「ポルノ・クイーンの誕生」 第1章 Making of a Porn Queen Ch. 01 by Scribler 出所

自分の人生を振り返ると、僕がどのようにしてこの転機を迎えることになったのか、見当がつかない。子供時代の生活は、他の少年たちの大半と、そう異なったものではなかった。だが、結局は、僕の人生は急激な転機を迎えたのである。そのような転機を迎えた男の子の数は実に少ないと確信している。

母は、実に心暖かで愛情溢れる人だった。いつも僕を安心できる気持ちにさせてくれていた。自分が愛されていると自覚できていた。悲しいことに、母は僕が11歳の時に亡くなった。酒酔いの運転手にはねられ、即死してしまったのである。

父は、母とは正反対の人間だった。母は、父が僕を愛していると、常日頃、語ってくれてはいたものの、父は、母が死ぬまで、一度も僕に触れたことはなかった。母が死んだあと、父はほんの少しだけ僕に触れてくれたが、それはただの握手とか、背中を軽く叩く程度だった。

僕は、10代の頃、荒れた生活を送った。僕が荒れたことについて、たいていの精神科医なら、父のことを責めるだろうし、精神科医の言うことの大半は正しいだろうと思う。それに、僕の方も父には従順ではなかったのである。僕は、父を怒らせることばかりしていたし、その僕の試みは、極めて高頻度で成功したのだった。

警察の厄介になるようなトラブルは決して起こさなかったが、それはどちらかといえば、運が良かったからであり、自分がそのような運に値する人間だとは思っていなかった。いつも、何も気にせず自由気ままに生活していた。高校は、ずっとDの成績で、卒業できたのがやっとだった。しょちゅう学校をサボっていたが、卒業で大きな問題となる程にはサボらなかった。

高校の卒業後、僕は日中は家でごろごろし、夕方になってから友だちと午前3時、4時まで遊びまわる生活になった。父は、僕の状態に我慢してくれていたわけではない。卒業の2週間後、父は僕に究極の選択を迫った。仕事を見つけるか、家を追い出されてストリートで暮らすか、どちらかにしろと言われた。僕は小さな食堂のウェイターの職を見つけた。稼ぎはよくなかったが、職についたこと自体は、父が要求したことに叶ったことだった。

7月の末に、父は僕に、より大きな問題を持ちかけてきた。僕を座らせて、こう話したのだった。

「スティーブン、お父さんはバージニアの支店に転勤することになった。お前は9月までに、まずは、どこか住む場所を見つけなければならない。残念なことだが、これまでお前とのトラブルを考えると、お前を連れて行くことはどうしてもできない。こうすることが、お父さんにとってもお前にとっても最善のことだと思う」

父は、部屋から出て行くとき一瞬、悲しそうな顔をしていた。

最初、父は冗談を言っているんだろうと思った。だが、家の前の芝生に「売家」の看板が立てられるのを見たとき、父が本気だと分かった。父に考え直すように、そうでなくても、少なくとも僕を一緒に連れて行くように頼んだ。だが、父は、もうこれ以上、喧嘩や口論をするのは堪えられないと言った。

本当にどうしてよいか分からなかった。僕には、大学進学に備えて信託資金があった。だが高校でのひどい成績からすれば、僕にはどの大学にも入れないのは分かりきっていた。それに、その資金は、大学にいかない場合、29歳になるまで降りないことになっていた。だが、僕が29歳になるのは10年後である。ウェイターの仕事では生活していくことはできないし、それより良い仕事につくこともできなかった。そこでも、高校での成績が僕に呪いのように災いしたのである。

2週間ほど絶望しつつ考えた結果、僕は軍隊に志願することにした。だが、それもうまくいかなかった。背が低く、痩せすぎであるというのが理由だった。実際、徴募官は、身長158センチ、体重40キロの僕を見て笑っていたと思う。それに肩甲骨まで伸びた髪の毛も良い印象を残したとは思えない。7月の末には、すべての方策が尽きていた。あの、僕のお気に入りのお客さんが食堂に来るまで。

彼女は、僕がそこで働き始めた頃は、週に何回か店に来ていた。それから数ヶ月、ぴったりと来なくなったことも知っている。彼女はみんなのファースト・ネームを知っているようだったし、みんなも彼女のファースト・ネームを知っているようだった。

彼女トレーシー・モーガンは、多額のチップを弾む人だった。コーヒーを1、2杯飲むだけなのに、店を出る時には10ドル札をテーブルに置いていく。僕があの食堂で働き始めた最初の週、彼女は僕が担当するテーブルには座っていなかったが、次の週には、僕のテーブルに座り、それ以来、いつも僕が担当する席に座るように心がけてくれていたように思う。

トレーシーのことを美人と言うだけでは、過小評価になってしまうことだろう。彼女は、ただの美人を越えている。髪は蜂蜜色のブロンドで、その量の豊かさに、思わず手を伸ばして触れてみたくなる。鼻はボタンのように可愛らしく、濃い青の瞳と厚い唇が魅力的だ。身長は180センチはあるが、体重は45キロに満たないのは確かだ。脚は細いがとても長く、ウエストは驚くほど細い。それでも胸は巨大と言ってよく、とても小さめに見積もってもDカップであると思う。

トレーシーは、いつも誰かとの出会いを求めているように見えた。が、僕には、よく、夫とランチを食べることになっていると言っていた。でも、彼女は、わざわざそのようなことを言って、僕に結婚していることを伝える必要はなかった。というのも、彼女の指にある大きな氷の固まりのようなものが見えていたから。それは僕が知っている中でも一番大きなダイヤモンド・リングだった。あれだけでも一財産になるのは確かだと思う。

彼女の笑顔は温かく人を惹きつけた。彼女が微笑むたびに僕の唇にも笑みがもたらされたと思う。彼女はいつも僕に 「調子はどう?」と尋ねてくれたが、僕は僕の事情を何一つ彼女に話すことはできず、「万事順調だよ」としか答えなかった。彼女と一緒にいるだけで、どんなことも気にならない気持ちになれそうだった。

いや、勘違いしてもらっては困る。どうやっても、トレーシーが僕と何らかの性的な関係になるなどあり得ないのは、僕も自覚していた。つまり、彼女は僕の住む世界とはあまりにもかけ離れていて、まるで僕と彼女は別の惑星の住民であるようだったということである。それでも僕は、もし彼女とベッドを共にしたらどんな風だろうと思い浮かべていたのも事実だ。

7月の末になると、トレーシーの天使のような笑顔ですら、憂鬱な状態から僕を救い上げることができなくなっていた。2ドルのコーヒーに対して彼女が置いて行ってくれる8ドルのチップですら、僕の塞ぎ込んだ気分を直すことはできなかった。トレーシーは僕に何か困ったことが起きていることは察していたが、その時は彼女は何も言わなかった。

仕事の勤務交替の時間が近づいたとき、トレーシーは再び店に来て、僕の担当する席に座った。僕がコーヒーを持っていっても、勤務終了の時間が来てしまうので、彼女が置いていくチップを手にするのは、次のウェイターの人になる。

トレーシーの前にコーヒーを置くと、彼女は突然、僕の手を握った。

「スティーブン? 仕事の時間が終わったら、この私が座っている席に来て一緒に座ってくれる?」

うん分かった、そうするよと返事するまで彼女は手を離してくれなかった。

勤務時間が終わり、僕はソーダを手にトレーシーの席に腰を降ろした。彼女は優しい笑みを浮かべていた。

「最近、あなた、何か心がここにないみたいよ。何か悩みでもあるの? 私に助けられるようなこと、何かない?」

悩みなんか何もないと答えつつも、僕は彼女の目を見ることができなかった。向かいに座るトレーシーはテーブルの向こうから手を伸ばし、綺麗にマニキュアをした指で僕の横顔に触れた。

「私に嘘はつかないで。困ってることがあるのは分かるわ。さあ、私に話してみて」

なぜかと訊かれても困るが、僕は、抱えている問題をすべてトレーシーに話し始めていた。彼女は注意深く話しを聞き、僕の父の態度に嫌悪感を示してくれた。僕は、父との気まずい関係については、父よりも僕に多くの責任があると説明した。

僕は、抱えていた問題を話し終えると、彼女は少し間を置いて僕に語り始めた。

「若い頃の反抗的な態度のことについては私もよく分かるわ。私自身、ティーン・エイジャーの時はものすごく反抗的だったから。でも、あなたのような問題だったら、私が助けてあげることができると思う。知ってると思うけど、私は家の中の仕事をしてくれる人を探していたの。家の掃除とか簡単な洗濯とか食事の給仕をしてくれないかしら。ときどき、それ以外のことも多少してもらうと思うけど、それはその時になったら話しましょう。週あたり350ドル払うわ。寝泊まりする部屋とまかないつきで。でも、朝から夜遅くまで、いつでも仕事できるように、そばにいてくれないと困るの」

僕は自分の運の良さが信じられなかった。彼女は、一挙に僕の問題を解決してしまったのだ。

「ほ、本気なんですか?」 そう尋ねた勢いは、とてもその場にふさわしいとは思えない勢いだったかも知れない。

トレーシーはくすくす笑った。「もちろん本気よ。いつから始められる?」

「今すぐにでも!」 喜びもあらわに答えた。

トレーシーは、あの素敵で心暖まる笑みを見せた。「まずは、このお店にこのことを知らせなければいけないわ。明日は、あなたが着るユニフォームの仕立てに付き合ってもらうわ。今度の月曜から働いてもらうことにしましょう」

「仕事を始める前に、この髪の毛を切らなきゃいけないですね?」

そう言うと、トレーシーは、僕のポニーテールの髪を触って、言った。

「その必要はないわ。私、あなたのポニーテール、気に入っているわ。もっと言えば、ぜひ、それを切らないでいて欲しいの」

どうしてトレーシーが、その翌日、僕の仕事がオフになっているのを知っていたのか?  僕には分からなかったが、僕はあえて訊こうとはしなかった。僕は支配人に事情を話した。支配人は、たいていの人が、いきなり辞めると言って彼に迷惑をかけるのに対して、僕が事前に話したことで、むしろ感謝してくれた。

翌日、トレーシーは僕を紳士服店に連れていき、黒いズボンを数本、白いシルクのシャツを6着、買ってくれた。それにサテンのブリーフ10着も買った。まるでパンティのようなデザインに見え、僕は気に入ったわけではなかったが、不平を言うつもりはなかった。

土曜日が、僕の食堂での仕事の最後の日だった。日曜日は、一日中、荷物をまとめることに費やした。その夜の8時にトレーシーが車で僕を連れに来ることになっていた。父は、僕が住む場所を見つけられたと知って喜んでいた。そして、この時も、このような形で僕を置いていくことになってすまないと謝っていた。確かに僕も父も、このような形がベストなのだと思っていた。

トレーシーは8時きっかりに迎えに来た。僕の荷物は2、3個のバッグに収まるものだけだったが、それを車のトランクに入れた後、彼女はロス・アンジェルス盆地を片づくっている丘陵地へ向けて車を走らせ始めた。

彼女の家は非常に大きく、ロス市街とその先の太平洋を見渡せる岩だらけの丘の頂上に位置していた。リビング・ルームとその外のプールの間をガラスの壁が仕切っている。トレーシーの寝室にもガラスの壁があって、そこから寝室の中を見るのは、ハッと息を飲むような興奮を起こさせるものだった。

それに比べると、僕に割り当てられた部屋は、小さな窓が一つだけの、いささか平凡的な部屋だった。もっとも、この部屋にもシャワールームつきのバスルームがある。それに、クイーンサイズのベッドがあった。ベッドは天蓋つきで、その白いレース飾りのため、かなり女性的な雰囲気があるベッドだった。ベッドのシーツはサテンで、ピンク色のサテンのキルト掛けぶとんがかかっていた。部屋にはテレビが置いてあり、その前にはリクライニングできる安楽椅子があった。ドレッサーは2つ。机と化粧台もあった。

クローゼットの中を見ると、僕のユニフォームが掛かっており、他に5着、メイド用のユニフォームもあった。メイド服はかなりセクシーなデザインのものだった。丈が非常に短く、レースのアンダースカートが幾重にもついている。このユニフォームを着るセクシーで可愛い女の子もいるのだろうか? そのような娘に会うのもまんざらではないなと思った。

多分、僕の前には女の子がメイドとして働いていたのだろうと思った。この服は、そのメイドのものだったのだろう。それにクローゼットの床にはハイヒールも置いてあった。そう考えると、ベッドのピンク色のサテンの上掛けや、天蓋のレース飾りも説明がつく。

2つあるドレッサーのうち、最初のドレッサーを開けて見ると、中には女性用のランジェリーが入っていた。様々な色のパンティ、ブラジャー、ガーターベルト。すべて新品のように見えた。こんな新しいまま、全部を置いて去ってしまうとは、そういう人がいること自体、信じがたいことだった。もう一つのドレッサーには、ランジェリーばかりでなく他の女性用の衣類も入っていたが、やはり大半がランジェリーであることには大差なかった。

僕は持ってきた衣類を全部しまうと、トレーシーが部屋にやってきた。

「明日は7時頃には起きてちょうだい。まかないのマリアが7時半までに朝食を作っているはずだから、あなたには7時45分に、その朝食を私に出して欲しいの。朝食後は、あなたを連れて一つ一つ部屋を案内するわ。あなたの仕事も教えます。朝は早いから、もう就寝する準備をしたほうがいいわね」

彼女は僕の頬に軽くキスをして、出ていった。

僕はシャワーを浴び、持ってきた白コットンのボクサー・パンツを穿いた。黒サテンのブリーフはユニフォームを着た時だけと思ったからだ。ベッドに入ったものの、少しも疲れていなかった。だが、少なくとも眠ろうと試みようとした。

ちょうど11時を過ぎた頃だった。僕の寝室のドアノブが回る音が聞こえた。部屋に入ってきた人の姿は見えなかったが、その香水の香りから、トレーシーだと分かった。彼女は僕のベッドの中に滑り込んできて、僕の隣に横たわった。そして次の瞬間、彼女の唇が僕の唇に重なるのを感じた。

僕は、こんなことが起きていること自体、信じられなかった。正直、僕はトレーシーと出会って以来、何度となく、こうなることを夢見てきていた。だが、実際にこうなるというのは、まったく信じられなかった。トレーシーの唇はベルベットのようにしとやかで、彼女の舌は蛇のように僕の口の中へ入ってきた。

長時間キスを続けた後、僕は勇気を出して、両手を彼女の胸にあてた。トレーシーの乳房は張りがあったが、柔らかく、乳首はつぶ石のように固くなっていた。胸は、熟れたメロンのカンタロープ(参考)のような手触りだった。軽く乳首をつねると、彼女は僕の口の中、うめき声を上げた。

トレーシーの手は、僕の腹から下へ降り、コットン・パンツに覆われたペニスのところに来た。その瞬間、彼女がわずかに身を強張らせ、僕の口から唇を離した。彼女は、一度、息を吸って呼吸を整えた。

「私が買ってあげたサテンのブリーフを履いていないのね」

「ごめん、トレーシー。ユニフォームを着ているときだけ履けばいいと思っていたから」

トレーシーは僕のペニスを握って、軽く揉んだ。

「これからは、いつも私があげたサテンのブリーフを履いていること。あれを通して固くなったものを触る感触が、好きなの。それに、もうひとつ。これからは、私のことをミス・トレーシーと呼びなさい。何と言っても、私はあなたの雇い主なのよ」

僕は、2人で愛し合っている間だというのに、彼女のことをミス・トレーシーと呼ぶのは少し変わっていると思ったが、それについて問うつもりはなかった。その代わりに別の質問をした。

