「男子寮のボイたち」(「ボイ」について) Dr. Bell's Vengeance: Frat Bois  by Nikki J. 出所
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ビンセントは心地よい革の椅子に座り、ビール片手にくつろいでいた。彼の下腹部の上にはエッチっぽいブロンドの女の子が股間を擦りつけながら身体をくねらせ、踊っている。横を見ると、親友のチャックも茶髪の女の子に同じようなもてなしを受けていた。音楽が鳴り響き、寮内は次第にワイルドになってきつつあった。いつも通りの学生寮のパーティである。女の子たちはどこかの女子寮から来た子たちだったが、ビンセントはブロンド娘の名前すら覚えていないし、ましてや彼女の女子寮がどこかなど、覚えているはずがなかった。

ちょうどその時、ブロンド娘がシャツを脱いだ。彼女が酔っているのはビンセントも承知の上だ。多分、彼女は後でこの時の行為を後悔するだろう。だが、そんなことはビンセントにとってはどうでもよかった。自分の問題じゃない。彼女の問題だ。自分としては、ヤレさえすればよかった。そこまでいけなくても、少なくともおっぱいくらいは見たいものだと。

彼女はビンセントにまたがった。踊る身体の動きに合わせて、彼女の乳房がビンセントの顔を叩いた。一方、ビンセントも両手で彼女の身体じゅうをまさぐった。女は前のめりになって彼にキスをした。ビンセントはそのキスにアルコールの味を感じた。

彼らの行為に気づき、人が少しずつ集まってきた。こういったパーティで女の子が自発的にショートパンツを脱ぐといったことは、珍しいわけではない。だが、だからと言って、見物に値しないというわけでもない。人が集まってきたのに気づき、女の子は酔いに任せてちょっとしたショーをし始めた。ビンセントの下腹部の上、上下に跳ねながら、乳房を揺すって見せ、そして両手でセクシーに自分の身体を擦りまわった。集まった者たちは一斉に歓声をあげた。

何分かした後、彼女はビンセントから降り、床にひざまずき、ビンセントの股間に手を伸ばし、ブルージーンズのチャックを降ろし、せっかちに中から彼のペニスを引っぱりだした。ビンセントも自分から立ち上がり、彼女がやりやすいように、ズボンを足元へと降ろした。

彼女はすぐに咥えた。前戯もなし。焦らしもなし。いきなりむしゃぶりつき、ズルズルと音を立てて吸う。ビンセントは彼女の髪の毛を鷲づかみにし、彼女は頭を前後に振り続けた。2分ほどし、ビンセントは準備が整った。このエロいブロンド娘にぶち込んでやろう。

ビンセントはシャツを脱ぎ、彼女の脇の下に手を挿しこみ、抱き上げ、そして自分の隣に座らせた。彼女の体重は45キロもないだろう。ビンセントはソファに座る彼女の前に立ち、彼女のタイトなジーンズに手を掛け、引き降ろした。下着も一緒に引きずり降ろす。そうやって彼女を素っ裸にした後、ビンセントはまたソファに座りなおし、彼女を上に乗せた。

彼女はゆっくりと身を沈め、自ら挿入した。そしていったん収めた後、自分から動き始めた。上下に身体を動かし始める。次第に激しい動きになっていく。彼らを見に集まった男子寮の学生も女子寮の学生も、ふたりに歓声をあげた。ブロンド娘は片腕を宙に上げ、何か見えない物を投げ縄で捕まえるかのように、その手を振り回して歓声に応え、その後、前のめりになって乳房をビンセントの顔面に押しつけた。ビンセントは彼女の尻頬をピシャリと叩いた。

何分かその体位で続けた後、ふたりは位置を変えた。ブロンド娘は床に四つん這いになり、ビンセントは後ろから抜き差しをした。チャックがふたりに近づき、ペニスを握りながら彼女の顔の前の位置についたのは、そのすぐ後だった。ブロンド娘は後ろからビンセントに突かれながら、夢中になってチャックのペニスを吸った。チャックは彼女の口の中に射精した。チャックとビンセントは彼女を挟んで、互いの手のひらを打ち合ってハイファイブをした。

さらにそれから何分か後、ビンセントと娘はまたも体位を変えた。彼女は仰向けになり、両脚を広げ、ビンセントは根元まで挿しこみ、力強い抜き差しを始めた。彼に突かれながら、彼女は絶え間なくヨガリ声や叫び声をあげ続けた。やがてビンセントはペニスを引き抜き、彼女の腹に白濁を振りかけた。

*

ビンセントは、気を失った娘をそのままカウチに寝かせたまま放ったらかしにした。娘は全裸のままうつ伏せになって眠っている。彼女が朝になる前に帰っていくだろう。ビンセントはそれを知っていた。彼女たちはいつもそうだったから。他の連中は、大半、別の部屋に行って、そこで隠れてセックスしているのだろう。だがビンセントは、そういう大半の連中とは違う。羞恥心がないのだ。それは、この女も同じだ。人に見られてるからと言って、それがどうした? もっと言えば、見られていた方が興奮する。

まあ何であれ、ビンセントは自分がどうしてこういうことをするのか考えるつもりはなかった。そして翌朝、二日酔いで目を覚ましたのだった。最悪の二日酔いとまでは言えないが、二日酔いであるのは確かだ。彼は寮のキッチンに行き、アスピリンを出して、飲んだ。その時、チャックが彼の後ろに近づいた。

「クレージーな夜だったな?」 とチャックもぐったりした様子で冷蔵庫のドアを開け、オレンジジュースの紙パックを掴んだ。そして、そのパックからじかに飲み、また冷蔵庫に戻した。

ビンセントは頷いた。「まあ、ちょっとな。あの女たちは誰だったんだ?」

「女子寮から来たのが何人か。あと、ジェフが先週ひっかけたストリッパーもいたらしいぜ」 とチャックは答えた。「なんで?」

「いや、ただ、誰だろうなって思って」とビンセントは答えた。「俺は今から……」 と彼は言いかけて途中でやめた。声が割れていた。一度、咳払いをし、また続けた。

「俺はひとっ走り……」 彼はまた咳払いをした。「何だこれ?」

彼の声が甲高くなっていたのである。チャックはビックリした顔をし、そして言った。

「俺が知ったことじゃ……」

チャックの声も変わっていた! ふたりとも何が起きたか分からなかった。ふたりの表情がそれを示していた。

混乱して何秒か沈黙した後、ふたりほぼ同時に声をあげた。

「いったい何が起きてるんだ?」

ふたりとも苛立った10代の娘のような声をあげた。

男子寮のすべての仲間が同じような変化をしてるのにふたりが気づいたのは、そのすぐ後だった。寮生、全員がホールに集まった。少し恐怖感が混じった甲高い声のざわめきが部屋を満たしていた。

