「フットボール・スター」 Dr. Bell's Vengeance: Football Star  by Nikki J. 出所
縦書き表示にする

ブランドンはサイドラインを一気に駆け抜けた。敵の守備陣は彼のスピードに合わせるだけでも精一杯だった。ブランドンは、敵には勝ち目がないことを知っている。彼は、余裕綽々に、喘ぎながら追いつこうとしている敵の守備陣を振り返りすらした。そして脇にしっかりとボールを抱え、前方に目を向け、改めてすべきことに対する意思を固めた。彼は得点をあげなければならないのだ。

そして、彼はまさにそれを実現した。ブランドンがゴールラインをすぎると、観客がいっせいに歓声を上げた。ブライアンは電光掲示板を見上げ、試合時間が尽きたことを確認した。ホームチームが32点、ビジターが31点。ブランドンのチームは州のチャンピオンになったのだ。その感激に浸る間もなく、祝福するチームメイトたちがいっせいに彼に襲いかかり彼はみんなの下に押しつぶされた。

試合後は、あわただしくすぎ去った。ブランドンは様々な人々に祝福を受け続けた。地元の報道関係者からもインタビューを受けた。やっと両親にも会えた。彼の母親は、意気揚々と彼の背中を叩き、「よくやったね、我が息子!」と声をかけた。

何だかんだ言っても、この日の夜はブランドンの人生で最良の夜だった。彼は、在籍している高校のフットボール・チームでスター・プレーヤーなのであり、そして、そのチームが州のチャンピオンになったのである。それに加えて、彼は地元の大学でプレーするよう、全額奨学金も提供されていた。

そして、シンディもいた。彼女も試合後ブランドンを見つけると、飛ぶようにして、彼の両腕の中に飛び込み、熱々のキスをした。ブランドンに抱き上げられ、彼女のチアリーダーのミニスカートがひらひら舞った。ブランドンのチームメートたちは、シャワールームに行く途中、ふたりのそばを通り過ぎながら、くすくす笑った。

すべてが明るい未来に包まれていた。

シンディは抱擁を解き、小さな声で囁いた。「この週末、うちの親が旅行に出かけているの」

ブランドンは驚いて何も言えなかった。シンディは構わず続けた。「だから、シャワーを浴びたらすぐに家に来て。一緒に楽しみましょう」

そう言ってシンディは去って行った。ブランドンは時間を無駄にしなかった。ロッカールームに急ぎ、すぐにシャワーを浴びた。

コーチが手短に何かスピーチをしていたが、ブランドンはほとんど何も聞いていなかった。頭の中はシンディのことだけだった。シンディはからだは小さいが、引き締まっていた。胸はたぶんCカップだろうと思った。だが、何と言っても魅力はあのお尻である。ブロンド髪でピキピキとした性格。絵にかいたようなチアリーダー。ブランドンはそれで良かった。

可愛いガールフレンドが踊る姿を想いながら、彼はロッカールームを出て、車でシンディの家に向かった。

*

ブランドンは10時少し前にシンディの家についた。夜遅くではあったが、彼は眠気などなかった。彼は、この機会を1年近く待ち続けていたからである。

ブランドンが玄関をノックしようとすると、ノックする前にドアが開き、中からシンディが飛び出してきた。そして、いきなり彼の唇にピッタリと唇を重ねる。開けた玄関ドアが閉まってもいないのに。

ふたりは急速に熱を帯び、いつの間にかシンディはブランドンの前にひざまずき、彼のブルージーンズのボタンを外し、チャックを降ろしていた。

シンディは、嬉しそうに笑顔になって、大きな青い瞳で彼を見上げ、そしてズボンの中から彼のペニスを引っぱりだした。ブランドンはペニスが自慢だった。チームのたいていのメンバーのそれよりも大きかったからである。もちろん意識して見たわけではないが、毎日、同じ連中とシャワーを浴びていれば、自然と目に入るものである。

シンディは亀頭部分を何度か舐めた後、口の中に入れ始めた。ブランドンがそれまで経験してきた何人かの女性とは異なり、シンディはフェラがそれほど上手というわけではない。だが、シンディは可愛らしさの点では群を抜いていたし、気持ちもこもっている。ブランドンが射精に達するまで時間はかからなかった。

ブランドンがひと安心したところで、シンディは立ち上がり、チアのユニフォームのスカートのチャックをゆっくり降ろした。チャックが緩み、スカートが床に落ちていき、中のブルマーが露わになる。シンディはその姿で、くるりと回転してみせた。ブランドンは彼女の素晴らしいお尻について、褒めたたえた。そしてシンディは今度はトップを脱ぎ、中のスポーツブラを露わにした。

そして、焦らすようにして、つるつるのすらりと伸びた脚に沿ってブルマーを降ろし始め、白いコットンのソング・パンティを露わにした。そのパンティすらも脱ぎ降ろし、ブランドンはシンディの無毛の股間を見つめた。最後に、シンディはスポーツブラもからだから外し、乳房を外気に触れさせた。全裸になったシンディ。ブランドンにとって、これまで目にしてきた中で、最も美しいと感じた。

ブランドンも立ち上がり、シンディのそばにより、キスをした。その後、口を徐々に下に移動させ、彼女の乳房に吸いついた。舌先で乳首を優しく愛撫する。2分ほど軽い前戯をし、ブランドンはことを始める準備が整った。

引きちぎるようにしてシャツを脱ぎ、逞しいからだを露わにする。彼の185センチの筋肉隆々のからだは、155センチ足らずのシンディの前に並ぶとシンディの前に並ぶと、まさにそびえ立っているとしか見えない。そして彼はズボンも脱ぎ、全裸になった。

力強く、素早い動きでブランドンはシンディのからだを抱きあげた。シンディも両脚を彼の腰に絡ませ、それに反応した。そしてブランドンは彼女のからだをゆっくりと自分の股間へと降ろし、挿入した。シンディは彼の挿入を受け、小さな可愛らしい喘ぎ声を漏らした。

ブランドンはシンディのからだを壁に押しつけ、激しい出し入れを行った。一突きごとに、うん、うんと男性的な野太い唸り声を上げ、突きを繰り返す。

2分ほどそれが続いた時だったろうか、不思議なことが起きたのだった。ブランドンの男性的な唸り声が、急に、明らかに女性的な声へと変わったのである。声の高さが2段階は上がったようだった。シンディはちょっと可笑しいといった顔で彼を見たが、何も言わなかった。

ブランドン自身、自分が変な声をあげていることに気づいていた。女の子のような甲高い声でああん、ああんと喘いでいるのだから。しかし、そのまま続けるほかなかった。シンディはこんなにもセクシーなのだし、自分もこんなに燃えているのだから。彼はそのまま行為を続け、その2分後、非常に女性的な絶頂の叫び声とともに、オーガズムに達した。もしブランドンが自分の声に注意を払っていたら、自分の絶頂の声が、シンディの声よりも甲高いものだったことに気づいたかもしれない。

情熱に燃えた時がすぎるとすぐに、ブランドンはちょっと恥ずかしくなり、気がついたら、もう帰らなければと帰る口実を口にしていた。シンディは少しがっかりしたが、文句は言わずにいた。