「今すぐサテンのブリーフを履きましょうか?」

「そうしてちょうだい」

僕はベッドから降り、明かりをつけた。暗闇では、自分がすることが見えないからだった。トレーシーを見ると、目に飢えた表情を浮かべている。興奮していることが分かった。僕はドレッサーのところに行き、ボクサー・パンツを脱ぎ、ブリーフに足を通した。かなりきついタイプだった。勃起をその中に収めるのにかなり苦労した。トレーシーは、その間、ずっと僕のところから目を離さずにいた。

ブリーフに履き替えた後、僕は明かりを消そうとしたが、それを見て彼女が言った。

「いや、そのままにしておいて。あなたのことを見ていたいから。あなたも私のこと見ていたいでしょう?」

僕は、「ありがたい、もちろんさ」と言いたかったけれども、その代わり、

「もちろん、見ていたいです。そう思わない男性はいないと思います」 

と答え、ベッドに入った。トレーシーはただ微笑み、それから僕に顔を覆い被せ、再びキスを始めた。

トレーシーの手は、すぐに僕のペニスに戻ってきた。彼女の手であそこをさすられる。その時のサテンの感触に僕は驚いた。ペニス・サイズに関して言えば、僕は確かに大きな方ではない。正直、平均サイズだ。だが、トレーシーの手に触られていると、自分が巨根の持ち主になったような気持ちになる。僕も手を這わせ、彼女の脚の間へ進んだ。そして、彼女がパンティを履いていないことに気づいた。しかも、あそこはつるつるで、愛液で濡れている。トレーシーのような素敵な女性が、僕のような男と一緒で、こんなに興奮している! そのこと自体にとても驚いた。もちろん、何も訊くつもりはなかったが。

トレーシーが無毛になっていることにも驚いていた。僕がそれまでベッドインした女の子は2人だけだが、2人ともヘアがあった。陰毛を生やしていない女の子といえば、ポルノ映画に出ている女だけだった。

つるつるの肌を触り、バギナの唇や固くなった小さなクリトリスをじかに触れる。その感触は、本当に嬉しい驚きだった。

トレーシーと僕は、かなり長い間、キスしたり体を触れ合ったりを続けていた。その間、僕は何度もいきそうになった。だが、トレーシーは、男がそうなる時のことを熟知しているようで、ギリギリのところで手をお腹や脚へと移動して、僕の射精を阻止した。だが、それでも、もはやこれ以上、耐えることができなくなる時がある。その瞬間、トレーシーは僕の唇から口を離し、じわじわと下方へ顔を移動し始めた。首元から胸へとじわじわ下方へと唇を這わせていく。

彼女は胸のところで移動を止めた。そして僕の乳首を舐めたり吸ったりし始めた。そうされる快感にも驚いた。それまで、これを僕にしてくれた人はいなかった。初めての感覚だった。トレーシーの口が僕の乳首を離れ、腹の方へと下っていった時には、正直、僕はがっかりしてしまったほどだった。

トレーシーは、僕の腹にキスしながら、同時にブリーフにも手をかけていた。そして、巧みに僕の両膝のところあたりまで押し下げる。僕は足を動かして、ブリーフを脱ぎ去ろうとした。だが、トレーシーは僕の膝に手を当て、僕を制止した。僕がブリーフを脱ごうとする動きを止めるのを見極めて、彼女は再び体にキスを始めた。やがて彼女の唇はペニスの辺りまで降りていた。

トレーシーが僕のペニスを舐め始めた。僕は視線を落とし、自分のあそこを見た。トレーシーが僕の股間にいて、僕を見上げている。僕の目と彼女の深青の瞳が会った。まさにポルノ・スターがするようにトレーシーは僕を見つめたままペニスを咥えていた。僕が見ているのをしっかりと確認している。トレーシーの口の中に包まれた時、僕は再び限界に達しそうになったが、何とかギリギリのところで堪えることができた。

僕のペニスを吸うトレーシー。彼女の口の感触は本当に極上だった。唇でシャフトを咥え締めつけながら、上下に動く。その間も、口の中では舌先を速く動かして愛撫を加えてくる。時に、口の中から出して、アイスクリームを舐めるように舌の全面を使って、亀頭を舐める。そうかと思うと、次にはロリーポップを舐めるようにちろちろと小刻みに舐めてくる。さらに、時には、ペニス全体を深々と飲み込み、唇でペニスの根元を締めつけ、亀頭を喉の先の奥まで入れているのを感じる時もあった。

僕が我慢しきれなくなり、今すぐにも爆発的に射精しそうになった。それを感じたトレーシーは、すぐに口を離した。この頃には、僕はすでに射精を求めて気が狂いそうになっていたし、そのことはトレーシーも分かっていたと思う。だが、彼女は口を使って僕をいかせること以外のことを考えていた。

トレーシーは僕の腰にまたがった。腰をゆっくりと降ろし、僕のを中に入れていく。最初、彼女のあそこはすごく緩いように感じた。僕のペニスは小さ過ぎるのだろう、彼女のあそこには不似合いなのだ。僕はそう思った。だが、次の瞬間、僕の考えたことは間違っていたと分かる。中に入った後、トレーシーのあそこが万力で挟むかのように、すごい力で締めつけてくるのを感じたのだ。

あそこの筋肉をこんな風にコントロールできる女の人を僕は知らない。でもトレーシーがそれをしているのは確かだ。あそこの筋肉を使って、まるでミルク搾りをするように僕のペニスを搾っている。しかも、締めつけたまま、出し入れの動きを始める。このまま続けられたら、僕はあっという間に達してしまうのは確実だった。

トレーシーのあそこは、まるで僕のペニスの皮を這い回るような動きをしていて、その感覚く僕は驚くばかりだった。その強烈さに、僕はあまりにも早く頂点に達してしまいそうだった。

「ああ、僕はもういきそうだよ!」

するとトレーシーは大きな声で叫んだ、「ダメよ。もっと堪えなさい!!」

だが、その時点で僕はすでに後戻りはできなくなっていた。「・・・ごめん・・・」と唸り声を上げながら彼女の中を満たし始めていた。

僕は、彼女に与えられた強烈な快感に気絶していたに違いない。ようやく目を開けると、そこには僕を見下ろすトレーシーの顔があった。僕を睨みつけている。彼女が満足していないのが分かった。ペニスが萎み始めるのを感じる。

「私のことはどうするの? いきたかったのに」

僕は懇願するような声で返事した。

「ごめんなさい。あまりにもあなたのあそこが気持ちよすぎて。この次にはもっとうまくやるよ。約束する」

「この次? 誰が、この次もあるって言ったの? 今回はどうなるの? 私もその気になっているのよ。いきたいの!」 彼女は怒っていた。

「今すぐできることがあったら、したいけど、もう何分か必要なんだ」

トレーシーはにやりと笑った。

「私が考えていることをしてもらうのには、休み時間は要らないわ。2回戦の準備が整うまで、舌くらい使えるでしょう?」

僕は、女の子のあそこを舐めたことはあったし、僕自身、嫌いなことではなかった。ためらわずに返事した。

「分かった。横になって。舐めてあげるから」

「もっと良いことがあるわ。私があなたの顔の上に座ることにするの。それなら、あなたは横になったまま私を舐められるし、私も自分で動きをコントロールすることができるから」 

彼女はそう言って、僕から体を離した。

クンニリングスの経験はあったし、その味も好きだったから、僕は喜んで、トレーシーが望むことをするのに任せた。だが、彼女が僕の顔の上にまたがった時になって初めて、僕は、彼女のあそこの中にスペルマを放出したばかりだということを思い出したのである。いや、もっと正確に言えば、それを思い出したのは、彼女の陰唇からかなり多量のスペルマが垂れ流れてくるのを見たときだった。僕はあわてた。

「ちょ、ちょっと待って。まだあそこの中に僕の出したのが入ったままだよ」

「知ってるわよ、おばかさん。あなたが出したとき、私もここにいたもの」 

彼女は冗談っぽくからかった。

僕はトレーシーを押し退けようとした。

「まさか、僕が出したのを残したまま、舐めさせようとしているんじゃないよね?」

「どうして嫌なの? あなたが自分で出したものよ? もし私の口の中に出したとしたら、あなた私にそれを飲ませようとするでしょう? さあ、舐めて」

僕は「イヤだ」と答えようと、口を開けた。だが、それと同時に彼女の陰唇から垂れそうになっていた塊が落ちてきて、僕の口の中に入ったのだった。

僕は吐き出そうとしたが、トレーシーは僕の口の上にぴったりと股間を当てて座ってしまった。事実上、僕の口が彼女のあそこで塞がれた形だった。口に入っていたものを飲み込む他にできることはなかった。だが、飲み込むと同時に、また別の精液の大きな塊が彼女の中から出てきて、僕の口の中に入ってくる。これもまた飲み込んだ。これから逃れる方法がまったく思いつかなかった。

飲み下すたびに、新しいのが彼女の中から出てきた。慣れもあって、次第に不快感を克服してくると、これはそんなにひどいものでもないと思うようになった。実際、ある意味、美味しいと思った。ビールのようなわずかな苦味はあるが、蜂蜜のような甘味もある。いつの間にか、僕の舌は、僕と彼女の体液が混じったものを、もっと求めようと、トレーシーのあそこに舌を入れ、掻き出す動きをしていた。

トレーシーがあそこの筋肉を収縮させるのを感じた。

「そう、いい娘ね! そうやって私のあそこをきれいに舐めるのよ」

僕は、どうしてトレーシーが僕のことを「娘」と言ったのか、その理由を訊こうとしたが、その前にまた新たな濃いスペルマが流れ出てくる。

その何秒か後、またトレーシーがあそこを収縮させるのを感じた。その時、流れ出てきたのは、前より薄く、甘みが増していた。前とは違う味になっていたので、これは彼女自身の愛液だと思った。それが出てきたのと同時に、彼女の体はがくがくと震え始めた。オルガスムに達したのだろう。トレーシーは、結局、さらに3回オルガスムに達し、その後ようやく僕の顔から降り、僕の隣に横たわった。

彼女は枕に頭を乗せ、呼吸が戻るのを待っていた。落ち着きを取り戻した後、僕に言った。

「素晴らしかったわ。これからは、あなたが私の中に出した後は毎回、こうやって私のあそこをきれいに舐めてもらうことにするわ。あなたも楽しんだみたいだし」

「いや、僕は違うよ」

これは嘘だとは知っていたが、何か反論しなくてはいけないと感じていた。つまり、男というものは、この類のことを好きになるのはおかしいと思っていたから。

すると、トレーシーが、いきなり僕の顔を強く平手打ちした。

「スティーブン! この家では、嘘をつくのは一番やってはいけないことよ。私は絶対に許さない。私の夫は、もっと許さないはず。さあ、正直に認めなさい。あなた、さっきのを楽しんだんでしょう? 正直に言わなかったら、嘘をついたことで、罰を与えるわ。そもそも、おちんちんを固く立てていながら、隠しきれるはずがないのよ」

僕は彼女に叩かれた頬を擦りながら、股間に目を落とした。そしてトレーシーが言ったことが本当だと知った。僕は勃起していたのだ。

「ごめんなさい。嘘をついていました」

トレーシーはにっこり微笑んだ。

「今回だけは許してあげるわ。あなたが男だというのは知っているし、男は精液を飲むのを好きになるとは思われていないというのも知ってるわ。でも、これからは、一切、嘘はなし。いいわね」

「分かりました・・・ところで、旦那さんのことが話しに出たけど、僕たちがこんなことをしてるのを旦那さんにばれたりするのは、心配じゃないんですか?」

トレーシーは僕の左の乳首をつねった。

「バカね、大丈夫。マークは出張で、金曜まで帰らないわ。さあ、私にキスして。夫のことは気にしないで」

トレーシーは再び僕にキスを始めた。長くキスを続けた後、彼女は再び僕の上にまたがった。今回のトレーシーは、先の時のように、あそこの筋肉を使って僕のペニスを締め付けることはしなかった。おかげで僕は前より長く持続することができた。それに今回は、僕がいきそうになると、彼女は動きを止めてくれた。腰の動きを止め、その代わりに胸を差し出し、僕に乳首を吸わせた。

トレーシーは何回かオルガスムに達した後、僕に再び彼女の中に射精させた。その後、また前と同じく、彼女は、僕の顔の上に腰を降ろし、僕に清めさせた。トレーシーは、この行為を本当に楽しんでいるようだった。僕の口で、さらにもう2回、絶頂に達していた。そしてようやく体を離す。僕の唇にキスをし、「良い夢を」と言って部屋から出て行ったのだった。

トレーシーが出て行った後、僕は一度、起きてシャワーを浴び、新しいサテンのブリーフに履き変え、ベッドに戻った。滑らかなサテンの寝具に包まれながら、僕はさっきの出来事のことを振り返った。それから何分もせずに僕は眠りに落ちたが、夢はすべてトレーシーのことと、彼女との素晴らしいセックスのことだけだった。

翌朝、6時半、目覚まし時計に起こされた。目覚ましがなかったら、寝過ごしていたかもしれない。前の夜は、結局、5時間くらいしか寝られなかった。眠気が覚めず、もう一度、シャワーを浴びた方が良いと思った。

シャワーを浴び、体を拭き、髪にブラシをかけた後、シルクのシャツを着た。これは僕の制服の一部になっている。次にズボンを履いた。ズボンが、トレーシーが買ったときと異なっていることに気がついた。素材がカーキではなく、ポリエステルが配合されたものに変わっていた。履くと、シャツと同じくシルクのような肌触りがしていた。靴も変わっていた。前より、細くなっており、わずかに踵が高くなっていた。それを履くと、自分の身長が伸びたような感覚になった。

着替えを済ました後、僕はキッチンに入った。料理担当のマリアがいて、僕たちは互いに自己紹介をした。マリアは僕にフルーツの盛り合わせを乗せたトレーを手渡し、テーブルについて食べるように言った。

正直、僕は、朝食にはフルーツ以上の何か他のものも欲しかったが、マリアによると、ミス・トレーシーは毎朝、それを食べているし、ミス・トレーシーは僕にも同じものを食べるように求めているとこのことだった。これが、トレーシーがあれだけ細身でい続けているわけかと納得した。朝食を食べた後、僕はマリアからトレーを受け取り、それを持ってトレーシーの寝室に向かった。

彼女の寝室は僕の部屋より3倍は広かった。壁面がガラスなので、いっそう広く見える。ベッドも普通のキングサイズより大きかった。もっと言えば、キングサイズ・ベッドの2倍はあるベッドだった。壁際には、巨大な液晶テレビとステレオ装置があった。ドレッサーの類の衣装入れはどこにもなかったし、衣類を入れておく場所も見当たらなかった。

トレーシーはベッドの中、体を起こしていた。ローブの前がはだけていて、彼女の素晴らしい裸体が見えていた。僕が彼女の裸の部分に目を奪われているのを見たトレーシーは、優しい笑みを浮かべた。

「おはよう、スティーブン」

「おはようございます、ミス・トレーシー。今朝のご気分はいかがですか?」 

僕も彼女と同じような優しい笑みを浮かべ、返した。

僕がベッド・トレーをトレーシーの膝の上に置くと、彼女は僕の股間に手をあてた。

「とても良い気分。昨日の夜は素敵な時間を過せたわ。あれが私たちにとって最後でなければ良いと思ってるの。あなたも楽しんだでしょう?」

彼女はそう言って僕のペニスと睾丸をぎゅっと握った。僕は飛び上がりそうになってしまった。

「え、ええ。僕もすごく楽しみました。僕も昨夜のが最後でなければと思っています」

「私の言うことをきいてる限り、これからも素晴らしい時間を一緒に過ごせると思うわ」 

トレーシーは、そう言って、また僕のあそこを握った。トレーシーはナプキンを広げながら話しを続けた。

「私に朝食を給仕した後、浴室に行って、私のために素敵なバブル・バスを用意して頂戴。浴室は、そこのドアの向こうよ」 

彼女はベッドの左側にあるドアを指差した。

「バスタブの上に、白いクリスタルのビンがあるから、お湯が半分くらい溜まったら、それの中のを手のひら一杯くらいバスタブに入れて」

僕は、コーヒーを用意した後、トレーシーが指差したドアの先に歩いた。ドアの先は着替え部屋になっていた。むしろ非常に大きなクローゼットと言ってよい。空間の大半は、服を吊るしておくために使われていたが、ドレッサー類もたくさんあった。そのクローゼットはきちんと整理されていたと言えるが、床に落ちたままになってる衣類もわずかにあった。

