Caption 43


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デリックはどんなことになりそうか、分かっていた。彼もウブな10代の若者ではないのである。大人のboiであり、世の中がどんなふうになっているかも知っていた。ではあるものの、彼はラマールにボートへ誘われた時、断ることができなかった。ラマールが既婚者であることや、デリックが彼の秘書であることなど、どうでもよかった。彼は孤独を感じていた。それが問題だった。確かにほぼ毎日のようにデリックは男たちから誘いを受けていたが、それとこれとは違う。彼らではデリックが必要としていたこと、求めていたことを与えてくれることはできなかったのである。彼はラマールが欲しかったのだ。

であるので、土曜日に海に行かないかとラマールに誘われた時、デリックは歓喜した。彼は、それまでそれとなくラマールに好意を示してきたのだが、それがとうとう実を結ぶときが来たのだ。ラマールがセックスのためだけに彼を誘ったことは、デリックも頭では分かっていた。ラマールが自分のために妻を捨てることなどあり得ないのは知っていた。だが、そんなことを知ってても、デリックは、ラマールと一緒に暮らせたらどんなだろうと想像してしまうのである。

実際、その日は、まさにデリックが予想した通りの一日になった。ラマールの大きなペニスが彼のアヌスに深々と挿しこまれ、彼が喜び狂う一日。ふたりとも、それが何であるか知っていた。ふたりとも相手が何を求めているか知っていた。性欲の解放である。

そののち、ボートが港に戻った後、ラマールは車でデリックを家に送った。家に帰ったデリックは、自分があの常套句そのものになっていることを悟ったー「上司が好きになってしまった秘書」。彼は理性を捨て、代わりにもう一つのものにしがみついた。希望である。いつの日か、ラマールがこの日の気持ちになってくれますように。いつの日か、また一緒になれますように……。


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