「新しい始まり」 A New Begining 出所 by thekestrelkid@yahoo.com

男は思案に暮れていた。コンベンション・センターのドアを出ながら、ぶつぶつと呟き、罵っていた。2年間の設計と開発の努力が水泡に帰してしまったのだ。会社の最高で最新のテクノロジーを発表した彼だったが、主要な競争相手であるイニテック社に、それより良い製品を発表され、出し抜かれてしまったのである。くそったれ! 男は自分で設立した会社を畳まなければならないだろう。35人の社員を解雇しなければならないし、過去何年間かに増やしてきてしまった負債も丸抱えすることになる。倒産の申請もしなければ。くそったれ!

これを考えながら歩いていた男には、自分が、いかがわしい雰囲気の地区に足を踏み入れていたことが分からなかった。ただ酒を飲みたいと思っていた。午後の2時なので、開いている店ならどこでも良かった。近くにあった、がらがらのバーに入った。中は、暗く、大きな窓から太陽の光線が筋となって差し込んでいた。外は晴天だったが、中はほとんど真っ暗と言ってよく、バーテンとウエイトレスが吸うタバコの煙が立ちこめ、夢の中のようなシュールな雰囲気が漂っていた。

男はカウンターに直進し、ジョニーウオーカーを2杯頼んだ。2杯とも一気飲みし、さらにもう2杯頼んだ。そのうち1杯目をまた一気飲みし、2杯目から啜り始めた。

「ありがとう」

バーテンに声を掛けた男の声は少し震えていた。スツールに座り、そのときになって初めてバーの中を見回した。バーの中にいたのは、カウンターの向こう端でビールを飲んでいる老人と、男の後ろのブースにいる若いカップルだけ。額に入った白黒写真が壁のいたるところに掛かっていた。すべてSM風の主題の写真で、ヌードではなかったが、非常にエロティックだった。ウエイトレスが近寄ってきて、男の隣に座った。タバコを吸いながら、男のことをじっと見つめる。背が高く、痩せた女で、青のネオン色の髪を頭の上に束ねて結んでいる。両腕にはカラフルなタトゥーがあり、鼻にはピアスがされていた。袖なしの白のTシャツを着て、小ぶりのツンと張った乳房の乳首が、透けて見えていた。スカートはミニの皮スカート。それにブーツ。ブレスレットをじゃらじゃらとたくさんつけていた。男の方は女とは好対照で、ほっそりとしていて背が低く、少し乱れた短い髪をして、スーツ姿。緩めたネクタイが首からだらしなくぶら下がっていた。

女は、チェックしてるかのように男をじろじろと見ていた。男は、刺すような女の視線に少し居心地の悪さを感じた。ウイスキーをちょっと啜り、女のくりくりとした大きな瞳を見つめ返した。

しばらく見詰め合ったあと、女が口を開いた。

「あなたのようなスーツ姿の人がどうしてこんなところに?」

女の吐き出すタバコの煙に乗って、言葉に込められた皮肉っぽいニュアンスが男に届いた。タバコの煙が顔に吹きかけられる。

「コンベンションに来ていたんだ」

バーの雰囲気にも、この美女にじろじろと見られていることにも馴染めず、戸惑いがちだった。

「ただ飲みたくなってね」

「ここにはコンベンションに出るような人はあまり来ないわね」

女は、男の緊張を和らげようと、軽く微笑んだ。「仕事は何なの?」

男はその日あったことを話した。女は辛抱強く話しを聞いていた。男は付け加えるように、呟いた。

「今日は、自分が自分でないような感じだ。普通じゃない感じだ」

「そういう時は、何か新しいことを始めたらいいかも知れないわ。この店に来る人は、誰もが、普通じゃないの。あなたと同じ」

女は、また微笑み、そしてウインクをして見せた。男の方も少しリラックスしていた。

「それに、私、普通の人は、趣味じゃないの」

女は、男と自分にもう1杯ずつ飲み物を注文した。それから男にもたれかかり、膝に手を乗せ、男の耳に囁きかけた。

「何かが終わると、別の何か、可能性に満ちた世界が開けるものよ。今度の失敗は、失敗に思えるかも知れないけど、本当は、あなたにとって幸運なことかもしれないの」

女は男の耳をペロリと舐め、大きくなりつつあった男の股間を軽く擦った。

ちょうどそのとき、ブースにいたカップルがウエイトレスを呼んだ。女は立ち上がり、彼らのブースに行った。男は女の後姿を見ていた。興奮し、勃起していた。だが尿意も感じていた。

バーの裏手にあるトイレに向かい中に入った。半立ちしたペニスをズボンから出し、小便をしようとしたが、先ほど受けた刺激で興奮していたため、あのウエイトレスの姿や匂いを思い出しながら、自分で擦り始めていた。

