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A Feminine Boy 「女っぽい彼氏」

「どうしたの?」とボーイフレンドの彼がこっちを振り向いた。「ここに来るのを望んだのはキミだと思っていたけど?」

この夏の間に彼はすごく変わってしまった。中学の頃から知っていた臆病で内気な少年は消え去り、それに代わって、あたしには完全には理解できていない自信にあふれた美しいほどに両性的な人になっている。実際、正直認めてしまうと、彼はあたしより可愛くなっている。それは、彼の関心を引こうと大騒ぎする男子たちの圧倒的な多さを見ても明白だ。

振り返った彼は、依然として明らかに男性であり、それは脚の間にぶら下がる性器を見るだけで充分確かなのではあるけれど、それでも、全体の体つきは、ほっそりとしなやかで、最も女性を思わせる部分はすべてふくよかに丸みを帯びているのだった。それに加えて、肩まで伸ばした髪と優美な顔の表情。正直、ほとんど努力せずにこれだけの容姿を彼が手に入れたことに、あたしは少し嫉妬を感じていた。彼に比べると、あたしの場合、彼の半分ほどでも美しく見えるようになるためには何時間も費やさなければならない。

「ええ、確かに」と答えた。急に自分自身のことが意識に登るのを感じた。ほとんど、片方の腕で胸を隠し、もう一方の手で最も大切な部分を隠そうとしかかったけれど、何とかしてその衝動を抑えた。ここは、ヌードビーチなんだから。アレックスが表情を変えずにいられるなら、あたしにだってできるはず。「ちょっと考え事をしていただけ」

「最近、キミ、考え事ばっかりしてるよ」とアレックスは言った。「それに、キミが考え事をするときは、たいてい、まるでエイリアンか何かを見てるみたいにボクのことをじっと見つめてるんだよ。いったいどうしたの?」

あたしはため息をついた。「分からないの……このことすべて、あたしとしては良いと思ってるのよ。この変化のことね。あなたは素敵になったわ。それにそれ以外のことについても、全然文句はないということだけは本当なの」

その言葉で、あたしはベッドでのふたりの関係のことを意味していた。アレックスとのセックスは最初からずっと良かった。でも、ふたりで夏を外国で過ごすと決めて以来、彼は確実にレベルを上げてきた。冒険的に新しいことを試すし、情熱的だし、まったく不安を感じずに新しい体位やテクニックや性行為を試してくる。しかも、そういう時、彼は全力を傾けてくる。その結果も否定できない結果だった。彼は、あたしの脚の間に喜んで何時間も顔を埋め続けてくれるような、本当に驚異的な愛し方をする人。

彼はにっこり笑って「僕も同じだよ」と言った。「昨日の夜、キミがしてくれたこと。舌を使ってボクの……」

「その先は言わないで」 あたりに聞き耳を立ててる人なんかいないのに、あたしはすでに顔を赤らめていた。「今はあなたのことについて話してるの。こういうふうに変わってきた点。それについては、まだちゃんと話し合ったことがないわ」

「そうだね」と彼は周囲を見回した。誰でも利用できる公共のビーチ。今は人がいないけど、じきに人が集まってくるのを知っている。すぐに、ビーチを楽しむ裸の人々でいっぱいになるだろう。「で、キミは、ここはその話をするのに適した場所だと思ってるんだね?」

「ダメなの?」

「いやいいよ。キミは話し合いたいんだね? じゃあ、話し合おう。知りたいことはどんなこと?」

「あなたは……その……トランスジェンダーなの?」 この疑問は彼の新しいスタイルを目にした瞬間から頭に浮かんでいた疑問だった。少なからず、彼は女性物の服を着ていた。あたしと服を貸し借りすることもあった。それと、彼の変身のことも合わさって、当然と言える結論があたしの頭に浮かんでいた。「あなたがそうであっても構わないのよ。あたしは気にしない。つか、気にしてあげる。当然。あなたを支援するわ。あなたには幸せになってほしいと思ってる」

言ったことの大半は本当だった。でも、心の奥底では、あたしはこれからの人生を女性と一緒に生きていきたいのかと思い悩むところもあった。その悩みの答えは見つかっていなかった。

「違うよ」と彼は言った。「多分ね。分からないけど。キミも分かってるように、ちょっと変だよね。ボクは服が好き。その他のことは、全部、ボクの服好きからきてる。女の子のような気分が好きなのかどうか、自分でも分からない。多分、男女の中間のどこかのレベルにいるんだろうって思う。両性的っていうか、二項対立的じゃないというか。分からないけど。多分、ただの女性的な男ってことなのかも」

「ああ、じゃあ、胸を大きくしはじめたりはしないってこと?」

「まだね。ボクは今の自分の身体が好きだから」

「あたしもよ」

「良かった。そこは嬉しいよ」






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