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No Place to Hide 「隠れる場所がない」

「あ、まずい」と僕はつぶやいた。階下でドアが開く音がしたから。誰かが家に帰ってくるのは、まだ何時間も先のことのはずだった。だから僕は、この機会を幸いに、僕の女性としての別人格であるステイシーになっていたところだった。「まずい、まずい、まずい」

「ジョン?」 と呼ぶ声がし、心臓が口から飛び出しそうになった。妹の親友であるヘザーの声だった。いま家に来られたら、妹が最悪だと言えるが……ちなみに、今はその妹のパンティを僕は「借りていた」のであるが……その妹を別とすれば、多分、その次にまずい人はヘザーだといえただろう。「着替えをしてるの? あなたの車が玄関前にあったから、家にいるのは分かってるのよ?」

まずい、まずいとさらに何回か意味もなく繰り返していた。隠れることなどできないだろう。それに、妹が帰ってくるまで充分時間があるから、それまでに元通りにすればよいとと思っていて、妹の部屋を散らかしっぱなしにしていた。その妹の部屋しか隠れるところがない。パニックどころじゃなく、不安のあまりお腹のあたりに痛みすら感じる。しかも、ヘザーが階段を上がってくる音が聞こえ、その不安感は一層悪化するばかり。

馬鹿げた格好に見えるかもしれない。こんな、まるでマンガのキャラみたいな格好でいるんだから。でも、ヘザーが二階に上がりきるまで、僕は不思議とほとんど動かずにいた。結局、この格好のままでいたのだった。妹のソングパンティとニーハイソックス(参考)を履き、ネットで買ったハイヒールの姿で。さらには長い髪をピッグテイル(参考)に結い、顔にはたっぷりと化粧を施して。

「あら、あら、あら……」とヘザーが言った。ヘザーは魅力的な女の子だ。……ブロンドの髪、大きな胸、まさにあらゆる点で完璧な容姿。実際、何年も前から僕は彼女に恋していた。「いったいこれは何なのでしょう?」

「せ……説明するよ!……こんな格好してるけど違うんだ!」

「本当?」とヘザーは頭の先からつま先まで僕を見ながら言った。「どう見ても、ちょっと、クローゼットのシシーのように見えるけど」

「違うよ……」

「それに、あたしには、この世でセクシーで可愛いシシーほど好きな人はあんまりないんだけど」と彼女は僕の言葉を遮って言った。「だから……もう一度聞いていい? 本当にその姿は違うの? もし、本当はその姿の通りだったら、あたしたち、たくさん楽しいことができるかもって思ってるんだけど。あたしとあなたのふたりで」

心臓が胸から飛び出しそうな勢いで鼓動した。ヘザーが言ってることは、本当に、その通りに受け取っていいのだろうか? それとも、何かの罠だろうか? ヘザーは僕をさらに辱しめたいと思っているだけかも?

ヘザーが前に進み出て、手を伸ばし、僕の丸い腰を押さえた。「うーん……。美味しそう。セクシーだわ。あなたのこと、何て呼べばいいの?」

「ス、ステイシー。あ、あたしのこと、ステイシーって呼んで」

「その名前、気に入ったわ」 彼女はそう答えると、僕の手を握り、妹の部屋へと向かい始めた。「あたしたち、たっぷり楽しめそうに思うわ、ステイシー」




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