帰り道、ブランドンは先の自分の変調のことしか考えられなかった。

*

ブランドンは、これはちょっとした風邪でも引いたせいかなと思ったが、その推測が間違いだったことを翌日の朝に知る。

彼は実にすがすがしい気分で目が覚めた。昨日、チームが州を征服したこと、それにシンディを性的に征服したことの両方の喜びの余韻がまだ残っていた。だが、朝食を取りに階下に降りた時、現実に引き戻されたのだった。

「おはよう、ママ」

そう声をかけた途端、声の変調のことを思い出したのだった。まるで思春期前の少年のような声。いや、それよりもっと悪い。まるで女の子のような声だ。

「おはよう、ブランドン」 彼の母親が返事した。「ちょっとお話しがあるの」

「どんなこと?」

「あなたに起きてることよ。2週間くらい前にニュースで取り上げられていた男のこと、覚えている? 空気中に化学兵器を拡散したといったあの黒人のこと?」

ブランドンは頷いた。

「それでね、何かがあなたに起きると言ってるわけじゃないんだけど、今朝、世界中のほとんどすべての白人男性が、目が覚めたら、声が甲高くなっているらしいの。どのニュースでも取り上げているわ」

ブランドンはしばらく無口でいた。「……どういうこと?」

「まだ何も。たいていのニュースでは、あの男ができたことは、多分ここまでだろうと言ってるわ。それに政府の科学者たちが治療法の開発に取り組んでいるって。1週間か2週間のうちに、何か治療法が見つかるって」

「……ただ、ママはね、あなたがパニックを起こしたりしないように、このことを話しておきたかっただけ」

ブランドンは肩をすくめた。「声がちょっと変わっただけだろ? 他は何も変わらないって」

「それを聞いて安心したわ」 と彼の母は答えた。

*

何も変わらないと言ったからと言って、実際に何も変わらないことにはならない。月曜になり、学校に行ったブランドンは、少し自信がなくなった。しかし、その感情、いや少なくともその意識はすぐに消え去った。というのも、学校の白人の男子生徒たちが全員、彼と同じような甲高い声になっていたからである。

とはいえ、女の子っぽい声ばかり聞きながら校舎の廊下を歩き、何か変な感じだった。

ロッカーのところに来た時、シンディが近寄ってきた。

「おはよう」

「やあ、おはよう」 とブランドンは答え、ちょっと間をおいて続けた。「あのね、ちょっと謝らなければいけないんだ。僕の声が変わった時、ちょっと変な振舞いをしてしまったよ。ゴメン」

「分かってたわ。でも、ちょっと良いかなとも思ってるの」

「本当?」

「ええ、セクシーだわよ。さあ行きましょ。授業に遅れちゃう」

そしてふたりは手をつなぎ、廊下を進んだ。

*

「どうした、ブランドン! お前、こんなのできてたぞ!」 

重たそうなバーベルを持ち上げようと頑張るブランドンを、コーチが怒鳴りつけた。だが、どんなに頑張っても持ち上げられない。とうとう(逞しい黒人の)コーチはバーベルに手を掛け、持ち上げて棚に戻した。

「どうしたんだ、ブランドン? 前には、お前がこの2倍のバーベルを上げてたのを見たぞ?」

ブランドンは肩をすくめた。「分からない。最近、あまり気分が良くないからかな」

「まあ、ちょっと休め。そうしてからだを直すんだ。大学のフットボールに備えて準備をしなくちゃいけないからな」

ブランドンは返事をしなかった。そしてコーチはぶらぶらと他へと歩き去った。

ブランドンはバーベルに目をやった。前ならアレを軽々と持ち上げられていたはず。だが、最近、どんどんパワーが減ってきている気がする。実際、体重も減ってしまった。病院にも行ったが、健康だと言う。

だが、不安は消えなかった。どんなに頑張っても、寄って立つ基盤である体力が失われつつあるような気がした。彼は溜息をつき、ロッカールームに行った。

チームメイトの大半がそこにいた。みな筋トレをし終えたばかり。ブランドンはみんなの姿を見まわした。白人のチームメイトの大半が、前より小さくなったように見えた。しっかり見ないと、簡単には気づかないが、事実はそうだった。ブランドンはそのことを頭の片隅に入れながら、シャワーの水しぶきの中にくぐりこんだ。

*

だが、ますますパワーが弱まって行く。ブランドンはその事実に駆りたてられ、ネットで調査をしてみた。あの気が狂った博士が言ったことと何か関係があるかも知れない。そこで、彼の発言を検索してみた。すぐに新聞に載った彼の手紙を見つけた。それにはこう書かれてあった。

親愛なる世界の皆さん:

あまりにも長い間、我々アフリカ系アメリカ人は忍耐をし続け、世界が我々を差別することを許し続けてきた。我々はずっと忍耐を続けてきた。だが、とうとう、もはや我慢できなくなった。そこで私は我々を差別してきた皆さんを降格させることを行うことにした。初めは、皆さんは私の言うことを信じないことだろう。それは確かだ。だが、時間が経つにつれ、これが作り話ではないことを理解するはずだ。

私は、私たち人類の間の階層関係に小さな変更を加えることにした。今週初め、私は大気にある生物的作用物質を放出した。検査の結果、この作用物質はすでに世界中の大気に広がっていることが分かっている。

パニックにならないように。私は誰も殺すつもりはない。もっとも、中には殺された方がましだと思う者もいるだろうが。

この作用物質はあるひとつのことだけを行うように設計されている。それは、黒人人種が優位であることを再認識させるということだ。この化学物質は白人男性にしか影響を与えない。

それにしても、この物質はそういう抑圧者どもにどんなことをするのかとお思いだろう。この物質はいくつかのことをもたらす。その変化が起きる時間は、人によって変わるが、恒久的な変化であり、元に戻ることはできない。また純粋に身体的な変化に留まる。

1.白人男性は身体が縮小する。白人女性の身長・体重とほぼ同じ程度になるだろう。この点に関しては個々人にどのような変化が起きるかを予測する方法はほとんどないが、私が発見したところによれば、一般的な傾向として、女性として生れていたらそうなったであろう身体のサイズの範囲に収まることになるだろう(その範囲内でも、小さい方に属することになる可能性が高いが)。

2.白人男性はもともとペニスも睾丸も小さいが、身体の縮小に応じて、それらもより小さくなるだろう。

3.白人男性のアヌスはより柔軟になり、また敏感にもなる。事実上、新しい性器に変わるだろ。

4.声質はより高くなるだろう。

5.腰が膨らみ、一般に、女性の腰と同じ形に変わっていく。

6.乳首がふくらみを持ち、敏感にもなる。

7.最後に、筋肉組織が大きく減少し、皮膚と基本的な顔の形が柔らかみを帯びるようになるだろう。

基本的に、白人男性は、いわゆる男性と女性の間に位置する存在に変わる(どちらかと言えば、かなり女性に近づいた存在ではあるが)。すでに言ったように、こういう変化は恒久的で、元に戻ることはできない。(現在も未来も含め)すべての白人男性は、以上のような性質を示すことになる。