ビンセントが立ち上がった。

「みんなちょっと! パニックにならないでくれ。何が起きてるかみんなで調べよう。そうすれば対処法も見つかるはずだ。多分、誰かが寮内にヘリウムガスを撒いただけかと思うんだけど」

彼自身すら、そんなことではないと思っていたが、他の寮生たちに勇敢な顔をしてみせる必要があった。

「これからネットを探って、何かの問題が起きてるのか確かめてみようと思う。だから、みんなも自分の仕事に戻って、パニックにならないでくれ」

ビンセントはそう言ってホールを出て、階段をあがり、チャックと共有している部屋に入った。床にはふたりの衣類が脱ぎ散らかしてあり、壁には胸が大きい女性のポスターが何枚も貼ってある。ビンセントはパソコンの前に座り、検索を始めた。

世界中の白人男性が同じような症状を示してるのを知るのに時間はかからなかった。大半の情報源は、これが、ある狂った博士の主張に関係していると述べていた。彼が2週間ほど前に大気に生物的作用物質を放出したという主張である(ビンセントはそのニュースにさほど注意を払わなかったので、いきさつはぼんやりとしか覚えていなかった)。

どのニュース・サイトも、何も心配する必要がないこと、政府の科学者たちがこの問題に対処すべく研究していることを伝え、基本的にアクセスした人たちを落ち着かせようとしているようだった。中には、これは壮大なジョークだと伝えているニュース・サイトもあった。

ビンセントは納得しなかった。このようなサイトが見せかけているよりも、もうちょっと深刻な問題のように思えた。何と言っても、自分も含め寮生たちが皆、女の子のような声になっているのだ。この背後にはかなり真面目な科学があるはずだ。彼のわずかな科学知識をもってしても、それくらいは想像できた。

彼はその問題の博士の名前(オマール・ベル)を知り、サーチエンジンに打ち込んだ。そして、ベル博士が生化学分野でノーベル賞を取った科学者であること、そして、人生の大半を人種差別に対する賠償を求める運動に捧げている非常に声高な(そして戦闘的な)黒人であることを知った。

最近、政府は、そのような賠償を行うはずだった法案を否決した。その結果、ベル博士は一時、身を隠し、その後、主要なニュース網の大半に手紙を送りつけたのだった。その手紙にはこう書かれてあった。

親愛なる世界の皆さん:

あまりにも長い間、我々アフリカ系アメリカ人は忍耐をし続け、世界が我々を差別することを許し続けてきた。我々はずっと忍耐を続けてきた。だが、とうとう、もはや我慢できなくなった。そこで私は我々を差別してきた皆さんを降格させることを行うことにした。初めは、皆さんは私の言うことを信じないことだろう。それは確かだ。だが、時間が経つにつれ、これが作り話ではないことを理解するはずだ。

私は、私たち人類の間の階層関係に小さな変更を加えることにした。今週初め、私は大気にある生物的作用物質を放出した。検査の結果、この作用物質はすでに世界中の大気に広がっていることが分かっている。

パニックにならないように。私は誰も殺すつもりはない。もっとも、中には殺された方がましだと思う者もいるだろうが。

この作用物質はあるひとつのことだけを行うように設計されている。それは、黒人人種が優位であることを再認識させるということだ。この化学物質は白人男性にしか影響を与えない。

それにしても、この物質はそういう抑圧者どもにどんなことをするのかとお思いだろう。この物質はいくつかのことをもたらす。その変化が起きる時間は、人によって変わるが、恒久的な変化であり、元に戻ることはできない。また純粋に身体的な変化に留まる。

1.白人男性は身体が縮小する。白人女性の身長・体重とほぼ同じ程度になるだろう。この点に関しては個々人にどのような変化が起きるかを予測する方法はほとんどないが、私が発見したところによれば、一般的な傾向として、女性として生れていたらそうなったであろう身体のサイズの範囲に収まることになるだろう(その範囲内でも、小さい方に属することになる可能性が高いが)。

2.白人男性はもともとペニスも睾丸も小さいが、身体の縮小に応じて、それらもより小さくなるだろう。

3.白人男性のアヌスはより柔軟になり、また敏感にもなる。事実上、新しい性器に変わるだろう。

4.声質はより高くなるだろう。

5.腰が膨らみ、一般に、女性の腰と同じ形に変わっていく。

6.乳首がふくらみを持ち、敏感にもなる。

7.最後に、筋肉組織が大きく減少し、皮膚と基本的な顔の形が柔らかみを帯びるようになるだろう。

基本的に、白人男性は、いわゆる男性と女性の間に位置する存在に変わる(どちらかと言えば、かなり女性に近づいた存在ではあるが)。すでに言ったように、こういう変化は恒久的で、元に戻ることはできない。(現在も未来も含め)すべての白人男性は、以上のような性質を示すことになる。

これもすでに述べたことだが、大半の人は、私が言ったことを信じないだろう。少なくとも、実際に変化が始まるまではそうだろう。もっとも変化はかなり近い時期に始まるはずだ。ともあれ、1年後か2年後には、世界はすでに変わっていることだろうし、私に言わせれば、良い方向に変わっているはずである。

親愛を込めて、

オマール・ベル博士

ビンセントは何度かその文章を読み返した。こんな変化なんてありえない……そう独りごとを言った。根拠のない恨みをもった、ただの狂人じゃないのか?

