくていいの・・・」

姉さんは微笑んでいたようにみえた。

「・・・でも、今日もあれしていい? ・・・ごめんね」

僕は、姉さんの意図を察し、頷いて仰向けになった。姉さんは僕の体に馬乗りになって、上半身を傾け、僕に優しくキスをしながら、あそこのところを僕のペニスに当てて、ゆっくりと腰を動かして擦ってくれた。それからおもむろに体を起こし、僕の顔の上へと移動してきた。自分の指であそこの唇を広げながらゆっくりと僕の顔の上に腰を降ろしてくる。姉さんの匂いが僕の鼻孔一杯に広がって、僕は少し目眩いを感じた。

いつもは僕を見る時は目に笑みを浮かべている姉さんも、これをする時だけは真顔で僕の目から視線を外さずに見下ろす。姉さんのクリトリスが僕の鼻先に触れた。姉さんはゆっくり腰を動かして、僕の鼻先を使ってクリトリスを擦り始めた。僕は舌を突き出して、姉さんのあそこの中に入れたり出したりをした。姉さんはうっとりと目を閉じ、腰を動かし続けていた。不思議と姉さんのそこは姉さんの味しかしなかった。

しばらく続けていると、姉さんは興奮が高まったのか、腰の位置を少し浮かせて前へずらし、僕の鼻があそこに当たるようにさせた。僕の口は姉さんの後ろの穴のところに来ていた。そして、姉さんのそこは信じられないほどヌルヌルとして濡れていたのだった。

「・・・出すから・・・吸って!」

僕は何も考えずに言われた通りに、口をすぼめ、そこを吸った。姉さんが何か気張る声をあげた途端、中からどろどろとした液体が出てきて僕の口の中に流れ込んできた。それは、すでに僕には覚えがあるものとなっていた龍次の味だった。

姉さんは体をこわばらせ、小さく震え、その後、がっくりと僕の上に崩れ落ちた。僕は姉さんの下腹に顔を覆われた形になって、息苦しかったし、姉さんの陰毛もくすぐったかったけれど、姉さんのことを思ってじっと我慢していた。姉さんが僕の口でいってくれたのが嬉しかった。

姉さんはしばらくそのままの格好でいたが、突然、体を起こした。何か手にしたようだった。

「これ、私の下着・・・」

僕は、姉さんのパンティを持ってきていたことをすっかり忘れてしまっていた。姉さんが龍次のところにいる時に、それを使って自慰をし、そのまま眠ってしまったのだった。

「このごろ下着やパンストがなくなってるような気がしていたけど・・・」

姉さんは僕にいろいろ質問した。僕は結局、姉さんのところから下着などを持ってきていたこと、それを身につけて遊んでいたことを白状した。それを身につけると姉さんのことが頭に浮かんで、姉さんととても近くにいるような気持ちになれたこと、そしてさらに自分が姉さん自身になったような気持ちになれたことも。

最初は、驚いていた姉さんだったが、僕の話しを聞いてるうちに興味を持ったようだった。僕にその下着を履いて見せるように言った。僕は言われた通りにパンティを履いて、姉さんの前に立った。

「すごく似合うわ。お尻のところがキュートで、並みの女の子より可愛いじゃない! 前もそんなに目立たないし・・・前に龍次が口紅をつけさせたって言ってたけど、確かに可愛くなるかも・・・うふふ」

***

翌日。

昼間、龍次が仕事に行っていて不在のときだった。姉さんは僕を部屋に呼んだ。僕に姉さんの持っている衣類をいろいろ着せると言うのだった。僕は恥ずかしくて逃げようとしたが、姉さんは許してくれなかった。それに、姉さんがどことなく楽しそうにしているので、僕もそんな姉さんを見たくて付き合ったのだと思う。

姉さんは、僕に素っ裸になるように言って、下着からすべて姉さんの物を並べた。僕はパンティを履いたが、たちまち勃起してしまい、前のところから頭のところが外にはみ出ていた。姉さんにはそれが可笑しかったらしく、明るく笑いながら、僕のそれを何度も突いたりして僕をからかった。ブラジャーはしても仕方がないので、素肌の上に白い地味なブラウスを着た。下も普通のフレアスカートだった。姉さんは、よく似合うと言って、はしゃいでいた。何度も鏡を見るように言われたけれど、僕は恥ずかしくてとても見る気になれなかった。