さらに先に進むと別のドアがあって、その先に浴室があった。僕の寝室の、少なくとも1.5倍はありそうな大きなバスルームだった。大きな気泡風呂(参考)があった。少なくとも幅1メートル20センチ、横2メートル10センチはある。シャワーも大きく、スプレー・ノズルは全部で7つあった。洗面台には洗面槽が3つあり、その表面はみかげ石(参考)で、床面は大理石だった。横には別部屋の小部屋があって、トイレとビデ(参考)が設置されていた。僕は、ビデを見たのは、それが初めてだった。

浴槽にお湯を入れ始めた後、浴室を掃除し始めた。それほど散らかってはいなかったが、それでも多少、整頓する必要があった。浴槽の半分ほどまでお湯が溜まった時、トレーシーが言っていた通り、クリスタルのビンから中のものを出して入れた。途端に、浴室全体が、繊細な花の香りで包まれた。トレーシーの体からする匂いと同じだと分かった。

浴槽の方は、山のように盛り上がったバブルで一杯になっていた。お湯が溜まったのを見届けて、寝室に戻り、トレーシーに準備ができたことを伝えた。僕が入って行ったとき、彼女はちょうど朝食を食べ終えようとしていたところだった。

トレーシーは、朝食のトレーを脇にどけ、立ち上がって言った。

「よろしい。これから、毎朝、あなたが私にしなければならないことを、もうひとつ教えるわ」

トレーシーは僕の手を取って、ドレッシング・ルームに引っ張っていった。

「この部屋は、いつもきれいに整頓しておくこと。そこはちゃんと頭に入れて置くように。床に何か落ちていたら、拾って洗濯物入れに入れること。マークの衣類は左側で、私のは右側。下着といくつかのジーンズは除いて、他は全部、ドライクリーニングに出すこと。私のランジェリーは全部、あなたが手洗いしてちょうだい。マークの下着は洗濯機で洗ってもいいわ」

次に彼女はバスルームへ案内した。洗面台のところに行き、プラスティック製のバッグを取り出した。そのバッグの下から長いチューブが出ており、その先端には細長いノズルがついていた。それは浣腸の道具だとは知っていたが、どうしてトレーシーがそれを出したのか、分からなかった。

トレーシーは、そのバッグに水を入れながら、話した。

「毎朝、私は自分でエネマをするの。最初は、マークが私を後ろの方で愛したいと思ったときのために、そこを清潔にしておく目的でしてたわ。でも、じきに、それが健康のためにもいいし、体重をキープするにもとても良いと分かったの。今は毎日してるし、それをしないと、自分の体が不潔なままでいるような気持ちになるほど。あなたもやってみるべきね」

バッグに水を1リットルくらい入れた後、彼女は洗浄剤を数滴垂らした。そして、僕の見ている前で、彼女は20センチほどの長さのノズルを手にし、その全体に潤滑液を塗った後、肛門に挿入していった。

あの細長いチューブが彼女のアヌスに入ってい。見ているだけでも、痛そうに思えるのだが、彼女の顔に浮かんでいる表情は、そのような表情ではなかった。2センチくらいずつ徐々に入っていくのだが、それに連れて、トレーシーは至福そのものの表情を浮かべるのだった。彼女が、20センチのノズルを全部、中に入れられたことにも驚いたが、実に容易く入れられたことにも驚いた。

彼女は、ノズルが肛門に収まったのを確めると、チューブについているバルブを回した。洗浄液が彼女の中に流れ込んでいく。その液が流れ込んでいくのにあわせて、かすかな喘ぎ声が彼女の唇から漏れた。同時に、トレーシーは右手で恥丘を押えた。彼女の指がクリトリスをいじり始める。

トレーシーはクリトリスをいじりながら、僕の顔を見た。うっとりとして靄がかかった目をして言う。

「ほんと、一日のうちで一番素敵な時間が、これをする時。まあ、マークがここにいないときでは、って話だけど」

彼女が、浣腸をすることを、こんな風にエロティックに捉え、しかも楽しんでいることに驚いた。それに、僕の目の前で自慰をし始めたことにもショックを受けた。淫らな行為を見せ付けられ、僕は恥ずかしくてたまらなかったが、彼女の方はまったく気にしていないように見えた。

トレーシーがオルガスムに達する前に、バッグの中は空になってしまった。彼女はバッグを持って、便器があるところに行き、腰を降ろした。前のめりになり、ノズルを引き抜いている。彼女は空になったバッグを僕に渡し、洗浄液を入れなおすように言った。

トレーシーは、浣腸器を外し、僕がバッグに洗浄液を入れなおした後、僕が立っているところにやって来て、僕を両腕で抱いた。2分ほどキスをしていたが、ふと、彼女の両手が僕のズボンの腰のところに来るのを感じた。そして、次の瞬間、僕はズボンを足首まで降ろされてしまったのである。僕には反応する隙さえなかった。

トレーシーは、サテンの下着に覆われた僕のお尻をいじり始めた。

「さあ、今度はあなたの番よ。怖がらないで。最初はちょっと痛いかもしれないけど、2、3回すれば、私と同じように楽しめるようになるから。それじゃあ、後ろを向いて。カウンターに両手をついて、腰を曲げて」

僕は、したくないと言おうとした。だが、トレーシーは僕の唇に人差し指をあて、僕を黙らせた。体を反転させられた。カウンターの方を向かせられ、背中を押される。腰を曲げたとたん、トレーシーの指が僕の肛門に触れるのを感じた。指には潤滑剤が塗ってあった。その彼女の指が、1本、ぬるりと僕のアヌスの中に入ってきた。

あまりに突然の挿入に驚いた。でも、中に入ってきた指の気持ちよさにも驚いていた。その1本指にようやく慣れてきたかと思った瞬間、2本目も入れてきた。アヌスが広げられている感覚があったが、同時に気持ちよさも感じていた。トレーシーの2本の指が僕のあそこに出たり入ったりを繰り返している。

彼女が指を押し入れてくるのに合わせて、僕は喘ぎ声をあげ始めていた。

「気持いいんじゃない? 可愛いわ。あなた、私の指をお尻に入れられるのが好きになってきてるんでしょう?」

「・・・はい」

嘘をついてはいけないと言われている僕には、言えることは、それだけだった。トレーシーは、そんな僕を笑ったりはしなかった。ただ、指の出し入れを繰り返すだけ。次第に力を強めてきてた。

2分ほど、トレーシーの指にアヌスをほぐされていたと思う。突然、彼女は指を引き抜き、代わりにノズルを差し込んできた。2本指に比べるとノズルは細く感じられ、実際、たやすく中に滑り込んできた。でも、長さはノズルの方が長いのは確かだった。

トレーシーは自分自身にしたときとは違い、一気に全部押し込むようなことはしなかった。少しずつ押し入れ、ある程度の深度に来ると、一旦抜いて、また押し戻す。ペニスを挿入されることというのは、こんな感じなのだろうなと思ったし、ゲイの男たちがこれを好きなのも分かるような気がした。確かに、感じる。さほど時間が経たないうちに、彼女がノズルを押し込むたびに僕は喘ぎ声を上げていた。

突然、トレーシーがノズル全部を僕に押し込んだ。次の瞬間、温かいお湯が流れ込んでくるのを感じた。最初は、予想に反して奇妙なほど快適で、その感覚を気に入っていた。だが、何分か経つと、その快適な感覚が消えた。次第に下腹部が痛くなってくる。

苦痛を訴えたが、彼女はそれを聞かなかった。

「分かるわよ。最初の何回かは、そんな感じになるものなの。でも、一度、その感覚に慣れてしまえば、私と同じくらい、あなたも気持いいと感じるようになるはず。だから、今は、耐えて」

僕はリラックスして、耐え続けようとしたが、やはり腹部の痛みは大きく、バッグの中の液体が空になる頃には、目に涙が浮かんでいた。立ち上がると余計に腹が膨らんでいる感覚が募り、痛みはいっそう激しくなった。トレーシーは僕の唇に軽くキスをし、トイレに行ってもよいと言ってくれた。僕がトイレに行くのを見て、彼女は浴槽に入った。彼女が僕についてトレイにこなくて幸いだった。便器から立ち上る臭気は恐ろしいほどだったから。

すっかり出し終え、ズボンも履きなおした後、浣腸器のバッグを戻しに洗面台に戻った。僕は、もう、これで済んだと思っていたのだが、トレーシーはそうは考えていなかったようだ。

彼女はバスタブの中、横目で僕を見て言った。

「スティーブ? 今回、初めてなんだから、あなたがちゃんときれいになったかどうか怪しいわね。念のため、もう1回してちょうだい」

前に僕は、トレーシーが自分自身で浣腸をするところを見て、ひどく恥ずかしく感じたと言った。だから、このとき、僕がどれだけ恥ずかしく感じたか、想像できると思う。それを行う僕を、トレーシーがずっと見ていたのが分かっていたから。

彼女には背を向けていたのだが、鏡の中、彼女が僕を見ているのが見えていたのである。さらに悪いことに、これを行っている間ずっと、僕は激しく勃起を続けていたのだった。それではまるで、浣腸を行いながら、それに変態的な快感を感じているように見えていたと思う。

そしてようやく2回目の浣腸も終わった。

「オーケー。じゃ、寝室に戻ってベッドを直しに行って。それが終わったら、こっちに戻ってきて、私のお風呂上りの支度を手伝ってちょうだい」

僕は、トレーシーの視線から少しだけでも逃れることができて、実際、助かったと思っていた。少なくとも、この恥ずかしさから逃れることができる。彼女のベッドを整え、部屋の整理をし終えた頃には、かなり気持も落ち着いていた。

それからバスルームに戻り、トレーシーが入浴を終え、体の濡れを拭き取るのを手伝った。その後、全裸の彼女の全身にモイスチャーライザーを塗る仕事をさせられた。この仕事は大いに気に入った。それが終わるとトレーシーは着替えに入り、その間、僕はバスルームの清掃を行った。

バスルームの掃除が終わり、部屋に戻ると、トレーシーは化粧台のところにいた。

「今日は、マリアには、残りの時間は休みにしてあげたわ。キッチンに行って、マリアに会ってちょうだい。彼女は、あなたに夕食に何を作ったか、それを出すときの方法を教えてくれるはず。それを聞いたら、またこっちに戻ってきて」

キッチンに行き、マリアに夕食のことについて教えてもらった後、寝室に戻った。トレーシーはビキニ姿になっていた。細紐だけでできているようなビキニ水着だった。

彼女は、僕を連れて、家の中のすべての部屋を案内し、僕にして欲しい仕事を説明した。僕がしなければならないことは、たいてい、ほこりを叩き、掃除機をかけることだった。大半の部屋は、3日おきぐらいに掃除をするだけで良いと言われた。トレーシーの寝室と浴室だけは別で、そこは毎日、清掃しなければならないし、もちろん、本来ある場所にない物があったら、それをすべて元通りの場所に戻さなければならない。

僕はリビング・ルームとダイニング・ルームを掃除し始めた。その間、トレーシーは日光浴をしにプールサイドに出ていた。僕のいたリビング・ルームから、プールの様子がはっきり見えた。彼女は、ビキニのトップをはずしてから、プールサイドのリクライニング・チェアに横になった。僕は、自分でも、どのように掃除を終えたのかよく分からない。というのも、ずっとプールサイドばっかり盗み見していたのだから。

正午ごろになり、ダイニング・ルームの掃除を終えたちょうどその時、トレーシーが屋内に戻ってきて、僕に言った。

「マリアが私たちのためにフルーツの盛り合わせを2皿、用意していたはずよ。あなたも水着に着替えて、プールサイドに出て、一緒に食べない? あなたの青白い体、少し、日焼けした方がいいと思うわ」

「僕は水着を持っていないんです。それに、僕は、あまり日光浴するようなタイプじゃないし」

トレーシーは何か少し考えていた。

「そうねえ。あなたには、マークの持っている物はどれも合わないわね。夫はあなたよりずっと体が大きいから。もっと言えば、私のビキニも合わないでしょうね。私のビキニもあなたには大きすぎるはず。でも、あなたの部屋に行けば、何か着られるようなものがあると思うわ」

トレーシーは僕の手を取り、引っ張るようにして僕の寝室に連れて行った。

彼女は、引き出しの中を探し回った。引き出しの中には、女の子が着る衣類しかなかったのだが、そこから、ビキニの下の方のような物を取り出した。明るい黄色で、ソング・パンティのように見えた。腰バンドのところが細い紐になっていて、股間の部分の布を支えるデザイン。女の子ですら、それを着るには非常に勇気がいるだろう。まして、僕にとっては、それを着るなど、考えられない。それを見せられ、僕は答えた。

「それは、着れません。女の子のビキニですよ、それ」

トレーシーは僕のところに近づいてきて、僕のシャツのボタンを外し始めた。

「いいえ、あなたなら着れるはずよ。私のほか、誰もいないのよ。私は誰にも言わないから、大丈夫」

抵抗したかったものの、トレーシーが僕にキスを始め、できなくなってしまった。気がつくと、シャツを脱がされ、ズボンも足下に落ちていた。サテンのブリーフ1枚の格好になっていた。トレーシーは僕の前にひざまずき、靴とソックスを脱がせ、さらにブリーフも引き降ろしてしまった。それからビキニを足に通し、引き上げてくる。股間の近くまで引き上げると、できるだけ優しく、僕のペニスと睾丸を足の間に押し込み、それがずれないようにビキニを被せ、引き上げたのだった。

トレーシーは、ひざまずいたまま上体を後ろに傾け、僕の全身を見た。

「あなたの言う通りね。これじゃあ、このビキニはダメだわ」

最初それを聞いて安心した。だが、彼女の目を覗きこむと、これで終わりというわけではなさそうだと分かる。トレーシーは僕を見上げて言った。

「やっぱりダメ。その毛が生えたままじゃ、このビキニは着れないわ。取り除かなくちゃいけないみたい」

「取り除くって、何を?」 僕は泣きそうな声を出した。「男は体毛を剃りませんよ」

「あら、そんなことないわよ。うふふ。レスラーとかボディ・ビルダーとかいつもしているわ。マークもしてるし。体毛を剃ると、筋肉がとても格好よく見えるからって言ってたわ。あなたも、いい感じに日焼けしたら、誰も体毛がないなんて気づかなくなるわよ」

トレーシーは立ち上がって僕の手を取った。

「さあ、一緒に来て。ヘア・リムーバーを使うから」

またもや、僕は、事実上、トレーシーに引きずられるようにして家の中へ連れて行かれ、彼女の寝室に戻された。

トレーシーを止めるべきだったし、少なくとも「嫌だ」と言うべきだったのは分かっている。だけど、そうはしなかった。トレーシーがあまりに強引だったというのもあるし、非常に熱心だったというのもある。ともかく僕は彼女に付き合うことにした。彼女が求めることなら何にでも付き合うことにした。

トレーシーの寝室に入って数分後、僕は再び素っ裸になって立っていた。体にどろりとした青緑色の液体を塗られた。その液体は明らかに化学薬品の匂いがしていたし、つけられたところの肌がちくちくしていた。全身にそれを塗りつけられた。脇の下も、股間のところも、背中も。

