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Slave 「奴隷」

「これは俺が望んだことじゃないんだぜ、ナセーム」 アーマドは、あたしの前に立ちふさがった。彼は裸で、大きなペニスが怖そうな顔つきでこっちを見ている。「俺はお前に逃げろと言ったんだ」

あたしも同じように裸。脚を広げ、しょぼしょぼのペニスは、濃い茂みの中、やっと見える程度。「でも、できなかったの」

彼は頭を振った。「分かってるよ。で、結局、こうなったんだよな。あいつらにこんなカラダに変えられちまった、と」

あたしは目を背けた。今更、こんなに膨らんでしまった乳房や、女性的な腰の曲線を見るまでもない。この1年間に、自分がどれだけ変えられてしまったか、それを一番よく分かってるのは自分だ。まさに、毎日毎日、鏡を見るたびに、自分がみるみる女に変えられていくのを見続けた。もうこれは変えようのない現実。それを受け入れたのは、ずいぶん前になる。もう、あたしは諦めたのよ。屈伏したの。

少なくとも、自分は諦めたと思っていた。でも、自分は性奴隷として生きていくという、自分の役割を確定する行為に入るまさにギリギリの時に……そう、今後、性的にお仕えしなければならない男を見た瞬間、ほとんど消えかかっていたあたしの男性性が訴えだしたのだった。女になりたくない。この男があたしの体を使って快楽をむさぼるのを待って毎日暮らしていきたくない。逃げ出したい。それだけ。ここから逃げてどうなるかは分からない。だけど、自分の人生をやり直したい、と。

でも、そうはならなかった。あたしが当局に情報を売っていたのを彼らに見つかった瞬間、こうなることは分かっていた。一瞬だけ逃げるチャンスはあった。だけど、あたしは、ガールフレンドを先に逃がすために、そのチャンスを犠牲にした。あの時、これはヒロイックな行為だと自分では思っていた。自分は彼らに殺されるのだろうが、それでもかまわないと。

もう少し運がよかったら、あたしは、かつて仕事仲間や友人と思っていた男たちの手で、1年にわたり、女の体に変えられ、恥辱を味わわされることを耐え忍ぶこともなかっただろう。性奴隷としての一生を思い、うなだれる自分に気づくこともなかっただろう。

あたしはため息をつき、アーマドを見つめ、「心の準備はできました」と言った。心の中の男性性を、声がほとんど聞こえない奥底へと押し込み、答えた。「あなたを楽しませる準備はできました」と。




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