これもすでに述べたことだが、大半の人は、私が言ったことを信じないだろう。少なくとも、実際に変化が始まるまではそうだろう。もっとも変化はかなり近い時期に始まるはずだ。ともあれ、1年後か2年後には、世界はすでに変わっていることだろうし、私に言わせれば、良い方向に変わっているはずである。

親愛を込めて、

オマール・ベル博士

ブランドンは何度か読み返し、その後、画面をじっと見つめ、そのメッセージを頭の中に染み込ませた。これから、こんなことが自分に起きるのか? いや、そんなことありえない。こんなことすべてできる人など、いるわけがない。

コンピュータの前に座る彼の頭の中、様々な不吉な思考が駆け巡った。

*

2週間ほど経った。ブランドンは日増しにからだが弱くなっていた。彼は、からだが小さくなっているのは知っていたが、どれだけ小さくなってるのかを知った時には心底驚いた。

シンディの家に遊びに行った時、キッチンでふたりで並んで立っていた時に気づいたのである。今はシンディとの身長差は5センチもなくなっていることに。少なくとも30センチは背が低くなっていたのだった。

それに気づき、ブランドンは急いで言い訳を言って家に戻った。そして浴室の体重計に乗ってみた。

72キロ。23キロも体重が減っている! 彼は素早く裸になり、鏡で自分の姿を見てみた。

どの部分で体重が落ちたのか、ひと目でありありと分かった。筋肉がなくなっているのだ。しかも、ヒップが膨らんでいるように見えた。その一方でウエストはどっちかと言うと細くなったように見える。後ろを向いて、お尻を見てみた。……「丸みを帯びている」という言葉しか頭に浮かばなかった。

あの博士の予言がすべてその通りになっている。ブランドンはうつむき、股間に目をやった。そこも4分の1ほど小さくなっていた。がっかりしたが、予想通りで、驚きはなかった。

ブランドンは崩れ落ちるように床にへたりこんだ。両膝を胸に抱え、座り、今までなかったほど大泣きに泣いた。彼の女の子のような啜り泣きの声が、浴室の壁にこだました。

*

さらに1ヵ月がすぎた。ベル博士が言ったことが現実のものになることは誰の目にも明瞭になっていた。いまやブランドンは身長は163センチ足らず。体重も50キロに落ちていた。ウエストはきゅっと細く、ヒップは見事に膨らんでいた。お腹は女性的な丸みを帯び、そしてお尻はそれ以上に丸く膨らみ、見る者の目を楽しませている。乳首も大きくなっていて、エッチな気分になると、ツンと勃起し、1センチ弱くらいの大きさになる。

だが、奇妙な言い方に聞こえるかもしれないが、変化の中で「最悪」だったのは、彼の顔つきだった。以前のブランドンは精悍で一見荒くれ者っぽいハンサムな顔つきをしていた。角ばった力強い顎が特徴的だった。だが今の彼は、もはや、そういう形容はほとんどできない。彼の顔つきを表現するのに最も適切な形容詞は、「可愛い」や「キュート」であって、決して「ハンサム」ではない。「荒くれ者的」から最もかけ離れた顔になっているのは確かである。

体毛すらすっかり消えていた。そして、ペニスはというと、元の姿の見る影すらなくなっていた。完全に勃起しても8センチに届かないのである。

このようなからだではアメフトができないのは明らかだった。彼は大学の奨学金を諦めざるをえなかった。

自分の身に起こったそんなもろもろのことを思いながら、ブランドンは体育の授業に備えてロッカールームで着替えをしていた。下着を脱ぎ、今となっては大きすぎるし、完全に意味を失っているスポーツ用サポーター(参考)につるつるの脚を通した。彼は何か視線を感じ、後ろを振り向いた。そこには一群の黒人生徒がいて、彼のことをじろじろ見ていた。彼らはブランドンの元のチームメイトたちだった。

彼らはそれぞれ着替えの途中の状態でいたが、ブランドンには、連中の大きなペニスの輪郭がはっきり見てとれた。ブランドンはすぐに元に向き直ったが、不思議だったのは、向き直った後、お尻の穴が勝手にキュッキュッと収縮し始めたことだった。その後、そこが湿っぽくなるのも感じた。ブランドンは素早く着替えを済ませ、ロッカールームを出たが、連中のひとりがこう言ったのは間違いないと思ってる。

「エロいなあ、あいつ。ヤッテよって言ってるようなもんだよな、絶対!」

*

その2日後。

ブランドンは、ぼんやりとお風呂に入っていた(彼は最近、お風呂好きになっていた)。そして、自分でも意識していないうちに指でアヌスをいじっているのに気づいたのだった。いったい自分は何をしてるんだろうと、そんなことを思うより前に、彼は指をその中に入れた。

「んんっ!」

妙に女の子っぽい喘ぎ声を唇から漏らし、指の出し入れを始めていた。

浴槽のへりに左右の脚を乗せ、脚を大きく広げ、指の出し入れをちょっと速めた。

指いじりを続ける彼の頭の中には、ロッカールームにいたあの男子たちの姿が浮かんでいた。もっと具体的には、彼らの脚の間にあるモノを思い浮かべていたと言ってよい。

そしてブランドンは頂点に達した。ペニスには一度も触れていなかった。ハアハアと喘ぎながら、彼は頬を赤らめた。バスルームには他に誰もいないにもかかわらず。

*

それからさらに2週間ほど経った頃。

教育委員会から通達が送られてきた。今後、白人の男子生徒は黒人の男子生徒とロッカールームを別にしなければならないという通達だった。白人男子生徒がレイプされる事件がふたつほどの郡で発生し、学校はそのような事件が再発しないよう対処しなければならなかったのである。

白人男子生徒は、彼ら専用のロッカールームができるまでは、当面、女子生徒とロッカールームを共有することになった。

そういう次第で、この日、ブランドンは女子のロッカールームのドアを開け、中に入った。そんな彼を出迎えた光景は、あらゆる男子生徒にとって夢の世界と言えるものだった。女子生徒たち十数人が、様々な格好で着替えをしている光景。ブラとパンティだけの格好の女子もいる。体操着に着替えている女の子もいる。まだ普通の服を着たままの子も何人か。そしてトップレスになっている子も何人かいた。

ブランドンが入ると、そちらに目を向けた女子がふたりほどいたが、ふたりともすぐに顔を戻し、着替えの動作に戻った。ほとんど意識していない様子だった。

ブランドンは割り当てられたロッカーを見つけ、戸を開けた。中には体操着が入っていた(もちろん、女子用の体操着である)。彼も他の白人男子生徒たちも、それを着るよう命じられていた。というわけでブランドンは、ちょっとおどおどしつつも、それに着替えるため、服を脱ぎ始めた。下着だけの姿になると、後ろの方で女子生徒のひとりが言うのを聞いた。