姉さんは、僕に化粧もした。目立たない薄い口紅をつけ、目の辺りや、額や頬に何か塗っていた。僕は4月に引っ越してきてから散髪をしていなかったので、髪の毛はかなり長くなっていた。それを姉さんと同じようなスタイルに切り揃えてくれた。

改めて鏡の前に立つように言われ、仕方なく立って見た。自分でもびっくりしてしまった。髪の毛の長さや色、それに胸の膨らみの部分は違うけれど、鏡の中には、双子のように姉さんそっくりの女の子がいたのだった。姉さんもびっくりしていた。

「いやだ、私とそっくりじゃない! うふふ! 私の服や下着、いくつか譲ってあげるわ。それにお化粧の仕方も教えてあげるわね!」

姉さんはとっても楽しそうだった。いろんな服を持ち出しては、僕に着せて遊んでいた。こんなに楽しそうにしている姉さんを見るのは久しぶりだった。龍次に酷いことをされていることを、この時間だけは忘れているように思えた。そして僕自身もまるで姉さん本人になれたような気がして、どうしてか分からなかったけれど嬉しかったし、同時に興奮もしていた。パンティから顔を出している亀頭がスカートに擦れて、甘い刺激が気持ちよかった。

***

8月も中旬を過ぎていた。その頃になると、姉さんは、少しずつ、前のような清楚な気品は消えて、段々とふしだらな女のように変わってきていた。龍次にたてつくことは皆無になっていた。龍次の求めに応じて、家の中ではパンティに、Tシャツかテディだけとかの格好で歩き回るようになっていたし、家の中でも化粧をしたままになっていた。龍次は、僕がいる前でも姉さんにキスをしたり、体を触るようになっていた。姉さんは、僕が見ているのに気づくと、嫌そうに龍次から離れてはいたが、僕がいなくなると龍次に自分からキスを求めたりしていた。

夜の方も、変化していた。姉さんが、毎晩、龍次の部屋に連れて行かれるのは変わらなかったが、龍次の機嫌が悪いときなど、姉さん自身が、僕に早く2階に上がるよう、せかすことがあった。龍次の部屋に覗きに行くと、龍次がビールを啜りながら椅子にどっかりと座っていて、その前に姉さんがひざまずいて龍次のペニスを舐めていたり、頬ずりしていることもあったし、布団の上、龍次が腕枕をしながら仰向けになっていて、その上に姉さんがまたがって、自分から体を上下させていることもあった。下になっている龍次が両手で姉さんの乳房を押えて、握り潰さんばかりに揉んでるところも見たことがある。姉さんは、それをされて、辛そうな声を上げて顔を歪めていたが、かえって激しく体を上下に弾ませていた。僕の目から見ても、姉さんが龍次と一緒にいて楽しんでいるのは確かだった。

だからと言って、姉さんが夜に僕の部屋に来るのを辞めてしまったかというとそうではない。むしろ、姉さんは、龍次と一緒にいるのと同じく、僕との夜も楽しむようになっていたと思う。でも、姉さんは、それまでとは違った形で僕との夜を楽しむようになっていた。

***

そのように姉さんが変わる少し前の夜のことだった。その夜も、姉さんは夜中になって龍次の部屋から僕の部屋に上がってきたのだけれど、僕の部屋に入るなり、小さな声で笑ったのだった。

「うふふ・・・また、私の下着を使って、悪いことしていたの?」

姉さんは床に落ちていた下着を手にしていた。

「悪い子ね! お仕置きしなきゃ、いけないわ!」

姉さんは、そう言って、いきなり僕に覆い被さってきた。僕の両手両脚を押さえ込み、荒々しくキスをしてくる。まるで襲い掛かろうとするような勢いだった。

僕は、寝込みを襲われた形でびっくりしたが、姉さんと格闘するつもりはなかったので、両手を前に突き出して姉さんを跳ね除け、姉さんに背を向けた。姉さんは、僕に突っぱねられ、キャアっと小さな悲鳴を上げてひるんだようだったけれど、またも僕に襲い掛かって、僕の背中にまたがって押さえつけてきた。僕は仕方なく姉さんの遊びに付き合って、押さえつけられるままになっていた。

