「強盗ボーイ」 Stick-Up Boy 出所 by Nikki J.
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モーリスは目立たないバンの中から、ドラッグの売人たちの様子を注意深く見つめていた。黒人の若者たちが、後でどうなるか結果も気にせずヤクを売っている(年齢的には、たとえ捕まっても本当の刑務所には行かずに済む年齢だ)。実際、彼らの世界では、捕まる可能性はまったくなかった。警察は、街のこの地域に立ち入ろうとすることなどめったになかったし、入ってきたとしても、ドラッグを扱う地元の帝王たちから賄賂を受け取るためだけなのだ。ここでは法律は完全に無力なのであり、あのガキどもはそれを知っている。

モーリスは監視を続け、間もなく、あのガキどもがカネを隠してる場所を掴んだ。動く時が来た。車を出し、角を曲がった。バンを止め、目立たぬように降りた。防弾チョッキの上に長いトレンチコートを羽織り、銃身の短いショットガンを持った。彼は大きい男ではない。160センチほどだし、体重も60キロ弱。だが、武器の使い方は心得ている。加えて、誰もが、モーリスを怒らせたら、彼は何のためらいもなく銃を使うと知っていた。彼の評判は、持ってるショットガンと同じく、重要な武器となっていた。

角を曲がった。売人たちは、あたりを警戒することすらしてなかった。誰も自分たちに近寄ろうとする者などいないと思いこみ、安心しきっていたのだろう。彼らがモーリスに気づいた時には、すでに売人3人の真後ろに来ていた。すでに遅すぎだ。モーリスはすでにショットガンの銃口を彼らに突き付けていた。

「俺がここに来た理由は分かってるな?」 ガキのひとりが頷いた。「じゃあ、それを渡せ」

金の隠し場所に近いところにいたガキは、躊躇わず、すぐに茶色の紙袋を掴み、モーリスに放り投げた。モーリスは器用に袋をキャッチした。

「ありがとよ」

モーリスは逃げながら声をかけ、角を曲がり、バンに向かった。

*

ジャマルは怒り狂った。

「あの野郎、ぶっ殺す!」

こぶしでテーブルを叩き、周りにいる手下たちをじろりと見た。

「あいつは、もう1年近く、俺たちのカネを盗んできてるんだ。なのに、お前たち、あいつを見つけられねえって言うのか?」

屈強そうな黒人たちのひとりが何か言いかけたが、ジャマルは遮った。

「モーリスを生きたまま俺のところに連れてきたら、誰でも50万ドルやる!」

男たちがいっせいに溜息を漏らした。

「来週中に連れてきたら、もう10万ドル上積みだ。俺の言葉をみんなに広めろ!」

ジャマルはそう言って部屋から出て、ドアをバタンと閉めた。

*

ジャマルの言葉が広まるのに1日かかった。ある暴漢グループがモーリスをジャマルのところに連れてくるまで、もう2日かかった。モーリスはしたたかに殴られていたが、まだ生きていた。顔は膨れ上がり、傷だらけで、立っていることすらままならない様子だ。

連れてきた悪党どもにカネを払った後、ジャマルは手下に命じ、モーリスを地下室に連れてかせ、衣服を剥いで裸にさせた。手下たちは彼を椅子に縛り付け、そのまま暗い地下室に放置した。

モーリスが放置されていた2日後、ようやくジャマルが彼の前に姿を現した。

「モーリス、俺はこの何日か、お前をどうするか考えてきた。やろうと思えばいつでもお前を殺せる。だが、それじゃあ、充分じゃねえんだ。拷問もできるが、俺は、人の爪を剥がしたりするのを見るのは好きじゃねえ…」

ジャマルは半殺し状態の強盗男の周りをぐるぐる回りながら話し続けた。

「…お前にどう償ってもらえるか、ずっと考え続けた。他のやつらに、俺たちに手を出すとどうなるか知らせる方法だ。お前と同じ種類の連中に、どんな類のことをすれば一番効き目があるか? どうすれば、こんなことが二度と起こらないようにできるか?…」

ジャマルはしゃがみ込み、モーリスと同じ目の高さになった。そして手を出し、彼の顔を上向かせ、しっかり視線を合わせた。

「…それで、俺がどうすることにしたか、分かるか? 俺はベッドでふたりの綺麗なエロ女と寝ている時に思いついたことだ。もし、モーリスをメス豚に変えられたら、どうだろうってな。俺に手を出した男は、一生、本物の男たちのためのオンナ男として生きることになると、皆に知らせるのだ…」

ジャマルはモーリスの頭を離した。モーリスはがっくりうなだれた。

「…そこで俺は何本か電話をした。今の時代、どこまで可能になってるか知るためにな。そして、ある男を見つけたんだよ。オマール・ベル博士というやつだ。そいつは、まさに俺が求めてることをする薬を開発したと言ってる。だが、かなりカネもかかるとも言っていた…」