「ねえ、見てみて、あのお尻。賭けてもいいけど、黒人の男子たち彼に夢中になるわよ!」

ブランドンは振り返りはしなかったが、顔が火照るのを感じた。その女子生徒が自分のことを言ってるのは分かっていた。

体操着のショートパンツに脚を通し、お尻を隠した。履きなれている短パンに比べると、ちょっと短めでキツイ感じがした。それから与えられたTシャツを着た。それもキツメで、袖は短く、キャップ・スリーブ(参考)だった。

体育の時間は特に問題なくすぎた。男子はテザーボール(参考)をやり、女子はバレーボールを行った。

体育の時間が終わり、ブランドンはロッカールームに戻った。正直、これからすることが嫌だったし恐かった。体育の時間が終わったら、全生徒、シャワーを浴びることが義務付けられていたのである。ブランドンたちも例外ではなかった。

ブランドンはからだを強張らせながら、服を脱ぎ、タオルを腰に巻きつけながらシャワールームに入った。乳首が固くなっていた。

中は、どこを向いても、石鹸でヌルヌルの肌の濡れた女体が動きまわっていた。だが、彼に目を向ける女子はひとりもいなかった。男子生徒はブランドンだけだった。腰からタオルを解き、シャワーの下に入った。彼はまわりを見回したりせず、できるだけ素早くシャワーを済ませ、急いでロッカーに戻り、服を着た。

何事もなく着替えを済ませ、ロッカールームを出ることができ、ほっとした安堵感が彼を包んだ。

*

さらにその2週間後のある日、ブランドンはテレビを見ていて、ある変わったことに気づいた。ドレスを着た男の子が映っていたのだ。それはただのコマーシャルで、すぐに終わったが、見間違えではないのは確かだった。彼は自分自身に起きてることに捕らわれすぎていて、彼の身に起きてることが世界中で起きてることであり、世界がその変化の補正に動きだしていることに気づかずにいたのである。

というわけでブランドンはネットを探った。そこで見つけたことは、驚きであった。白人男性を指すために新しい単語が使われていて、「ボイ」という単語だった。ボイたちは時間を追うごとにどんどん女性に近づいていた。今や、ボイが男性と交際するのを目にするのは珍しいことではなくなっていた(男性はすべて黒人)。もっと言えば、そのようになることが奨励されているとさえ思えた。ボイたちは、肌を露わにした服を着て、化粧をし、ヘアスタイルを決めて、男性たちからそういう目で見られるよう、ありとあらゆることをし始めていたのである。

さらにブランドンは、ボイたちが自慰をするビデオを何本か見てみた。いずれのビデオでも、ボイたちはペニスに触れる方法ではなく、ディルドをアナルに出し入れする方法で自慰を行っていた。それを見て、ブランドンは、すぐに、浴槽で指をあそこに入れた夜のことを思い出した。そして興味を持ったのだった。どんな感じなのだろうかと。

彼は母親が寝室にバイブを隠し持っているのを知っていた。一度、偶然、見つけたことがあったのである。だが、その時は、見なかったことにしようと思ったし、それ以来、忘れてしまおうとしてきたことであった。だが今は違う。アレが欲しいと思った。どうしても欲しいと。ありがたいことに、この日、彼の母親は外出していた。そこでブランドンは母親の寝室に忍び込んだのだった。

探す時間は何分もかからなかった。ベッドの下に目的のモノを見つけたのだった。か細い手でそれを握り、スイッチを入れてみた。最初、彼はうふふと小さな声で笑った。

お尻の穴がちょっと濡れてくるのを感じ、早速、服を脱いで裸になった。

バイブを床に立て、その上にまたがった。うぃーんうぃーんと音を立ててうごめく男根の上に、ゆっくりとしゃがみ込んでいく。最初はなかなか入ろうとしなかったが、アナルの緊張をほぐして試みると、ヌルリと中に入ったのだった。

「あ、はんっ…!」

その瞬間、快感に襲われ、ブランドンは溜息をついた。

「ああん……!」

自然に声が出ていた。悩ましく声が震えていた。

上下にからだを動かし、そして絶頂に達した。そして、その後、もう一度、中に入れ、上下に動いた。そして、またも絶頂に達したのだった。

*

学校のボイたちは、ますます女の子っぽい服装をするようになっていたが、ブランドンは抵抗していた。だが、シンディにショッピングに行こうと誘われ、ようやく彼は根負けし、ショッピングに行くことにしたのだった。

と言うわけで、ブランドンはシンディとモールの中をぶらぶら歩いていた。彼は、なんとも居心地の悪さを感じていた。彼の服はどう見ても男性服だった。もはや、大人の紳士用の服を着ようと思っても、サイズが合わず、彼は小学校時代に着ていた服を着ることにしていた。そして、今日は、バギーのブルージーンズとTシャツの格好でいた。彼は、Tシャツの薄い生地ごしに乳首がはっきり見えてることが気になって仕方がなかった。

モールを歩きながらどちらに目を向けても、ボイたちの姿が会った。みなそれぞれ様々な服装をしていたが、紳士服と言えそうな服を着ている者はひとりもいなかった。ショートパンツに、細い肩ひものタンクトップ姿のボイや、お尻がはみ出そうなタイトなジーンズを履いたボイ。さらには、ミニスカートを履いてるボイすらいた。

「そうねえ、まずは手始めに、新しい下着から買わなくちゃいけないわね」 とシンディは言い、ふたりでランジェリー店に入った。

最初、ブランドンはちょっと恥ずかしがっていて、「見て、このキュートなパンティ!」とか「あのブラ、素敵だわ!」と指差しながら言うシンディの後をついて歩くだけだった(ボイには乳房はなかったが、その店は、ボイが勃起した乳首を隠せるようなブラを売りだしていた)。

しばらくするとブランドンも慣れてきて、シンディが指差すランジェリについてコメントを言い始めた。そして、ふたりが選んだランジェリがちょっとした山盛り状態になるまで、さほど時間はかからなかった。ふたりが店を出た時、新しい下着で縁までいっぱいになった紙袋が4つもできていた。

次にふたりが訪れた店は総合服飾店で、ふたりはジュニア用の衣類売り場に直行し、多様な種類の衣類を購入した。ショートパンツ、腰骨に引っかけるタイプのジーンズ、お腹が露出するような丈の短いシャツ、さらにはスカートやドレスも選んだ。

店員の女の子が、ブランドンに、買った服のいくつかを着たまま店を出たらいかがですかと言った。そこでブランドンは試着室に向かった。彼は試着室のブースに入るとすぐに、服を脱ぎ、中の全身鏡で自分の姿を見てみた。

この2週間ほどはあまりからだの変化はなかった。けれども、いまだに彼は鏡に映った自分の姿を見て驚いてしまう。今は身長はたった157センチ、体重も47キロ足らず。ペニスも柔らかいと2センチ半がやっと。勃起しても5センチほどにしかならない。首から下は完全に無毛で、肌は柔らかくつるつるに見えるし、触ってもそんな感触だ。

姿勢すら変化していた。立つときは、若干、背を反らす姿勢になっていて、ほとんど無意識的にお尻を突き出す格好になっていた。立つとき、無意識的に両手の手首を曲げてしまうので、意識的にそうしないよう注意しなければならなかった。