すると姉さんは僕の後ろ髪を引っ張って、僕の顔を上げさせ、またキスをしてきた。僕の口の中を荒々しく探りまわるようなキスで、長々と続き、僕は頭がぼーっとしてくるのを感じた。姉さんは、ようやくキスを解くと、僕の口に、拾ったパンティを丸めて詰め込んだのだった。そして僕の背中に覆い被さったまま、自分の脚で僕の脚を広げさせたのだった。

多分、姉さんは自分が男になったつもりでいたのだろうと思う。僕に覆い被さって押さえ込んだまま、体全体を前後に揺らしていた。姉さんが僕の背中に乳房を擦り付けているのを感じた。それに姉さんは、片手を自分のあそこに持っていって、自分でいじっているようだった。僕はパンティを口に詰め込まれ、姉さんのされるままになっていた。背中に当たる姉さんの胸に意識が行って、段々と勃起していた。その勃起は僕のお腹と布団の間に挟まっていて、姉さんの動きに合わせて、そこが擦られているような形になっていた。

しばらくそのままになっていたら、姉さんは体を横にずらした。次の瞬間、何か濡れたものがお尻に来るのを感じた。

姉さんの指だった。姉さんは指であそこから湿り気をすくい取って、僕のお尻に塗りつけたのである。多分、その湿り気は、龍次が姉さんの中に出したものだと思う。姉さんは、さらにお尻の穴の中にまで指を入れてきた。僕は下着を詰められた口の中、声を上げて止めるように訴えた。

「痛い?・・・でも、大丈夫・・・力を抜けば痛くないから・・・」

そう言って姉さんは、僕の横から体半分を多い被せたまま、繰り返し、自分のあそこに指を入れては、僕のお尻に濡れた指を入れた。僕は、とても異常なことだとは知っていたけれど、目をつぶって姉さんにされるままになっていたし、自分でも腰を動かして、布団にペニスを擦りつけ始めていた。姉さんは僕の横顔や首にしきりにキスをしていた。

僕の頭の中には、変なイメージが浮かんでいた。姉さんが、龍次が出したものを使って、僕に子種を植え付けているイメージだった。さらにそのイメージは、僕自身が姉さんになっているイメージに変わり、姉さんに成り代わった僕が龍次に直接、子種を植えつけられている光景に変わっていった。僕はその光景を頭に浮かべながら、頂点に達し、布団と僕のお腹の間に射精していた。

それがあってから後は、姉さんは、夜に僕のところに来ると、いつもこれと同じようなことをするようになった。姉さん自身がオルガスムに達することより、僕がこれをされて、シーツとお腹の間に射精するのを見届けることの方が、姉さんにとっては楽しいことのようだった。

***

夏休みが終わり、9月になっていた。僕と姉さんは再び学校に通い始めた。だが、姉さんの方は、じきに学校を休みがちになって、結局は、全然通わなくなってしまった。家の中では、いつもベビードールのネグリジェのようなものを着ていた。胸のところが透けて見えていたが、僕に見られてもすでに気にしないようだった。その格好のままテレビを見て一日を過している。食事も乱れてきて、部屋にはカップ麺の容器やジュースのボトルが散らかっていたし、夕飯もコンビニの弁当が大半になっていた。

龍次も、姉さんとの関係を僕に隠さなくなっていた。仕事から帰り食事を済ますと、ビールを片手に姉さんの隣に座り、僕がいるにもかかわらず、テレビを見ながら姉さんの胸やあそこをいじり始める。ビールを口移しに飲ませたりもしていた。そういう時、姉さんは僕とは目を合わせず、話しもほとんどしなかった。龍次は、しばらく、そうやって姉さんをいじり続けた後、引きずるようにして姉さんを自分の部屋に連れて行くのだった。

龍次は部屋に入った後もふすまを閉めることなく、まるで僕に見せ付けるようにして姉さんにセックスしていた。姉さんはいろんな姿勢で龍次を受け入れていた。ある日は四つんばいになって、後ろから龍次の巨大なもので突かれながら喘いでいた。打ち込みに合わせて乳房が揺れ、乳首が布団のシーツに擦れていた。姉さんは、泣き声をあげ、身を捩じらせながらも、龍次とのセックスを体の芯から喜んでいるのだった。