ジャマルはそこで沈黙した。そしてしばらく後、また話しを始めた。

「…分かると思うが、俺は今は億万長者となっている。ああ、本当だよ。この町を仕切って、もう10年になる。ベル博士の要求には、その気になれば、簡単に応じることができる。そいつは、その薬のテストをしたがっていた。何か他のことを計画してるんだろう。だが、そいつの計画なんか俺には関係ねえ。あいつは俺にその薬を売ると言った…」

「というわけで、明日、お前を別の都市に移動する。そして、そこでお前はエロいオンナ男のメス豚として人生を始めるのだ」

そう言ってジャマルは、意識が混濁したままのモーリスを後に、地下室の階段を登り、出て行った。

*

モーリスは不思議な感覚に目を覚ました。…柔らかな毛布? ジャマルから何らかの懲罰を与えられたのはぼんやりと覚えている。それに、どこかに移動されたことも。かなりの時間、窓のないバンの中で揺られていたのを思い出した。

目を開けると、そこはピンクだらけだった。柔らかい毛布はパステルカラーのピンク。ピンクの毛布は、素っ裸のままの彼の、コーヒー色の肌と鋭いコントラストをなしていた。部屋を見回し、まるで10代の娘の部屋のようなところにいるのを知った。壁には、上半身裸のラッパーたちのポスターがたくさん貼られていた。モーリスは両脚を振るようにして、ベッドから降り、立ち上がった。部屋全体もピンクで白の縁取りがされている。ドアを開けてみようと試したが、びくともしなかった。部屋の一角には、大きな全身鏡が立てかけてあった。

奇妙な懲罰だ、とモーリスは思った。しかし、他に何もすることがないので、彼はまたベッドに戻り、眠りに落ちた。

*

それから何時間も経ったか、あるいはたった数分だったかもしれない。時間を知る方法がなかった。ともあれ、ドアのノブが回る音を聞き、彼はすぐさま目を覚ました。

ドアが勢い良く開き、モーリスはそこに飛びかかった。後の祭りだが、これは間違った判断だった。というのも、入ってきた男は、モーリスよりはるかに巨体の男だったからである。体重は100キロはゆうに超え、身長も2メートル近くある、漆黒の肌の筋肉の塊だった。モーリスはまるで子供のように、この男に簡単にあしらわれた。

「今みたいなことはもうなしだぞ、オンナ男」

モーリスは男の腕の中、自由になろうともがいたが無理だった。男はモーリスをベッドへと運び、腰を降ろし、自分の太ももの上にうつ伏せにさせた。そして、彼の尻を叩き始めた。

「良い」 ピシャリ! 「子は」 ピシャリ! 「歯向かわ」 ピシャリ! 「ない!」 ピシャリ!

スパンキングは2分ほど続き、モーリスは目に涙が溢れてくるのを感じた。痛みから来る涙ではなかった。苦痛なら対処できる。その涙は屈辱感からだった。男はスパンキングを終えると、裸のモーリスをベッドに放り投げた。モーリスは泣きながら男を睨みつけ、身体をボールのように丸め、できるだけ小さくなろうとした。

「お前に食い物を持ってきた。そのまま動くなよ」

大男はそう言い、ドアの向こうに消え、そして、サラダとコップ一杯の水を乗せた小さなトレーを持って戻ってきた。

「聞きたいことがあるだろうが、お前に聞く権利はない。お前の主から文書が来てる。それを読むが、お前はそれに従わなければならない」 と大男は1枚の紙を取り出し、読み始めた。

「お前の処置は成功した。お前に何が起きるか、詳細には省くが、今後2ヶ月ほどで、お前への懲罰が全面的に始まるとだけ言えば充分だろう。これからのトレーニングに最大の努力を払うよう期待する。そうしなかったら、俺は極めて不満足になるだろう」

大男は顔を上げて、言った。「ジャマルとサインしてある」

男はドアを出ながら言った。「食え。30分したら食器を片づけに戻ってくる。…それから、トイレを使いたくなったら…」 とドアの近くのボタンを指差し、「こいつを押せ。誰かがお前を案内するはずだ」

そしてドアが閉じられた。

モーリスは飢えていた。襲いかかるようにサラダに突進し、食べ始めた。量は子供の食い物程度しかなかった。30分後、先の男が戻ってきた。この時も、モーリスは脱出を図った。そして結果は、先の時より酷いことになり、男は再び彼にスパンキングを行った。

*

2時間ほどした後、モーリスは我慢できなくなり、ボタンを押した。小便をしたくなったのだ。先の大男がドアを開けたが、今回はモーリスは脱出しようとはしなかった。

男に連れられて廊下を進んだ。かなり豪華な家らしい。長い廊下の先にトイレが見えた。モーリスは急いでトイレに入り、ドアを閉めた。

「ドアは開けたままだ」 と大男は手でドアを押さえた。「それに、オンナ男は立って小便をするものじゃない。座ってするものだ」

モーリスはまたスパンキングをされるのは御免だったので、言われた通りに座ってやった。用を済ますと、大男がトイレットペーパーを出した。

「小便を終えたら、拭くのも忘れるな」

これにもモーリスは従った。また廊下を進み、ピンク色の部屋に戻ると、お尻を軽く叩かれるのを感じた。

「いい娘だ」

大男は笑顔で言った。

*

翌日は、特に変わったことは起きず、同じパターンをたどった。だが、ここに来て3日目になり、モーリスはある変化に気づいた。体毛がなくなっているのである。正確には、ペニスの上部に細い線となった陰毛は残っていたが、他の体毛はなくなっていた。モーリスは、特にすることがなかったので、どうしても、この体毛の喪失について考えこんでしまうのだった。これから先、どんなことが待ち構えているのだろう?