彼は後ろ向きになってお尻を鏡に映してみた。

ブランドン自身、自分のお尻がシンディのお尻に匹敵する、あるいは、それ以上であると認めざるをえなかった。お尻の頬を持ち上げ、手を離して落としてみた。楽しいくらいプルプルと揺れる。お腹までも変化していた。若干、丸みを帯びてるようだった。女の子のお腹のように。

ブランドンは溜息をつき、ランジェリの入ったバッグをひとつ開けた。中からあてずっぽうにパンティを取り出した。薄黄色のパンティで前のことろに小さな花模様がついていた。彼はそれにつるつる肌の脚を通した。

最初だから、冒険はしないことにした。スカートとか派手に目立つものは着ないことにした。普通のショートパンツと、青と紫の縞模様のTシャツを選んだ。

ショートパンツに脚を通し、履いてみた。お尻がキュッと包まれる感じがした。履きなれていた短パンよりはかなり丈が短い感じだったが、充分、履き心地は良かった。Tシャツの方はきつめだった。ジムの運動着と同じく、キャップ・スリーブ(参考)のデザインだった。生地の下から乳首がツンと立ってるのが見えた。そして、足にはつま先部分が開いた可愛いサンダルを履いた。

ブランドンは鏡に映った自分の姿を惚れ惚れとして眺めた。ショートパンツの中、彼の小さなペニスがほんの小さく盛り上がりを見せているのに気づいた。Tシャツの裾はパンツのところまで達していなかった。そのため、おへその下のあたりに、ちょっとだけ肌が露出していた。

ブランドンは持ち物をまとめ、試着室から出た。シンディはちょっとがっかりした顔をした。

「ああ、それとは違うのを着ると思ったのに。あのとっても可愛いスカートとかを」

ブランドンは肩をすくめた。「言うことはそれだけ?」

シンディは、「そうねえ、もう一か所、行くところがあるわ。でも、そこはこのモールの中じゃないの」と答えた。

*

シンディはどこに向かってるか、ブランドンに言わなかった。なので、車が「ギフト・スポット」と言う名のアダルトショップの前に停まった時、多少驚いた。彼は文句を言ったが、シンディは強情に譲らず、結局、ふたりはその店に入ったのだった。

カウンターにいた女性が「あなたたち、18歳?」と訊いた。ふたりが頷くと「身分証を出して?」と言った。

シンディとブランドンが身分証を手渡すと、その女性はブランドンの顔と身分証を二度ほど見返した後、肩をすくめ、ふたりに返した。

そして 「欲しいモノが見つかったら教えて」 と言い、それまで読んでいた雑誌に戻った。

店の中を歩き回りながら、ブランドンとシンディはくすくす笑いながら店の中を歩き、商品を見て回った。最後にふたりは、シンディが探し求めていたモノの前に来た。大きな黒いディルドである。ブランドンは、それが何のための物かは知っていたが、何か問いたそうな顔でシンディを見た。

「私、考えていたの……今はボイたちは女の子のようになってるのは知ってるのよ。それにあなたにプレゼントを買ってあげたいと思っていたの。……こんなのいらないと言うなら、それはそれでいいわ。でも、私には分かるのよ。何と言うか……」 とシンディは最後まで言わなかった。

ブランドンはバイブを使った時のことを思い出していた。彼は肩をすくめ、「いいんじゃない?」と言った。

シンディはそれを聞いて興奮し、ほとんど悲鳴に近い声をあげ、ブランドンに抱きつき、頬に軽くキスをした。

*

ブランドンは家に帰ると、ほとんど走るような勢いで自分の部屋に入り、ドアの鍵を掛けた。家に戻るまでずっとお尻が濡れっぱなしだった。彼はバッグをベッドに放り投げ、ディルドが入った箱を取り出し、引き裂くようにして箱を開けた。

小さな両手でそれを握り、目の前にかざした。かなり大きかった。彼がちゃんとした男性だった頃のペニスよりも大きい。肉茎に沿って血管がごつごつと浮き上がっていて、すごくリアルな作りだった。根元には睾丸までもついていた。底辺部には吸着カップがついている。

彼のベッドは子供のころからのままで2段ベッドである。ブランドンはその2段ベッドの柱の部分にディルドを押しつけ、吸着させた。そして、文字通り引き千切るようにしてショートパンツとパンティを脱いだ。シャツは着たままだった。

柱からニョキっと屹立しているディルドにお尻を向け、四つん這いになった。そうして脚の間に手を伸ばし、アヌスを少し指でいじった。いじるまでもなく、そこはすっかり濡れていた。すでに準備ができてるように思えた。

心を落ち着けてゆっくりとお尻を突き出した。アナルの入り口にディルドが触れるのを感じた。さらにゆっくりお尻を突き出し、先端部を中に入れた。

そうしてしばらく待って、慣れた頃をみはからって、思い切り突き出した。ぐいっと中に入ってくるのを感じた。完全に中が満たされている。根元まで入れていると分かる。あのバイブよりもはるかに大きく、最初はちょっと痛かった。だが、じっと動かずに待っていると、すぐに痛みは消えてしまった。その代わりに、お尻を満たされてることが気持ちよくなってきた。中に入れてるだけでも気持ち良かったが、それだけでは物足りなくなり、出し入れをしたい気持ちが募ってきた。

そこで、ブランドンは前へからだを動かした。巨大なディルドがからだの中からヌルリと出るのを感じた。そうして、再びお尻を後ろに突き出した。今度は前より早く。

家の中に他に誰もいなかったのは幸いだった。と言うのも、ブランドンはお尻を突き出した瞬間、あああんと甲高い喜びの悲鳴を漏らしたからである。

それから間もなく、彼は狂ったようにからだを動かしていた。彼はたいへん声をあげるタイプだったようだ。

それから1時間か2時間が経過した(ブランドンは時間の感覚がなくなっていた)。とうとう、さすがのブランドンも疲れ果ててしまった。とは言え、彼はまだなんとかからだを動かし続けようとしていた。ディルドはまだお尻に刺さったままである。彼はベッドに顔を埋めていた。お尻だけが、時々、無意識的にくぃッくぃッと動き続けていた。

そして、ようやくブランドンは力尽き、前のめりになり、ディルドから抜け出た。そして、そのまま眠りに落ちた。

*

ドアをノックする音、それに母親の声が聞こえ、ブランドンは目を覚ました。

「ねえ、ブランドン? 部屋の中にいるの? 大丈夫?」

「ああ、ちょっと待って」 寝ぼけ声でブランドンは答えた。

母親がドアノブを回す音が聞こえた。「どうして鍵を掛けてるの? 開けなさい」

ブランドンはパニックになった。ベッドの柱から素早くディルドを外し、ベッドの下に投げ込んだ。それからパンティを履き、立ち上がり、ドアに行き、鍵を開けた。母親が飛び込んできた。

