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Ambushed 「待ち伏せ」
「あっ!」 とクリスは私の前に立ちふさがるようにして言った。デニムのカットオフ・ショートパンツだけの姿で。その服装、いや、ほとんど服装らしい服装をしていないことに加えて、ピアスした乳首とおへそ。私は非常に気まずい気持ちだった。「ロバートさん、ボク、あなたが家にいるとは知らなかったので……」
「ああ」と私は視線を逸らした。多分、私は不自然なほど、彼の滑らかな肌やしなやかそうな体に視線を向けていたかもしれない。私は、彼が娘のボーイフレンドであることを忘れていたかもしれない。そもそも、彼が男性であることすら忘れていたかもしれない。だが、クリスは私の年齢の半分にもなっていないのである。心の中を駆け巡る思いは、私の子供と言ってよいほどの若者に対する思いとしては、明らかに不適切なものであった。
「良ければ、その……何か服を着てくれないか?」
「どうして?」とクリスは訊いた。「ここにはボクたち男しかいないよ? それに、ロバートさんは、ボクがシャツを着てないところを何度も見てきたはずだよ?」
「それは今とは違うんだよ。キミは……その頃とは同じじゃないんだよ」
「でも、見たかったら、ボクは全然かまわないよ、ロバートさん。ボクのことじろじろ見る男の人は多いんだ。それに、ロバートさんなら、もしその気なら、見る以上のことをしてもいいよ」
どのくらい、私が唖然として彼を見つめていたか分からない。ようやく彼が言った言葉に、私の心が追いつき、私はつぶやいた。「それは不適切なのだよ……」
「ボクは完全に適切だと思うけど?」とクリスはショートパンツのボタンを外し始めた。私は言葉を失っていた。ショートパンツが彼の滑らかで形の良い脚を伝って滑り落ちるのを見る。そして露わになったのは、小さな布切れとしか言えないパンティと、それに包まれた、とても小さな隆起。
「ボクはもう18歳だよ。ボクもロバートさんも大人だよ。ボクはロバートさんがずっとずっと前からこうなるのを待ち望んでいたのを知ってるんだよ。ロバートさんはずっとボクを見ていたよね。ボクは知ってるんだよ。それにボクはロバートさんに見られて嬉しかった」
「わ、私は、そんなことは……キミは……キミは何か勘違いしている」
もちろん、これは嘘だった。1年ほど前、クリスは突然変わり始めた。元々、逞しい体つきの若者とは言えないクリスだったが、急に日に日に変化を見せるようになったのだった。容姿も、しぐさも、言葉使いも、日に日に若い男子ではなく若い娘のようになっていった。そして私はそんなクリスの変化に目を奪われていた。何度も彼を見つめていた。恥ずべき事とは知りつつも、私の心の中でこの禁じられた果実が踊る姿を想像しては、自慰する自分がいた。
「勘違いなんかしてないと思うよ」と彼は私に近づいた。「ほら、ねえ……楽しいと思う。絶対、楽しかったと思えるはずだよ。約束するよ」
「だが、ベッキーは?……それに妻は?」
「誰も、知らなければ、傷つかない」 クリスの手が私の股間へと忍び寄り、すでに固くなった分身を握るのを感じ、私はアッと声を出した。「ベッキーは夜まで帰ってこない。ロバートさんの奥さんは出張で遠くに行ってる」
「だ、だが……いや、ダメだ……私には」 そうは言っても私は、前にひざまずく彼を止めなかったし、彼が私のズボンのボタンを外しても、形ばかりの抗議しかしなかった。それに、そんな無意味な形ばかりの抗議ですら、彼の唇が私の分身を包んだ時には消えていた。
クリスは何回か頭を前後に振った後、口を離して、笑顔で私を見上げた。「ああ、すごく楽しいことができそう」
その瞬間、私はもはや抵抗など考えられなくなっていた。
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