僕の部屋に来ると、いつものように僕をうつ伏せにさせ、龍次の出したものを潤滑液の代わりにして、僕のお尻に指を入れて遊んだ。僕はすでに指を2本入れられても大丈夫になっていた。僕は、姉さんが好きなように僕の体を使うのを、かえって嬉しく思うようになっていた。何度も僕のことを可愛いわと言って、指を出し入れしながら、甘いキスをしてくれた。それに、その合間に、龍次のことを僕に言って聞かせるようになっていた。龍次の体の大きさや逞しさ。のしかかられるときの圧倒感。龍次に奉仕する喜びなど。

「龍次はね、この家の主なの・・・私たちはおじさんにお世話になってるんだから、精一杯、尽くして上げなければいけないの・・・それに本当に男らしい男には、誰でも言うなりにならなければいけないものなの・・・言うなりになって服従することって嬉しいことなのよ。まして、お世話してあげて喜んでくれたら、なおさらだわ・・・姉さんがいなくなったら、あなたが替わりにおじさんのお世話をしてあげなきゃだめよ・・・」

僕は姉さんに指を出し入れされながら、小さく喘ぎ声をあげて腰を動かし、布団でペニスを擦っていた。目を閉じると、龍次の逞しいペニスが頭に浮かんでいた。

***

姉さんは、まるで自分がじきにいなくなるかのようなことを言っていたが、やがて、それが本当になってしまった。

9月中旬の日曜日、姉さんの学校の友だちが家に来て、姉さんに会いたいと言ってきた。あいにくその時は、姉さんは龍次の部屋にいてセックスをしていた。僕は、姉さんは家にいないと嘘を言って、その人を追い返した。そしてその数日後、今度は学校の先生とカウンセラーの人が家に来て姉さんと会った。龍次はまだ仕事に行ってて家にはいなかった。

姉さんは妊娠したらしい。カウンセラーの人は、姉さんの乱れた生活や家の中の荒れた様子を心配し、僕たちの両親に連絡を取り、姉さんだけでも家に帰すよう取り計らった。子供の父親は誰かと訊かれ、姉さんは、学校の男子生徒だと嘘をついた。龍次は、カウンセラーの人に、子供の監督や龍次自身の生活態度についてかなりきつくお灸を据えられたようだったが、もちろん姉さんとのことは嘘をつき通していた。

両親が龍次の家に来た。二人とも龍次の作り話をすっかり鵜呑みにしていた。これからも僕のことをよろしくお願いしますと龍次に言い、姉さんを連れて帰って行ってしまった。姉さんは、僕と別れるとき、「ごめんね」とだけ言った。その時の姉さんは、夏休みになってからのだらしない感じの姉さんではなく、前の優しい姉さんに戻っていた。

龍次と2人だけの生活になった後、しばらくは何もなかった。食事はほとんどが出来合いのものを買ってきて食べていた。龍次とはほとんど会話をしなかった。龍次は毎晩、酒を多量に飲み、酔うと怒鳴り散らし、あれこれ家の中の仕事を命令した。だが僕は素直に言うことを聞いていたので、酷い目にあうことはあまりなかった。姉さんは衣類をほとんど残していった。僕は、夜に布団に入るとき、姉さんの着ていたベビードールやパンティを身につけて寝ることが多かった。

***

ある夜、僕が風呂場でシャワーを浴びていた時だった。風呂場の隣の洗面室に、龍次が入ってきて、手や顔を洗い始めたのだった。僕は、その洗面台の脇の棚にシャンプーを置き忘れていたので、シャンプーを取ろうとドアから顔を出した。ふと目を向けると、鏡の中、龍次が僕のことを見ているのに気がついた。龍次は、パンツ一枚の格好で、僕は、その時も龍次の股間のところの大きな盛り上がりに視線を寄せられていた。そして、龍次はその僕の視線に気づいたようだった。

龍次はシャンプーを取り、ふたを開け、シャンプーのねっとりした白い液を手のひらに垂らした。

「お前、よく見ると寛子にそっくりだな」

「え? ・・・うん・・・お母さんにもよくそう言われるけど・・・」

「シャンプーが欲しいのか?」

「うん・・・」

龍次は僕の目を見つめていた。

「ちょっとくるりと回って見せろ! お前の女っぽい尻を見せてみろ」

僕はぎこちなく1回転して見せた。シャワーの熱いお湯が顔に当たった。龍次は浴室に入ってきて、シャワーのノブに手を伸ばし、温度を上げた。急にお湯が熱くなり、僕はシャワーの湯気の中、体を捩らせた。

