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Revelation 「告白」

「で? そのズボンの盛り上がりから察すると、新しくなったあたしのこと、気に入ってるみたいだけど?」

「え? 何? 俺は別に……なんで?」

「あたしが変化してきたのを、どうして見てなかったの? というか、あたしがこういうふうになってるのに、どうして気づかなかったの?」

「両方とも、俺は知らないよ、チェイス。それに、頼むから何か服を着てくれないか? 俺、ちょっと居心地が悪いよ」

「もうチェイスじゃないわ。今はキャラっていうの。それに、イヤよ。あんたにちゃんと見てほしいから。しばらくの間、あんたは本当は盲目なんじゃないかと思ってたほどなんだから」

「ちょっと待ってくれ。なんだって? 俺は別に……」

「あんたの一番の親友が、女性ホルモンを摂取してもう1年半になるのに、あんたは、全然、気づかなかった。気づいてくれないこともカチンとくるものよ」

「でも、別の理由もあるし……」

「ええ、あるわね。バギーのスウェットシャツを着たり、野球帽をかぶったり。そういう格好ばかりしていたから。正直言って、あんたはすぐに気づいてくれると思っていたのよ。それに、あんたがあたしの髪の毛について話し始めたとき、やっと、いろんなことに気づいてくれたって思ったわ。だけど、違った。あんた、本当に何も見ていないって感じであたしと付き合ってきたわよね」

「俺は、お前がわざと変人っぽい振る舞いをしてるだけなんだろうって思ってたんだよ。まさか、こんなふうになってるなんて思ってもいなかったし」

「いいわよ。まあね、一度、試しに、自分が間違った体をもって生まれてきたと思ってみるといいわよ。誰も、新しい自分を受け入れようとしないと悩んでみるといいわよ。体を変える決心をしたとして、それを両親が受け入れてくれるかどうか、毎晩、悩んでみるといいわよ。そいうことをしてたら、あんたも、少し変人っぽくなるかもね」

「た、多分、言ってることは理解できると思う。それで? 今から俺にどうしろと?」

「どういう意味?」

「何て言うか、お前、愛し合いたいとか、何かそういうことを言ってるのかなあって? この手のことがあったら、そういうふうになるのが普通だよな?」

「やめてよ! いや、あんたのことは好きだよ。これからも友達でいたいと思ってる。でも……うぇっ……それは、兄弟みたいな付き合いをしたいってことで。いや、ダメ……。本当に。そもそも、何でそんなことを聞くのよ?」

「そんなの知らねえよ。俺はここに来て、いきなりその身体を見せつけられてるわけだぜ? お前は俺の真ん前に立って、素っ裸でいる。しかも、可愛い。だから……なんつうか……この状況をどう持って行っていいか分からないんだよ。分かる? だから、ちょっとは時間をくれよ」

「ああ、そうねえ……この状況が何か意味深なメッセージを送ってるかもしれないわね。多分、素っ裸になったことが間違っているのかも。でも、あたしが言いたいことは、変わらないわよ。あたしは、あんたに、このあたしの状態が一時的なものとか、そういうものじゃないと分かってほしいの。これが本当のあたしだと」

「ああ、それは分かった。だから、頼むから服を着てくれない? お前、本当に可愛いよ。分かったよ。ドレスか何か着てくれよ」

「女の子の誰もがドレスを着るわけじゃないわ」

「じゃあ、ジーンズでいいよ! どっちでもいいんだ。ともかく、頼むから、服を着てくれ」

「いいわ。でも、今後、一度でもあたしと愛し合いたいみたいなことを言ったら、あんたとは付き合わないからね」

「まったく……お前とやりたいなんて言ってないだろ!」

「うん、それでいいわ……ちゃんと聞いたからね」




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