「どうなっているの? どうして鍵なんかかけて? 何を……」 

そう言いかけて母親は息を飲んだ。息子が可愛い黄色のパンティとおへそがやっと隠れる程度のTシャツの姿でいるのを見たからだった。

「ごめんなさい、ママ。どうして鍵がかかったのか分からないんだよ。ちょっと昼寝してしまっていて」

母親はバッグの中身を見た。「これ、どうしたの?」

「シンディにショッピングに連れて行ってもらったんだ。僕の服は全部、合わなくなっていたから」

「そう。だったらいいけど……。もうすぐ夕食ができるわよ」

そう言って部屋を出た母を見て、ブランドンはホッと安心した。

*

さらに2週間ほど経つと、様子は一定の型に落ち着き始めた。それは学校でも同じだった。白人ボイの誰もが、もはや男性用の服を着なくなっていた。中には露出がすぎる服を着ていると罰を受けるボイすらいた。

ブランドンも女子用ロッカールームを使うことに恥ずかしさを感じることがなくなっていた。着替えをしながら女子たちとおしゃべりするようにもなっていた。シャワーを浴びる時も、女子たちに裸を晒すことに恥ずかしさを感じることもなくなり、時間を掛けてシャワーを浴びるようになっていた。

ブランドンは、暇な時にはシンディやシンディの友だちと一緒に時間つぶしすることが多くなっていた。ある日、みんなとカフェテリアでランチを食べていた時だった。女子たちは来たるチアリーダーの集まりについておしゃべりしていた。

シンディが言った。「ああ、すごく楽しいことになりそうよね。それに、知ってるでしょ? チアリーダーになって奨学金を得る子もたくさんいるの。まあ、全額支給は無理だろうけど……でも助けにはなるわ」

「あなたがそう言うのは簡単でしょうけど」 と他の女子が言った。「シンディはもう予選通過してるもの。私はまだ来週の入団テストのことで不安がいっぱいよ」

シンディは、他の女子たちが来たる入団テストやチアリーダーの集まりについて話すのを見ながら、ちょっと妙な顔をした。

*

その日、放課後、シンディはブランドンと駐車場へと歩きながら言った。

「あなたも入団テストを受けてみるべきよ」

「ええ?」

「チアリーダーの入団テスト。他のボイの中にも何人か行くって聞いてるわ。それにあなたのそのからだなら……」

「どうかなあ。君は子供のころからダンスや体操をしてきたから……」

「でも、あなたもスポーツが得意じゃない。あなたなら上手くやれるわ」

「のこのこ出て行ってヘマをするのは嫌だよ」

「いいこと?」 とシンディは言った。「私があなたと一緒に練習するわ。もし、時間的に間に合わなかったら、無理に強いたりはしないから」

……僕に強いる? その言葉にブランドンは引っかかった。だけど、それがどういうことを意味するのか知りたいとは思わなかったので、彼は単に「いいよ、分かった」とだけ答えた。

シンディはブランドンに抱きついた。「これって、すごく楽しいことになりそう! 後で私の家に来て。4時ごろに!」

*

というわけで、その日の夕方、ブランドンはシンディの部屋にいた。

「その格好じゃ練習できないのは確かだわ」 とシンディはブランドンのタイトなジーンズと丈の短いシャツを見て言った。

そして1分ほど自分の衣装棚を漁り、中から非常に短いショートパンツを取り出した。お尻のところに「ジューシー」との文字がついている。そしてそれをブランドンにパスした。

ブランドンはジーンズを脱いだ。中のソング・パンティが姿を見せた。そのパンティにはおへその近くに小さなリボンがついていた。それから彼は渡されたショートパンツを履き、上のところを丸めて、少しお腹を見せた。女の子がよくそうしてるのを見たことがあったからだった。

「んー、私のスポーツブラは全部、あなたにはちょっと大きすぎみたいね」とシンディは言った。ほとんど独り言を言ってる感じだった。「あ、そうだ」 と彼女は言い、別の引き出しを漁り始めた。そして、白いスポーツブラを引っぱりだした。「これならあうはず。これ、1年生の時につけていたブラ。胸が大きくなる前につけてたの」

ブランドンは素早くそのブラをつけ、それからテニスシューズを履きなおした。

「完璧! じゃあ、始めましょ!」とシンディは言った。

*

シンディはまずブランドンに一通りのストレッチングをさせた。ブランドンは、自分が予想以上に柔軟性があるのを知り、ちょっと驚いた。始めたばかりなのに、一直線に両脚を広げて座る開脚座りが簡単にできる。シンディも驚いた顔をしていた。

ストレッチングの後、シンディはダンスを教え始めた。複雑なダンスではないが、非常に女性的な動きをほのめかすダンスだった。ブランドンは、最初はちょっとぼんやりしていたが、すぐに我を忘れてダンスに夢中になっていた。

時間があっという間に過ぎ、最後にシンディが言った。「さあ、今日はここまでにしましょ。ブランドン、すごく上手だったわ。ほんとうに、予想してたよりずっと上手だった。これなら入団テストまで準備が整うと思うわ」

ブランドンは嬉しそうに笑みを浮かべた。

ふたりは、こんなふうに丸一週間毎日、放課後、練習を続けた。何かからだを動かすことをするのは気持ちがいい。それに、ブランドンも、自分のことながら、かなりダンスが上手なのではないかと認めざるを得ない気持ちだった。それにシンディもブランドンなら入団確実と思っている様子だった。

だがブランドンは、家に帰るとチアリーダーのことは忘れ、毎晩、別のお友達と一緒になるのだった。あの大きな黒いディルドである。毎晩、彼はそれをベッドの柱にくっつけ、それを使って自分で自分のアナルを貫き、快楽にふけるのだった。大きな声をあげないようにといつも注意していたが、それでも、時々、声をあげてしまう。聞き間違いようがないヨガリ声で、たぶん、母親にも聞こえてしまってるに違いない。ありがたいことに、彼の母親はそのことについて何も言わなかった。

*

入団テストの日が来た。そして、シンディが予想した通り、ブランドンはチームに入ることを許された。入団を許されたボイは彼だけだった。ブランドンは他の女の子たちと一緒に、入団のお祝いにクラブに行くことにした。

ブランドンは胸元が開いた、ミニの赤いドレスを着ることにした。すでにハイヒールで歩く練習はしていた彼だったが、この日は平底の靴を履いていくことにした。他の女の子たちもセクシーな服装で来たが、ブランドンは自分が彼女たちと少なくとも同じくらいは可愛いく見えてると思った。

ブランドンたちがクラブに着くと、入口に行列ができていた。だが巨体の黒人のドアマンは、ブランドンたちを優先して中に入れさせてくれた。

女の子たちは最初はグループになって一緒にダンスをしていたが、すぐに、ひとりひとり抜けて行き、最後にはシンディとブランドンだけになっていた。ブランドンは新しく習得したダンスの動きを効果的に使って踊り、確実に、強靭そうな黒人男性たちの注目を集めていた。

彼はそのお返しとして、ダンスしながら男たちにお尻を擦りつけるダンスを続けた。その中でも特に長くブランドンとダンスを続けた男性がいた。その男性はブランドンの背後に立ち、大きな両手で彼の引き締まった小柄なカラダを触り続けた。それが続いた後、ブランドンが振り向くと、その男性はその機会を捉えて彼にキスをしたのだった。