「しーっ! しーっ!」

龍次は、まるで母親が子供をあやすような声をだして、シャンプーをつけた手を僕のお尻に優しく触れた。そのまま手を僕のお尻の穴へと近づけてくる。僕は、声を出して逃れようとしたが、それを見た龍次は、力任せに僕のお尻をパチンと平手打ちした。僕は恐怖感から凍ったように体が動かなくなってしまった。

シャンプーを塗った龍次の手のひらが僕のお尻の穴に触れ、僕はハッと息を飲んだ。さらに太い指でお尻の穴を探り当てられ、僕はうめき声をあげた。だが龍次は、ゆっくりではあるが、情け容赦なく確実に指を押し込み続け、とうとう指全体を入れてしまった。僕はシャワーの熱湯を浴びながら、壁に両手を突き、喘ぐだけしかできなかった。

「どうだ?・・・そんなに悪かねえだろう? えぇ?・・・」

「ん・・・いや・・・痛いよ! ああっ!」

龍次は中に入れた指をぐるぐる回して、僕の中を広げようとしていた。

「いや、悪かねえはずだ。寛子に躾けられてたはずだからな・・・」

龍次は姉さんが僕のあそこの穴をいじっていたことを知っている・・・? だが、龍次の指が僕に出たり入ったりをし始め、僕は考えている余裕がなくなっていた。龍次の指に操られるように、僕は体を踊らせていた。

「お前には、そろそろ寛子の替わりをつとめてもらおう」

「んっ・・・え?」

「お前の姉さんの替わりになってもらうと言ったんだ!」

それを聞いた瞬間、僕は溜息を漏らした。僕が姉さんの替わりに・・・? 

表面的には、違うと装っていたが、心の中では、まさにそうなりたいと思っていたことだった。この男に、好きにされること。この本物の男らしい男に支配され、どう抵抗しても抵抗できない状態にされること。僕は姉さんになりたかった。姉さんと同じく、龍次のペニスを入れられ、拘束され、すべて龍次が望むことでいっぱいにされる。姉さんのように支配されたかった。そうなることで、自由を奪われ体を奪われていた美しい姉さんと本当の意味で一体化できる。

龍次は、息を喘がせる僕から指を抜いた。

「おめかしするんだな! 準備ができたら俺の部屋に来い!」

***

僕は部屋に戻り、姉さんのパンティを履き、ベビードールを着た。それから姉さんの部屋に行き、ドレッサーの前に座り、前に姉さんにしてもらったように口紅を塗り、目のところに薄く化粧をした。この姿で鏡の中の自分を見るのは、前と同じくその時も嫌だったが、龍次のことだけを思いながら化粧すると、その嫌な気持ちも不思議に和らいだ。

準備を終え、階段を降りた。体がわなわなと震え、止まらなかった。龍次の部屋の前に立ち、ふすまを躊躇いがちにノックした。

「おう、入れ!」

僕は羞恥心から頭をうな垂れて中に入った。龍次は布団の中に入っていた。僕を見て笑顔になっている。手にしていた読み物を脇に放り投げ、掛け布団を少し捲って、中に来るように手で合図した。部屋は蒸し暑かった。明かりは電気スタンドがついていたが、龍次はそのスイッチも切った。窓からの月明かりだけになっていた。

「こっちに来い!」

龍次は一言それだけを言った。僕は下唇を噛みながら、龍次が待つ布団の中にするりと入った。

とたんに龍次の逞しい腕が僕の体に巻きついてきて、強く抱きすくめられた。さらに唇を唇で塞がれた。両腕で抱かれ、キスをされただけでも龍次の圧倒的な逞しさがひしひしと実感される。龍次の舌が口の中に入ってきて、中を探りまわった。

龍次はそのまま体を回転させ、僕の上にのしかかった。思った以上の重さと強さだった。龍次の太いペニスが僕の太もものところに当たっていた。龍次はしばらく僕の体じゅうを触りまわっていた。

「お前、枕に頭を乗せて仰向けになってる格好を見ると、本当に寛子そっくりだぜ・・・」

そう言って、またキスされた。僕は頭の中に霧がかかったようになっていた。そしていつの間にか、龍次は僕のお腹の上にまたがっていた。

「お前、脚の間に何を持ってることに決めたんだ? ちんぽか、穴か?」

「・・・あ、穴・・・」

「そうだな! へへへ! こいつは女の股についてる豆みてえなもんだよな! えぇ?」

龍次は勃起している僕のペニスを指で弾いた。僕は小さく悲鳴を上げた。そして、次の瞬間、龍次は僕の胸の上に移動し、またがった。目の前に龍次の巨大なペニスがそそり立ち、僕の顔に向けてぶるんぶるんと揺れていたた。