それから15分ほど待ち、その後、彼女と一緒にシャワールームに入った。トレーシーに手伝われてヘア・リムーバーを全身から洗い流した。それと一緒に僕の体毛もすべて流れていった。荒い終わった後には、僕は、首から下がまったく無毛になっていた。

再びビキニを履くように言われ、履こうとしたが、シャワーを浴びていたときからペニスが勃起し続け、後ろへ持っていくことができなかった。

それを見たトレーシーは、僕の体を押し、ベッドの上に倒した。あっという間に、僕の足の間にひざまずいて、ペニスを口に咥えた。それから何秒も経たないうちに、彼女は体の向きを変え、2人はシックスナインの形になっていた。彼女のあそこが僕の顔の上に来ている。僕は、彼女の腰に両手を掛け、あそこを口に引き寄せた。

最初、彼女のあそこはシャワーを浴びたために濡れているのだと思っていた。だけど、その濡れがヌルヌルとしているのを感じ、トレーシーが性的に興奮しているのだと分かった。僕は舐め続け、彼女は3回、頂点に達していた。一方のトレーシーも僕のアヌスに指を2本入れながらフェラを続け、最後には彼女の口の中に出させてくれた。

2人ともオルガスムを充分味わった後、彼女は向きを変えて、僕の上に覆い被さり、僕にキスをした。トレーシーは僕が出したものを飲み込んでいなかった。キスを始めるとすぐに口の中にそれが流れ込んできた。僕は、それは僕が出したものというこを考えることすらなく、ただ流し込まれたものを飲み込み、彼女にキスを返した。

トレーシーは僕の唇から唇を離して、言った。

「あなたと一緒にいるとものすごく楽しいわね。これまでいた他の使用人たちより、ずっと楽しいわ」

「他の男の使用人たちにもこういうことをしてきたんですか?」 

彼女を見上げて、そう言った僕の唇に、彼女は軽くキスをした。

「男の使用人はあなたが初めてよ。これまではメイドだけ。メイドの大半は可愛い娘だったし、セクシーなのも2、3人はいたわ。でも、その娘たちとはセックスしたことはなかったの。どの娘も、ガール&ガールの類のこと好きじゃなかったから。でもあなたとなら、ガール&ボーイのことができるし、ひょっとしたら、もうちょっと変わったこともできるかもしれないわね」

もうちょっと変わったこととはどういう意味なんだろうと思ったが、それを聞く前に、彼女が先を言った。

「さあ、ビキニを履いて、お昼を用意してちょうだい。プールサイドで待っているから」 トレーシーは、僕がビキニを履くのを見届けてから、自分のビキニを履いた。

僕はマリアが用意したフルーツ盛り合わせを見つけ、それを持ってプールサイドに戻った。トレーシーは、ビーチパラソルのついたテーブルに座っていた。おおよそ20分ほど、僕たちはおしゃべりをしながら食べた。食事の後、トレーシーは僕の体に日焼けオイルを塗り、僕を日光浴させた。彼女は、だいたい20分毎に僕に体の向きを変えさせ、その度に、さらにオイルを塗ってくれた。

僕たちは、4時過ぎになるまでずっと日光浴をしていた。その後、ようやく屋内に戻り、シャワーを浴びた。ビキニを脱ぐと、ビキニに隠れていた部分を境にはっきりと日焼けのラインができているのが見えた。自分の肌がこんなに良く焼けていることに驚いた。多分、オイルが関係しているのだろう。

シャワーを浴び終わると、トレーシーが言った。

「これって、ちょっと変に思うかもしれないけど、私が出すものを着てくれないかしら? もし気に入らなかったら、二度と着なくても構わないわ。約束する。でも、それを着たら、あなたとてもセクシーに見えると思うのよ」

僕は思慮深くあるべきだったと思う。簡単にイエスと言ってしまってはいけなかったのだと。だが、僕は、はい、分かりましたと答えてしまっていた。

トレーシーは僕を僕の寝室へ連れて行き、ドレッサーの中を漁り始めた。そして、中から、薄地の黒いストッキングと、黒いサテンのパンティ、そしてそれにマッチしたブラジャーとガーターベルトを出した。

彼女に手伝われて、ストッキングを履いた。非常に官能的な肌触りだった。次に腰の回りにガーターベルトを着けさせ、ストッキングを留めた。次がパンティとブラジャーだった。トレーシーは、さらに何着かパンティを取り出し、それをブラの中に詰めて、カップを満たした。彼女が再びクローゼットの中に入って行くのを見て、僕は次に何が来るか予想できていた。案の定、サテンのメイド服とハイヒールを持って出てきた。ヒールの高さは8センチ弱だった。トレーシーは僕にドレスを着せ、ハイヒールを履かせた。

「すごくセクシーよ。自分の目が信じられないほど。後は、ちょっとお化粧をして髪の毛にブラシをかけたら、もう完璧な女の子って言えるわね。さあ、来て。あなたのお化粧をしましょう」

鏡を見ようとしたが、トレーシーは、それを止めた。だから自分の姿を見ていないのであるが、それでも、服や靴が、僕のサイズにぴったりだったことに驚いた。ヒールを履いて歩くのは、高さにもバランスをとることにも慣れていなかったので、難しかった。

今度は、トレーシーの部屋に連れて行かれた。化粧台の前に座らせられる。まずは眉毛の毛抜きから始められた。僕は、これは少しやりすぎだと思ったが、トレーシーは、黙っていなさいと言って、僕に有無を言わせなかった。約20分ほど毛抜きをした後、今度は化粧に取り掛かった。

最初はマスカラだった。これはトレーシーにとっても一番難しかったに違いない。というのも、彼女がブラシを持って僕に近づくたびに、僕はどうしても瞬きをしてしまったから。次にまぶたにアイシャドウを塗り、まぶた用の線引きを使って仕上げをした。その後は、眉墨鉛筆を使って眉を濃くし、ファウンデーション・クリームを頬からあごにかけて施した。僕は頬骨があまり出ていないのであるが、頬紅を使ってそれを強調する。そして、その後はルビー色のリップ・グロス(参考)を唇に塗り、その上にグロスを保つためのシーラーを塗った。

顔の化粧が終わると、彼女は僕の爪に注意を向けた。まずは、それぞれの指につけ爪を装着する。それを角ばった形に切り揃えた後、最初に赤いマニキュアを一通り塗った。それが乾くと、もう一層、同じ色を塗る。それを繰り返して、結局、赤い色3層と透明の塗料を2層塗った。

僕は、つけ爪を装着する前から、自分の指を見ていなかった。であるので、できあがった自分の指を見て、ひどく驚いた。それにしても、つけ爪が本当に本物のように見えるし、自分の指が非常に長くなったように見える。よく事情を知らずに自分の手を見たら、僕は、誰か知らない実物の女の子の手を見ていると思ったことだろう。

次にトレーシーは僕の髪の毛をいじり始めた。初めに、ポニーテールにしていた髪を解き、ブラシを掛ける。ブラシの通りが良くないのを感じたのか、スプレーで一通り髪の毛を濡らして、ストレートに延ばし、それからホット・カールをつけた。それから約20分後、彼女は、とうとう僕の髪の毛を彼女が望むとおりの姿に変えてしまった。

髪のセットが終わると、トレーシーは一旦、後ろに引き下がり、僕の全体の姿を見た。

「私が期待していたよりも、ずっと良い感じに変わったわよ。本当のことを知らなかったら、あなたのこと、本物の女の子だと言うと思うわ」

僕は振り返って、化粧台の鏡を覗こうとした。だが、真っ暗で何も見えない。彼女に手で目をふさがれたからである。トレーシーは笑いながら立ち上がり、僕を着替え室の方へ連れて行った。目を閉じたままにするように言われた。そして、そのまま、鏡の前へと僕を連れて行く。

目を開けても良いと言われ、目を開けた。そこに見たものにショックを受けた。前日の夜、僕は部屋にあったメイドの服は、女の子が着たらセクシーに見えるだろうなと思った。だが、僕がその女の子になるとは! 鏡の中、僕の前に立っているメイドは、驚くほどセクシーで、メイキャップも一級クラスだった。髪の毛までも、本当に女の子のようになっていた。自分の姿に僕は完全に見入っていた。自分の姿なのに、自分だとはとても思えない。

トレーシーはまだサテンのローブを羽織っていた。その下には何も着ていないのは僕も知っていた。その彼女が僕の後ろから両腕を伸ばし、僕の腰に抱きついてきた。僕の頬に軽くキスをする。

「で? どんな感じ?」

僕は鏡から目を離さず、見入ったままだった。

「僕がとても綺麗に見える」

トレーシーはくすくす笑った。

「ええ、そうよ。本当に綺麗。あなた、男の子でいるより、女の子の方が素敵に見えるようになるわ。男の子の雑用ボーイでいるより、メイドの方がずっと素敵に見える。そうそう、メイドのことで言えば、そろそろ夕食の時間だわね。あなたは分からないけど、私はもうお腹がすいてきたわ」

僕もお腹がすいていた。そこで夕食の準備をするためキッチンに行った。

ヒールを履いて歩くのは、最初は難しかったが、しばらく経つとそれも慣れてきていた。むしろ長い爪で作業する方が難しかった。爪は壊してしまいたくなかったから、慎重にならなくてはならなかった。だが、それもまた、次第に慣れてきたし、ありがたいことに、マリアがすべて僕に代わって準備してくれていたので、僕はあまり作業をせずに済んだ。僕がした作業は、食事を電子レンジにセットし、温まるのを待つだけ。待っている間、トレーシーのためにテーブルをセットした。

ディナーが温まった後、トレーシーに準備ができたことを告げに彼女の寝室に向かった。彼女は寝室で着替えをしていた。彼女の姿を見つけ、僕は両手を前に揃えて組み、そして伝えた。

「ミス・トレーシー。お食事の準備が整いました。お食事はダイニングでなさりますか、それとも、こちらで?」

トレーシーは笑みを見せて僕を見た。

「ダイニングでいただくことにするわ。あなたも一緒に。自分の食器は自分で準備して並べなさい」

ダイニングに戻り、自分の食卓の準備をした。そのすぐ後にトレーシーがワインのボトルを持って入ってきた。彼女は、ボトルを開け、自分と僕のグラスに注いだ。

2人並んで腰掛けた後、トレーシーはグラスを掲げ、言った。

「私の新しいガールフレンドに! 彼女が、いつまでも長くここにいてくれますように! 本気で言ってるのよ。あなたはもはや召使じゃないわ。これからは私のお友達」

僕はありがとうと感謝した後、グラスを手にワインを飲んだ。奇妙に聞こえるかもしれないが、僕がアルコールを飲んだのはこれが初めてだった。19歳なので、外で飲むことはできなかったし、友達にもアルコールを入手できる者はいなかった。父も家にはお酒を置いていなかったし、僕の友だちの親たちも、それは同じだった。

初めてのワインは美味しかったし、食べ物も美味しかった。食事中、トレーシーは、女の子らしい食べ方を僕に教えた。

ディナーが終わる頃には、僕はグラス2杯を飲み干していた。その量はたいしたことがないと思われるのは知っているが、僕にとっては、かなりの量だった。席から立ち上がったが、歩くのが大変だった。トレーシーはその僕の状態に気がついたに違いない。食器の後片付けを手伝ってくれた。僕と彼女は、食器を片付けながら、ずっと声に出して笑ったり、くすくす笑ったりを続けていた。

ディナーが終わると、トレーシーは僕を引っ張るようにして僕の寝室に連れて行った。部屋に入るとすぐに、僕のメイド服を脱がし始めた。僕を裸にすると、僕の乳首やペニスをいじり始め、僕がいきそうになるまでそれを続けた。でも、そこまでいったところで彼女は中断し、裸の僕にピンク色のベビードールのナイティとそれにマッチしたパンティを履かせた。この時は、彼女は、僕のペニスを脚の間に押し込めようとはしなかった。僕の寝着の姿ができたのを受けて、今度は2人でトレーシーの部屋に向かった。そこで彼女もナイトガウンに着替え、僕たちはベッドに入った。2人、ワインを啜りながらテレビを見た。

テレビでは非常にロマンティックな映画をしていた。そしてそれを見ながら、2人ともいつの間にかキスを始めていた。ずいぶん長い間キスを続けた後、トレーシーはナイトスタンドからディルドを取り出し、それで遊び始めた。

僕はワインを飲みすぎていたのだと思う。トレーシーがそのディルドを僕の顔の前に突き出したのを受け、僕はそれを口に含んだのだから。トレーシーは、そんな僕を止めようとはしなかった。むしろ、続けるように励ましていた。

トレーシーに見られながらディルドを舐め続けていたのであるが、2、3分、それをしていたら、トレーシーは仰向けになり、持っていたディルドを彼女の股間のところに移動し始めた。

「さあ、ステフィー、私のペニスを吸って! あなたの可愛い赤い唇。その唇で私を包んで、吸ってちょうだい」

ワインのせいで躊躇う気持ちが薄れていたのだろう。僕は、彼女の股間へと移動していくディルドにあわせて、顔を下げていき、言われた通りに吸い始めた。見ると、トレーシーはディルドの根元の陰に指を入れていて、自分のクリトリスを触っていた。その間、僕は彼女のペニスの茎に沿って上下に舌を動かしていた。僕がこうすることでトレーシーが興奮してくれている。僕の口の動きにあわせて腰を上下に動かしていたことで、それが分かった。

トレーシーが僕の頭の後ろに手をあてがい、ディルドに引きつけるようにしたのを感じた。

「もっと強く吸って! 淫乱ちゃん! 私のを口の奥に飲み込むの! あなたの淫らな喉にペニスの頭が締め付けられるのを感じたいのよ」

僕は、昨夜の彼女が僕にしてくれたように、喉の奥へ彼女を飲み込もうとしたが、どうしても咽てしまう。でも、トレーシーは僕をやめさせてはくれなかった。頭の後ろに手を当て、僕の頭を下へ引き寄せ、同時に、腰を突き上げて、ディルドの頭部を奥へと押しこんでくる。僕は何度も咽かえっていたが、やがて、喉の咽頭反射(参考)が根負けしたようだった。一旦そういう状態になった後は、あっという間に奥に入り、いつの間にか僕の唇にディルドの根元が触れていた。

僕が彼女のペニスを根元までディープスロートできるようになったのを見たトレーシーは、起き上がって僕に抱きつき、熱のこもったキスをしながら言った。

「素敵よ。とっても上手にできたわね。可愛いおしゃぶり淫乱ちゃん。さあ、今度は、そのご褒美をあなたにしてあげるわ」

トレーシーは僕をベッドに仰向けに寝かせ、キスを始めた。唇からキスを始めて、徐々に体を下げていき、最後には僕のペニスを舐めていた。彼女の舌使いの快感で、僕の心の中が占領される。彼女はそうしながら、僕の肛門に指を這わせた。潤滑剤として何を使ったのか分からないけれど、トレーシーの指は非常にぬるぬるしていた。その彼女の指が、僕のあそこの入り口の周りで踊っている。

トレーシーは僕のペニスを喉の奥まで入れた。それと同時に、彼女は2本の指を僕の穴に入れたのを感じた。僕は前と後ろの両方から責められ、深い溜息を漏らした。彼女は指の方は出し入れを続けたが、口の方は、亀頭のところだけを舐める形に変わった。

それを2分ほど続けた後、彼女は指の数を3本に増やした。その時には、僕はすでに狂ったように喘いでいた。彼女が指を抜いた時には、むしろ、あそこが空いてしまったことが切ないことを伝えるように、僕は、大きなうめき声を上げていた。

突然、何か他の物が僕の裏門にあてがわれるのを感じた。僕はそれでもって空いたところを埋めるよう、自分から腰を押し付け、中に入れさせようとした。だが、それはディルドだと気づく。それに気づいた僕は、今度は、それから逃れようと腰を引いた。

