テストは完了し、圧倒的な成功を収めた。すべての被験者が似た反応をしていた。これは不思議と言える。大半が医師から逃れた(ひとりだけ例外があり、その人物に関しては我々は干渉した)。そして大半が女性としての生活を始めた。医師との接触を続けたひとり(被験者25番)は、医師から、これはホルモンのバランスの不調であり、身体的変化を別にすれば、生活に影響はないだろうと告げられた。もちろん彼はこれを事実として受け入れ、その後は医師と会うことはなかった。
ひとつ、予想しなかった副作用があり、それは、全員が性的に活発になったということである。ほんの些細なことでも興奮してしまい、その興奮状態に導かれて、自然の結末の行為に至ってしまうのが普通であった。しかしながら、その状態は徐々に落ち着きをみせて行くようである。おそらく一時的なものであろう。時間と共に、普通の性的興奮のレベルを獲得していくようである。
そのような問題点はあるものの、これらのテストにより、例の化合物を現実に放出する準備は整ったことが確証された。放出は2段階を踏む。第1段階では、大気に放出する(世界各地に113の放出地点を設ける)。第2段階では、世界の水資源に放出する(722地点)。化合物は最初は不活性状態であるが、64日後に活性化することになる。
その後、変化は急速に開始するだろう。私は警告文を書こうと思っている(ただし、化合物を止めるのには遅すぎる時間になってからだが)。そうすることによって、おそらく、心的な変化が促進されるに違いない(彼らが変化を不可避なものとして認識するだろうから)。どちらにせよ、私のライフワークが間もなく完成を見るに至るのだ。