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Waking up 「目覚め」

あたしは、なんて急速に、なんて深くまで落ちてしまったのだろう。それを改めて認識して、その思いが1トンものレンガのようにあたしにのしかかってきた。彼に両脚を広げられ、杭打機のように打ち込まれている時ですら、その認識が全身に襲い掛かる。カラダを震わせ、甲高い声で喘ぎつつも、この状況に対する恐怖の叫び声を堪えることしかできない。

この数か月、あたしは彼のガールフレンドとして同棲してきた。だけど、その瞬間までは、生活は普通だった。自然だった。自分の居場所はここだ、そんな感じがしていた。でも、あの目覚めの瞬間があった後は、それまでのあたしの毎日が悪夢の連続になっていたことを無視できなくなった。

視線を下に向けた。波打つ乳房。その先に、かつてはあたしの自慢だった男根の残滓が見える。彼のペニスがあたしを満たしている。こんなにも完璧にあそこの穴を塞がれている。その太さに、あたしの体はこんなにも順応している。あたしの体は、彼のセックス玩具になるためにできているようなもの。そしてこの数か月、あたしは、一切ためらうことなどなく、その玩具としての役割を果たしてきた。いや、それ以上。あたしは喜んで玩具になってきた。玩具にされていることが嬉しかった。幸せで、満足して、そして、何も知らずに。

でも、過去の自分が何者であったかの記憶がワッと頭の中に流れ込んできた。それに合わせて、今の自分がどんな人間になってしまったかを知り、心の中で、その事実にひるんだ。ごく普通の健康で元気な男性から、セックス狂いのニンフォマニアックなオンナへとゆっくりと変えられてしまっていたのだ。それを思い出す。それは拷問のようだった。

もちろん、彼がどうやってそんなことをしたのかは分からない。催眠術? そんなのウソじゃないの? 魔法? それも同じくらい馬鹿げてる。いくつも説明が浮かんでくるけど、どれもあり得なさそうに思えた。

でも結局、彼があたしの中に射精したのと同時に、あたしは、そんなことはすべて問題ではないと悟った。自分の正体に気付くことと、自分の本当の人格を主張する力を持つこととは、完全に別のこと。確かに、頭の中にはあたしの本体がいる。だけど、それはただ傍観することしかできない。感じることしかできない。行動することは一切できない。

射精を済ませた彼は、乱暴にあたしの体を押し、中から抜け出た。あたしはぐったりとベッドに横たわる。さんざん嬲られたアナルから彼が出した体液が垂れ流れている。そんなあたしを、かつてのルームメイトだった彼が見下ろした。

「お前、戻ってきたんだな? いや、答えなくていい。お前の目を見れば分かる。だが、それはそれで構わない。お前は自分の状況について何もできないのを知ったところじゃないかな? もっと言えば、俺は、ある意味、お前が戻ってきたことを喜んでいる。頭が空っぽの淫乱女は、しばらくの間は楽しいが、自意識が少しは残っていた方が面白いからな。結局、お前が罰を与えられていると知らないなら、お前に罰を与えて、何の意味があるんだってことになる。そうだろ? さあ、それじゃあ、また素直なオンナになって、俺のちんぽを舐め清めるんだ」

あたしは、自分で何をしてるのか気づかぬうちに、床にひざまずいて彼のペニスを口に含んでいた。それを舐め、愛しそうに吸い続けるあたしを見下ろしながら、彼は語った。「お前は俺の彼女のデイミンと寝るべきじゃなかったのだ。やっちゃいけないことをやったということだ」




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