・・・ちょうどそのとき、ドアが開いて、男はちょっとした夢想を中断された。誰が来たのかと振り返ってみると、真後ろにあのウエイトレスが立っている。

「さあ、私たちどこまで行っていたかしら? うふふ」

女は誘惑するように男を見つめながらの、男のペニスを手にした。

何と速い展開だ。男はそう思った。

女はヒールを履いていることもあり、背は男より高かった。二人は、キスを始めたが、すぐに情熱的なキスに変わっていく。女の舌は男の喉奥にまで忍び込み、男も女の口に舌で反撃していく。二人うめき声を上げながらキスを続け、男は女の体を両手でまさぐった。落ち込んでいた男にとって、これは大きな発散になるだろうし、男は、何もかも忘れてなるがままにキスを続けた。女は両手で男の背中を撫でていたが、その後、その手は男の尻に向かい、そこに留まって愛撫を続けた。両手を男の下着の中に差し入れ、男の尻肉を掴んで揉む。男のズボンとトランクスは、するすると床に脱げ落ちていた。

女は力強く、しっかりと男にキスを続け、同時に、指を這わせて男のお尻の割れ目の奥に向かわせた。すべてを心得ているような指の動きで、探るように指を動かし、男のバラの蕾を見つけ、こねるように擦ったりマッサージを繰り返した。この愛撫を受けて男のペニスは本格的に勃起し、おのずと男は腰を女の腹部に擦り付けていた。

女はキスを解き、男にウインクをし、さっと男の前にひざまずいた。一気に男のペニスを根元まで飲み込む。早速、吸引しながら頭を前後に動かし、ペニスを出し入れし始め、同時に舌先を使ってペニスの下部の敏感な部分を刺激する。片手で睾丸を優しく包み、こね回すように愛撫し、もう片方の手は再び男のアヌスへ向かい撫で回す。さらには自分の指を舐めて濡らし、より集中的に男のアヌスをいじり始めた。それをしばらく続けた後、その指を1本、ゆっくりと男の裏門の中に突き入れて行った。女は、指を入れていくとき、男を見上げ、男の目を見つめながらそれをおこなった。男はただ低く唸り声を上げるだけだった。女は、ゆっくりとペニスを口に出し入れしながら、アヌスに入れた指を出し入れし始めた。男は天国にいるような気分だった。以前、他の女性に自分のアヌスをいじらせたことはあったが、このような快感はなかった。女はこの愛撫をしばらく続け、男も射精寸前にまで高められていた。だが、突然、女はやめてしまう。

女は立ち上がり、男を互いの鼻先が触れ合うほど間近に引き寄せた。

「さあ、今度はあなたの番。あなた、お口は上手かしら?」 そう言って小さな笑い声をたてた。

女は男のシャツと靴を脱がせ、男をすっかり裸にした。だが、女の方は服を着たまま。女は、背筋をまっすぐにして立ち、両脚を広げ、両手を男の肩に乗せ、ひざまずくように押し下げ、導いた。男は、この美女のあそこを味わえると興奮していた。だが、女のスカートを捲り上げ、パンティを引き下げて、大きなショックを受ける。見たこともないほど巨大なペニスが飛び出してきたのである。男はショックを受け、どうしていいのか分からなくなっていた。女は男の顔に浮かんだ表情を見ていた。

おどけた調子で言う。「恐がらないで、噛み付いたりしないから。でも、良い子になって私のおちんちんを舐めてちょうだい。お願い。私がしてあげたように」

男はどうしてよいか分からなかった。自分は今、どことも知らぬSMバーで、全裸になってシーメールの前にひざまずいている。だが、さっき、女は、何か新しいことをするといいかも知れないと言っていたが、その通りなのかもしれない。

男は、女の半立ちしたペニスを見つめ、それを軽く手に取った。生まれて初めて他人のペニスを手にした。ストロークを続けるにつれ、それは次第に大きくなり始め、いつしか完全に勃起していた。ゆうに23センチはありそうな巨根。女は男の頭を押え、自分の股間に引き寄せた。

「口に入れるの。そう、そうよ」 女に言われるまま、男はそれに口をつけたのだった。

男はしばらくそのままだったが、じきにコツを掴み始め、女のペニスの根元を握って、口に出し入れし始めた。口の中、女のペニスがビクンビクンと脈動するのを感じた。それに、この美女のペニスを舐めしゃぶることに、彼自身、興奮してきているのに気がついいていた。自分がこれほど興奮していることが、信じられない気分だった。女はしきりとよがり声を上げ始め、男は必死になってペニスを舐めしゃぶった。女が自分の口の中に射精するかもしれないと思い、男はますます興奮を高めた。

「吸ってちょうだい。ああ、あなた、本当におしゃぶりが上手だわ。後でバーテンのジミーも連れてきて、あなたの可愛いお口を試させてあげなくちゃ。それも、あなた、望んでるんでしょう?」

「ああ」 男は弱弱しい声で答えた。

「いい、そうよ、上手だわ。淫乱のようにしゃぶるのよ。あなた、本当に可愛い淫乱ね。ちゃんとコツを掴んできてるじゃない。可愛いわよ」

「じゃあ、今度はあなたの番」 女はそう言って男の口からペニスを引き抜いた。

「立ち上がって、淫乱ちゃん。して欲しいことがあるんでしょう?」

女は男を立たせ、壁に向かわせた。男はおどおどとしていたが、それでも興奮していた。次に何が起きるか、男は知っていた。自分で認めたくはなかったが、それを欲しているのは自分でも分かっていた。女は、男に体を押しつけた。男は、女の乳房が自分の背中を撫でるのを感じ、女のペニスが自分の脚の間にぶら下がっているのを見た。冷たいローション液が肛門に塗られるのを感じる。その冷たいヌルヌルした刺激になお一層、興奮が高まる。期待からか、男の肛門がひくひくと動いた。女は片手で男のペニスを握り、もう片手を男の体の前に回し自分に引き寄せた。