ビンセントは、こういう議論があることは知っていた。アフリカ系アメリカ人は、過去の抑圧と奴隷制に対して、それを埋め合わせる賠償を求めている。だが、たいていの理性的な人々は、祖先の行った行為に対して現在の人々を罰したり報償したりするのは馬鹿げているとして、無視している。明らかに、ベル博士は理性的ではない。だが、彼が世界の注目を集めていることはビンセントも認めた。(ベル博士が予言している他の変化がそもそもあり得るとはとても信じがたいし)仮にいま以上の変化が起きなくても、ベル博士は(困ったことをしでかしたが)天才的な男として語り継がれることになるだろう。

ビンセントは、180センチ、95キロの身体を椅子から立ちあげ、他の寮生に伝えに向かった。恐がっている寮生たちの顔を見て、彼は不必要に恐がらせることは言わないことに決めた。

「報道機関は、これはある狂った科学者が起こした大がかりな悪ふざけにすぎないと考えているようだ。それに、政府は、最長でも2週間くらいで解決法を開発するだろうとも言っている」

またも甲高い声に戸惑いつつ、ビンセントはみんなに説明した。

「だから、みんな、気にするなって。すぐに元通りになるさ」

そして彼はまた自分の部屋に戻って、ベッドに腰を降ろした。すぐにチャックが入ってきて、机に座った。チャックはビンセントよりもちょっと小柄で、赤い髪をしている。ビンセントは暗めの茶髪だ。

「本当はもっと深刻なんだろ?」 とチャックは訊いた。彼の声はビンセントのよりも甲高い声になっていた。

ビンセントが返事をしないのを見て、チャックは続けた。「おい、何が起きてるか、言ってくれよ」

「本当のことを言ったよ」

「でも、言ったこと以上のことがあるんだ。そうだな?」

ビンセントは頷いた。「パソコンにある記事を読んでみれば分かる」

チャックはさっそく読み始めた。彼は読みながら頭を何度も振った。そして読み終え、ビンセントの方を見た。

「こんなの狂ってる。どれもこれも、不可能なことばかりじゃないか」

「分かってる。だからこそ、みんなに言わなかったんだ。みんな、すでに恐がってるのに、いま以上、恐がらせたくないから」

「でも、本当にこれが起きたらどうする? もちろん、あり得ないのは分かってるが、もし、お前がここにあるような変化をしたら?」

ビンセントは肩をすくめた。「知らないよ。多分、そのまま人生を続けるだけだろうな。変化して、ちょっと小さくなっても、人間としては同じなままだろうし。何か他が変わる理由があるのかな、って思うんだ」

「相変わらずパーティを続けるとかな」 とチャックは笑った。笑い声が女の子のクスクス笑いのように聞こえた。

ビンセントも笑顔になった。「ああ、そうだな、続けるだろうな。何も変える必要がないんだから」

ふたりは一緒に笑い続けた。その笑い声は、女子高生ふたりが笑っているのとほとんど同じに聞こえた。ふたりとも、たとえ狂人のベル博士の言ってることが本当になっても、自分たちの生活は一切変わらないと自信を持っていた。

「それに、たとえどうなっても、女の子たちは相変わらずやってくるだろうしな」

ビンセントはそう締めくくり、チャックも、うんうんと頷いた。それからふたりは他の話題、例えば、どこの女子寮が可愛い子がそろっているかとか、どこの女子寮がエロい子が多いかとかの話題でおしゃべりを続けた。

そんなおしゃべりを続けているうちに、ふたりともベル博士と彼の狂った計画のことなど忘れていた。自分たちが女の子のような声をしていることすら忘れたようである。

*

2週間ほど何もなくすぎた。事件もなければ治癒法も現れなかった。男子寮はいまや女子寮のような音に包まれていた。以前なら太い声で笑っていた寮生たちも、今は女子学生のようなくすくす笑いで笑い、高音のおしゃべり声が寮を満たしていた。

ある朝、シャワーから出たビンセントはあることに気がついた。ペニスの上に細い線となっている部分を除いて、体毛がすべて抜けていたのだった。顔までもつるつるで髭がなくなっていた。多少は心配したが、恐怖におののいたというわけではない。タオルを腰に巻き、シャワールームを出て自分の部屋に入った。

チャックはパソコンの前に座って、何かシューティング・ゲームをしていた。ビンセントが部屋に入ると彼は顔をあげて、訊いた。

「お前もか?」

「何が?」

「体毛だよ。全部抜けているだろ? 陰毛までも?」

ビンセントは頭を横に振った。「いや、俺の場合は、あそこの上に細い線は残ってる」

「滑走路ってやつか?」 とチャックは笑った。そしてしばらくゲームをした後、やめて言った。「とういうことは、他のみんなも同じことになっているな」

ビンセントは肩をすくめながらボクサー・パンツを履いた。パンツはちょっと普段より緩く感じたが、彼は気づかなかった。

チャックが言った。

「お前を元気づけることは何か知ってるぜ。明日の夜、またパーティをすることにしたんだ。ジェフがあのストリッパーたちをまた呼ぶって。ちょっと一発ヤレば、お前も元気になれるって。嫌なことを忘れてな」

ビンセントは微笑んだ。「それはみんなも同じじゃないかな」

*

次の日の夜。パーティは盛り上がっていた。酔った女の子がふたりほど、だんだんハメを外してきていた。そのうちのひとりにビンセントは目を奪われた。すごくエロっぽい女。薄茶色の肌に曲線美豊かなボディ! 背は高い。多分、176センチくらい。

ビンセントとその女は一瞬、見つめあった。そして彼女は音楽のリズムに合わせながら、ゆっくりと彼に近づいてきた。ビンセントは持っていたビールをテーブルに置いた。

「ハーイ!」 と彼女は言った。

「ハーイ、セクシーさん!」 とビンセントは応えた。

ビンセントが挨拶した時、彼女はちょっと笑みを浮かべたか?

彼女は音楽に合わせて踊りながら、後ろを向き、彼の股間にお尻を擦りつけ始めた。

ビンセントがこのセクシーな黒人女性の身体をまさぐり出すまで時間はかからなかった。両手で身体をさわさわ撫で、時に、道に迷ったフリをして豊かな乳房にも触れた。

「ねえ、どこかに行かない?」 と彼女が言った。

ビンセントは肩をすくめた。

「ここでやってもいいんじゃないか? 誰も気にしないし」

彼女は酔っていたし、ビンセントの提案を拒むほどお堅い女でもなかった。すぐにふたりは互いの身体をまさぐりだし、同時に興奮を募らせ始めた。

長いキスを何回か繰り返した後、ビンセントは彼女をカウチに導き、そこに座った。彼女は、ほとんど引き裂くような勢いでシャツを脱ぎ、続いてブラジャーも外した。それからスカートをめくり上げ、パンティを脱ぐ。脱いだパンティを指でヘリコプターのようにくるくる回した後、ビンセントの顔に放り投げた。そして彼の股間に手をやり、チャックを降ろした。

男子寮の学生たちでいっぱいのパーティで、トップレスになった女がいれば、当然、みんなの注目を集める。すぐにビンセントたちの周りにみんなが集まってきた。

これはビンセントにとってはお馴染みの状況である。後で分かったことだが、この女性はジェフが誘って呼び出したストリッパーたちのひとりだった。ビンセントは女にズボンを脱がされながら、にやにや笑った。

