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Out of line 「一線を越える」

タウニーは男に娼館の案内をしながら言った。「うちにはたくさん女の子がいるんですよ……」

「ちょっと待った」と男は言い、廊下に立っている裸の女を凝視した。じゅうぶん美しいと言える女だったが、脚の間に男性器があるのは見逃すことができなかった。「ここはおかまクラブじゃないよな? 俺はそういうのは絶対ダメなんだが」

タウニーはため息をつき、裸のシーメールを睨み付けた。「シュガー! 言ったはずだよ、お客が付くまで部屋で待ってろって!」

「でも、タウニーさん、あたし……」

「ぶつくさ言うんじゃないよ! あたしゃ、さっき何て言ったい? 自分の部屋にすっこんでな!」

シュガーはしょんぼりし引き下がりながら謝り、そして部屋に戻った。タウニーは作り笑いをして、客に言った。「うちは……何でしたっけ? あっ、おかまクラブ? そうじゃないんですよ。シュガーは特別なんです」

「どうして?」 と男は興味を惹かれたようで、尋ねた。

「ある時までは、あの娘はお客だったんですよ。常連客でね。ただ、ある日、女の子のひとりに乱暴を働いたのです。そこで、うちとしては、それを止めさせようとして、その結果、今はうちの女の子のひとりになったわけなんです」

「で、でも、どうやって?」

「お客さん自身が、実際に、一線を越えてみれば、すぐにわかりますよ」とタウニーは答えた。「さあ、その話はこのくらいにして、お客様に女の子を紹介しましょうね?」

「あ、ああ。……そ、そうしよう」と男は言った。




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