女は男の耳元に囁きかけた。

「あなたがバーに1歩、足を踏み入れたときから、あなたが私の可愛い淫乱になると分かっていたわ。・・・こうされるのが大好きなんでしょう?」

「ああ、そうだ」

「あなたは私のもの。私専用の淫乱よ」

女はそう言いながら男の尻に指をこじ入れた。1本、2本、そして3本。

「ちゃんと口に出して言って。私の淫乱だって」

女は、脈動する巨大な肉棒の先端で男の裏門を小突きながら、大きな声で言った。

「僕は君の淫乱だ」 男は女にすっかり服従していた。

とうとう女のペニスが男を貫いた。男は快楽と苦痛の両方が混じった溜息を漏らした。今、自分はこの美しいシーメールに犯され、しかもそれを嬉しく思っている。すべてを女に捧げた感じだった。女はしばらく挿入したまま動かずにいて、男がその状態に慣れるのを待った。そして、男の腰を両手で押さえながら、ゆっくりと出し入れを始める。女の両太ももが男の太ももに合わさり、女のツンと盛り上がった乳房が男の背中に押し付けられる。女の熱い息が男の背中に吹きかけられる。女は男にピストン運動をしながら、悩ましげにハアハアと喘ぎ声を上げていた。出し入れの動きは、最初はゆっくりと、じきに激しさを増して行き、女の巨大な肉棒がすっかり男の体内に埋め込まれるまで力強く出し入れが続いた。

「あなたは誰?」

「僕は君の淫乱」

「もっと大きな声で言って」 女は叫んだ。

「僕は君の淫乱だ!」

女は腰を叩きつけるようにして男に出し入れを続け、今は、女の睾丸が男の睾丸とぶつかり合うほどになっていた。男の体は、後から突き上げる女の力に、トイレの壁にがんがんとぶつかって、大きな音を立てていた。

「ああ、君はとても綺麗だ。すごいよ。もっと僕を犯してくれ。僕をやりまくってくれ」 男も叫び声を上げていた。

「この人、すごく可愛いわ。すごい淫乱だと思わない?」 女が誰かに話しかけた。

「カトリーナ、あなた、いい人、見つけたじゃない」 女性の声がした。

男は、驚いて振り返り、誰と話しているのか見てみた。そこには、バーにいた若いカップルがいて、彼らの行為を見ていたのだった。男は、ひどく辱められたような気がしたが、同時に、興奮もしていた。もはや、引き下がることはできない。もうここまで来てしまっているのだから。

「あなた、すごく締まったお尻をしてるのね。淫乱ちゃん。もうすぐあなたを私のスペルマでいっぱいに満たしてあげるわ。ねえ、あそこで見ている2人のために、頑張って一緒にイキましょう」

女はそう言って、ペニスの出し入れのリズムに合わせて、勃起した男のペニスをしごき始めた。

「5つ数えたら、イクのよ。いい? ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、いつつ! さあ、出して、イッて。出すのよ、淫乱!」

男は一気に噴射した。前の壁、そして足元に振りかかる。両手で握る女の手の中、男のペニスはひくひくと痙攣した。それと同時に、男は女が身を強張らせ、男の中に噴射するのを感じた。

「わーお、すごい。素晴らしいショーだ」 見ていたカップルは、この見世物を喜び、歓声を上げ、手を叩いた。

***

男と女は、身をきれいにした後、バーに戻り、一緒に飲んだ。女は男ににっこりと微笑み見つめていた。

「ああ、あなた、素敵だったわ。またいつか、すぐにでも、あなたとしたいの」

「ありがとう。多分ね」 

たった今、目の前の美女に犯されたばかりで、気持ちをどう持ってよいのか分からず、男はあいまいに答えた。

「君が、仕事を終わるのは何時頃なのかな?」

女はウインクしながら言った。

「明日、ここに、同じ時間で、私に会いに来て。それから別のところに行きましょう。もっとあなたを知りたい気持ちなの」

男は女にさよならのキスをし、店を出た。出るとき、例のカップルが手を振っていた。男は、たった今、セックスで心を解放したばかりのすがすがしい気分になっていた。仕事やその他の煩わしい心配事が、その瞬間は、まったく気にならなかった。

突然、男の携帯電話が鳴った。助手からの電話で、男に良い知らせがあると言う。ライバルのイニテックが男の会社を購入したいと申し出てきたらしい。イニテックは、男が開発した製品にいたく感銘を受け、男を開発部の重役として迎え入れたいと言っていたと言う。

カトリーナとの出会い、それに新しい仕事。確かに、新しい始まりだと言える。


おわり