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Fine print 「契約細目」

「ああ、そうだな。楽しかったよ。楽しめるとは思ってなかったんだが、俺が間違ってた。楽しかったかい、ララ?」

「子供っぽくするのやめてよ。あたしは、ここに着いたとき、あなたがすごくビクビクしてたのが面白くって笑えたわ」

「まあ、ちょっと、お前にいきなりこの話を出された感じだったからな。ここがどんなタイプのリゾートかを知っていたら、絶対来ようとは思わなかったな。というか、真剣にはね? そもそも、お前がどうしてここを見つけたかも分からないんだが。ここの人たちに説明されたように現実に作用したのを知って、いまだにショックを受けてるもん」

「前にも言ったと思うわよ。職場の女の子たちが話していたって。それはただのラテックスと……」

「ただのラテックスどころじゃないよ。すべてを感じることができるんだから」

「確かに、ただのラテックスと言うのは簡単にしすぎだわね。進化した人工皮膚で神経に接続してて、そのために……」

「俺もオリエンテーションにいたよ。同じことを全部聞いてる。クレージーだなと思ったのは、あんなに急速に俺が女の子の姿でいることに慣れたことだよ。何て言うか、家に戻ったとき、俺、どんな感じになるんだろうな」

「どういうこと?」

「ただ、この格好で1ヶ月暮らしたわけだろ? これを脱いだらちょっと変に感じるんじゃないかなって」

「まだ、何を言ってるか分からないわ」

「本気で言ってる? 処理を受けた後のことだよ。俺がお前の夫に戻ったときのこと。家に戻って、元の生活に戻ったときのこと。みんな、俺たちがここで何をしたか知らないのはありがたいな」

「それは帰れば分かるわ。あなたが四つん這いになってお尻におちんちんを突っ込まれている姿、多分忘れられないと思う。しかも、ただのストラップオンじゃなかったもの。本物の生きたおちんちん。しかも巨大なヤツ。でも、今だに、あなたが何のことを話しているのか、ちょっと分からないんだけど。家に帰っても基本的に何も変わらないわよ?」

「お前、わざと分からないふりを……」

「あ、分かった。あなた、その人口皮膚をはずしてもらえると思ってるのね? ああ、そんなバカな。無理よ、あなた。それは少なくとも1年はそのまま。さっき、オリエンテーションを見ていたって言ったじゃない?」

「い、一年……? いや。そんな……冗談だろ……」

「冗談なんか言ってないわ。神経と皮膚との接続は長時間続くようにできてるの。いま、その接続を切ってしまったら、あなた、残りの人生をズタズタになった神経を抱えてすごすことになるわよ。そうなったら、何であれ感じることができたら、その方が驚きだわ。無理よ、あなた。あなたは、あと1年はあたしの妻として暮らすの。あなたのお友達もみんな新しいあなたを喜んで受け入れてくれるといいわね!」




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