ビンセントのペニスは柔らかいままだった。そこで女はそれを握り、何度かしごいた。それでも、柔らかいまま。そこで女は身体をかがめ、口に咥えた。だが、これも功を奏しない。そして、一方のビンセントも心の中、パニック状態になっていた。

「どうしたの?」 と女は彼の上に這いあがり、乳房を彼の顔に押しつけた。それから30秒ほど、彼の上でセックスの真似事の動きを続けたが、やがてイライラして彼から降りた。

「ゴメン…。何だか……」

「何よ! ふにゃちん! 女みたい!」

女はビンセントの言葉を遮り、脱いだものを拾い出て行った。

ビンセントはカウチに座ったまま、萎えたままの分身を隠した。そして、ズボンを引っぱり上げ、みんなに言葉も掛けず階段を駆け上がり、自分の部屋へと走った。

2分ほどして、チャックが入ってきた。

「大丈夫だよ。こういうこともあるって。飲み過ぎて、勃起できなかったんだろ。誰も違うふうには思わ……」

「チャック、違うんだ。俺は酔っていない。ビールを1缶飲んだだけだ」

「ああ、そうなのか……。分からないけど、まあ、ああいうことってよくあることだと思うよ」

「ああ、そうだよな、たぶん……」

ビンセントは納得していなかったが、そう答えた。

*

次の週、ビンセントははっきりとさらに変化が生じていることに気づいた。だが、彼はそれを無視した。心の奥では、次にどんなことがあるか、予想はしていた。同じことが他のみんなにも起きてるのを知っていた。だが、それを認めても認めなくても、事態は変わらない。

だが、身長と体重の減少だけは隠しようがなかった。一瞬にして現象するとか、一夜のうちに変わるとか、そういうことではない。毎日、少しずつ減少していったのだった。そして、それから1ヶ月半ほどの内に彼は15センチ背が低くなり、27キロもやせたのだった。

だが、それ以上に、彼の身体(そして男子寮の他のすべての学生たちの身体)が、まさにベル博士が予測した通りに変化していったのだった。ウエストが細くなり、腰が広がり、お尻が丸く膨らむ。そして上半身からは筋肉が大半なくなっていた。

そして、その後、かつては自慢の種だったペニスに変化が生じた。かつては勃起時には20センチを誇っていたのだが、今は(何とか勃起できた場合に限るが)その半分にも達しない。

寮生たちはパーティを開くのをやめてしまった。自分たちの身体に起きた変化が恥ずかしかったからというのもあるが、もっと大きな理由は、女性とセックスするというのが今となってはほとんどありえなくなっていたからだった。もはや、彼らの身体は(多分レスビアンの女性を除いて)大半の女性には魅力的でなくなっていたし、それに加えて、ビンセントが経験したことに似た出来事が、少なからざる寮生たちにも起きたからだった。

そういうわけで、寮生たちは、真面目に授業に出て(不格好なほど、だぶだぶの服を着てだが)、そして真面目に寮に戻る生活をするようになっていた。これから起きる変化を待つこと(あるいは治療法が現れるのを待つこと)以外に、あまりすることがない毎日になっていた。

*

さらにもう2週間ほど経った。その頃には変化が止まったように思えた。声が変わってから2ヶ月半ほど経っていた。いまやビンセントは以前とは大きく変わっていた。

今の彼は、どんな女性も憧れるようなお尻をしていた。丸く盛り上がり、動くとちょうど良い具合に揺れる。彼は興味があったので、サイズを測ってみた。体重は47キロ、身長は157センチくらい。ウエストは55センチ、ヒップは78センチ。ペニスは非勃起時3センチほど。

しかし最も狼狽してしまった変化は顔だった。確かに自分に似た顔だが、自分の顔ではない。(実際には妹はいないが)もしいたらこういう顔をしているだろうといった顔になっていた。

ビンセントは溜息をついた。ベル博士の予測は、現実になったのだ。少なくとも自分には。

ビンセントが裸で鏡の前に立って、自分の姿を見つめていた時、チャックが入ってきた。チャックはだぶだぶのジーンズを履いていた。幅広のベルトでウエストを絞って押さえているが、笑えるほど不格好だった。まるで父親の服を着た10歳前の女の子のように見える。

だがチャックは、ビンセントほどは落ち込んでいなかった。赤毛の彼は、ビンセントよりはちょっと背が高いが、身体の他のサイズはやはり彼と同じようなものだった。

「あれ? 何か?」 とチャックは本を置き、自分を見てるビンセントに訊いた。

「いや何も」 

ビンセントは、その他に何と言えばいいのか分からなかった。

*

さらにもう2週間ほどが過ぎた。ほとんど変化は起きなかった。多分、変化はすでに完了したのかもしれない。だとすると科学者たちも本格的な治癒法開発に取り掛かれるかもしれない。ビンセントはそう思った。信じてはいなかったが。

身体のサイズが一定になり、さらなる減少を見せなくなった後、ビンセントは新しい服を買うことに決めた。そこでチャックを誘ってモールに出かけた。

不思議な光景だった。白人の男はどこにもいない(少なくとも、男性に見える人は誰もいない)。男性だと言える人はほぼ黒人だけ(ふたりほどラテン系もいたが)。

ビンセントは自分のサイズを知っていたので、おそらくフィットするものを売ってるだろうと、子供服売り場に行った。10歳児向けの衣類を売っている場所でいろいろ探した。ビンセントは何着か選び、試着してみることにした。

だが彼は、そこで最初のショックを受ける。店員がその試着室は男性だけのものだというのである。ビンセントのような子供は婦人服売り場の試着室を使わなければならないという。ビンセントはしばらくその女店員と言い争ったが、店員が警備員を呼びますよと脅かしを掛けたので、彼は引き下がった。

彼とチャックは、非常に恥ずかしかったが、売り場の向こう側にある女性用試着室向かった。そのドアの前、ビンセントは大きく息を吸い、隣のチャックを見て、それから勇気を出してドアを開けた。幸い、試着室は空だった。ビンセントはいくつかある個室のひとつに入った。