僕は、急に恐怖心を感じた。それに、恥ずかしさも。姉さんは、龍次に少なくとも最初は抵抗したのだ。それに比べ、僕は男であるにもかかわらず、抵抗すらせず、女々しく言うなりになっている。上から見下ろす龍次が、僕に何を求めているのか一目瞭然だった。こんな大きなものが僕の口に収まるはずがない。僕は、恐怖心からか、それとも姉さんと同じになりたかったからか、抵抗を始めた。顔を背け、龍次を突き放そうと両手を前に突き、もがいた。

だが龍次は、僕の両腕を下げさせ、僕の両腕と胴体もろとも脚の下へ入れてまたがった。そして、身動きができなくなった僕の唇にペニスを擦り始めた。口紅を塗るように、左右に繰り返し擦り付ける。

「寛子も、最初は苦しがっていたが、すぐに美味しそうにしゃぶるようになったぞ」

巨大な亀頭で、先端からは透明の液が現れていた。それを唇に塗りつけられる。鼻を摘まれ、思わず口を開いた隙に、中に入れられた。舌で押し出そうとしても無理だった。

「入れられたら、ちゃんと舌で舐めまわせ。ちゅうちゅう吸うんだ!」

僕はそれでも抵抗して、何もしなかった。すると突然、龍次は腰を突き出し、僕の喉奥を突き刺した。吐き気が込み上げ、顎が外れるかと思うほど、口の中がいっぱいにされた。姉さんの顔が浮かんだ。目を真っ赤にしながら龍次のを口に入れていた姉さんの顔だった。龍次は、ひとしきり僕の喉奥を突きまわると、少しだけ、引き下がった。

「言われた通りにしろ! でないと、もっと奥まで突っ込むぞ!」

僕は仕方なく、言われた通りに舌を使って亀頭を舐めまわったり、吸ったりを始めた。

「ううぅぅん・・・そうだ・・・その気になって舐めれば美味しくなってくるものだぞ」

僕は苦しさにもがきながらも、目を閉じて、龍次を舐め続けた。

頭の中、姉さんの姿が浮かんできた。いま僕の口に入っている、傘が開いたきのこのような頭部。これが姉さんのあそこを貫き、中を押し広げていったのだ。肉茎のことについても考えた。この血管がごつごつ浮き上がっている肉棒。これが姉さんのあそこの壁を幾度となく擦り続け、姉さんを狂わせたのだ。龍次は睾丸も舐めさせた。毛むくじゃらの大きな卵のような2つの球体。この中に熱く煮えたぎっているものが姉さんの中に撃ち込まれ、そして、それを姉さんは僕に分けてくれたのだ。

間もなく、僕は、この巨大で男らしい肉棒に犯されることになる。姉さんと同じく、この大きな亀頭が僕の体を押し広げていき、固くごつごつした茎で肉筒を擦られることになる。僕も姉さんと同じく、それによって狂わされるのだろうか。姉さんと同じく、この大きな睾丸に蓄えられているものを撃ち込まれるのだろうか。

龍次はひとしきり僕に舐めさせた後、僕の足の間に移動した。パンティを脱がされ、脚を大きく割られた。ヌルヌルしたゼリーをあそこに塗られ、太い指を入れられた。ふんだんにゼリーを使われているのか、指が出入りするたびに、僕のお尻からくちゅくちゅと音が聞こえていた。

「まんこがいい具合にほぐれてきたようだ。そろそろ本物の女にしてやろうな!」

龍次はそう言って亀頭を僕のお尻に当ててきた。僕は再び抵抗してもがいた。だが熱く固いものを、そこに強く押し当てられるのを感じて、僕は抵抗をやめてしまった。そして龍次は押し込み始めた・・・

龍次が亀頭を僕のあそこに押し当ててから、僕が完全に貫かれるまで、30分以上かかったと思う。龍次は少しずつ僕のあそこを慣らすようにして、じわじわと侵入し続けた。途中、何回もキスされ、唾液を飲まされた。しきりと姉さんに似ていると繰り返していたが、やがて僕のことを寛子と姉さんの名前で呼ぶように変わっていた。