トレーシーは僕がそれを受け入れるのを嫌がっているのを見て、言った。

「入れてみるのよ。私の指で感じたでしょう? それと同じくらい気持ちよくなるから。約束するわ。優しくしてあげるから」

僕は、いやだと言おうと思えば言えたのは分かっていた。でも、その時点では、何を言っても彼女は聞こうとしないだろうと思った。

肛門にディルドの頭部を押し当てられ、僕は力を緩めリラックスしようとした。あそこの穴が広げられるのを感じる。頭部が入ってくると、かなりの痛みが僕を襲った。

痛みを訴えて声を上げると、トレーシーはなだめる口調になった。

「いい子だから、リラックスして。もう一番痛いときは過ぎたから」

本当に一番痛いときが過ぎたのかどうか、僕には分からなかった。ともかく、お尻の穴は、火がついたような感じで、痛みしか感じられなかった。

トレーシーはディルドを動かそうとはしなかった。そこは動かさずに、再び、僕のペニスを舐めたり吸ったりし始めた。同時に、ベッドの上、体の向きを変え、僕の顔の前に股間を持ってきた。僕にあそこを舐めさせようとする。

僕をクンニリングスに専念させ、裏門の痛みから気を逸らせようとしてのことなのは確かだった。僕は、割れ目を舐め始めた。そうすることで、ひょっとして彼女がディルドのことを忘れてくれるのではないかと期待したから。最初、僕のもくろみはうまくいったように思った。

トレーシーは本格的に僕のペニスを吸い始めたし、僕も彼女のあそこに対してかなりの仕事をしていた。数分間これを続けていたと思う。しかし、その時、お尻のディルドが少しずつ中に入ってくるのを感じたのである。何センチかずつ徐々に押し込められるのを受けて、間断的に痛みが僕を襲った。だが、その痛みは徐々に和らいでいき、鈍い痛みに変わっていった。

とうとう、彼女はディルドの根元まで僕の中に入れたようだった。そして、今度は、それを押し入れたり、引き抜いたりする動きが始まった。最初、それはとても不快だった。まるで、丸太を突き入れられているような感じだ。だが間もなく、そのような感覚が好きになってきたのだった。いつしか、僕は、トレーシーにディルドを押し込められるたびに、喘ぎ声を上げていた。

僕は、トレーシーのあそこを舐め続けていたが、彼女の方は、僕のペニスを吸うのはやめ、僕のお尻に出し入れする方に集中していた。確かに、ペニスや睾丸を舐め続けてくれてはいたが、口の中に吸い込むことはなくなっていた。

だけれども、その時点では、僕は、ペニスを吸われていなくても、あまり気にしなくなっていた。というのも、彼女の蜜壷から溢れ出る蜂蜜をすくい食べるのに夢中になっていたし、ディルドであそこの中を広げられるのが、すごく気持ちよくなってきていたから。

僕は、トレーシーのあそこに口をつけながら、大きなよがり声を上げていた。その僕の声の振動が、彼女のクリトリスに刺激を与えていたと思う。

トレーシーもすごく感じていたに違いない。あそこを僕の顔面に押し付け、ぐいぐいと股間を当ててきていた。愛液ジュースがとろとろと流れ出てくる。同時に、彼女は僕のあそこにディルドを激しく出し入れし続けていた。

とうとうトレーシーは頂点に達した。激しい達し方だった。文字通り、彼女の膣筒の中にあるダムが一気に決壊したようだった。ぶちまけるように愛液がどっと溢れ出し、僕の顔面に降りかかった。顔面の左右の側面をつたって、彼女の出した愛液が流れ落ちていくのを感じた。だが、僕は、トレーシーの激しい勢いにあわせて、僕も達しようとはしなかった。トレーシーを再びオルガスムに導こうと、しきりに舐め続けていた。

実際、トレーシーがオルガスムに達したのは1回だけだ。だが、1回だけではあるけれど、非常に長い時間、持続したオルガスムだった。

女性の中には連続して複数のオルガスムを感じられる人がいるという話しは僕も聞いたことがあったが、実際に、そういう女性は知らなかった。とは言え、そいういうことを話せるほど僕の経験が豊かなわけではない。トレーシーは、そういう女性の一人なのかもしれない。いつまでもずっとイキっぱなしになっているように見えた。

トレーシーはイキっぱなしの状態からようやく立ち直ると、僕の口からあそこを離し、ベッドの上、僕の横に崩れるように横たわった。僕も呼吸を荒げながら横になっていた。お尻にはまだディルドを入れられたままだった。トレーシーが手でしっかりと押さえていたからである。

トレーシーはある程度普通に呼吸ができるようになると、僕に話しかけた。

「ステフィー? すごかったわ。夫のマークを除いて、他の人として味わった中では、今のが一番のオルガスムだった。あなた、素敵だったわよ」

彼女は、ディルドから手を離さずに体の向きを変え、僕の顔にキスを始めた。トレーシーはキスをしながら、舌で僕の顔面から彼女が出したジュースを舐めとっていた。

同時に、僕の中、ディルドが再び動き始めるのも感じていた。もはや痛みはなくなっていて、かなり気持ち良くなり始めていた。トレーシーにディルドでもって引き続きお尻に出し入れを繰り返される。僕はどうしても喘ぎ声を上げずにはいられなかった。

僕の声はトレーシーにも聞こえていた。彼女は僕の目を覗き込んだ。

「これ、気持ちいいんでしょう? ね、違う? お尻にされるの好きになってるんでしょう?」

僕は、本当は、違うと言いたかった。だけど、あんな喘ぎ声を上げている以上、違うと言うのはありえない。

「は、はい、そうです。ミス・トレーシー。好きです」

こんなことを言う恥ずかしさで顔が真っ赤になるのを感じた。

トレーシーはにっこり微笑みながら、手の動きをさらに早くした。

「あなたが感じているの、私にも分かるのよ。私も、マークにお尻を愛されるのが大好きなの。自分がすごく女性的になっているような気になれるから」

トレーシーはさらにもう数分、ディルドを出し入れし続けた。ディルドは、前よりももっと奥に入ってきているような気がした。それにそのディルドがどういうわけか前より大きくなったかのように、僕の肛門がさらに広げられるのも感じた。

次の瞬間、何か大きなボールが僕のお尻に入ってくるのを感じた。何が起きたのか分からないまま、僕の肛門は、そのボールのようなものを飲み込み、それを包むようにしてすぼまった。外には、ボールらしき物のほんのわずかの部分しか出ていない状態になっていた。基本的に、これはディルドをアヌスの中に閉じ込める働きをするものだった。

ディルドがしっかりと僕のアヌスの中に納まったのを確認すると、トレーシーは僕の足の上にまたがり、ペニスの上にあそこを降ろしてきた。熱く濡れた彼女のあそこに飲み込まれていく快感は、僕にとっては強烈過ぎるものだった。すぐにもイッてしまいそうになった。だが何とかこらえる。どうやって射精をこらえられたのか、いまだに分からない。

トレーシーはそれから5分ほど、僕のペニスに乗って上下に動き続けた。そして、とうとう僕も頂点に達し、射精を始めた。

このときのオルガスムは、それまで経験した中でも最高と言えるものだった。バケツいっぱいと思えるほど噴射したと思う。ふと、その瞬間、これが終わったら1時間近く彼女を舐めてきれいにすることになるんだろうなと思った。だが、僕は、あまりに強烈な快感のため、気を失ってしまったらしい。

目を覚ますと、僕はまだトレーシーのベッドの中にいた。ディルドもまだお尻の中に埋め込まれたままだった。ディルドは、夜には気持ちよかったものの、今は不快に感じていた。トレーシーは僕を両腕で抱き、僕は顔を彼女の張りのある乳房に当てたまま眠っていた。僕は彼女を起こしたくなかったが、マリアが家に来ている頃だと思ったし、トレーシーの朝食を用意するのは僕の仕事になっていた。

彼女を起こさないように、できるだけ優しく静かにトレーシーの腕の中から抜け、ベッドから降りた。その時になって、僕は、トレーシーが着せてくれたナイティ1枚の格好でいたことに気がついた。床に投げ捨てられているパンティを拾い、それを履いた。

トレーシーの寝室から出て、マリアに気づかれないように、爪先立ちで自分の部屋に向かった。ナイティ姿でいるところをマリアに見られたくなかった。彼女は、このようなことをまったく理解しないだろう。僕自身、理解してるかどうかあやしい。ただ、今すぐ、こういう遊びはやめようという気持ちにもなっていなかった。

もう少しで自分の寝室に着くというところだった。その時、マリアが廊下の角を曲がって来て、僕は彼女に見られてしまった。マリアは口に両手をあて、笑いを封じ込めようとしていた。

「あなたを起こそうと思っていたところ。あなたの朝食はできてるわ。ミス・トレーシーのももうすぐ出来上がるところよ」

僕は恥ずかしさに顔を真っ赤にしながら、しどろもどろになっていた。

「あ、・・・ぼ、僕も着替えをするところです・・・に、2、3分で行きます」

僕は寝室に飛び込んだが、ドアを閉める前に、外でマリアがくすくすと笑うのが聞こえた。

寝室に入ってすぐ、ナイティを脱ぎ、それから苦労しつつもお尻からディルドを抜いた。トレーシーが使った潤滑剤がすっかり乾いていたので、実際、抜くのにはかなり痛みが伴った。抜いてみると、その部分がを埋めるものがなくなった空虚感に驚いたし、アヌスもかなり広がってしまった感覚にも驚いた。もう二度と元には戻らないのではないかと怖くなった。

シャワーを浴び、髪を洗った。トレーシーにつけられた髪のカールをヘア用のアイロンで取り除き、元に戻した。シャワーを浴びた後、鏡の前に立ったが、トレーシーに施された化粧が落ちていないのに気づく。顔を何度か擦り、メイキャップの大半を落とした。その後、最初に与えられた男物のユニフォームに着替え、キッチンへ行った。朝食を取るためだ。

マリアは、フルーツの盛り合わせとコーヒーを出すと、テーブルを挟んで僕の正面に座った。フォークを取ろうと手を伸ばした時、つけ爪をつけたままだったことに気がついた。爪が光沢のある赤色に塗られたままなのである。マリアはコーヒーをちょっと掻き回した後、僕に言った。

「さっきは笑ってごめんなさいね。恥ずかしい思いをさせるつもりはなかったのよ」

「いえ、構いませんよ。しかたないし。僕は、あのナイティを着ていたわけだし、すごく変に見えていたと思います」

マリアはまたくすくす笑った。

「笑ったのは、あなたが着ていたものじゃなかったの。あなたの様子がおかしくて。突然ヘッドライトを照らされた子鹿のような顔をしていたんですもの。あのナイティについて言えば、あなた、とてもキュートだったわ。毎晩、女の子のナイティを着て寝ているの?」

「そんな、決して。昨日の夜が初めてだったんです。ミス・トレーシーに説得されてしまって」

マリアはまたくすくす笑った。

「ミス・トレーシーは人を説得して、いろいろなことをさせるのがとても得意なの。あなたが女の子の服を着ているところを私が見たこと、気にしないでね。あなたのような男の子が女の子の服を着るのを好きなのは、私には理解できるから。実際、私の兄もそうなのよ。いつも女物の服を着ている。前に豊胸手術を受けて、今はずっと女として生活しているわ」

僕は、僕とマリアがほとんど知らない間柄であるのにもかかわらず、彼女が僕にとてもオープンであることに驚いた。返事をしようと思ったが、その前に彼女は立ち上がった。

「急いだほうがいいわ。ミス・トレーシーはもうすぐ朝食をお食べになるころと思うから。毎週火曜日はお出かけになるの。今日も同じく、お出かけなるはず」

僕には、2分もあれば朝食を食べるのに充分だった。食事の後、僕はトレーシーの寝室に朝食を乗せたトレーを持っていった。

部屋に入ると、彼女は、ベッドの中、体を起こしていて、まるで僕が来るのを待っていたようだった。すぐに僕の眼が行ったのが、彼女のナイトガウンが捲られていて、あそこが露出しているところだった。トレーシーの顔を見ると、何かに怒っているようだった。

朝食のトレーを彼女の膝の上に置く。

「おはようございます、ミス・トレーシー。今朝は、どこか調子が悪いところでも?」

トレーシーはちょっと不機嫌そうな声を上げた。

「今朝は、私のガールフレンドが朝食を持ってくると期待してたのに」

ガールフレンドという言葉で僕のことを言っているのが分かる。

「すみません、ミス・トレーシー。僕がマリアにメイド服でいるところを見られてしまうのは、お望みではないのではと思っていたので・・・」

「でも、マリアも私の雇い人なの。だから、彼女がどう思おうと私は構わないのよ。だけど、あなたは、あの服装を恥ずかしいと思っているようね。だったら、恥ずかしく感じなくなるまで、着なくていいわよ。さあ、お風呂とエネマの準備をしてちょうだい。今朝は、あなたは自分でエネマをすること。今しなくてもいいけど、その場合は、私が終わった後でしなさい」

まるで僕を首にすると決めたような口調だった。

僕は、着替え室に行き、床に落ちている衣類を拾った後、浴室に入った。浴槽にお湯を入れ、エネマ用の洗浄水をバッグに入れた。浴槽のお湯が溜まったのを確認後、寝室に戻り、トレーシーがベッドから降りるのを手伝い、彼女と一緒に浴室に行った。この日も、アヌスにエネマのノズルを入れるトレーシーを見ていた。

実際、彼女がノズルを肛門に入れるところを見るのはとても興奮する。トレーシーはそれを気持ちよく感じていると知ってるとなおさらだった。トレーシーは洗浄液の注入を終え、ノズルを引き抜くと、バッグと一緒にそれを僕に手渡した。もう一度、洗浄液をバッグに入れる。今度は僕のための洗浄液だ。僕の場合、2回、洗浄した後で、ようやく、浴室を出てもよいと言われた。

ベッドのシーツをめくり取り、新しいものを敷き直し、寝室の散らかりを整理した後、浴室に戻って、トレーシーが浴槽から出るのを手伝った。彼女の体から水気を拭き取るのは僕の仕事である。続いて、彼女の肌のすべての部分にモイスチャライザーを塗り、肌に潤いを与える。それが終わるとトレーシーは浴室から出て行った。その後、僕が浴室の掃除を行う。

浴室から戻ると、トレーシーはグレーのビジネス・スーツを着ていた。スカートの丈は短い。膝上10センチの丈だった。彼女のハチミツ色の長い髪は、フランス風三つ編み(参考)にされていた。靴は、10センチ高のスパイク・ヒールの黒いパンプス。僕は、今日、トレーシーが、あるディナーに出席することになっているのを知っていた。そこに同席する男たちが、彼女を見て涎れを流すだろうということも知っていた。

トレーシーは、寝室に入ってきた僕を見ると、両腕で僕を抱いて言った。

「今日はお出かけしなければいけないの。あなたは、しなければならないことを分かっていると思うから、私がここにいてあなたのことを見ていなくても大丈夫なはずよね。今日も、マリアは早く帰ることになっているから、夕食はあなたが自分で用意すること。それもいいわね? 帰ってきたときには、私のガールフレンドがここにいて、私を出迎えてくれると嬉しいわ」

彼女は僕の頬にキスをして、部屋から出て行った。

トレーシーが出かけた後、僕はリビングに行き、掃除を始めた。トレーシーはガールフレンドでいて欲しいと言っていたけど、僕はマリアが家にいるうちは、着替えようとは思わなかった。マリアは気にしないとは言っていたけど、どうしてもあの格好でマリアの前に行く気にはなれなかった。

11時ごろ、マリアがリビング・ルームにやってきた。

「スティービーちゃん? ミス・トレーシーが、今日は早く切り上げてもいいっておっしゃったので、そろそろ、あなたの夕食のこととか、準備の仕方を教えたいんだけど、いい?」