中に入りズボンを脱いだ(彼は下着を履いていない。持ってるトランクスはどれもサイズが合わないからだ)。そしてハンガーからジーンズを取った。

片脚を通し、もう一方の脚も通した。だが、引っぱり上げようとしたら、お尻が邪魔で入らないのだった。

「これじゃあダメだ」 

ビンセントは隣の個室でチャックがそう言うのを聞いた。

「これもダメ」

「他の子供服を探すか?」 とチャックが訊いた。

「ああ、そうしよう」

だがビンセントは懐疑的だった。

ふたりが個室から出ると、女の子がふたりほどいて、彼らを見てクスクス笑った。

だが、その時、ビンセントはあるものを目にしたのだった。売り場の片隅に、「Bois」という案内があった。ビンセントたちはそっちに行ってみることにした。

これは普通の婦人物の服であって、単にパッケージだけ変えただけじゃないのか? ビンセントは心の奥でそう思ったものの、だからと言って拒むこともできなかった。彼はジーンズを2本ほど、他にTシャツ、ボイ用のブリーフを選んだ。チャックも似たようなものを選んだ。そしてふたりは試着してみることにした。

それらは完璧に身体にフィットした。着慣れたものよりお尻のあたりがちょっとピッチリしてる感じがしたし、ウエスト位置が予想したより低い感じがしたが、少なくとも、今までのように腰のところを4重に折りたたまなくても、ずり落ちることはない。Tシャツも袖が少し短い感じだったが、他に選択肢はなかったので、ビンセントはそれで我慢することにした。

ブリーフは、まるでパンティのようなデザインだった。だが、ちゃんと前には窓が空いている。だから男性用なのだろうと踏んだ。これも身体にフィットした。

というわけで、チャックとビンセントはショッピングを終え、手に袋を抱え、男子寮に戻ったのだった。

*

ビンセントとチャックが新しい服を買ってくると、他の寮生たちも観念して、同じ店に買いに行った。ビンセントたちのと似たものを買って来た者もいたが、中には、丈の短いショートパンツとお腹が出るタンクトップを買って来た者たちもいた。ひとりは、レースのソングを買って来た者もいた。彼は、どうしてかと訊かれると、顔を赤らめて、「だって、似合ってると思ったんだ」と言った。

それからまた2週間が過ぎた。騒ぎは沈静化し、毎日、ほぼ平凡な日常と言える状態になっていた。寮生たちは新しい服を着て気分よく暮らし、元気を取り戻していた。ただ、ビンセントは、週がすぎるごとに、みんなの振舞いがどんどん女性化していることに気づいていた。

姿勢からそれが始まった。立っている時、少し背中を反らせ、胸を突き出す姿勢を取る者が増えてきた。次が手の動かしかた。彼らがほぼ完ぺきに女性的な仕草や姿勢をするようになるまで、時間はかからなかった。

ビンセントに関して言えば、性的なことについて新しい傾向が出てきていることに気づき始めていた。なぜか、シャツを着ていない男性でいっぱいの夢を見るようになっていた。何か差し迫った危険に襲われ、そこを男性が助けてくれる夢や、ただ、男性に抱きしめられている夢を見る。何度も繰り返し見る夢があり、その中では彼は黒人男性と愛し合っているのである。

だが、それは単に夢の話しではなかった。

ある時、クラスで授業を受けていた時だった。ある(ネイティブ・アメリカンの)教授が教えている間、ビンセントはぼんやりある考え事をしていた。その時、突然、彼の小さなペニスが勃起したのである。別に、そのことを考えようと思って考えていたわけではない。ただ何となく考えていただけ。だが、それを考えていたら興奮したのは明らかだった。それは、その教授のペニスの大きさはどのくらいだろう、というぼんやりとした疑問だった。サイズの次は、手触り。触ったら、どんな感じがするのだろう? そして最後に、味。口に含んだらどんな味がするんだろう? 彼が勃起したのはその時だった。

その思考を続けたいと思う気持ちがないわけではなかったが、心の中の大半は「やめろ!」と叫んでいた。ビンセントは小学校3年の時の80歳近い先生のことを思い出して、頭からその考えを振り払った。勃起が収まると、授業中ではあったが、ビンセントは持ち物をまとめ、教室から急ぎ足で出た。

教室から飛び出した時、ビンセントはひとりの男と衝突してしまった。ふたりとも持っていた本を床にばら撒き、ビンセントは衝撃で床に尻もちをついた。

「あ、マズイ。ゴメン」 とその男は言った。彼は特に身体が大きいというわけではない。平均的な身体。だがハンサムな顔をしていた。彼はビンセントに黒い手を差し伸べ、言った。

「本当に、済まない」

ビンセントはその手を取り、男は彼を軽々と引っぱり上げた。

「あ、いや。僕が悪いんです。前を見ないで走ってたから」

ビンセントはかがんで本を拾った。男もそれを手伝った。そして握手を求めて手を出した。

「俺はグレッグだ」

「ビンセント」と彼は応え、ふたりは握手した。ビンセントは自分の手がグレッグの手に包まれるのを見た。

「ちょっと、罪滅ぼしをさせてくれる? ランチはどう?」 とグレッグが誘った。

ビンセントはちょっとひるんだ。何と言っていいか分からない。彼は本を胸の前に抱くようにして、「あ、行かなくちゃいけないから」と言い、逃げるようにその場を離れた。

寮へと歩きながら、ビンセントの心はいろんなことでぐちゃぐちゃになっていた。立った今、ある男とぶつかってしまった。彼には女の子のように扱われた。いろんなことを思い、寮に着いたのはあっという間のような気がした。彼は素早く部屋に入り、ドアを閉め、パソコンで検索を始めた。

「男とボイ」と打ち込んだ。

検索結果の上位いくつかは、ポルノの動画だった。ビンセントは興味を覚え、ひとつをクリックした。その動画では白人のボイが後背位で痩せた背の高い黒人に突かれていた。ビンセントの小さなペニスは、直ちに勃起した。動画の白人ボイは大声でヨガリ狂うタイプだった。

次の動画は4人プレーの動画だった。白人のボイと白人女性がふたりの黒人男性に奉仕する動画。タイトルは「ヤラれまくった妻と夫」。ビンセントは、ボイが背中の腰のあたりに蝶のタトゥ—をしているのを見た。

彼はブラウザの「戻る」ボタンを押し、検索結果に目を通した。2分ほど、山ほどあるポルノをかき分け進み、ようやくその週のニューヨーク・タイムズの記事を見つけた。それは、夫が男性に惹かれるようになった妻の体験記だった。

