「バースデイ・プレゼント」 第2章 第1章 original

次の日の朝、僕はいつもどおりに目が覚め、ベッドから降りた。だが、バスルームに歩き始めると同時に、自分がまだセクシーなナイト・ウェアを着たままだということに気づく。昨夜、妻が僕に着せたものだ。僕は、ペニョワール(参考)とベビードールのトップを脱ぎ捨てた。それからシースルーのブラジャーのホックを外し、レース・パンティを脱ぎ、ガーターベルトのホックを外し、脱ぐ。さらに、毛を剃られつるつるになった脚からも注意深くストッキングを巻いて脱いだ。そしてブロンドのかつらも外す。すべてを拾い上げ、きれいにたたんで寝室の椅子に置いた後、BVDのパンツを引き出しから出し、シャワーを浴びるためにバスルームに入った。

だが、バスルームに入った後も、再び、僕は驚くことになる。鏡の中の自分の姿を見たからだ。

顔をごしごし擦って、昨夜の化粧を落とそうとしたが、それでもまだかなり残っていた。

昨夜、経験した妻との夢のような愛の交換。その一つ一つを思い出させる跡が顔に残っていたのである。唇に乱れて残っている口紅の跡。そして目を落として、思わず笑ってしまう。僕のペニスと乳首にも同じ色の口紅の跡がついていたからである。何てすごい夜だったんだ! そう思いながら僕はシャワーに入った。

シャワーが半分ほど進んだ頃、ドアが開いて、妻がコールド・クリームを僕に手渡した。彼女は、まだ、さっき僕が脱ぎ去ったのとまったく同じ服装をしていた。

「目のメイキャップを落とすには、これを使わなきゃダメよ」 彼女は、笑いながらそう言って、ドアを閉めた。

シャワーを終え、シャワールームから出て体を拭こうと、洗面台の棚からタオルを取ると、そこからピンク色のビキニ・パンティが床に落ちた。不思議に思いつつも、それを拾い上げ、棚に戻した。だが、今度は、僕のBVDがなくなっている。交換されたのか? そう思い、その理由に思いを巡らしたら、少しペニスが反応するのを感じた。

体を拭き終え、改めて鏡を見てみた。体毛がまったくなくなっている自分の姿を見るのは、不思議とエロティックだった。ピンク色のパンティに目をやり、手にしてみた。そして、試しにそれに脚を通してみたのである。最初は片方の脚、そしてもう一方の脚も。

パンティを引き上げ、つるつるの脚を通していく甘美な快感に少し体が震えた。さらに尻を覆い、ペニスを中に収めると、激しく勃起してくるのを感じた。そのパンティを履いたまま髭を剃ったが、その間、僕は妻が何を考えているのか想像しようとしていた。仕事に行かなければならないので、妻とさらに愛し合うことはできない。その時間はすでになくなっている。

髭を剃った後、寝室に戻った。妻はベッドに座った姿勢でコーヒーを飲んでいた。

「今日は、私のお願いを聞いてくれない?」

「どんな願いだい?」

「服の下に、それを履いたままでいて欲しいの。私のために」 彼女は微笑んでいた。

「できないよ。理由は2つ。第一に、一日中、勃起させたままじゃ、仕事にならない。第二に、誰かに見つかってしまったら、厄介なことになってしまう」

「勃起の方は2、3分で収まるんじゃない? それに誰もパンティ・ラインには気づかないわ。ビキニのブリーフを履いている男性もたくさんいるし。それに・・・」 

妻は、パンティに包まれた僕の勃起をセクシーに擦り始めた。 

「・・・それに、そのまま履いていってくれたら、あなたが家に帰ってきたとき、それに見合ったことをしてあげるから」

「本当に、僕に女の子の服装をさせることにハマッてるんだね? 違うかい?」

「うふふ。分からないわ。半分くらい、かな。・・・さあ、もう仕事に行ったほうがいいわね」

職場では一日中、勃起が続いていた。股間に擦れるシルク・パンティの肌触りのせいである。それに、一度、ファイルを取り出すために屈みこんだとき、僕の秘書が小さく咳払いするのを聞いた。元に立ち上がって彼女を見たら、彼女は僕のお尻のところを見ていた。彼女はとても美人である。その時も、僕はペニスが固くなり始めるのを感じたし、彼女がかすかに笑みを浮かべたのを見て、顔に血が登ってくるのを感じた。僕はぶつぶつ呟いて、ファイルの引き出しを蹴って閉め、自分のオフィスに戻った。彼女が僕のオフィスに入ってきたときには、僕は狼狽しながらただ座っているだけだった。

