これは被験者番号23についての説明である。このテストの目的は、例の化合物が被験者を変えるかどうかを決定することではない。被験者が変化することは、これまでの複数の被験者から、すでに確定している。その変化が望んだスケジュールで発生するよう、化合物の調整も行ってある。しかし、このテストの目的は、脳に若干の変化を加えることが必要かどうかを決定することにある。

その必要はないというのが仮説だ。性的指向の変化を促進させるには、身体的変化、ホルモンの変化、そしてフェロモンの変化だけで充分であるはずであるということだ。

現実の生活状況を再現しようとする代わりに、普通の白人男性に化合物を与えるという単純な方法を取った。

2年間を置いて、この人物を再訪する。その際には、どうして問題の化合物を彼に用いたかについて捏造した言い訳を伝えるつもりだ。

個々人による変動を排除するため、同じ実験を他のもう4人(24番,25番,26番,27番)に対しても行うだろう。

私の仮説が正しければ、2年半以内に例の化合物を世界に放つ準備ができるだろう。


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