始まりは小さかったと彼女は言う。通常の仕方ではセックスができなくなった夫婦は、創造力を働かせ、ストラップ・オンを買った。最初は交替して行った。交互に男性役になって行為を行うという方法。だが、すぐにそのバランス関係は崩れだし、夫の方が受け手になることが多くなったという。

しばらく経つと、妻は欲求不満を感じるようになり、そこで今度は、ふたりとも同時に挿入されるよう、双頭ディルドを買った。これでふたりとも幸せになった。この状態がさらに何週間か続いたのだが、ある時、妻は夫が男とベッドに入っているのを見つけたのだった。

しかし、妻は嫉妬する代わりに、自分もふたりに加わったという。それからこの夫婦は街に男を引っかけに出るようになった。しかし、最初は新鮮だったものの、妻は次第に飽き始め、やがて夫と一緒に街に出るのをやめてしまった。

一方の夫はやめなかった。ほぼ毎晩、彼は家に戻らなくなった。誰か他の男のところに泊まり歩くようになっていた。家に帰ってくる時は、たいてい、男友だちを連れてきた。そんな夜は、夫の感極まったヨガリ声に、妻は何度も目を覚ました。そしてその2週間後、彼女は離婚届にサインしたのだった。

その記事は、こう言って締めくくっていた。この話は多少極端なところもあるが、典型的でないとは言い切れないのだと。もっと言えば、たいていのボイは男性の性的パートナーを求めて活発に行動していると。(白人ボイたちと共に)文化が変わるにつれて、ますますこのような事例は増えてきていると。男性とボイのカップルは、男性と女性のカップルと同じく自然な組み合わせであると考えられてきていると。

ビンセントはその記事をもう一度読み直した。その通りだと思った。すべて、これで合点がつく。あの夢も、女性に性的に惹かれなくなってきていることも、男性の方に惹かれるようになってることも。すべて自然なことなのだ。どのボイも同じ経験をしているんだ。

彼は安心して溜息を漏らした。そして、また、ボイと妻がふたりの黒人に奉仕する動画に戻り、小さなペニスを擦り始めた。

*

続く2ヶ月ほどにわたって、社会文化は変化し続けた。ボイが男と一緒に手をつないでいるのを見かけることが、次第しだいに、珍しいことではなくなっていった(相手の男はラテン系、黒人などなど)。ビンセントは、ラテン系の男性で感染した人は多くなかったこともあって、メキシコのボイが暴動を起こしたというニュースに少し興味を惹かれたことを覚えている。

服装に関しては、ボイたちは次第に女性の服飾スタイルへと引き寄せられていった。たいていの店にはボイ用の売り場ができ、その売り場面積がどんどん拡大していた(もっとも、売られている服は、婦人服の胸の部分だけをボイに合わせて縫いなおしたものが多い)。そして、間もなく、ボイたちは最新のファッションに身を包むようになった。それには、スカート、ショートパンツ、タンクトップ、ホールター・トップやホールター・ドレスが含まれる。店舗の中には、見せかけなどかなぐり捨て、ボイ用のパンティを売り始めるところも出てきた。

ビンセントは、まだ、そのような服を着て歩くまでは至っておらず、ドレスを着たりスカートを履いたりはしていなかった。とは言え、彼にはちょっとしたパンティのコレクションができていた。レースのパンティからコットンのビキニ・パンティに至るまでたくさんあった。それに、うっすらと化粧もし始めていた(今はたいていのボイたちは化粧をしている)。ただ、彼は髪はまだ短くしたままである。

一方のチャックは、すでに完全にボイであることに馴染んでいた。ズボンを履くことはほとんどなくなり、スカートやドレスやショートパンツの方を好んで着るようになっていた。赤毛の髪を長く伸ばし、今は肩より少し下まで伸びている。それに男たちも。基本、男子寮に男性が入ることは禁止になっっているが、チャックは夜遅く、服装が乱れた状態で寮に帰ってくることが多くなった。時には、パンティを履くのを忘れて帰ってくることもあった。

ビンセントとチャックは、その件について話し合ったことはないが、今は、かなり多くの寮生ボイが男性とセックスしている。ビンセントも自分に正直になれば、本当は自分もそうしたいと思っていた。だが、まだわずかに男性性が残っているのか、その一線を越えることはできずにいた。その結果として、週末の夜に、彼しか寮にいないことが普通になっていた。

そのような週末のある夜のこと。ビンセントは階段を登り、チャックと共有している部屋に入った。今は驚くことではなくなっているが、チャックは部屋の中を片付けもせず外出していた。床には脱ぎ散らかしたパンティがあちこちに落ちていたし、ドレッサーの化粧箱も開けっぱなし。ドレスやスカートも散乱したまま。

ビンセントは溜息をつき、片付けを始めた。半分ほど片付けたところで、ベッド下にケバケバしいドレスがあるのを見て、それを取ろうと手を伸ばした時だった。何か長くて、硬い、円筒状のものが手に触れた。

引っぱり出してみると、それは大きな、とても本物っぽい形状のディルドだった。ビンセントはしばらく、細い手でそれを持ったままでいたが、その後、不安に取り憑かれた人のようにあたりをきょろきょろ見回した。寮には誰もいないのを知っている。手でディルドの根元から先端まで撫でて、ごつごつ浮かんでいる血管や、マッシュルームのような頭部の感触を味わった。

どんな感じか試してみるだけでも傷つくことになるだろうか? そう自問したものの、すでに、試してみる気になっていたのは自分でも知っていた。その、ほんの数秒後のことであった。ビンセントはショートパンツとパンティを脱ぎ、手に持ったディルドを見つめていたのだった。

どんな姿勢で? ちょっと考えた後、彼は上に乗ることに決めた。

ディルドを根元を下に床に置き、その上にまたがった。ゆっくりと腰を沈めた。最初、アヌスの入り口のところで少し抵抗感があった。だが、ゆっくりと身体を降ろしていくと、あっという間にディルドは根元まで彼の中に入ってしまった。

予想したより気持ちよかった。いや、ずっと気持ちよかった。身体を上下に動かし始めた。ほとんど何も考えていなかった。頭の中が空っぽの状態で、ひたすら動き続けた。腰を沈めるたびに、口から可愛い喘ぎ声が漏れていた。そして彼は絶頂に達した。

床に横寝に横たわり、顔を火照らせながら、絶頂の余韻に浸った。ディルドを入れたままだった。しばらく休んだ後、今度は脚を広げ、自分の手で出し入れを始めた。そして、彼は再び絶頂に達した。ペニスからも噴射し、床に液をこぼした。