僕はマリアの服装を見て驚いてしまった。マリアは、朝には、白いズボンと白いボタンダウンのシャツを着ていたはず。実際、前日に着ていたのと同じ服装だった。だけど今は、ぴっちりのショートパンツを履いている。あまりぴちぴちなので、肌にじかにショートパンツの絵を描いているようにしか見えない。上もタンクトップで、その下に何が隠れているかを知るのにほとんど想像力がいらないようなものだった。胸は、ボタンダウン・シャツを着ていたときより、大きく見える。今にもタンクトップを破って前に飛び出しそうな勢いだ。トレーシーの胸より大きいかもしれない。もっとも、トレーシーの乳房はマリアのに比べて小さいとはいえ、彼女の体型によく似合っているように思う。マリアの脚はすらりと長く、肌がよく焼けていた。足には白いテニスシューズ。

僕は数秒間、ぽかんと口を開けてマリアに見蕩れていたと思う。マリアは僕に近づき、手を握って言った。

「ズボンの前の盛り上がりからすると、あなたが女の子を好きなのは明らかなようね。だから、多分、あなたは完全なゲイじゃないと。それはそうと、私についてきて。仕事をしなくちゃ」

マリアの後ろについて歩きながら、話しかけた。

「僕は全然、ゲイなんかじゃないからね」

「うふふ。でも、今朝、あなたが着ていた服を見たら、そう言われてもちょっと納得しにくいわよ。何と言っていいか、可愛いピンクのネグリジェ姿でうろついている男がいたら、ベッドの中でも喜んで女の子の役割をやっていると思うのが当然じゃない? ひょっとすると、あなた、バイセクシュアルかも。それもオーケーなのよ。って言うか、私自身、バイで、場合に応じてどっちにも切り替えるし。私のボーイフレンドは気づいていないけど」

言い返そうと思ったのだが、その前に、僕たちはキッチンについてしまった。マリアは、夕食の準備のことを説明し始めた。さらに、どこにワインが貯蔵されているか、夕食と一緒に味わうにはどのワインが良いかを教えてくれた。

マリアは、僕が知っておくべき事項をすべて説明し終えた。

「私はそろそろ出発することにするわ。だから、あなたも、女々しい男の子しか着ないような服に着替えてもいいわよ。明日、朝食に来る時も、怖がらなくていいわ。好きなように、あなたの部屋にあるメイド服を着てきていいのよ。私も、あなたがすっかり着飾ったらどれだけ可愛くなれるのか、見てみたいと思っているし」

「どうして、あのメイド服のことを知っているの?」

マリアはどうしてあの服のことを知っているのだろう? 僕は、すっかり頭が混乱していた。

マリアは僕の手を握った。

「あなたがミス・トレーシーのところにいる間に、あなたの部屋に入ったの。私は、あなたが女々しい男の子のように振る舞うことを、私の兄の時のように、強く薦めたりはしないわ。ただ、あなたが本気でそれに進む気なら話は違うけど。あなたの部屋にある、あのたくさんの可愛い服を見て、あなたも女々しい男の子なのねと分かったの。そういう風にあなたのプライバシーに立ち入るのは良くないことだとは分かっているわ。私を許してね。でも、もう行かなくちゃ。私、今日は彼氏にビーチに連れて行ってもらうのよ」

僕が何も言えずにいる間にマリアは出て行ってしまった。

その頃までに、僕はすっかり混乱してしまっていた。どうしてマリアは、寝室のあの服が僕のものだと思ったんだろう? 彼女は、僕の前任のメイドたちがあのユニフォームを着ていたのを見て知っていたに違いない。あのメイド服は新品のように見えるが、マリアがあの服を見たことがあるのは確かだ。それに彼女が僕のことを「女々しい男の子」と呼んでいたことも気に食わなかった。

僕が一晩ナイティを着ていたというのは確かに認める。でも、だからと言って僕が女々しい男の子だとはならないじゃないか。それに、どうしてマリアは僕をゲイだと思ったんだろう。着ている衣服で、その人がゲイかどうか決まらないじゃないか。例えば、女の子で男子服を着ている人がいっぱいいるけど、だからと言って、あの女の子たちはみんなレズビアンということにはならないんだから。

僕は次に何をしたら良いか、本当に悩んでいた。マークの書斎を掃除する仕事は残っていたが、トレーシーが帰ってくるまで時間はたっぷりあった。だが、メイド服についてはどうだろう? トレーシーは、はっきりとは言わなかったが、帰ってきたとき僕があの服を着た姿でいるのを見たいと言っていたと思う。だが僕自身はあまり着たいとは思っていなかった。女々しい男の子と呼ばれるのは嫌だったし、そもそも僕はゲイではない。

分かっている。確かに昨夜、僕はディルドを口に入れてしゃぶったし、アヌスにも入れた。だが、僕は酔っていたし、トレーシーにコントロールされてやったことだ。それに、あれは本物ではない。プラスチック製だ。僕はトレーシーのあそこを舐めるのが好きだし、彼女が僕のペニスをあそこに入れ、僕の上で動いてくれたときの快感を大いに楽しんだ。僕がゲイだとしたら、どうしてそんな風になれる?

僕はそのことは頭から消そうとしたが、それでも依然として、何を着たらよいか分からないのは同じだった。トレーシーがメイド服を着た僕を見たがっているのは分かる。僕は彼女に雇われているという点も考慮すべきだ。だけど、あれを着てるので僕はゲイだと、そういう風にトレーシーに思われるのは嫌だ。

結局、僕はメイド服を着ることに決めた。何だかんだ言っても、トレーシーは僕のボスであるわけだし、この仕事を失ったら、生活していけなくなる。メイド服に合わせて、パンティとブラジャーを身に着けた。加えて、ストッキングとハイヒールも履いた。ブラには何着かパンティを詰め込んで、形を整えた。

着替えを済ませた後、鏡の中を見た。化粧もなく、髪もまとめていないが、それでも女の子のように見えた。もともと僕は、鼻が小さく、目が大きいので、顔立ちはかなり女性的だった。唇も男の唇にしては少し厚い。目の上にある細い線が、僕の眉毛だ。昨日、トレーシーに形を整えられ、すっかり女性の眉毛になっている。それに指先には、まだつけ爪がついていたし、赤い塗料も残っている。結局、気づけば、一日中、つけ爪をつけていたようだ。はずそうという考えが思い浮かばなかったらしい。これで化粧をしたらもっとよく見えるだろうとは分かっていた。だが、その前に、髪の毛を何とかしなければならなかった。

髪を洗ったので、髪のカールはなくなっていた。頭からストレートにさがっている。ブラシで女の子の髪型のようにしようとしたが、もともと、そういう風にカットされていないので無理だった。僕はトレーシーの部屋に行って、カール用のアイロンを見つけ、彼女がやってくれたようにしてみたのだが、僕にはできなかった。結局、髪はまとめてポニーテールにし、頭の後ろ中央から下がるようにした。それほど女性的な髪形ではないが、いろいろ試した中では一番まともに見えた。

次に化粧を試した。最初、化粧は簡単だと思っていたのだが、やってみるとすぐに、これが一番難しいと分かった。最初から濃くつけすぎてしまい、その後は何をやっても、まともに見えるようにはできなかったのである。ピエロのような顔になってしまった。そこで、結局、顔を洗い直し、メイキャップなしの顔のままでいることにした。トレーシーが理解してくれるだろうと期待して。

女の子への変身を済ませた後、マークの書斎に入り、掃除を始めた。そのときが、マークがどういう人か初めて見た時だった。部屋中に何百枚も写真があって、そのいずれもマークが誰かと並んで写っている写真だったのである。彼がマークだと分かったのは、彼とトレーシーの結婚写真があったからだ。

その結婚写真を見て、マークが非常に大きな男だと分かった。彼とトレーシーが並んで立って写っているのだが、トレーシーがずっと小さく見える。トレーシーは身長が180センチある。僕より13センチ高い。だが写真からすると、マークは、そのトレーシーより少なくとも10センチは背が高いように見えた。肩幅も非常に大きく、それによって、トレーシーはなおさら小さく見えていた。

部屋にある他の写真は、皆、映画スターの写真のようだった。何人か、映画で見て知ってる人がいたが、知らない人もいた。だが、美麗な顔かたちや官能的な体つきから察するに、その人たちもショービジネスにいる人たちだろう。マークが何か受賞している写真もあった。

部屋には、DVDプレーヤーとビデオプレーヤーがついた大きなワイドスクリーンのテレビがあった。それにサラウンド・サウンド・システムも。映画も100本以上はあった。そのいずれもタイトルからポルノ・ビデオだと分かった。大半が同じ製作会社の作品だった。

マークの書斎のほこりを払い、掃除機をかけ終わるまで、1時間以上かかった。乱雑になっているわけではなかったが、いろいろな小物がたくさんあり、その一つ一つのほこりを払わなければならなかった。終わった時には、3時近くになっていた。そろそろ、夕食の料理をオーブンにセットする時間だった。

掃除道具を片付け、次にキッチンの仕事に取り掛かった。キッチンに入るのとちょうど同時に、トレーシーがガレージに面している入り口から入ってきた。トレーシーは僕を見るなり、笑みで顔をパッと輝かせた。その表情で、僕の姿に非常に満足していることが分かった。トレーシーは、両手に買い物袋を数個、それに箱も2つほど抱えていた。

トレーシーはその荷物を床に落とし、両腕を広げて僕に抱きついた。ねっとりとディープ・キスもしかけてくる。

「もう一度ステフィーになってくれることにしたのね。すごく嬉しいわ。今日は、この服を着たあなたのことを思って、一日中、興奮していたのよ。それに、あなたに着せる物も、お買い物してきちゃったんだから。きっとあなたも気に入るだろうって」

トレーシーはもう一度、僕にねっとりとキスをし、両手で僕の体を触りまわった。

キスの後、いったん僕から離れ、僕の顔を見る。

「今日はお化粧していないの?」

「すみません。ちょっとしてみたんだけど、めちゃくちゃになってしまって。それに髪の毛の方も自分ではどうにもならなかったんです」  

少し情けない声で答えた。トレーシーは僕の額にキスをした。

「いいのよ、オーケー。お化粧の仕方は、私が教えてあげるから。それに明日、髪をカットしに連れて行ってあげるわ。短くすれば、ケアも楽になるでしょう。でも、その前に、私の特別な可愛い女の子のために買ってきたものを見せてあげるわね」

トレーシーは、床に落ちてる袋や箱を拾いあげ、僕の手を引いて、彼女の寝室に連れて行こうとした。僕は手を引っ込めた。

「その前に、夕食をオーブンにセットさせてください」

「分かったわ。私の寝室で待っているから」

トレーシーは、もう一度、僕にキスして、キッチンを出て行った。料理をオーブンにセットするには2分ほどしかかからなかった。それを終え、トレーシーが待つ寝室に向かった。

寝室に入ると、トレーシーが最後の紙袋から品物を出しているところだった。僕の姿を見るや、手を前に突き出して言った。

「そこでストップして! その場で服を脱いで」

服を脱ぎ始めると、トレーシーは箱を持って近づいてきた。

「これがあれば、その下着を詰めた胸の代わりになるわ」

トレーシーが箱を開けると、中には、2つの本物そっくりの乳房があった。本物の乳房と同じで、固い乳首もちゃんと2つついている。トレーシーは、その1つを取り上げ、僕の右のブラジャーの中から丸めたパンティを取り出し、代わりにそれを擬似乳房を入れた。予想外に、ぐっと重く感じ、驚いた。偽物だとは分かっていても、ブラの中に入れると本物のように見えた。

トレーシーは、左右両方に入れた後、両手で触って感触を確かめた。

「うん、なかなか良いわ。パンティを詰めているよりずっと良いし、本物みたいな感じもする。それにほら、これ。乳首を触ってみて。興奮して固くなってるように感じるわ。本物の乳房には負けるのは確かだけど、そこを認めれば、今のところ、これが一番よね」

次にトレーシーは僕をベッド脇に連れて行った。そして黒いサテンのコルセットを取り出した。

「これ、何種類か買っておいたわ。これを使えば、女性的な体の線になっていくはず。これからは、いつもコルセットをつけるように。男の服装をしている時も、必ずつけること」

トレーシーは僕の胴体にコルセットを巻きつけ、背中のレースを締め始めた。前にはフックとか、リングがあって、そこにレース紐を掛けるので、自分ひとりでも身に着けたり、脱いだりができる。トレーシーがぎゅっと紐を引くと、体の側面が内側に締め付けられのを感じた。お腹も平らになる。かろうじて呼吸ができる程度に締め付けた後、トレーシーは背中でレースを結んだ。

次にトレーシーは、ピンク色をした、ふわふわした長袖のブラウスと黒皮のミニスカートを僕に渡した。それを着ると、さらに僕のために買った他の服も数点見せた。スカート5着にブラウスとセーターが数点。それに靴が10足。大半がハイヒールだったが、平底のサンダルが一組と、テニスシューズも一組あった。最後に僕に見せたのは、化粧品がいっぱい入ってる箱だった。それ全部、僕が使うものと言う。箱の中には、女の子が、抗しきれないほど魅力的に変身するために必要とする、ありとあらゆるものが詰まっていた。

その後、トレーシーは僕を化粧台の前に引っ張っていき、僕の化粧を始めた。僕には手鏡を持たせ、一つ一つ、いま何をしているのか、なぜ、そうしているのかを説明してくれた。トレーシーは、初めに僕の顔の左半分だけ化粧し、残りの右半分は僕が行うようにさせた。化粧をつけたり、拭い落としたりを繰り返し、約1時間過ごした。そろそろ夕食が出来上がっている頃になっていた。

トレーシーと一緒にダイニング・ルームで食事し、ワインを1本開けて飲んだ。夕食後、トレーシーは、食事の後片付けを手伝ってくれ、その後、2人で彼女の寝室に戻った。化粧の練習を続けるためである。

トレーシーは化粧の仕方に加え、女の子のように歩く方法、腰を降ろす方法を僕に教えた。さらに話し方もレッスンしてくれた。それをしながら、僕たちはさらに数杯ワインを飲み続け、いつの間にか僕はすっかり酔ってしまった。

10時近くになり、トレーシーは、僕に、新しい服は脱いで、ナイトガウンに着替えるように言った。着替えた後、彼女の寝室に戻ってくるようにと。

僕は、トレーシーの言葉の意味をはっきり分かっていた。今夜もトレーシーは僕とセックスするということだ。自分の寝室に戻り、可愛い明るい青のナイティに着替えた後、昨夜、渡されたディルドを手にトレーシーの寝室に向かった。

寝室に入ると、トレーシーはすでにベッドに入っていた。体の下半分にだけシーツを被っている。上半身は外。トレーシーは、ナイトガウンを着ることすら省いていた。外に出ている腰から上は素裸だったのである。

トレーシーが、自分の横のシーツを捲った。僕に隣に来るようにと、場所を提供している。ベッドに入り込んで、彼女にディルドを手渡した。トレーシーは、それを受け取ったが、脇に放り投げ、その代わり、両腕を広げて僕を抱き寄せた。すぐにキスを始め、2人とも舌を蛇のようにさせて相手の口の中を探りまわり、両手で互いの体を擦りあった。

両手を滑らせ、彼女のお腹を触り、さらにその下、掛け布の中に滑り込ませた。何か変わったものが僕の手に触れた。トレーシーの腰に皮のベルトが巻かれている。それに、そのベルトに何かがくっついているのも感じた。それが何か、確かめることはできなかった。と言うのも、トレーシーは僕の手を取り、右の乳房に引き戻したから。彼女は、そうしながら、僕のパンティを脱がし、ペニスを握って優しく擦り始めた。

