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Bad decisions 「間違った決断」

鏡を見るたび、失ってしまったものを悔やまざるを得ない。私は実に強かった。実に逞しかった。実に男らしかった。だけど、いま鏡で自分の姿を見ても、そんなことは言えない。誰も、そういう形容詞を私に当てはめる人はいないだろう。

始まりは、ひとつの間違った決断からだった。あいまいな表現であることは分かっている。謎めいているのも分かっている。だが、それが真実だ。そして、さらに悪いことに、その決断が理にかなっていたとも思っている。つまり、何か錠剤を飲んだら、あるいは何か注射を一本受けたら、給与を倍額にすると言われたとしよう。そんな場合、人はどうするだろうか? ためらったりするだろうか? そのことの善悪については考えないのものなのではないか? ともかく、私の場合は、そうだった。

私は、仕事についてからのほぼ全期間、ある種の成果主義に支配された職場にいた。常にプレッシャーをかけられていた。より大きく、より強く、より速く、より良く。休みは取るな。言い訳は言うな。だから、自分の成果が落ち始めたとき、私は、それまでとは別のアピールすべき長所を探した。自分を有利な立場における何かを探した。

そして、それを見つけた。あるいは、少なくとも、見つけたと自分は思った。短い期間ではあったが、その薬は上手く機能したし、自分が予想した以上の効果があった。突然、10歳は若返ったように動き回れるようになったのだった。これを続けていれば、新しい契約も取れると思った。だから、私はさらにその薬を使った。さらに、その後も。さらに、さらに、その後も。すべてが自分にしっぺ返しをしてくる時まで。

減退に気づいたときは手遅れになっていた。というか、医者はそう言った。仕事のパフォーマンス維持にも手遅れだし、自分の男性性に対しても手遅れだと。

例のサプリメントの摂取を止めた後も、私の体は変化し続けた。悪化し続けた。全体的に体は柔らかくなっていった。筋肉はみるみる消えていった。腰が大きく膨らんだ。そして、乳房が膨らんできた。何人もの医者に診てもらったが、変化を止めることはできなかった。誰にもできなかった。

1年ほど変化が続き、やがて変化が止まった。そして、その時には、私は以前の私とはとても思えぬ姿になっていた。もはや、男とは言えなくなっていた。それは絶対的に確かな事実だった。それゆえ、何ヶ月か落ち込んだものの、私は抵抗するのを止めた。そして、皆さんが今見ている姿になったのだった。

振り返るのを止められたら良いのにと思う。過去のことをくよくよ思い悩んでも、良いことはない。だが、どうしてもやめられないし、これからも続くだろう。そうであるならと、私は代わりになる目標を持った。女性になってしまったのなら、完璧で非の打ちどころのないオンナになろうと。ではあっても、依然として、私は悔やんでいる。後悔している。それだけは続くのだろうと思っている。






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