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The wrong reaction 「思わぬ反応」

「えーっと……うーん……少し説明しなくちゃいけないみたい。でしょ?」 あたしは満面に笑みを浮かべて、実家に戻ってきた兄のレインの方を向き、見下ろした。兄は予定より早く到着したのだった。そのため、レインはあたしが化粧をし、裸でいたところを見てしまったのである。1年前に密かにホルモンを摂取し始めてから、あたしの体がどれだけ変化したか、それを認識するのに充分な時間、彼は見ていた。

「お、お前、おっぱいが……」レインは口をあんぐり開けたまま言った。「まるで……女の胸みたいな……」

あたしはうなずいた。「うん、その通り」 胸を隠したい衝動を抑えながら返事した。

いずれ兄が知ることになるのであれば、彼にはすべてを見てほしかった。あたしが彼が思ってきたあたしではないことを本当に理解してもらうためにも、そうしたかった。

かなり長い間そのままでいた後、ようやく、あたしは近くのテーブルに脱ぎ捨てておいたパンティを取り、恥じらいも見せず、それを履いた。次に同じところからTシャツ、そしてショートパンツを取り、着た。その間ずっと、レインは黙ったままあたしを見つめていた。「ちょっと説明しなくちゃいけないよね?」

「そんなの知りたくもない」と彼は頭を振った。「本当に……」

「でも、兄さんは知る資格があるよ。最初は、一度にみんなの前でカミングアウトするつもりだったけれど、でも……」

「どうしてだ?」 とレインはあたしの言葉を遮った。「なぜ何もかも投げ捨ててしまおうとするのか、俺に話してくれ。お前は俺の弟のはずなんだから……わけの分からない変態なんかじゃないんだから」

「あたしは変態じゃないよ」 兄にたった今そう呼ばれた心の痛みを感じないように堪えた。「あたしは女なの。ずっと前からそうだったの。そして……」

兄は再びあたしの言葉を遮った。「お前は女のフリをしている男だ。そうだろ? そう言ってるところなんだろ? お前はトランスジェンダーか何かなんだな? そして薬とか注射とか、そういうのを摂取することにした、と。その結果、今はおっぱいができて、化粧をしドレスを着たりする。それから、今度はみんなに明かして、これはそんな変なことじゃないって感じに受け入れてもらおうと思ってるんだな? だけど、俺は認めないよ、ブルース。……俺はそんなの認めない」

「そんなこと言わないで」 あたしの顔から、一瞬にして笑顔が消えた。あたしを受け入れてほしいと思っているすべての人の中で、兄こそが、そのリストの1番目にいる人だった。そして、兄の嫌悪に満ちた表情を見て、受容されるまでには、ずっとずっと長い時間がかかるのだろうと悟った。そもそも、受け入れてもらえるかどうかも難しい。

「どうしても無理だ。男は男、女は女なんだよ。お前が自分の体をどう変えようが、俺は気にしない、ブルース。どんな体になっても、お前は俺にとっては男なんだ」

涙が目にあふれてくるのを感じた。「れ、レインのバカ。ほんとに……最低!」 思わず吐き捨てるように言っていた。

「ああ、お前こそな! このことが俺にどんな影響を与えるか、考えてみろよ。俺の友達はどう思う? この近所のみんなはどう思う? 近所の人たちに、スカートを履いてしゃなりしゃなりと出歩こうとしてる変態弟について、どう説明すべきなんだ? ああ、お前も、最低だ! お前なんか、どこかに行って戻ってこなければいいと思うぜ。パパもママも同じことを言うと思う」

「ほ、本気で言っていないよね?」 あたしはすすり泣きしながら、兄の腕に縋りついた。兄は体をゆすって、あたしの手を振りほどいた。

「いや。ある意味、本気だぞ」




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