答えは翌朝、出てきた。ペニスが目に見えて小さくなっていたのだ。前は勃起したら23センチ(柔らかい時は15センチ)だったが、今は、柔らかくて10センチ、ここに閉じ込められてから一度も勃起していない。

もうひとつ、はっきり言えることは、乳首が前より敏感になっていたことだ。多分、少し大きくなってもいるだろう。モーリスは、自分を憎む理由が充分ある男に、完全に支配されてることに、恐怖した。

さらに翌日、彼のペニスはさらに縮小していた。濃い目の色の乳首が成長しているのは間違いなく、乳輪は直径3センチになろうとしていたし、乳首は6ミリくらい突き立っていた。

モーリスは鏡をを見て、身体が縮小していることに気づいた。少なくとも上半身は小さくなっている。日を追うごとに、かつての筋肉は消えて行った。下半身についても変化が起きていた。お尻が前より大きくなり、丸みを帯びていたし、ヒップが広がったか、あるいは、ウェストが細くなったのか、あるいはその両方が起きているように見えた。

その夜、明日は何も変化が起きなければいいのにと願いながら、眠りについた。寝ながら何度もうなされた。

*

ほぼ6日がすぎた。モーリスはジャマルがどこまで計画しているか分かり始めていた。今やモーリスは以前の彼とは思えぬ姿になっていた。

彼の顔は、全体的に丸みを帯びていたし、大きな鼻は少し細くなっていたが、依然として彼の顔ではあることに変わりはない。モーリスを見たら、誰でもモーリスの顔だと気づくだろう。だが顔以外の身体の方はと言うと、こちらは大きな変化を見せていた。

かつてのしなやかな鋼のような身体は、今は、滑らかで、柔らかく、曲線に満ちた体つきになっていた。乳首はぷっくり膨らみ、勃起してることが多くなった。1センチ弱の大きさでツンと立っている。身体には筋肉の存在をうかがわせるようなトーンがほとんどなくなっていた。ウェストは本当に細くなっていたし、ヒップも膨らみ、典型的な砂時計のプロポーションになっていた。お尻も丸く膨らみ、(もし、こういうお尻をした女がいたら)実にセクシーだろうと、彼自身も認めざるを得ない。お腹も少しだけ丸みを帯びていた。

そして、かつての自慢のペニスは今は見る影もなく、たった5センチになっていた。決して勃起しない。睾丸も同様に縮小し、今は小石ほどの大きさになっていた。さらに、肌の色までも変化を見せていた。以前より色が明るくなっている。確かに今だ黒人であるのは事実だが、親のひとりは白人だと言っても通じるほどになっていた。

6日目の朝、見張りをしてる男がバッグを持って部屋に来た。男はそれを床に置き、「これを着ろ」 と言って立ち去った。

モーリスは床からバッグを拾い、ひっくり返して、中のものをベッドにぶちまけた。入っていたのはランジェリーだった。Gストリングのビキニ、ビスチェ、ガーターベルト、それにストッキング。モーリスは、こんなものを着るなら、裸でいるほうがましだと思った。

1時間後、モーリスはランジェリーを着るのを拒んだため、したたかにスパンキングをされた。見張りの男が出て行くと、モーリスはぎこちない手つきでランジェリを着始めた。馬鹿げているとは思ったが、身につけ、立ってみると自分が極めてセクシーであると、我がことながら認めざるを得なかった。しかし、歩き出した途端、その幻想は粉々に崩れた。歩き方が、依然として、男性的なのである。ある意味、自分にそういうところが残っていたと知って、モーリスは慰められた気持ちだった。

翌日、彼はまた別のバッグをよこされた。今度は、薄い黄色のベビードールのナイティと、それにマッチしたソング・パンティだった。今回はモーリスは拒否せず、すぐに着てみた。明るい側面として、この日、モーリスはどこも変化したところがなかったことがあった。

その夜、彼は不思議な夢を見た。夢の中、例の見張り役の男が彼の部屋に上半身裸で入ってきたのである。そしてモーリスはその逞しい男の肌に触れ、手を這わせ続けたのだった。夢は、彼が見張りの男に激しくセックスされるところで終わった。

モーリスは冷たい汗をかいて目が覚めた。不思議なことに、アヌスが濡れているのを感じた。こんなことは一度もなかった。

翌日、モーリスの声が変わった。もともと、声が特に低いわけではなかったが、その日以降、彼の声ははっきりと高音になったのだった。声質は、モーリスの男性性を示す最後のひとかけらだった。