ペニスをしごかれ、そろそろオルガスムになりそうだと感じた瞬間、トレーシーはペニスから手を離し、僕の後頭部に手を添えた。少しだけ頭を押され、僕は彼女の胸へと顔を下ろした。乳房を舐め、キスをする。かなり長い時間、乳房へキスしていたと思う。

その後、もう一度、頭を下へ押された。

掛け布を払いのけようとしたが、トレーシーはそれを許さず、僕は掛け布を被ったまま、彼女の滑らかな腹に舌を這わせた。その僕に、トレーシーが話しかけた。

「もう1つ、あなたにプレゼントがあるのよ、ステフィー! どちらかと言うと、私たち2人のためのプレゼントかしら? シーツを捲って見て。私たちのために買ったものがあるから」

シーツを捲っていくと、さっき手で触れた革のベルトが目に入った。茶色の皮製で、ベルトには三角形の皮がついている。驚いたのは、その三角形の部分についている代物だった。

実物そっくりのディルドがくっついていたのである。20センチから23センチはある。根元は6センチくらいの太さで、ごつごつした青みがかった血管が茎の部分を這って頭部に向かっていた。その頭部が最も太い部分で、傘を開くように膨れ、7センチ半はありそうだった。実物のような陰嚢もあり、その中に睾丸まであって、ちゃんと2個そろっている。実物にはあって、これにはないものと言えば、肉茎を包む、ゆるゆる動く皮膚くらいだろう。

トレーシーは、僕がしっかりとディルドを見たのを確認した後、手でシャフトを握って言った。

「ベイビー、俺のちんぽをしゃぶれよ。可愛い淫乱娘のように、お前のそのセクシーな唇で包んでくれ。美味しそうにしゃぶるところを俺に見せるんだ」

下品そうな男の口真似をしている。

僕は昨夜ほど酔っているわけではなかったので、正直、ディルドを口に咥えるのはためらっていた。確かに多少は酔ってはいたものの、理性は働いていて、自分の行いをきちんとコントロールできている。それに、たとえ本物のペニスではないにしても、男がペニスをしゃぶるのは間違っていると分かっていた。

トレーシーは僕が乗り気でないのを見て、ディルドの頭部を僕の唇に擦りつけ、男のような言葉を続けた。

「ほら、昨日は喜んで吸っただろ? お願いだ。可愛い淫乱娘になって、俺を舐めまわってくれ。お前が終わったら、俺もお前の可愛いのを舐めてやるから」

今トレーシーの脚の間に生えている巨大なものに比べると、確かに彼女が僕のペニスを「可愛いの」と言ったのも当然と思った。この棍棒のような代物に比べたら、僕のは圧倒的に小さい。僕のは、長さ14センチ、太さ3センチ半くらいの平均サイズだけど、トレーシーが見せ付けているものに比べたら、はるかに見劣りがする。昨日の夜に使ったディルドと比べても、ずっと大きい。

ためらったままの僕に、トレーシーは苛立ってきたようだった。突然、僕の後頭部に右手を当てて、引き付け、ディルドの頭部を僕の口の中に突き入れたのだった。僕は口を開き、それを受け入れるほかなかった。

亀頭を口に入れられるとすぐに、トレーシーの声が聞こえた。

「そうだよ、それでいいんだ、ステフィー! 俺のちんぽをしゃぶれ。美味しいだろ? そのエロい唇をもっと広げて、俺のでかいちんぽを、もっと深く飲み込むんだ」

これも僕にはどうしようもなかった。飲み込むも何も、トレーシー自身が腰を動かし、ぐいぐいとディルドを僕の口に押し込んできているのだから。

最初は、トレーシーが腰を動かしていて、僕は何もせずになされるままになっていたが、しばらく経つと慣れてきて、僕自身が頭を動かすようになってきた。頭を前後させればさせるほど、トレーシーは大きくうめき声をあげ、溜息をもらした。

「うおお・・・ああ・・いいぞ・・・なかなか上手じゃないか・・・俺のちんぽが美味しいんだろ? そうだろ? 淫乱娘?」

僕は、ディルドを吸うのを楽しんでいたというより、むしろトレーシーを喜ばせることを楽しんでいた。トレーシーが感じている声を上げ、僕のことをフェラチオが上手だと褒めるたび、僕の背筋にゾクゾクとした興奮が走り、ますます熱を入れてフェラをし、トレーシーを喜ばせたい気持ちになった。そして、気がつくといつのまにか、トレーシーのペニスを、それこそ夢中になってしゃぶっていた。初めは、何度も咽そうになっていたものの、喉の奥まで彼女のペニスを飲み込み、さらに奥へ取り込もうとしていた。

どのくらいの時間、口に咥えていたか分からない。だが、ようやくトレーシーが僕の口からディルドを抜いてくれた時には、あごの筋肉が痛くなっていたし、唇も感覚がなくなっていた。トレーシーは僕の体を起こし、自分に引き寄せた。同時に彼女は後ろに倒れたので、僕が覆いかぶさる形になった。トレーシーはその僕の唇に強くキスをした。

キスをしながら、トレーシーは僕たちの体を反転させ、僕は仰向けに、彼女が上になる形になった。そうしてからキスを解いた。

「さあ、可愛くて女々しい淫乱ちゃん? 今度はあなたの番。今度は私があなたのちっちゃくて可愛いおちんちんをしゃぶってあげる。その後、2人で愛し合いましょう」

トレーシーに女々しいと呼ばれ、多少、心が傷ついたが、すぐにその屈辱感も快感のおかげで頭から消えた。彼女は、僕の体にキスを繰り返しながら、ゆっくりと下へ降りていった。

トレーシーは、何秒か、僕の乳首に吸い付いて、強く吸ってくれた。驚くほど快感があって、僕は思わず両脚の足の指を内側に丸め、快感を受け止めていた。その後、トレーシーは唇をお腹に這わせ、おへそを舐めまわり、そして、とうとう僕のペニスを口に含んだ。

それこそ、掃除機のような吸引力で僕のペニスを吸い、同時に、唇で肉茎を締め付けながら、頭を上下させる。このような激しい口唇攻撃に、僕はあっという間に果てるだろうと思った。でも、その攻撃は、それほど長くは続かなかった。

トレーシーは、2分ほどしか続けてくれず、その後、口からペニスを出して、シャフトにそって舐めあげたり、睾丸を舐めたりに変わってしまった。その愛撫は、ペニスを口に入れてくれていたときほど強い快感はもたらさなかったが、それでもとても気持ちよいことには変わりがない。もちろん僕も不満はなかった。

ペニスと睾丸についても2分ほど舐めてくれた後、トレーシーは僕の両足を抱え上げ、僕の胸につくくらいにさせた。そして、左右に大きく広げる。と同時に、顔を僕の陰部に埋め、今度はアヌスを舐め始めた。

それまで、僕のアヌスにキスをしてくれた人は誰もいなかった。初めての経験だった。信じられないほど気持ちが良い。僕の経験のうち、一番の快感だった。舐められ始めてすぐに、僕はよがり声をだしていたし、舌をアヌスに入れられたときには、女の子のように、ああん、ああんと声を上げていた。

「もっとそういう声を出していいのよ。私と一緒の時は、あなたは可愛い淫乱娘なの。エッチな女の子は、気持ちいいとき、素直にエッチな声を出すものなの。何の気兼ねなく、思う存分、声を上げていいのよ」

トレーシーは、声を出すように励ましながら、5分以上も、僕のアヌスに舌を出し入れしていた。僕は強烈な快感に、ひっきりなしに声をあげていた。

やがてトレーシーは舌が疲れたのか、体を起こし、ナイト・スタンドに手を伸ばした。濃い青の透明なビンを手に取り、中の液体を手のひらに垂らした。そして、その液体を彼女の偽ペニスに擦り込んだ。

ペニス全体を濡らした後、トレーシーは、両足を広げたままの僕を見下ろし、言った。

「ステフィー、そろそろお前をもっと気持ちよくしてやろう。準備はいいか? 本物の女のように愛される準備はできてるな?」

トレーシーがストラップ・オン・ディルドをつけているのを見た最初から、僕はこうなることを知っていた。そうでないなら、どうして、ストラップ・オンが必要だろう? 僕は彼女を見上げ、ためらわずに答えた。

「はい、準備ができています、ミス・トレーシー。あなたの分身を受け入れる準備ができてます」

トレーシーは僕を見下ろしながら微笑んだ。同時に彼女のペニスの先端が、アヌスを押し開くのを感じた。痛みを感じないようにと、必死でリラックスしようと努めた。幸い、潤滑液がたっぷり塗られていたことと、昨夜一晩中、ディルドを入れていたおかげで、亀頭の部分は、かすかな痛みだけしかもたらさなかった。その痛みは、昨夜よりさらに大きく広げられていることによる痛みだった。僕は、痛みには逆らわず、むしろ甘んじて受け入れる気持ちになっていた。トレーシーが喜ぶなら、痛みも構わない。入れて欲しい。

巨大な頭部がするりと中に入った。そのとたん、急に痛みが消えた。昨夜は一晩中、別のディルドを入れていたものの、この新しい巨大ディルドの充満感に、いっそう驚かされていた。まだ一部しか入っていないのに、もう、これ以上は受け止められないように感じる。しかし、トレーシーはさらに奥に押し込み始めた。もう無理と思っていた僕の感覚は、間違いだった。

アヌスの中、ディルドの頭部が、打ち込まれたくさびのようにしっかりと固定しているように感じた。だが同時に側面で何か動いているような感覚がある。どのくらい時間が経っただろう。やがて、トレーシーはディルドの根元まで僕に入れたようだった。彼女の左右の太ももが僕の尻肉を挟むのを感じる。根元まで入れられ、亀頭が胃の辺まで来ているように感じた。

しかしトレーシーはそこで休むことはしなかった。ゆっくりと、小さな動きで出し入れを始めたのだった。僕が慣れるまで、一度に2センチほどの動きで出し入れを繰り返し、その後、徐々に動きを大きくしていった。数分間、それが続き、その後は、半分ほど引き抜いては根元まで滑り込ます動きに変わった。

トレーシーは動きながら、かすれた声で僕に話しかけた。

「ステフィー? 大丈夫? 痛くない? 動くのをやめて欲しい?」

突然、返事を求められ、僕は声を出したが、その時の声は、まるで小さな女の子のような声になっていた。

「ああ、ミス・トレーシー・・・ああ、いい。気持ちいいです。どうか、やめないで」

それを聞いてトレーシーは意味深に笑った。また男の口調になった。

「俺にアヌスを愛されて、嬉しいんだな? 気持ちいいんだろう? 分かるぞ。どれくらい気持ちいいのか言ってみろ。気持ちいいなら、俺にお願いするんだ。女々しい淫乱娘め。淫乱娘なら淫乱娘のように、もっとやってって声に出して言うんだ。俺に抱かれると、お前、淫乱になるんだよな。分かってるんだぞ」

何を言ったらよいか、何も考えずに、僕は甲高い声で叫んでいた。

「ああ、お願い、ミス・トレーシー。やって! もっと! もっと私にやって! 淫乱娘のように扱って! 私のあそこにもっと突っ込んで!」

トレーシーは男のような唸り声をあげ、強く打ち込み始めた。

「ああん・・・ああん・・・ああん・・・ああん・・・」

トレーシーの腰が激しく上下し、それに合わせて彼女のペニスがピストンのように出入りを繰り返した。深く、全長を使って打ち込まれる。打ち込まれるたびに、僕は甲高い叫び声をあげ、引き抜かれるたびに、切なく悩ましげな声を上げていた。

僕たちはこれを1時間近く続けていたと思う。ディルドの根元には装着者のクリトリスを刺激する部分もあるようで、トレーシーは動きながらも刺激を受け、数回オルガスムに達していた。いきそうになると、動きのリズムが止まり、突っぱねたように体を強張らせ、女性の声でエクスタシーを告げていた。そしてオルガスムが峠を過ぎると、再び動き始め、徐々にスピードと打ち込む深度を増していく。

その間、僕は一度も達していなかった。だがそれは気にならなかった。単発的なオルガスムよりも、ずっと深い快感を絶え間なく感じていたのである。僕の小さなペニスはずっと勃起しっぱなしだった。プレカムを出し続け、僕のお腹は自分が出したプレカムでベトベトに濡れていた。

1時間近くになると、トレーシーが疲れてきているのが分かった。疲労を漂わせた目の表情や、全身を覆っている多量の汗を見て、もう彼女が限界に来ているのが分かった。腰の力がなくなり、ピストン運動のリズムも不確かになっていた。その時になって初めて、トレーシーは、出し入れの動きを続けながら、僕のペニスを握り、しごき始めた。ただそれだけで、僕は簡単に限界を超えた。

「あっ、あっ、あっ・・・いくぅ・・・・」

絶頂を告げる女のような叫び声を上げていた。同時に熱いスペルマを次から次に発射していた。激しい射精だった。空中に撃ち出された後、僕の顔や首にぽたぽた降りかかった。しかし、その射精も、発射のたびに、次第に射程距離が短くなり、首の後は胴体のナイティに、最後にはお腹の上にぽたぽたと滴った。

僕はすっかり消耗していた。それはトレーシーも同じだった。僕の中にペニスを埋め込んだまま、がっくりと僕の上に覆いかぶさって、そのまま眠ってしまったようだった。

僕の方はもう少し長く意識があって、本当に素晴らしい体験をしたと余韻に浸っていたと思う。

翌朝、早く、僕は目が覚めた。トレーシーが使ったディルドは、まだ僕のアヌスに収まったままだった。トレーシーは、ディルドのベルトを腰から外し、僕の腰に装着し、固定させたらしい。僕はトレーシーの腕の中に包まれて眠っていた。目覚めると、目の前に彼女の乳房が来ていた。

僕は動きたくなかった。いつまでも、そのままでいたかった。毎日、こうしていられたらと願った。だが、そうもしていられないというのも知っていた。トレーシーの夫のマークが、じきに帰ってくることになっている。そうなったらトレーシーはマークとベッドを共にする方を選ぶだろう。その次にマークが出張する時、また僕の番がくること、それを希望するだけだった。

ベッドから抜け出し、アヌスからディルドを抜いて、バスルームへ向かった。シャワーを浴びる。それと同時に、エネマを2袋分、自分で行った。それを済ました後、寝室に戻り、パンティを見つけて履き、自分の寝室に戻った。

昨日はマリアに見られたらと心配した僕だったが、今日は気にならなかった。どの道、トレーシーのためにメイド服を着ることになる。それに昨夜の出来事の後では、トレーシーが望まぬことをするなど、もはや考えられなくなっていた。マリアに関しても、彼女自身、僕が何を着ようと気にしないと言っていたのだから。

もう一度、シャワーを浴びた後、黒サテンのコルセットを着け、黒い半透明のストッキングを履いた。ガーターベルトは必要なかった。コルセットにガーター・ストラップがついていたからだ。ストッキングの後、黒いパンティを履き、黒いサテンのブラジャーをつけた。そして、昨夜もらった擬似乳房をブラの中に入れる。

次に化粧台に座って、メイキャップを始めた。多少時間がかかったし、何回かやり直しになったが、何とかちゃんと化粧ができた。髪については、この日も、何とかしようとしたが、結局は、どうしてもできなかった。仕方なく髪をポニーテールにまとめ、 メイド服を着た。

支度が整った後、全身が写る鏡の前に立ってみた。そして、またも、自分のことながら、本物の女の子のように見えていることに、驚いた。自分は、男としてより、女の子としての方が、ずっと見栄えがいい。女の子としてなら、とても可愛く、まさに自分にぴったりと思える。一方、男としてだと、特に特徴もなく、まったく目立たない。

鏡を覗き込みながら、僕は、一日中、女の子で通すことはできないだろうかと考えた。その可能性について、少しだけ思案したが、結局、頭を振って、その可能性を忘れることにした。

