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A new regime 「新体制」

「よく分からないけど、彼、なんか幸せそうな顔をしてるんじゃない?」

「そうね。あいつが昔はあんな女性差別主義のクズだったなんて、信じられる人いるかしら? あいつがトイレの外であたしに壁ドンしてきたときのこと、覚えてる? あいつのベタベタした手でお尻を触られたの、今でも思い出して虫唾が走るわ」

「それとか、あいつが、制作部のアシスタントに無理強いさせたときとか? 何だっけ、彼女の名前? ミランダ? マリア? 忘れたけど、あいつ、その娘にフェラさせようとしたのよね。しなかったらクビにするって。彼女の上司でもなかったのに」

「まあね。あの状況で唯一問題にされたのって、あいつが彼女の上司でなかったという点だったものね。フェラさせた点じゃなくて、上司でもないのにフェラさせた点が問題にされた。でも、結局、彼女の方がクビになってしまって。あいつが約束を守らなかったのが問題にされたわけでしょ?」

「そんなイジワルな言い方しない方がいいんじゃない? あたし、ここではあなたの味方よ」

「もはや、どっちの味方かなんて関係ないわよ。新しい法律ができてからは、もう関係ないわ」

「でも、これってちょっとキビシすぎると思わない? ていうか、確かに、あたしも、あいつのような男に罰を与えることには大賛成。だけど、10年間、女としてすごさせるってのは? それに、彼の脳をいじって、彼にこの状態を気に入ってると思いこませるってのは? まだ頭の中には、彼の元の人格もいるって聞いたわ。その頭の中の人格は、どうあがいても自分がやってることを止めることができないんだって」

「あたしに言わせれば、それは当然の報いね。マイクは、そういう目にあうにふさわしい人間のクズだったということ。それに、あいつは、ケイリーに変わった後は、社会に役立つ人間になったのも事実でしょ? 正しい報いを与えられると同時に、社会にも役立つことができるって、ウイン・ウインの関係じゃないの」

「役に立つ? 彼、一日中、ヌード写真のモデルをするか、男たちに犯されてるかのどっちかよ? それのどこが役に立ってるって言うの?」

「エイミ、彼の存在が警告になってるのよ。あいつがしたようなことをするかもしれない、この世の中のあらゆるクズどもへの警告。女性に攻撃やハラスメントを繰り返す連中は、自分たちの行動がどんな結果を招くか、彼の姿を見て理解するわけ。それって、役に立ってるってことになるわ」

「どうなのかなあ……」

「あら? あなたのこと、不服従者って報告すべきなのかしら? ジェンダー平等委員会は、新法を支持しない女性がいるのを聞いたら喜ぶと思うわ。それよりも軽い罪を犯しただけなのに、国内テロリストってレッテルを張られた人、見たことあるもの」

「ああ、カレン、そんなのやめて……あたしはそんなこと言ってないわ……良いシステムだって言いたかったのよ。ただ、あたしたちがしてることって、あたしたち自身をあいつらと同じレベルに落としてしまうんじゃないかって心配してるだけなの」

「もちろん、あたしたちの方が優れてるわよ。だって、あたしたち、女だもの」

「そ、そうよね。確かに。ど、同意するわ……。ええ、確かに、あなたの言う通り」

「でしょ? 分かってくれて嬉しいわ。じゃあ、ケイリーが男たちにかわるがわる犯されるところを一緒に見ない? 今夜、ネットTVで配信されてるって聞いてるの」




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