*

その2日後、モーリスは部屋から連れ出され、バレエ・スタジオのように見える部屋に案内された。

「脱げ」 と見張りの大男が命じた。モーリスはためらうことなく、指示に従い、見張りの男に着ていたランジェリ(この日は薄青のセット)を渡した。

すると、ちょっとした後、レオタード姿の白人女性が入ってきた。女性にしては背が高い人だった。少なくとも185センチはありそうだと思った。ということは、小柄なモーリスに対面したら、そびえ立つように見える。

女性はモーリスの姿を頭からつま先まで観察し、その後、見張りに言った。「あなたは行ってかまいません。私で充分、扱えるから」

見張りは頷き、部屋から出た。

「あなたはオンナ男です」 彼女は、まるで議論の余地のない事実を語るような言い方で述べた。「そして、あなたはそのように振舞えるように学ばねばならない。今のあなたは、ドタドタと歩き、ゼイゼイ息をして動いてる。あなたはもっと軽やかに変える必要がありますね。優雅になるのです。さもなければ、お仕置きを受けるでしょう」

とういう次第でレッスンが始まった。この女性は決して名前を明かさず、モーリスが背中を軽く反らして立つようになるまで、執拗に彼の姿勢を直し続けた。立つときは、前腕を身体に垂直に前に出させ、手首からは力を抜かせ、だらりと下げるようにさせた。立つときは、この姿勢を取ることがデフォルトとされた。モーリスが不満を言ったり、適切な姿勢で立てなかったりすると、彼女は容赦なくステッキで彼を叩いた。

続く2週間、毎日このレッスンが続けられた。1回につきほぼ3時間のレッスンだった。そして、ようやくモーリスはこの姿勢で立つことが第二の天性となるまでに至った。そして、その後はバレエのレッスンに変わった。モーリスは優雅に動くことを学び始め、一つ一つの動きをマスターするたびに、心から満足するようになった。

このバレエのレッスンは、彼が幽閉されてる期間の最後まで続けられた。

*

ある夜のことだった。モーリスが拘束されてからほぼ1ヵ月が経っていた。彼はベッドに座り、天井を見つめていた。赤い縁飾りがついたキュートな白いボーイ・ショーツ(参考)と身体にぴっちりのキャミソール(参考)の姿だった。

ドアが開き、外から見たこともない美しい女性が入ってきた。その女性の乳房はCカップながら張りがあり、身体はスポーツ雑誌の水着特集の表紙で見たような理想形をしていた。しかも、その女性は一糸まとわぬ姿であった。

彼女は唖然としてるモーリスの隣に横たわり、彼の方を向き、脚を広げながら言った。

「ヤッテ」

モーリスは文字通り履いていたパンティを破るようにして脱ぎ、その女性の脚の間に割り込んだ。ただ、ひとつだけ問題があった。彼の小さなペニスは全然勃起しようとしなかったこと。

「どうしたの? あなた、女の子、好きじゃないの?」

モーリスは焦りながら、小さなペニスを引っぱり、しごいてみたが、無駄だった。ふにゃふにゃのままなのだ。あまりの情けなさに、彼は目に涙を浮かべた。

「泣かないで。そこについてるものを使わなきゃ、楽しめないと言うわけじゃないでしょ? ねえ、私が教えてあげる…」

と、その女性は前屈みになり、彼の柔らかいままのペニスと小さな睾丸を一緒に口に含んだ。そして、モーリスは彼女の指がアヌスの縁に触れるのを感じた。次の瞬間、その指はするりと中に入ってきた。モーリスがこれを予期していなかったのは確かだった! 彼女はモーリスの陰部を口から出し、彼を見上げて言った。

「これ、気持ちいい?」

「うん、いいッ!」 モーリスは息も絶え絶えに答えた。

指でアヌスをいじられながら、モーリスはのけぞり、時々ああーん、ああーんと女の子のような喘ぎ声を上げた。そして彼は射精したのだった。自分自身のつるつる肌のお腹に白濁をまき散らす。彼女が一度も彼のペニスに触れなかったにもかかわらず。

そして、その美しい女は無言のまま立ちあがり、部屋から出ていった。

*

翌朝、モーリスはドレッサーの中に大きな黒いディルドがあるのに気づいた。彼はそれを無視しようとしたが、実際は、何度もそれに気を惹かれ続けた。

その日のダンス教室は、ゴージャスな若い女性が担当だった。彼女はモーリスと同じくほとんど全裸に近い姿で彼の指導に当たり、教えたダンスも、決してバレエとは言えない踊りだった。むしろストリッパーのダンスに近いと言えた。

その翌日には、さらにもう2名、全裸に近い女性たちが加わった。モーリスは、裸同然の美しい女性たちに囲まれていたにもかかわらず、まったく興奮しなかった。

その日以降、モーリスはバレエではなく、かわりに、お尻の振り方を覚えることになった。

*

次の日の夜、彼はとうとうディルドの誘惑に負けてしまった。もし指1本で射精できたとしたら、あのディルドを使ったら、どんなに気持ちいいことだろう? モーリスは誘惑に負け、ドレッサーからディルドを出した。非常にリアルな形をしていて、シャフトに沿ってごつごつと血管が浮き出ていた。