それから1時間ほど、彼は疲れ果てるまでディルド遊びを繰り返した。そして、疲れ果てたビンセントは、ディルドを中から出すことすらせず、裸で脚を大開にしたままベッドに横たわった。そしていつしか眠りに落ちた。

その2時間後、チャックが帰ってきて、そんな格好でいるビンセントを見た。チャックはビンセントの身体を揺すって起こした。

「私の可愛いお友達を見つけたようね」 とチャックは笑顔で話しかけた。チャックはスカート丈の短い、ゆったり目のドレスを着ていた。

ビンセントは顔を赤らめた。「ああ、どうやら、そうみたい」

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ディルドは防潮ゲートを開け、ビンセントの男らしさの最後の一片を取り除く結果になった。翌日、ビンセントとチャックはショッピングに出かけた。ふたりは、ドレスやキュートなスカートやセクシーなランジェリ、さらには(夏がもうすぐになっていたので)ツーピースのビキニ水着に至るまで、多量の衣類を買いこんだ。

加えて、ビンセントは耳とおへそにピアスをしたいと思ったので、ふたりで地元のタトゥ店に行った。タトゥ・アーティストはビンセントにトランプ・スタンプ(参考)をするように説得した(ほとんど説得の必要はなかったが)。ビンセントは小さなピンクの蝶の柄を選んだ。

その夜、ふたりのボイは、セクシーなミニの黒ドレスに身を包み、地元のバーに出かけた。その店で、ふたりは男たちの注目の的になった。ふたりは男たちにしょっちゅう言い寄られたが、ビンセントの方は、まだ、そのステップに進む心構えができていたわけではなかったので、彼は独りで寮に帰った。チャックの方は、中東系の男に誘われて、その男の家に行った。

酔っていたのか、ビンセントはふらついた足取りで部屋に入り、そのままベッドに倒れ込み、眠ってしまった。

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その次の週、ビンセントは、偶然、またあのグレッグと出会い、彼と何分か立ち話をした。グレッグは医学部の学生で、キャンパス内の黒人の男子寮のひとつに住んでいると分かった。グレッグはその週末に行われるパーティにビンセントを誘い、ビンセントはその誘いに乗った。

「友だちも連れてきて。楽しめるはずだよ」 別れ際、グレッグはそう言った。

ビンセントは、寮に帰る道、ワクワクしてお腹のあたりが落ち着かなかった。男子寮の他のボイたちも、同じくワクワクしている様子だった。もちろんチャックも大いに乗り気だった。

週末までの日々、もう2回ほどビンセントはグレッグと会ったが、それ以外には特に何事もなく時間がすぎた。ビンセントとグレッグは、電話番号を教えあった。

パーティ当日、ビンセントは極度にそわそわしていた。

セクシーに見える格好にならなければいけないとは分かっていても、何を着てよいか分からなかった。クローゼットの前、裸で立ちながら、たくさんのドレスやスカートやブラウスを見つめ、当惑していた。

「ブルーがいいよ」 部屋に入ってきたチャックが言った。「それを着ると君の目が引き立って見えるから」

ビンセントは微笑みながら、青いドレスを出して、ベッドに放り投げた。それから、パンティが入った引き出しを開け、マッチした青色のVストリング(参考)を出し、早速、それに滑らかな脚を通した。そしてドレスを頭からかぶって着て、身体に整えた。

丈が短いドレスで、お尻の頬がかろうじて隠れる程度。ゆったりとしているので、ダンスをしたら、マッチした色のパンティが、男たちにもしっかり見えることだろう。前のところは胸元からお臍のあたりまでざっくりと切れ込んでいて、丸い形をしたおへそや、そこのピアスを見せびらかすデザインになっている。

ビンセントは鏡を見ながら、グレッグを夢中にさせてあげようと思った。

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ビンセントを含め男子寮のボイたちがいっせいにパーティ会場に現れた。すでに会場内は大いに盛り上がっていた。ボイたちは中に案内されると、すぐに音楽に合わせて踊り始め、それぞれに逞しい黒人男性がパートナーとして名乗り上げた。

ビンセントはグレッグを探したけれど、どこにも彼の姿は見えなかった。そのうち、ビンセントはアルコールを差し出され、彼は受け取り、早速、飲み干した。すると、またすぐにおかわりが提供され、彼はそれもすぐに飲み干した。何回かそれが続き、ビンセントはかなり酔ってしまった。

だが、パーティなんだし、パーティではお酒を飲むのが普通なのだ。酔ったビンセントの前に男性が現れ、ダンスに誘った。ビンセントはその男とダンスをした。男はビンセントの身体を触りまくり、ビンセントもお尻を彼の股間に擦りつけて、それに応えた。

ビンセントは、ほんの1メートルほど離れたところでチャックが黒人男性と踊っているのを見かけた。相手の男は、チャックと身長差がほとんどない、背の低い黒人だった。

さらにもう何分かダンスをしていると、ビンセントもチャックも人混みに押された形で、一緒にされ、ふたりはそれぞれのパートナーと一緒にくっつきあうような形で踊っていた。さらにそれから何分か身体を擦り合わせ踊った後、チャックがビンセントの耳元に囁いた。

「向こうに行って、座らない?」

チャックに誘われるまま、ビンセントは彼について行き、ふたり、ふかふかのクッションの椅子へ向かった。ビンセントが座ると、チャックはストリップを始めた。ドレスの肩ひもを引っ張って解き、床にドレスを落とした。後には小さな白いソング・パンティだけを身につけたチャックがいた。

このストリップはみんなの関心を惹きつけ、すぐに男も女も、ボイたちも周りに集まってきた。

チャックは踊り続け、ビンセントに身体を擦りつけた。一方のビンセントも酔いつつも両手でチャックの身体を擦り続けた。1分か2分ほどそうしていた後、チャックはビンセントに手を差し伸べ、椅子から立たせた。そしてチャックはビンセントの唇にキスをした。周りのみんながいっせいに歓声を上げた。

