Caption 30


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見てみて! 彼、boiブリーフとかいろいろ着てるのよ!

グレンは笑顔にはなってるが、内心、ゲーっと言っていた。ドレスなんか着たくなかったのである。boiブリーフも履きたくなかった(まるで、boiブリーフと呼ぶことで、たいていのboiが履いてるパンティというより、ましになってるような言い方だ)。彼は、tomboy(おてんば娘)にならって使われ出したtomboiと呼ばれる種類のboiなのである。−boiたるもの、か弱くて女性的であるべしという文化的基準に従わない存在。彼は、典型的なboiの好みに反し、スポーツや車や女の子が好きなのである。

しかし、そんな彼ですら、周囲からの無言の圧力からまぬかれるわけではない。この日、彼の姉の結婚式で、彼の姉はグレンに花嫁の付き添い娘になってほしいと頼んだのである。もちろん、グレンは承知した。なんだかんだ言っても、自分の姉なのだから。

このように黙従してしまったことの帰結を悟ったのは、それからほぼ1週間後のことだった。彼はドレスを着なくてはいけなくなってしまったのである。4年前のグレート・チェンジ以来、ずっと拒んできたことなのに。

姉のためを思い、彼はむやみな抵抗はしなかった。彼は姉にもらった下着もつけている。

こうして立っている時も、彼の姉はふざけまじりに彼のboiブリーフを母親に見せる。そんな時、グレンは早く元の着心地の良い服に戻りたいと心を痛めているのだが。

boiは家族のためにいろいろ気を使わなければならないのだ……


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