モーリスはベッドに仰向けになり、脚を大きく広げた(ストレッチングをしていて、良かった!)。ディルドを手に握り、もう一方の手をアヌスに伸ばし、指で探った。そこはすでに濡れていた。興奮しつつ、彼は何も考えずにディルドを押し込んだ。痛みに思わず叫び声を上げそうになった。だが、緊張がほぐれるにつれ、ゆっくりと出し入れの動きを始めると、その痛みはみるみる快感へと変わっていった。もう一方の手で大きな乳首を触り、優しくマッサージした。

それを始めて1分かそこらで、モーリスは絶頂に達した。こんなに激しい絶頂は始めてだった。身体全体がぶるぶると震えた。オーガズムに達したのもあっという間だったけれど、それから回復するのもあっという間だった。回復するとすぐに彼は再び同じことを始めた。その夜、モーリスはずっとこれを続けた。何十回イッタか、分からない。

*

翌朝、彼は目を覚まし、驚いた。誰かが部屋にテレビを運び入れたらしい! 早速テレビをつけたが、がっかりした。どのチャンネルも同じものを放送していたからである。全裸の、非常に逞しい黒人が腰を回転させ、巨大なペニスをぶるんぶるん振りまわしてる動画だった。モーリスはほとんど反射的に勃起した。この数ヶ月の間で、初めての勃起だった。

*

日々がめまぐるしく過ぎ去った。毎日レッスンが続けられた。日中はダンスのレッスンを、夜はディルド遊びで埋まった(テレビで男性ダンサーを見ながらするのが普通である)。過ぎた時間は何週間かもしれないし、何カ月かもしれない。モーリスには分からなくなっていた。

そしてある夜、ディルドを使った最初の夜以来、彼が想像し続けていたことが起きたのだった。

モーリスは裸でベッドにごろごろし、アヌスをただぼんやりといじっていた。するとドアが開いたのだった。顔をあげてドアの方を見たら、例の見張り役の男が入ってきたのだった。

男はドアを締め、言った。「こっちに来い」

モーリスは言われた通りにした。何も考えずに腰を振って歩き、男に近づいた。

「床にひざまずけ」

モーリスは再び言われた通りにした。

「ズボンのチャックを降ろせ」 これにも従った。

「俺のちんぽを握れ」 モーリスは言われた通りにした。

「しゃぶるんだ」 と見張りは命じ、モーリスは従った。

最初、モーリスはテクニックはほとんどなってなかった。ただ怪物ペニスを口に入れ、頭を上下に振るだけだった。仕事を終えるのに数分かかったが、見張りは最後には射精をし、モーリスの喉奥に精を流し込んだ。

「感謝の言葉を言え」と見張りは言い、モーリスは「ありがとうございました」と言った。そして見張りは、ぴちゃぴちゃ音を立てて精液を味わうモーリスをそのままに、部屋を出ていった。

それ以来、これは毎晩行われるようになった。モーリスのテクニックは上達し、すぐに、ポルノのスターのようにフェラができるようになった。あの見張り役の男は、おしゃぶりしながら睾丸をいじると喜ぶらしいと彼は学習した。

*

2日後、彼のダンスのインストラクター(セクシーな裸の方のインストラクター)が、再び彼の部屋を訪れ、モーリスは驚いた。だが今回は、彼女はストラップオンをつけていた。

「今日はあなたにプレゼントを持ってきたわ。四つん這いになりなさい」

モーリスは喜んで従い、四つん這いになった。ただの四つん這いではなく、ピンクのブランケットに顔を埋め、お尻を高々と掲げた姿勢になっていた。

女性は彼の後ろの位置につき、ディルドをアヌスに押し当てた。

「あなたのちっちゃなおちんちん、すごくキュートだわ。どのくらいの大きさ? 5センチくらい?」

モーリスは答えなかった。

「これじゃあ、たとえ勃起できたとしても、女のあそこにフィットさせるなんて無理だわね」

その通りだとモーリスは知っていた。

そして、次の瞬間、女はディルドを押し込んだ。

「あ、ああーん!」

モーリスは女のような悶え声を上げた。

「あら、こうされるの、好きなのね? そうでしょ、淫乱ちゃん?」

女が何度か出し入れを続けた後、モーリスは答えた。

「ああ、いい! そうなの。やって! 強くヤッテ!」

「私をパパとお呼び、淫乱!」

「あ、はい! パパ、私を犯して! もっと強く、パパ!」

モーリスは叫び声を上げ続けた。女も同じだった。女は何度も繰り返しディルドを突っ込んだ。ほぼ1時間、続けた。その間、モーリスは3回、絶頂に達した。

モーリスが疲れ果て、ぐったりとすると、女は彼をそのままに部屋を出ていった。

*

それ以来、その女は週に1回、彼の部屋に来るようになった。そして、毎回、彼女は自分のことを「パパ」と呼ばせた。だがそんなことはモーリスは気にしなかった。彼女が自分を犯してくれる限り、そんなことはどうでもよかった。

