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Vigilante 「仕置人」

両手を拘束する手錠に抗い、睨み付けた。「こんなことで私を押さえつけることができるとでも思ってるのか? こんなのよりも悪い状態からも脱出してきたんだ。お前も知ってるだろう?」

「まあな」と、気持ち悪いほどきっちりと剃りそろえた髭を無意識にいじりながらモルデカイは言った。そしてにんまりと笑う。グロテスクだった。特に、左目から頬を通り、両唇へと長く伸びるヒダヒダの傷がある顔で笑われるとなおさらだ。その傷は、我々が以前に行った作戦のひとつでできた傷だ。その傷のせいで、左目は白目がむき出しになり、顔面の左側は常に硬直した笑顔になったまま。驚くほど白い歯をいつも晒している、左右の釣り合わない顔になっている。

「私は、可愛いお前を破壊してやろうと思っているのだよ」

「そんな呼び方、やめろ、この野郎!」と私は唸った。だが、その声は、今の自分の容姿に完全にマッチした哀れな甲高い悲鳴にしかならない。自分はいつから囚われてきたのか? 数週間前か? 数か月前か? 1年前か? すでに時間の感覚はなくなっていたが、かつての逞しい筋肉は溶け去り、短い髪が肩まで伸びるほどの時間が経っているのは分かっている。だが、それは最悪とは言えない。長い目で見れば。

「だが、今のお前はその通りとしか言えないじゃないのかな?」 と彼は立ち上がった。かつては、肉体面で言えば、彼は私とは比較にならなかった。だが、知能の点では卓越したところがあり、そのために、私は一度ならず彼に捕らえられたものだった。だが、そのたびに、私は、秘密道具や仲間たちの力を借りて彼の元から逃げてきたのだった。しかし、今回ばかりは助けは来なかった。

モルデカイは私に近寄り、鎖を掴み、ぐいっと私を引き寄せた。体を離そうとする間もなく、彼は手を下に伸ばし、拘束された私の男性器をいじった。長期にわたって拘束されていたため、副作用として、私のペニスはかつての姿の面影もないほど縮小していた。

「ああ、あの有名なアベンジャーが、街の悪党どもが恐れおののいたアベンジャーが、慰み物に落ちるとは、な? 力もなければ、武器もない。弱くて哀れで女っぽい姿になってしまって。どんな気分だ?」

「お前を絞め殺したい気分だ」とかすれ声で答えた。その気持ちに間違いはない。仕置人としての長いキャリアで悪党どもを懲らしめてきたが、この男への殺意にほど強い殺意を抱いたことはない。だが、どうしても腕を動かすことができなかった。一度ならず試みてきたが、復讐の女神は私に何かを行ったのだろう。私の心を操作し、彼に害を与えることが不可能にしていたのだった。

「おお、それもよかろう。お前はまだ充分壊れていないようだな。もっと言えば、お前が簡単に壊れてしまったら、お楽しみが終わってがっかりしていたところだよ。だが、いずれお前は崩壊する。それは間違いない。そうなったら、お前の敵たちの前にお前を連れ出して、見せびらかすつもりだ。トロフィーとしてな。俺に敵対するとどうなるか警告の意味も含めてお前を見せびらかすつもりだよ。ああ、絶対そうする。その時は、お前は嬉しそうに微笑みながら、昔の敵たちに今の自分の姿を見せるのだよ。ああ、そうなる。楽しみだな」

「ファックユー」 私はそう言って彼から離れた。鎖の金属音がなり、彼の笑い声が響いた。私は彼を睨み付けた。いつの日か、絶対に逃げ出してみせる。いつの日か、私にしたことすべてに対して、この男に償いをさせてやる。

「ファックはお預けだよ」と彼は手を伸ばし、私の頬を撫でた。頬に触れられ、私は身震いした。紫色のスラックスのチャックが降ろされ、すでにイヤと言うほど馴染みにさせられてきた、勃起した男性器が姿を現す。「今は、このご馳走で満足しなきゃな。ほら、毎日、美味しそうに頬張ってるだろ? ご馳走だ、しゃぶっていいぞ」

そして、ためらうこともせず、私は前に顔を出し、咥えこむ。すっかり馴染みになっている行為だった。どう足掻いても、これを拒否することができないことは、ずいぶん前に思い知らされていた。吸い始めると、彼は私の頭を掴んで言った。「それでこそ、いい娘だ。ああ、実に良い娘に育ってる」




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