「そろそろ、退社しようと思うのですが、帰る前に、何か仕事がありますでしょうか?」 また彼女がかすかに微笑んだような気がした。

「いや。僕ももうすぐ帰ろうと思っていたところだ」 できるだけ普通に振舞おうと必死だった。彼女がこのようなことを訊くこと自体、普通はなかったことなのである。

「本当ですか?」 また、笑みをほのめかす。

「ああ。大丈夫だ。良い夕べを!」

「ええ、ビックさんも、面白い夕べを!」 彼女はそう言ってオフィスから出て行った。

彼女が出て行った後になって、初めて、彼女が「良い夕べ」と言わずに「面白い夕べ」と言ったことに気がついた。そのほのめかしにまたも顔が赤くなった。彼女は僕が着ている下着に気がついた可能性が高いのだ。そんな僕のことをダシにして少し面白がって見ていたに違いない。

だが、まあいいさ。ただのジョークだと言えばいいのだから。それに、あれだけの美人の彼女だから、多少からかわれても僕には気にならなかった。彼女がああいった笑みを僕に見せるのは、今日が初めてだったわけでもないし、おそらく、これからも何回かあるだろう。家に向けて車を走らせながら、僕は胸騒ぎがやまなかった。妻は、一体どんなことを考えているんだろう。「見合ったことをしてあげるから」と言っていた妻の言葉を思い返していた。

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彼女の側から

シャワーを浴びながら、私は、昨夜の私たちのプレーについて思い返していた。2人の性生活をもっと豊かなものに変えることができるかもしれない。その可能性に思いを馳せていた。これまで、私たち夫婦は、それぞれの役割に関してかなり伝統的な考え方に則って振舞ってきたし、それでいつも2人とも互いに楽しんできた。セックスは、とても素晴らしいときもあれば、かなりありきたりで習慣的なもので終わるときもあった。だが、昨夜のセックスは、これまでのとは違うものだったのは確かだった。私たち夫婦が、あのように、普通のことから外れたことを試してみたのは、昨夜が初めてだったのである。それに、私は昨日のことはとても刺激的だと感じたし、彼もそう感じたのは間違いないと思う。

シャワーから出て体の濡れを拭き取った。脚をタオルで拭きながら、あそこが疼くのを感じた。その後、ピンクのパンティを履いた。朝、夫に履かせたのとよく似たパンティ。夫には、あのパンティは、かなりきついと分かっている。だから、日中、夫はとても頻繁にパンティを履いていることを自覚せずにはいられないはず。その可能性は高い。日中、夫にパンティを履かせるという考えは、昨日の夜、私たちの愛の営みのことを熟考して思いついたことだった。良いアイデアだと思った。あの下着は、一日中、夫を性的に興奮させ続けるし、彼は私のことを思い続けることになるはずだから。

化粧台に座り、メイキャップをしながら、昨夜、夫に同じことをしてあげたことを思い出し、笑みがこぼれた。

夫のことを女性的だと思ったことは一度もなかった。けれど、彼に化粧をしていくと、次第に美しい女性の顔が現れてくるのを見た。そして、気がつくと、いつしか、私自身が彼女の美しさに夢中になっていたのだった。夫に忘れがたい誕生日祝いのプレゼントをあげるという、単なる、性的な妄想として始まったことが、次第に、形を変容させ、夫の女性的な側面と私自身との新しい愛の形を示唆するものに変わっていったのだ。

今や私は、この新しい考えをどのように展開させたらよいか、そしてそれと同時に、夫にとって受容可能で、かつ楽しめるものにするにはどうしたらよいか、その方法について考えをめぐらせていた。