そしてある日、今度はスタイリストが彼の元に送られてきた。髪のセットの仕方を教えるためである。この数ヶ月の間にモーリスの髪は長くなっていた、スタイリストの女性は彼に、髪を美しく整える方法を教えた。それから2週間、スタイリストは毎日彼の元に現れ、やがてモーリスは自分で容易く髪を整えられるようになった。

その次には化粧のレッスンが始まった。これも同じようなやり方で行われた。概略的に言って、モーリスの日常は、ディルドによるセックス、フェラチオ、セクシーダンス、そして自分を可愛らしく見せるための方法の習得に埋められた。

最後は服装だった。それまではモーリスはランジェリ姿でいることしか許されていなかったが、ある日、(今だ名前も知らない)例の見張り役の男が彼の元に衣類が入ったバッグをいくつか持ってきたのだった。

モーリスは急いでバッグの中を調べた。丈の短いクラブ用のドレスから、タイトなボディースーツ、さらにはビキニ、ショートパンツ、ジーンズ、様々な露出度の高いトップに至るまで、あらゆるものが中に入っていた。モーリスは、自分の意に反して、どうしても試着してみたくて待ち切れなかった。

新しい衣類を試着して、彼は大興奮の状態になった。どれを着ても、すごくセクシーに見える。今や、ランジェリだけの衣類から、あらゆる種類の可愛い、セクシーな衣類を着ることができる。

その2日後、ひとりの女性が部屋に来て、彼の耳とおへそにピアスを施した。その女性は彼に大きな輪のピアスをつけ、いつもそれをつけてるようにと彼に命じた。

*

さらにその2日後、モーリスのダンス・レッスンに新しい要素が導入された。ハイヒールを履いてダンスすることである。最初は(5センチほどの)比較的低いヒールを履いて始め、日を追うごとに、ヒールの高さが高くなり、最後にはヒール高15センチのスティレット・ヒールを履いてダンスするまでになった。2週間ほどの間に、モーリスは完全にマスターした。

さらにテレビにふたつほど従来のテレビ局の番組が加えられた。だがモーリスは結局は、あの裸の男がダンスする番組に落ち着くことが多かった。もっとも、他の番組も楽しまなかったわけではない(例えば、ミュージック・ビデオの番組でラップを見ることなど。もちろん、彼は、自分が、ラップ曲にあわせて裸同然の姿で踊る女性たちのひとりとなってると想像して見るのである)。

さらにもう2週間ほどした後、モーリスは何かが起きそうだと感じた。彼の周りのセキュリティが緩められたのである。家の中、自由に歩き回ることが許されたのだった。だが、彼は大半の時間を自分の部屋で過ごした。ほぼ1年間、この部屋で生活してきたのである。ここを出るのを恐れている部分が彼の中にあった。

*

そして、ある夜、彼は自分のピンク色のベッドで眠りにつき、翌朝、どこか他のところで目を覚ましたのだった。そこはうす暗く、かすかに見覚えのある場所だった。

「あいつら、本当にできたんだな…」

モーリスは何者かがそう言うのを聞いた。

「…疑っていたが、本当にやるとは」

「ここはどこ?」 とモーリスは甲高い声で訊いた。

「お前、分からんのか?」 と声の持ち主が言った。

そしてモーリスは部屋の隅の陰に人が立っているのに気づいた。

「俺がお前にこれからどうなるか言ったとき、お前はまさにそこに座っていたんだぞ。忘れたのか、モーリス?」

モーリスは自分が素っ裸にされているのに気づいた。確かに、この1年間、ほぼ裸の状態で過ごしてきたのではあるが、それでも、この状態はとても無防備すぎて落ち着かなかった。そして、彼は思い出した。この声の持ち主が誰かを。

ジャマルが前に進み出て、明かりの元に現れた。そして、すぐにモーリスはその人物に気づいた。強盗をしていた頃に知っていた人物としてのジャマルではない。違う。テレビに出ていた男としてのジャマルだった。

「立て、オンナ男! お前の姿を俺によく見せろ」

モーリスは躊躇わずに立ち上がった。ジャマルはゆっくり歩いて彼の周りを一周した。モーリスは荒々しくお尻を揉まれるのを感じた。次の瞬間、ジャマルはふざけまじりに彼の尻をぴしゃりと叩いた。

「私に何をするつもり?」

ジャマルはチャックを降ろし、ズボンを脱いだ。そして、部屋の中央にある椅子に腰を降ろした。モーリスはジャマルがすでに勃起しているのに気づいた。そして自分が何をすることを求められているかを察した。それをすることに何ら恐怖は感じなかった。彼はジャマルの前に向き直り、床にひざまずいた。目の前にはジャマルの大きなペニスがそそり立っていた。

モーリスはジャマルの睾丸から始めた。愛しそうにそこを舐め、その後、少しずつゆっくりと肉茎に沿って上下に動き、何度も優しいキスをした。ほぼ5分間に渡って、それを繰り返し、ジャマルを焦らし、その後ようやく、亀頭を舐めはじめた。