ブランドンが向きを変え、その男性と対面し、両腕を彼の首に回し抱きつきながらダンスするまで、さほど時間はかからなかった。しばらくダンスした後、男性はからだを傾け、ブランドンの耳元に囁いた。

「一緒に来い」

ブランドンは男の手を握った。男はクラブの奥のトイレへと彼を連れて行った。

そこはブランドンにとっては初めて行ったところだった。トイレは3つあり、ひとつは男性用、もうひとつは女性用、そして3つ目はボイ用だった。黒人男性はブランドンをボイ用のトイレに連れた。

「全員出て行け」 男は低いバリトンの声で怒鳴った。トイレにはボイがふたりいたが、慌てて外に出て行った。ボイたちが出て行くと、男は「俺の名前はジムだ」と言った。

ブランドンは返事をしなかった。その代わりに、ドレスの肩ひもを肩から滑らせた。ドレスはそのままスルスルと床に落ちた。ジムは時間を無駄にしなかった。素早くブランドンの乳首にむしゃぶりついた。

ジムの舌は信じられないほど気持ち良かった。ブランドンは、乳首をスイッチにして、全身に甘く苦しい疼きが湧きおこるのを感じた。

ブランドンはまさぐるようにして両手をジムの股間へと降ろし、ズボンの上から大きなペニスを擦り始めた。そのすぐ後に、ズボンのボタンを外し、チャックを降ろした。そして下着の中に手を指し込み、熱い肉棒に触れた。生れて初めての経験だった。それは、想像していたよりずっと重量感があった。

ジムが顔を寄せ、キスを始めたのを受け、ブランドンはうっとりと目を閉じ、細っそりとした手で熱い肉棒を包み、ゆっくりとしごき始めた。手の中、それはみるみる固さを増していった。そしてブランドンは自分がすべきことが何かを悟った。

キスを解き、ゆっくりと腰を沈め、床にひざまずいた。そして目の前の巨大なペニスを見つめた。25センチは軽く超えている。ブランドンは睾丸から始めた。舌を伸ばし舐め、チュッチュッとキスを繰り返した。男の汗の匂いがしたが、それは嫌いではなかった。その後、焦らすような小さなキスや舐めを繰り返しながら竿を上がって行き、最後にジムの亀頭を口に含んだ。

吸いながら、ジムの顔を見上げた。自分のフェラチオをジムが喜んでいるのを知り、嬉しさが心の中に湧き上がった。吸いながら頭を上下に振り続けた。そして、とうとうジムは「イキそうだ!」と言い、ペニスを引き抜いた。

ブランドンは、ジムが噴射するまで両手でペニスをしごき続けた。第1発目が撃ちだされ、ブランドンの顔面に振りかかった。口の中に飛び込んできたのもあったが、全然、気にしなかった。塩辛い味がした。

ちょうどその時、ドアが開いた。そしてシンディの声が聞こえた。

「ブランドン、ここなの?……」

シンディは文の途中で声を詰まらせた。そこで展開していた光景を見たからだろう。元の彼氏が顔面をスペルマだらけにし、大きな黒人男性のペニスの前にひざまずいている。

「ごめんなさい」 シンディはそう言って、出て行った。

「ごめんなさい」 ブランドンはジムにそう言った。「行かなきゃいけないから」

ジムは肩をすくめ、ズボンを上げ、そして出て行った。

顔をきれいにするには2分ほどかかったが、ようやく、きれいに洗い流し、お化粧を整え、ドレスを元に戻した。

シンディを見つけたのはクラブの外だった。車のボンネットに腰を乗せていた。

ブランドンが近づくのに気づくと彼女は言った。「あれ、初めてなの?」

ブランドンは頷いた。

「でも、まだ、女の子の方が好きでしょ? 違う?」

「多分そうだと思う。なんだか頭が混乱してて。ものすごいスピードで展開したものだから。あの人とふたりでダンスしてて、そうしたらトイレに連れていかれて、そしたら、どうしても……」

「分かるわ。そういうこと、あるもの。彼ってセクシーだったわね、それは言えるわ。……それに、あの大きなおちんちん」

ブランドンはくすくす笑った。「口に入れるのがやっとだった」

そして、ふたりは一緒に声に出して笑った。

*

チアリーダーの合宿はその2週間後から始まった。場所は、地元の大学だった(ブランドンにフットボールの奨学金を申し出た大学である)。チアリーダーたちは、使われていない学生寮に居住することになった。ブランドンは自分のルームメイトがシンディであるのを知った。

ある夜、シンディがブランドンに言った。「あのね、あなたをルームメイトにしてって言ったの、私なのよ」

ブランドンはベッドにうつ伏せになっていた。両足を宙に上げ、ぶらぶらさせていた。服装はパンティと小さなタンクトップだけ。タンクトップはおへそが隠れないほどピチピチで丈が短いものだった。シンディも同じような格好と言ってよい。

「良かった。気を使ってくれたんだね」

「それに、私、ふたりで遊べるものを持ってきたの」とシンディが言った。

ブランドンは、振り向いて、シンディが何か装着具がついたディルドを手にしているのを見た。

「ええっ? それで何をするの?」

ブランドンは悪戯っぽい笑みを浮かべてそう訊き、ベッドから起き上がり、シンディの元に近寄った。そしてすぐにかがみ込み、ディルドを吸い始めた。

シンディはちょっと困ったような顔をした。

「あら……私にこれをつけてほしいみたいね」

そしてちょっとした後、しょうがないわといった感じで肩をすくめ、ディルドを腰に装着した。ブランドンは嬉しそうにパンティを脱いだ。

突然、シンディが言った。

「このエロ娘! ベッドに仰向けになるんだ! そして、脚をおっぴろげるんだよ!」

シンディの声の調子にブランドンはちょっとビックリしたが、どこかそれを喜ぶ気持ちもあった。彼は従順に言われた通りにした。

ストレッチングを頑張った時間が報われたと言ってもいい。ブランドンは両脚を大きく広げた。わざとアヌスをキュッキュッとすぼめた。濡れたアヌスがまるで誘っているように見えてるだろうと思った。小さなペニスはピンと立っていた。

「私を犯して、お願い……」

その願いにシンディは応えた。ストラップ・オンはするりと入っていった。それにシンディも乗り気になっていて、さらにちょっと荒々しく元カレのアヌスを犯すのだった。一方、ブランドンはと言うと、まさに女の子のような声で喘ぎ、ヨガリ、そして叫んだ。

「ああ、いいッ! もっと、もっと……」

シンディは激しく腰を動かしながら、時々、こんな言葉を投げかけた。

「ああ、こいつが嬉しいか? この可愛いエロ女! 俺の黒チンポが嬉しいか?」

だがこの行為はすぐに終わり、ブランドンには物足りない感じが残った。でも、ふたりは翌朝、練習のために早起きしなければならなかったのである。ブランドンは本物の黒ペニスでアナルを犯されるのを夢見ながら眠りに落ちた。