チャックはビンセントのドレスの肩ひもを引っ張り、彼のドレスも床に落ちた。パンティだけの格好になったふたりのボイが身体を擦り合わせながらキスを続ける。

そのうち誰かが叫んだ。

「パンティも脱いでしまえよ!」

みんな大騒ぎしながら、ふたりを見つめた。

チャックは肩をすくめ、パンティを脱ぎ、群衆に放り投げた。ビンセントは最初、ためらったけれど、まあ、いいかと思い、チャックと同じことをした。

素っ裸になったふたりのボイはさらに踊り続けたが、観客たちはそれでは満足しなかった。当然、いつの間にか、ビンセントはカウチに仰向けになり、脚を広げていたし、チャックは床に座って、ビンセントの脚の間に位置取り、指で彼のアヌスをいじりながら、吸茎していた。ビンセントにはペニスを吸われてもそれほど感じなかったが、観客たちのために、感じまくっているフリをして見せた。

だが、観客たちはそれでも満足せず、さらにもっと刺激的なものを求めた。それに促されて、ビンセントも床に降り、親友とシックスナインの体位になった。ビンセントとチャックは、互いに相手を舐め、吸い、そして指でいじった。それを何分か続けていた時、女の子のひとりが叫んだ。

「お尻とお尻でヤッテよ!」

どこかで見たことがある女の子だった。そして、あっ、あの子かとビンセントは思い出したのだった。その女の子は、彼がセックスした最後の女性だったのである。あの、パーティでセックスし、その後、素っ裸のまま放置した女の子。

(そもそも、どうしてそんなものが男子寮にあったのかなど、問うのは野暮だろうが)誰かが双頭のディルドを出してきた。ビンセントとチャックは早速、尻を向けあう姿勢になった。ビンセントはディルドが入ってくるのを感じ、ヨガリ声を上げた。指よりずっと気持ちいい。チャックもディルドが入ってくるのを感じ、同じように女の子のような声で喘いだ。そしてふたりは前後に動き始めた。ふたりのお尻の頬がピタピタ叩きあう音が聞こえた。やがてふたりは一緒に絶頂に達した。

だが、ふたりとも絶頂の余韻に浸っている時間はそう長くは与えられなかった。ぐったりとうつ伏せに突っ伏していたビンセントだったが、急にその細いウエストを誰かに抱えられるのを感じた。力強い手。そして身体を抱え上げられるのを感じた。振り向くと、そこには裸になった逞しい黒人男がいた。ビンセントは床に降ろされると、すぐに男の前にひざまずき、フェラチオを始めた。怪物のような巨大なペニスで、口に入れるのがやっとだった。

ビンセントは2分ほどしゃぶっていると、再びその男に抱え上げられ、今度はカウチの肘かけ部分に覆いかぶさる格好にさせられた。そして、その黒人男は、何ら予告も躊躇いもすることなく、ビンセントのアヌスに巨根を突き入れた。まさに串刺しするように。

「あああんッ!」

ビンセントは快感の悲鳴を上げながら、別のカウチに目をやった。そこにはチャックがいて、彼と同じようなことをされていた。

ふたつのカウチのそれぞれで、ビンセントとチャックのふたりとも同時進行的に本物の男に抜き差しを繰り返された。ふたりのよがり狂う声が部屋を満たした。ふた組とも、何度か体位を変えた。だがビンセントが気に入ったのは、最後に取った体位だった。ひとつのカウチに男二人が並んで座り、その男たちの上にビンセントとチャックがそれぞれ乗っかり、並んで身体をバウンドさせる体位である。

ふたりは、激しく身体を上下させながら、互いに顔を近づけ、キスをした。それを見て、観客は再び歓声を上げた。

チャックとキスをしたすぐ後、ビンセントはアヌスの奥に男が激しく噴射するのを感じた。

男は射精を終えると、ビンセントの身体を持ち上げ、ペニスを引き抜いた。そして、用済みのおもちゃを捨てるように、ビンセントの身体をカウチに置いて、どこかへ立ち去った。チャックの方も仕上げにかかっていたし、その仕上げになるまで時間はかからなかった。

やがてふたりのボイは強烈なオーガズムによる疲労と酒の酔いでぐったりとし、カウチの上、素っ裸のまま気を失ってしまった。全裸でうっとりとした顔をして、重なり合うように横たわるふたりのボイたち。そのふたりともアヌスから白濁を垂れ流していた。

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翌日、ビンセントは割れるような頭痛を感じながら目を覚ました。前夜に何をしたかはぼんやりと覚えていたが、大半は思い出せなかった。身体を起こし、カウチに座った。部屋の向こうに男たちがふたりほどいて、ニヤニヤしながらこっちを見ている。その視線が気になった。

パンティはすぐに見つかり、素早く履いた。ドレスの方は見つけるのにもうちょっと時間がかかったが、見つけることができた。チャックの姿はどこにもなかった。ビンセントは、そそくさと急ぎ足で部屋から出、男子寮へと向かった。たくさんの男が彼に視線を向けているのを背中に感じた。

寮の部屋に戻ると、ベッドにチャックが寝ているのを見つけた。彼を起こそうとしたが、急にシャワーを浴びたい衝動に駆られ、チャックを起こすのは後回しにし、急いで服を脱ぎ、シャワールームに飛び込んだ。かなり時間がかかったが、何とかアヌスから乾いた精液をすべて洗い流すことができた。シャワーから出た時には、ちょっとはさっぱりした感じになっていた。

疲れていたので、前夜の出来事についてチャックと話すのは後にすることにした。

*

その、チャックと話しあう「後に」の時間は結局、ふたりには訪れなかった。ふたりともパーティでの出来事を思い出す気分になれなかったからである。そして、時が流れた。

グレッグからの連絡は、あのパーティ以来、途絶えていた。後になって聞いたところによると、グレッグはあのパーティに来ていて、ビンセントを見ていたらしい。ビンセントが、身体を求めて言いよる男たちと、誰かれ構わずセックスをし、激しく悶え狂うのを見ていたようで、ビンセントは彼が求めるタイプのボイではないと判断したらしい。

ビンセントはそれを知って落ち込み、回復できず、学生期間の残りをずっと、パーティから遠ざかって過ごした(一方のチャックは、その点ではビンセントとは歩調をそろえなかったが)。

その1年後、ビンセントは卒業し、有力な日本人ビジネスマンのアシスタントの職についた。人からの話しによると、チャックは結局、ストリッパーになったらしい。

そして再び時が過ぎた。ビンセントには女性の恋人ができ、その後、ふたりは子供を持つことにした。人工授精は成功し、子供が生まれた後、ビンセントは母親になった(ボイは決して父親になれないことになっている)。彼は仕事を辞め、可愛い赤ちゃんボイを愛し育む専業主婦になっている。

世界の他のところではどんなことが起きているか? それは、また別のお話し。


おわり
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