Caption 21


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グラハムはベッドの上、身体を起こした。汗まみれだけど、充実した気持ちで。何百ものいろんな思いが頭の中を駆け巡っているけど、先頭に出続けてくる思いがひとつある。19年の年を経て、とうとう童貞を失ったということ。

確かに、これまでの人生、それを失うのは、ずっと女の子を相手にしてとばかり考えてきた。だけど、そんな時、あのグレート・チェンジが起きて、その後は…。まあ、物事というのは計画通りに進まないのが世の常。

グレート・チェンジはグラハムにとっては天の恵みだった。彼は男の子にも女の子にも、いや誰にも人気がなかった。痩せて女っぽい彼は、みんなから簡単に無視される存在だった。

だが、いまは、彼は美しい。セクシーでもある。そしてみんなが彼を求めた。誰もがグレート・チェンジを恐ろしい出来事のように語っているが、グラハムにとっては、それは彼に起きた出来事のうち、最も素晴らしい出来事だった。

彼はようやく人気者になったのである。


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