*

合宿は、ブランドンが予想したより、はるかにずっと楽しいものになった。日中は、みんなでダンスしたり、応援練習をしたり、体操を行った。夜は仲間の女の子たちと遊び、そして、ベッドに入ってからは、シンディに犯してもらうのである。

合宿終了の時までに、ブランドンはこの大学の正規のチアリーダーチームのメンバーに選ばれていた。ブランドンは、かなりハードなことになるのを知っていた。だが、同時にとてもワクワクしてもいた。

とはいえ、合宿が終わるのが寂しいブランドンだった。

*

その後の2ヶ月の間に、世界中で、事態が平穏な状態に戻っていった。ボイたちは、振舞いがますます女性的になっていき、すぐに、法的にもボイたちを女性と似た存在として認識する法律ができた。すなわち、ボイも男性と結婚することが許され、公的な場所での身なりに関しては、女性と同じく胸部を露出すると、不道徳的な露出を禁ずる法律の対象とされるようになった。

ブランドンはどうなったかと言うと、彼は高校を卒業し、夏は特に目立った出来事もなく過ぎた(生れて初めてビキニを着たということは別として)。

毎週、土曜日には、フットボールの試合で、他の女子たちと一緒にチアリーディングをした。ユニフォームは、着慣れるにはちょっと時間がかかったが、しばらくすると、むしろチアのユニフォーム姿の自分が可愛いと感じるようになった。

ブランドンは、自分がフットボールの選手たちの関心をマグネットのように惹きつける存在であることに気がついた。どの選手も自分のことを大好きに思っているみたいに思えた。そう言うわけで、ブランドンも選手たちに色気を振りまいた。とは言え、選手とは一切セックス拒み続けた。そう、彼は品行方正なボイなのであった。

だが、そんな選手たちの中に、ひとりだけ、非常にしつこく彼に言い寄る選手がいた。その選手は、ブランドンが昔とっていたポジションである後衛のポジションをプレーしていた。そして、何と言っても男性性を絵に描いたような存在だった。フットボールのタイトなパンツの中、大きなおちんちんの輪郭がはっきりと浮き出て見えた。それを見てブランドンは、文字通り、口の中に涎れが溢れてくるのを感じたし、彼を見るたび、お尻の穴が湿ってくるのを感じた。その選手の名はリロイという。

ふたりは何度かデートをし、ブライアンは喜んで、リロイにフェラをし、気持ちよくさせてあげた。だがふたりは決してセックスはしなかった。

試合シーズンが進み、チームは勝利を重ね続けた。そして、何と、彼らは全国チャンピオンシップで勝利したのだった。さらにすごいことに、その勝利を決めるタッチダウンを行ったのはリロイだったのである。

試合の後、ブランドンはフィールドに駆けだした。そして、ようやくリロイを見つけると、ジャンプして、リロイの大きな黒い腕の中に飛び込み、情熱的なキスをしたのだった。

「今夜ね」

キスを終えると、ブランドンはそれだけを言い、お尻を振りながら歩き去った。

*

その2時間後、リロイがブランドンの寮の部屋を訪れた。ブランドンは小さなGストリングのビキニだけの格好でドアを開け、彼を招き入れた。ブランドンの乳首は小さなダイヤのように尖っていた。

リロイはブランドンのパンティを引きちぎるように脱がし、床に捨てた。その間、ふたりとも何も言わなかった。ブランドンを素裸にすると、リロイは彼を抱き上げ、ブランドンは両脚を彼のからだに巻きつけ、しがみついた。

リロイは片腕でブランドンを抱きかかえたまま、ズボンのボタンを外し、床に降ろした。そして、次の瞬間ブランドンは熱い硬直が自分のからだの中に入ってくるのを感じた。

ああ、やっぱり、あのディルドなんかよりずっといい。ブランドンはそう思った。

リロイは低い唸り声を上げながら、ペニスを根元までブランドンの奥深くに埋め込んだ。そうしてから、ブランドンの背中を壁に押しつけ、立位のまま激しく出し入れをした。

ブランドンは何度も快感の悲鳴やヨガリ声を出し続けた。だが、リロイは持続力の点でも優れていた。その夜、ふたりはあらゆる体位で交りあった。中でもブランドンが好んだ体位は、後背位である。顔を枕に埋め、お尻を高々と上げ、後ろから逞しいモノで貫かれる。これが一番好きだった。

その夜は魔法がかかったような魅惑的な夜だった。

*

その2か月後、リロイとブランディ(ブランドンは名前を変えた)は、判事の前で結婚した。結婚式は挙げなかったが、ふたりともその必要を感じなかった。ふたりは愛しあっていた。

リロイとブランドンを別にして、世の中がどうなっていたかについて言えば、実にドラスティックに変化したと言ってよい。グレート・チェンジの後、当初、白人男性の多くが変化に対応できず、職を失った。彼らが以前に比べて能力が落ちたわけではない。なんだかんだあっても、彼らは以前と同じ人間なのであるから。だが、事実上、外見的に別の人間になったことがもたらす心理的な効果により、彼らに対する外部からの認識や見解が変わってしまうのは必然だった。その結果、多数の小柄で女性的な白人ボイたちは、少なくとも最初は、職場内で徐々に従属的な立場へと追いやられ、本来だったら彼らが主導すべきだった職から解雇されたのである。

だが最終的には、これらの白人ボイたちの精神も平常に戻り、(もちろん以前より女性的になってはいるが)本来の自分自身を取り戻し、元の職に復帰したものも多い。とは言え、この一連の変化により、別の者たちにも影響が生じたのである。女性や黒人男性の多くが、いったん空席となった権力あるポジションに滑り込んだ。そして、その結果、労働市場での平等化の動きが大きく前進したのだった。

文化的にも、これに負けず劣らず大きな影響が生じた。世界が、事実上、ふたつのジェンダーがある世界から、3つのジェンダーがある世界に変わったという事実の他にも、巨大な変化が生じたのである。(少なくともアフリカ系アメリカ人と白人との間の)レイシズムは事実上、消失した。確かに、ごく小さなレイシズムは依然として残ってはいた。皮肉にも、黒人女性で、白人ボイをあからさまな敵意を持って見るものが増えたことである(ヘイトというより競争の感覚からのことであるが)。そういうことはあっても、レイシズムは極度に周辺的なムーブメントになったのは事実である。

ただ、記しておくべき不思議なことがいくつかある。

ひとつは変化が始まってすぐに、豊胸手術を受ける女性が増えたことである。他人にボイと間違われないようにとのことなのだろう。

また、ボイになった後も女性とカップルのままでいる者も多かった。そして、その大半が子供をもうけた(人口受精によってではあるが)。その結果、白人ボイが生まれ続けるというサイクルは永続化した。

さらに、人口構成は女性とボイの集団が男性の集団を上回る傾向が続いたが、次第にそれが平均化し始めたことである。新しく生まれた子供たちの大半が、異人種の両親から生まれるようになったからである。

さて、未来はどうなって行くのだろうか? これは誰にも分からない……


おわり
TOPに戻る