さらにもう2分ほど、亀頭を舐め回った後、頭部を口に含み始めた。口に入れて何秒か舌でこね回しては、口から弾くようにして出す。それを繰り返した。やがて先端から先走りが出始め、それを味わった。そしてようやく、彼は本格的に吸い始めた。巨大なペニスを喉奥まで吸いこんでは吐き出す。彼の口にジャマルが噴射するまでそれを続けた。

モーリスは出されたものを飲み下し、口の中がきれいになると、無意識的に「ありがとうございました」と言った。そして床に正座したまま、ジャマルの睾丸を舐め清めた。ジャマルは、椅子にふんぞり返りながら、そんなモーリスのストレートにした髪を優しく撫で続けた。

2分ほど経った。ジャマルは再び勃起していた。

「俺のここに乗っかって、踊れ」

モーリスはジャマルに背中を向け、彼のペニスの上に位置取った。だが、ジャマルはそれを止めた。

「いや、俺はやってる時のお前を見たい」

そこで、モーリスは前に向き直り、お尻に手を伸ばして、ジャマルの巨根を自分のアヌスに導き入れた。

「ああーんッ!」 とモーリスは悩ましい声を上げた。そして早速、動きだし、すぐに叫び声を上げ始めた。

「いいッ! もっとヤッテ、パパ!」

モーリスはジャマルのペニスを相手に激しく上下に身体を動かした。女っぽいお尻の頬がぶるぶると揺れていた。

*

3時間ほど経った。さんざんセックスが繰り返された。ようやくジャマルが地下室から出てきた。手には鎖をもち、その鎖にはモーリスがつながれていた。

モーリスは黒いブラジャーとパンティ、そしてハイヒールだけの姿だった。

「俺は散歩に行くことにする」 とジャマルは言った。

散歩をするふたりの後ろで、「おい、あれがモーリスか?」とか、「女のモーリス、見てみろよ!」とか、「ジャマルに一発やられたら、誰でもあんなふうになるのさ」 とかの囁き声がかわされた。

近所を歩いた後、家に戻ると、ジャマルはモーリスに裸になれと言った。もちろん、モーリスは言われた通りにした。

「おい、おめえたち、ご褒美だ。こいつを自由にしていいぞ」

すぐにモーリスは何本もの巨大な黒ペニスに取り囲まれた。彼にとって生れて初めての輪姦だった。その中心になれて、彼はこんな幸せなことはなかった。

*

何日か過ぎ、やがて何週間かが過ぎ、さらには何ヶ月かが過ぎ去った。今や、モーリスはジャマル一味を相手とするセックス玩具としての役割に完全に馴染んでいた。ジャマール一味の本部(計画住宅群に隣接するアパートのビル)の中では、モーリスは裸でいることが多かった。彼は、まさにエッチなペット女に期待されてるように振舞い、逞しい男どもにいちゃついたり、彼らの下腹部に乗っかったりし、男たちの目の保養となっているのだった。

ギャング一味には他の女たち(大半が黒人)もいたが、モーリスは彼女たちとはあまり仲良くはできていなかった。多分、嫉妬心からだろうとモーリスは思った(自分の方が彼女たちより、いい体をしてたのは事実)。もっとも、彼女たちは、しょっちゅう、モーリスの小さいペニスをからかった。中には、彼のペニスをいじりながら、「ねえ、このちっちゃなおちんちん、すごくキュートよね?」 とか言ってからかう者もいた。また、「こいつ、ほんとに根っからオンナになってる。勃起すらできないじゃん!」と誰かが言うと、必ず別の女が反応して、「いや、この人、勃起するわよ。ただ男を相手にするときだけ、だけど」と言うのであった。

そんなからかいもモーリスは気にしなかった。ジャマールたちは、女たちを集めて一種のハーレムを作っており、モーリスはその一員に加えられた。もっとも、モーリスがそこで他の女たちと寝ることはめったになかった。彼はセックス玩具として男たちと寝るので忙しかったからである。

ある日、ジャマールが来て、モーリスに言った。

「服を着ろ。セクシーな服だ。お前に仕事を用意してやった」

モーリスはいそいそとジャマールの部屋へと向かった(もちろん、お尻を誘惑的に振りながら)。彼は今や女の子のように走る仕草を会得している。モーリスは、タイトなミニスカートと、ホールター(参考)のトップ、それにハイヒールを選んだ。ジャマールの部屋に行くと、ジャマールは彼の格好を見て、「それでよかろう。ついて来い」 と言った。

ジャマールは、モーリスを自分のメルセデス・ベンツに乗せた。モーリスは車に乗るとすぐにフェラをしようとジャマールの股間に顔を寄せた。だがジャマールは彼を押しのけ、「今じゃねえ」 と突き放した。モーリスは車に乗ってる間ずっと、不満そうに口を尖らせていた。