ヒール高7センチの黒パンプスを履き、部屋を出た。すでにマリアがいるはずの、キッチンに向かう。

キッチンに入った時、マリアはカウンターに立っていて、果物を切っているところだった。できる限り愛らしい、女性的な声で、挨拶をした。

「おはようございます、マリア」

マリアは顔を上げ、ハッと驚いた顔をした。驚きのために、口をあんぐりと開けて僕を見ている。マリアは、慌てたように、落ち着きを取り戻そうとしながら返事をした。

「まあ、あなた、着飾ると、ほんとに可愛くなるのね。スティービー、女の子になると、ほんとにものすごく可愛くなるわ」

僕は、お世辞に顔が赤らむのを感じた。できるだけ無垢な雰囲気を出しながら、返事をした。

「ほんとに私のこと可愛いって思う? 私が男だと知っていても? あ、それから、私、ステフィーよ。スティービーじゃなくって。ステフィーって呼んで」

マリアは僕のところに歩み寄り、腕を僕の肩に回した。

「そうね、ステフィーって呼ばなくっちゃね。ねえ、ステフィー? もし、私のボーイフレンドが、その服装のあなたを見たら、絶対、涎れをだらだら流しだすわ。私も、あなたが男の子と知ってても、凄く興奮してるもの。それに私の弟も、あなたのことを、ものすごく羨ましがると思うわ。弟は、その服装になっても、あなたのように可愛くなれないから。さあ、座って、朝食を食べて。ミス・トレーシーが朝食をお待ちになってるはずだから」

マリアは、この時以降ずっと僕のことをステフィーと呼ぶようになった。「もう、私の目には、あなたは男の子には見えない」とも言っていた。

朝食を食べた後、トレーシーの朝食を持って寝室に行った。トレーシーはまだ、ベッドの中、裸のまま横になっていた。シーツを掛けようともしなかった。彼女は、僕の姿を見て、体を起こした。その彼女の膝の上に食事のトレーを置く。トレーシーは手を伸ばし、僕の太ももを触り、さらに手を上に這わせた。

トレーシーは、僕の足の間、後ろ向きにしまいこんだペニスを触りながら、話しかけてきた。

「今朝はどう? マリアは、あなたに変なこと言わなかったわよね?」

僕は勃起してくるのを感じた。

「ええ、マリアはとても理解がありました。僕のことを可愛いと言っていました。それと、ミス・トレーシー、昨夜のことについては、改めて、感謝したいと思います。これまでで、一番、素晴らしい経験でした。できれば、昨夜のが最後でなければ嬉しいと思っています」

トレーシーは僕の頭を引き寄せ、キスをした。

「ええ、決して昨日の夜が最後じゃないって約束してあげるわ。この家で、あなたの女々しいお尻いっぱいにペニスが入れられるのは、これからもきっとあるはず。もっと言えば、毎日のように、味わえることになるはず。さあ、可愛くて女々しいメイドさん? 私に電話を取って頂戴。それから、浴槽の準備を始めて」

浴槽にお湯を張った後、トレーシーのエネマを準備し、寝室に戻った。トレーシーはすでに朝食を食べ終え、今は電話をしていた。

僕が寝室に入っていくと、トレーシーは会話を終え、電話を切った。

「あなた運がいいわ。フレデリックがお昼にあなたのために時間を取ってくれるって。彼、最高のヘア・スタイリストなの。私の髪も彼にしてもらっている。私がお風呂を終えたらすぐに出かけなくちゃいけないわね。マリアには、今日は切り上げてもいいって伝えたわ。今夜は外で食事をしましょう」

浴室に行くトレーシーの後ろをついて行きながら、僕は尋ねた。

「僕は何を着ればよろしいでしょうか? 僕の普通の服装は、外食するにはちょっとみすぼらしいんですが」

「気にしなくていいわ。バスから上がったら、何か見繕ってあげるから」

そう言って、彼女はアヌスにエネマのノズルを挿入した。トレーシーがいったんノズルを入れた後は、何か質問しても、バスを終えるまでは、何も答えてもらえなくなる。だから、あえて問い続けることはしなかった。

トレーシーが入浴している間、僕は寝室にいき、ベッドのシーツ類を交換した。その汚れたシーツ類と、洗わずにいた前の3日分のシーツ類を洗濯機に入れ、セットする。僕は、ここに来てからまだ洗濯を一度もしていなかったので、この日に洗濯をしなければ、遅れてしまうと思った。

浴室に戻ると、トレーシーは浴槽から出ようとしていた。彼女の官能的な全身にモイスチャライザーを塗る。その後、トレーシーは浴室から出て、着替えをしに行った。その間、僕は浴室を掃除した。

浴室の清掃を終え寝室に戻ると、トレーシーは化粧台に座っていた。すでに着替えを済ませてある。だが、ベッドの上には、もう一着、別の服が置いてあった。先日トレーシーが買ったプレイド・スカートと白いセーターである。それに白いコルセット・ブラとパンティ、白いニー・レンクス(参考)のソックス、パテント・レザーのヒール高5センチのメリージェーン(参考)もある。

その衣装を見てすぐに、僕のためのものと知り、僕は、甲高い声を出して訊いた。

「女の子の格好をして外に出かけるんですか?!」

トレーシーは僕の声にくすくす笑った。

「もちろんよ。だって、あなたに女の子のヘアスタイルをさせるために行くんですもの。それに、その爪ももっとちゃんとした良いものに変えてもらうつもり。顔のお手入れとペディキュアもしてもらう予定。それ全部をしてもらうとしたら、男の子の格好で行ったら、ものすごく変な外見になってしまうし、人から散々にからかわれることになるわよ。でも、女の子の格好をしていたら、誰もあなたが男だと気づかないし、何も言われないわ。さあ、急いで。着替えして!」

着替えにはあまり時間がかからなかった。ただ、コルセットは別で、紐を引き、縛るのに手間取った。僕の着替えが終わると、トレーシーは僕にハンドバッグを渡した。その中に、口紅グロス、コンパクト、香水、それにIDカードを入れた。IDカードには僕の男の写真と情報が出ているので、できれば使わずに済んで欲しいものだと思った。

トレーシーが運転する車に乗り込み出発した。車は、丘陵地帯を抜け、市街地に入り、大きなモールの1つに入った。運転しながらトレーシーは僕に訊いた。

「ナーバスになっている?」

「もちろんです。こんな格好をして出かけたことなんてないんですから」

トレーシーは僕のあらわになっている太ももに手を乗せた。

「私を信じて? 誰も、あなたの正体には気づかないから、大丈夫。そのスカートを捲りあげて、中を覗かれたら別でしょうけど。それに、その小さなおちんちんじゃ、気づかないかもしれないわね」

「そんなに小さくはありませんよ。知っているでしょう?」 僕は弁解がましく反論した。

「うふふ。ごめんなさい。確かに、そんなに小さくはないわ。でも、私は、もっとずっと大きいのに慣れているものだから、どうしても小さく見えちゃうの。何もあなたの気分を害そうと思って言ってるんじゃないの。でも、あなたのは、私の中に入ったものの内では一番小さいわ。気持ちよかったのは事実だけど。ともかく、何も心配しないこと。ちゃんと女の子のように振舞っていれば、誰にも分からないから」

僕が心配する暇などなかった。その会話が終わったのとちょうど同じに、車はモールの駐車場に止まったのである。

モールの通路を歩き進む途中、僕たちは宝石店に立ち寄った。中に入ると、トレーシーはイヤリングをいくつか見て回り、カウンターに立っている女性に声をかけた。

「このイヤリングと、初心者用のセットをください。ここにいる私の友だちが、耳にピアスをつけたがっているの。両方一緒にね」

僕にイヤリングをしたいのかどうか訊きもせず、その女性はカウンターから出てきて、拳銃のような装置で僕の耳たぶに2回ずつ穴を開け、イヤリングをつけた。トレーシーはさらに女性用の時計も買ってくれた。前の僕の時計は、今の身なりにはあまりにも男性用っぽく、僕は時計をつけてこなかったからだ。これで時間が分かるようになる。

次に僕たちは、予約してあるという美容院に行った。そこのフレデリックという人は、まさに僕が予想していた通りの人だった。背が高く、やせた人で、女性的なところがある。彼がゲイで、それを隠そうとせず、むしろ自慢しているのは疑いようがない。

彼は、トレーシーと僕の髪型について話しをしながら、僕の周りをふわふわ浮かぶように飛び回っていた。3分後、僕は髪を洗うために別の女の子と共に、サロンの奥へ連れられた。その間、トレーシーとフレデリックは話を続けていた。

洗髪が終わると、また別の女の子が僕を案内し、椅子に座らせた。彼女は僕の髪にローラーを巻きつけた。それから、髪を巻きつけたローラーの一つ一つにアンモニアの匂いがする液体をかけた。その後は、ネール担当者に僕を任せた。

ネール担当の女性は、まずは、それまでつけていたつけ爪をきれいに剥がし、別のつけ爪を付け始めた。同時に、また別の女の子がやってきて、僕の化粧を落とし、顔にフェイシャル・マスクをつけた。

フェイシャル・マスクが乾く間、先に僕の髪にカーラーをつけた女の子が戻ってきて、もう一度、僕の髪を洗った。そして、もう一度、カーラーを巻きなおし、ヘア・ドライヤーの下に座るよう言った。髪が乾き終えるまでに、フェイシャル・マスクは剥がされ、指の爪にも、足の爪にも、何層も塗料が塗られていた。

僕はすでに2時間以上、サロンにいたと思う。ようやく、フレデリックのところに連れて行かれ、ヘアスタイルを決めてもらうことになった。フレデリックは、トレーシーがフル・トリートメントをさせるために僕をここに連れてきたことが、いかに素晴らしいことか、延々としゃべり続けた。おしゃべりを通じて、トレーシーが僕のために500ドルを軽く超える額を払っているということを、しっかりと僕に伝えた。僕はその額を聞いて、愕然とした。

「そうなのよ、あなた。分かって? 私は安い仕事はしないの」

彼は、力のない手首をくねくねと波打たせながら言った。

「まあ、とは言っても、これ以上はお金は取らないから。でもね、この私も、2ドルくらいで、誰の髪の毛でも切っていた時代があったのよ」

フレデリックは、それまで髪を切ってきた様々な有名人や金持ちたちの名前を挙げ、その裏話を話した。僕の髪を切り終えると、彼はスツールに腰を降ろし、今度は僕のメイキャップに取り掛かった。

僕の唇のメイキャップをしている時、フレデリックは僕の正体に気づいたようだった。

「まあ、これはこれは! こんなびっくりゲストは初めてだわ。でも、心配しないで、可愛い子ちゃん。トレーシーにはあなたが男の子だってことは言わないから。でも、その喉仏(参考)が隠れるようなものを着たほうが良いかも知れないわよ。そんなには目立たないけど、でも、しっかり見たら誰でも気づく可能性はあるわよ」

フレデリックは、その後も、何も普段と変わらないようにメイキャップを続けた。一通り終わると、僕を鏡の前に立たせた。

「これでどうかしら?」

僕の髪は、カールがいっぱいになっていた。依然と同じ長い髪のままだったが、前より2倍は髪の量が増えたように見える。

「ありがとうございます。フレデリックさんのおかげで、私、素敵になりました」

フレデリックは僕の肩に手を回して言った。

「どういたしまして。それはそうと、これからは、毎日、髪を洗って、乾かす時は、ドライヤーをクールにセットしてブラシをかけながら乾かすこと。そうすれば、ちゃんとカールが元通りになるはず。・・・それにこれは小さい声で言うけど、男の子に戻る時は、ムースをいっぱいつけて、後ろに髪をまとめるようにして、櫛をかけるの。いいこと? さ、それじゃ、トレーシーにお見せしましょう? どう言うかしら?」

すでに午後4時。サロンに入ってから4時間以上経っていた。トレーシーは待合いの椅子に座っていた。顔を上げて僕を見ると、満面に笑みを浮かべ、立ち上がった。僕に近づき、キスをした。

「まあ、ホント、素敵よ!」 それからフレデリックに顔を向けて続けた。「とても素敵。素晴らしい仕事をしてくれたわ!」

「まあ、ご親切なお言葉ね、トレーシー。彼女はもともと、扱いやすい髪をしているの。今度いらっしゃる時も、彼女を連れてきてね。では、美しいご婦人方? 私は別のお客様がまってるので、ちょっと失礼しますね」

僕たちはサロンを出た。出るとすぐにトレーシーが僕に顔を向けて訊いた。

「それで? 誰か気づいた人がいた? それにしても、あなた、本当に可愛いくなったわ」

「フレデリックだけ。僕の喉仏を見て、僕が男だと分かったらしい」 

僕は少しがっかりしながら答えた。トレーシーは僕の手を握った。

「ばれるとしたら、彼だけだとは思っていたわ。でも、他の人は誰も気づかなかったでしょ。フレデリックは、あなたの前にも、シーメールを何人か見てきてるから、どこを見ると分かるか知ってたのよ。彼、すぐに気づいたの?」

「いや、そういうわけではないと思う。僕のメイキャップがほとんど終わる頃になって気づいたみたい。実際、僕のことを知ったとき、凄く驚いていた」

トレーシーは微笑みながら僕を見下ろした。

「ほら、彼もあなたが男の子だなんて、ほとんど分からなかったんじゃない。誰も気づかないって言ったでしょう? フレデリックなら、ほんの小さな違いに目を向けることに慣れているので気づいたのだろうけど、他の人ならまず分からないわよ」

僕たちはモールの中を歩き、2軒ほど別の店に立ち寄った後、モールを出た。トレーシーは、彼女自身の服とマークのためのものに加えて僕にも2着ほど新しい服を買った。それから夕食のレストランに行き、その後、家に戻った。

その夜も、前の夜と同じようにして、僕たちは愛し合った。違いがあったとすれば、前夜の時よりも、快感が増していたということだった。なぜ、昨夜より気持ちよかったのか、分からない。多分、次に何があるか分かっていて、それを期待しながらセックスしたからだと思う。ともかく、僕がまるでロケットの打ち上げのように、激しく達したのは事実だった。今回は、2人とも疲れきって眠り込んでしまうことはなかったので、行為を終えた後、僕たちは話し合う時間があった。

トレーシーは僕を両腕で抱きながら言った。

「金曜日にマークが帰ってきたら、いろいろ事情が変わるのは分かってるわね」

僕は、それは分かっていたが、聞きたくない気持ちだった。顔を彼女の胸元に埋めて言った。

「分かってる。それって、もうこういう風に愛し合うことはできないということ?」

トレーシーは僕の髪を指で梳いた。

「今までとは変わる。今は、それしか言えないわ」

この件についてはそれ以上の話しはなかった。僕たちは、ただ抱き合ってキスを続けた。そして僕はいつしか彼女の腕の中で眠っていた。

木曜日は、その週の他の日と、あまり変わらなかった。トレーシーは、入浴し、着替えを済ませた後、何の用事か知らないけれど、外に出かけた。僕は家に留まり、掃除をし、洗濯の残りをした。

マリアは少し違っていた。その日一日中、マリアは僕をからかい続けた。僕が見ていないといつも、僕の後ろにそっと忍び寄ってきて、僕のお尻をつねった。ある時など、僕の後ろから体ごと覆いかぶさろうとすらした。ではあるけど、すべてふざけてしていることで、僕はあまり気にしなかった。僕も、マリアが気づいていない時に、2度ほど、仕返しにお尻をつねり返したりした。

木曜の夜は、トレーシーと2人で楽しめる最後の夜だった。僕たちはゆっくりと味わうようにして情熱的に愛し合った。2時間以上愛し合っていたと思う。そして、最後には疲れきって眠ってしまった。2人とも、2人っきりで愛し合えるのは、これが最後で、次の機会まで、何週間か待たなくてはならないだろうと思っていた。


つづく
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