ザーメンの塩辛い味には、とても興奮させるものが含まれている。それを飲まされると、変化を経てきた私のすべてが肯定されたように感じられる。誰も、口いっぱいにザーメンを注ぎ込まれて、自分は男だと感じる人はいないだろう。

ともかく、変化が完結して2年ほど経ったとき、ある科学者から一通の手紙を受け取った。

その科学者のことは聞いたことがあった。実際、ノーベル賞を取った人だった。名前はオマール・ベル博士。博士は私に説明した。変化が始まる2週間ほど前に実験的な遺伝子治療薬が研究室から盗まれたと。そして、それを盗んだ者たちを追跡するのにほぼ2年間かかってしまったと。後から分かったことだけど、その泥棒たちは私を襲った二人組だった。

彼らが私に使った吸入器には遺伝子治療薬が含まれており、私はそれを飲まされたらしい。彼はこの件について、心から申し訳なさそうに述べていたが、同時に、からだの変化などについて報告することに同意してくれないかと述べていた。また私のからだを調べるのも許可してくれと。彼はそうしてくれたら金銭的に充分、報酬を提供すると言っていた。もちろん、私は同意した(なんだかんだ言ってもお金が必要だったし、その点に関してはベル博士は非常に気前が良かったから)。

以上がこの研究の結果である。


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