間もなく、車はひと気のない公園に着き、そこに駐車した。その数分後、パトカーが彼らの車の隣に停まった。ジャマールはモーリスに車から降りるよう命じた。

モーリスはジャマールの後ろについて、ふたりの男たちが挨拶を交わす間、従順そうに立っていた。警官は白人だったが、ジャマールと同じく大きな身体をしていた。

「そうだな、それなら俺たちもうまくやっていけそうだ」とジャマールは警官に言い、その後、モーリスに向かって、「こっちに来い」と言った。

モーリスは言われた通りにジャマールの隣に来た。

「この人はウィルソン巡査だ。お前、巡査のこと覚えているよな? この巡査の相棒をお前は殺したんだ」

モーリスは、巡査の顔を見ることができず、目を伏せた。

「まあ、言ってみれば、巡査はお前に償いをしてほしがっている。と言うわけだ、巡査にいい気持ちをさせてやれ」

モーリスは裸になり、地面にひざまずいた。そして警官のズボンのチャックを降ろし、そのペニスを焦らしつつ舐めはじめた。

「違う、メス犬! 吸うんだ!」

ウィルソン巡査はモーリスの頭を押さえ、ディープスロートをさせた。そして、彼の頭をぐいぐい突きを続けた。それを2分ほど続けた後、ウィルソンはモーリスの喉を掴んで、立ち上がらせた。そして、乱暴にモーリスをパトカーのボンネットに覆い被らせ、彼のアヌスに挿入した。ウィルソンはあまり長くは持たなかった。モーリスは、白人男で長く持つのはめったにいないと知っていた。とは言え、この短いセックスでも、一度だけ彼はオーガズムに達することができた。

ウィルソン巡査は射精を終えると、ぼろ雑巾を捨てるように、モーリスを地面に投げ捨てた。モーリスは地面に横たわったままでいた。

「これでいいだろう。今度の木曜にお前のアジトの捜査に入る計画がある」

警官はジャマールにそう言い、パトカーに乗り、走り去った。

ジャマールはモーリスに手を差し伸べ、彼を立たせ、「服を着ろ」と言った。ふたりとも車の中に戻ると、ジャマールが説明を始めた。

「お前も知ってる通り、ウィルソン巡査は絶対にワイロを受け取らなかった。俺たちがいくらカネをつんでも、あいつは絶対に受け取らない。だが、今回は、あいつの方から俺に話しを持ちかけてきたんだ。信じられるか? あのバカ真面目の巡査の方から俺のところに来て、お前に会えるなら情報をやってもいいと言ってきたんだぞ。ウィルソンは、始めはお前を殺す気でいたが、俺はそれはさせないと言った。するとあいつはお前と一発やらせろと、それで取引してやってもいいと言ってきた。お前、どう思う?」

モーリスはしばらく考え、そして答えた。「あなた様のお役に立てて、嬉しいです」

「いい答えだ」 とジャマールは言った。そしてしばらく経って、彼は付け加えた。「今なら、おしゃぶりしていいぜ」 

モーリスは素早くジャマールの巨根にすがりつき、嬉しそうにおしゃぶりを始めた。

*

生活は続く。モーリスの生活はほとんど同じだった。1年から2年が過ぎ、ようやくモーリスは比較的自由に好きなところに行けるようになった。ジャマールは身銭を切り、モーリスに豊胸手術を受けさせすらした。ジャマールが経営するストリップクラブのひとつで働けるようにである。

ジャマールは、モーリスを自由にして2ヶ月ほどすると、彼はモーリスへの興味を失い、彼の一味の本部から、2ブロックほど離れたところにある小さなアパートに引っ越させた。

モーリスにしてみても、自分の人生が前より少し良くなったと認めざるを得なかった。強盗としての生活は、常に恐怖をともなった生活だった。その恐怖心は、精神を鋭くし、常に警戒感を持ち続けるために、必要なものだった。常に居所を変え、廃墟のビルから、また別の廃墟のビルへと移り住む生活だった。確かに、腕の立つ強盗として尊敬は集めていた。だが、実質的な利益はそれだけだったと言ってよい。

そんな生活に比べたら、今の生活ははるかに良いと言える。何も恐怖することはなくなった。好きなだけセックスをしてもらえるし、依然と同じく尊敬を集めてもいた(以前とは別の種類ではあるが)。男たちはモーリスのお尻を敬ってくれるし、新しい乳房も敬ってくれる。さらに、モーリスが手や、口、あるいはアヌスを使ってすることを、男たちは敬ってくれるのである。

今の生活は、前よりずっといい。

*

オマール・ベル博士は、モーリスの変身の記録をメモを取りながら再検討していた。フェロモンに対する反応をちょっと修正しなければならないだろう。被験者をちんぽ狂いにしたいとは思わない。それに、もう少し変身過程を長くさせたいと思った。彼はある合成物を分離させる作業を開始した。その合成物を取り除けば、黒人男性には作用しなくなるはずだ。

だが、まだまだしなければならない研究があるし、もう何件かテストをする必要がある。博士は、被験者に乳房を与えることも考えた。当初のプランではそうするつもりだった。だが、その可能性について考えれば考えるほど、むしろ乳房を持たせない方が、より弱い立場にすることができるのではないかと思えてくる。乳房がなければ、自分たちの存在をより自覚できるはずだ。決して、女性ではないのだと。自分たちは、決して女にはなれないが、女にきわめて近い男なのだと。

そして、ベル博士は作業に取り掛かった。


おわり
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