何度も呪文のように姉さんの名前で呼ばれ、僕は、完全に姉さんに成り変ったように感じていた。目を閉じると、龍次に抱かれている姉さんの綺麗な姿が浮かんだ。僕は、キスをされると、姉さんがするように舌を絡めて反応したし、声も姉さんのような声を上げた。

僕は龍次に貫通され、息苦しいほどの充満感を感じていた。お腹の奥深くで龍次のペニスがひくひくうごめくのを感じた。やがて龍次が動き始めた。僕は痛みを感じ声をあげていたが、龍次はそれには構わず、ゆっくりしたペースで動き続けた。龍次のペニスが僕のあそこの中をぬるぬると出入りを繰り返す。それに最深部へ入れられるたびに、大きな睾丸が僕のお尻に触れるのを感じた。動くたびに龍次の腹部が僕のペニスを擦るのを感じた。身悶えし、叫び喘ぐ僕を尻目に、龍次はじっくりと落ち着いて動き続け、確実に僕を女に変えていくのだった。

「うっ! うっ! うっ! ・・・感じるか?・・・そろそろいくぞ、寛子!」 

「あああ・・・あっ! あっ! あっ!!」

「ザーメンをたっぷり出してやるからな! ・・・脚を上げろ!・・・自分で脚を抱えて丸くなるんだ!」

僕は言われた通りの姿勢になった。龍次は体重をかけて僕の上にのしかかり、最深へ突き入れ、そして射精を始めた。熱いシロップを注ぎ込まれているような感じがした。

その間、僕は、これが、多分、今夜だけで終わることはないだろうと思っていた。姉さんと同じように、毎日、夜になると僕は姉さんの姿に変わり、両足を広げて龍次を迎え入れることになるのだろう。たとえ僕が断っても、龍次は力ずくで僕を犯すに違いない。そして姉さんのように、やがて僕は龍次に自ら進んで抱かれるように変えられてしまうのだろう。

龍次の射精を受けながら、盛んに擦られていた僕の小さなペニスも噴射をはじめた。精液が僕のお腹の上に小さく飛んだ。

***

予想通り、その次の日から毎晩、僕は龍次の部屋で寝るようになった。僕は完全に姉さんになりきって龍次に奉仕し、龍次に抱かれた。化粧し、姉さんの下着に着替えて龍次の部屋に行く。龍次の求めに応じて、言葉使いや声も姉さんのまねをした。1時間近くしゃぶり続け、それから龍次に抱かれる。龍次は僕が切羽詰った顔になって射精するところを見るのが好きなようだった。

僕は姉さんになりきることで、大好きな姉さんと完全に一体化できた満足感があり、いつも姉さんと一緒にいるような気持ちになれた。その感覚を求めて、自分から進んで龍次に抱いてもらうようにもなっていた。龍次の男らしく逞しい体のあちこちに唇を這わせて奉仕し、大きな体にのしかかられ、その肉棒で貫かれ、欲望を発散してもらう。そのように自分の体を使ってもらうことが、僕の無上の喜びに変わっていた。姉さんはずっと前から僕がそうなるのを求めていたのかもしれない。

しかし、その生活は長く続かなかった。ある夜、警察が家に来て、龍次を連行して行ったのである。その時も僕は龍次に抱かれていた最中だった。家に踏み込んできた警官たちは僕の姿を見て驚いていた。龍次は、以前に隣の県で起きていた連続暴行の容疑で逮捕されたのだった。

僕は父母の元に帰った。姉さんは、その時になって父や母に本当のことを告白した。お腹の子供の父親が誰であるかも。意図的に妊娠することで、龍次の元から逃れられると思ったそうだ。幸いと言うか不幸にもと言うか、姉さんは流産した。姉さんは僕とのことは何も言わなかった。僕が発見されたときの状態を、警察が父母に語ったかどうかは、分からない。

僕も姉さんも普通の生活に戻り、姉弟の関係も普通なものに変わった。だが、あの夏のことは僕の記憶にずっと残ることだろうし、それは姉さんも同じだろう。改めて考えても、僕と姉さんに起きたことは、異常なことだった。その異常なことを今このように書き表して人に見せることも、危険であるとは思っているが。


おわり
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