これまでの私にはレズビアンの嗜好はまったくなかった。だが、夫が女性として振る舞いながら、私の女性自身の部分に唇を使って奉仕してくれた時に感じた興奮には、ほとんど、頭の中が真っ白に吹き飛ぶほどの刺激を味わった。私の経験のうちでも、最高度に強烈なクライマックスだったし、他の形であれほど強烈なオルガスムを経験できるか、自分でも分からない。夫も、絶頂時の強烈さについて私と同じように感じたと言っていた。だから、私と夫の2人でこの側面のセクシュアリティを追求してみることは、私たちの関係にとって、確かに、やってみるべきことだと思った。

化粧を終え、ピンクのレース・ブラとピンクのパンティを身につけ、その上にサテンの部屋着をまとった。それから、コンピュータに向かい、この種の性行動についての情報を調べた。調べていくと、とあるウェブサイトが見つかった。そこの情報を読み始め、さほど長時間かららずに、私は、パンティや女性用の衣装を身につけ、その服装のままセックスをする欲求を持つ男性が多数、存在していることを知った。

夫は、そのような欲求を口にしたことは一度もない。ウェブを調べながら、このような欲求を持つ男性の多くは、性的欲求を満足させる際に、女性用の衣装が強力な役割を果たしているということを理解した。そのような男性の大半は、結婚しており、妻を愛しているようである。だが、夫が女性的な振る舞いや表情をしたり、自分自身の体にサテンやシルクの肌触りを感じることで性的に興奮したりするのを見て、同じく興奮できる妻の数は多くはないものだ。でも、もし、私の夫が、あの経験を楽しんだとしたら・・・。私もそれを楽しんだのだから・・・。私と夫と2人で、女装と女同士の愛の行為という領域に足を踏み入れ、そこを探ってみてもよいはず。私は、そう思った。

コンピュータの電源を切り、身仕度をしながら、手軽に食べられるものを口に入れ、確かランジェリー類を売っていたはずの地元の店に向かった。

同じMサイズでも紳士服と女性服とでは異なる。売り子の女性と話しをし、夫に他のアイテムを買った時に推定したサイズを、その人に確認した。その後、魅力的なデザインのパンティを数点と、カップの小さなレース・ブラを2つ選んだ。売り子の女性は、男女のサイズの違いについて尋ねた先の会話を覚えており、私が選んだアイテムのサイズと私の指に光る結婚指輪を目に止めたのだろう。微笑みながら、小さな声で私に訊いた。

「ひょっとして、これはご主人のためのでは?」

私は驚いたものの、笑みを返し、その通りだと答えた。ちょっとしたロール・プレイをしてるのだと。彼女は微笑んで聞いていた。

「あの・・・もし、あなたが、うまく事を運ばれたなら、事実上、ご主人をあなたの奴隷にすることができますよ。どうして知ってるかというと、実は、私、従業員割引で私の彼氏のための物を買ってるんです。彼、すっかり、この『ゲーム』が気に入っちゃって、今は彼は私の操り人形。私の可愛いパンティ・スレイブ(参考)になっています。彼は、たいていはそれを喜んでるんですよ。そして、私はと言うと、何でも好きにできてるんです」

私は、助言してくれてありがとうと感謝はしたが、夫をパンティ・スレイブにすることには興味がなく、夫と2人、互いに楽しめる関係になりたいのだと伝えた。彼女は、ニヤニヤしていた。

「ええ、おっしゃること分かります。でも、お客さんもそのうち分かるんじゃないかしら」 そう言ってウインクをして見せ、私のところから歩き去った。

彼女がどんな意味でその言葉をいったのか、当惑しながらも、レジに行き、支払いを済ませた。レジの女の子も、サイズを見た時、不思議そうな表情で私の顔を2度も見直していた。私はにっこり微笑んで見せたが、彼女が心に抱いたと思われる疑問には気づかないふりをした。

家に帰り、買ったアイテムからタグを外し、黒のパンティとブラのセットをベッドに並べ、残りの買い物は夫の引き出しの中にしまった。BVDパンツの上に重ねるようにして。それから午後はゆっくり過ごした。夫が家に帰ってくるのを心待ちにしながら。


つづく
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