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Ecstasy 「エクスタシー」

「お願い」 脚を広げて言う。「こ、こんなことやめて、デビッド。あたしを……あたしを離して」

「別に僕はキミをここに閉じ込めていないけど?」 彼があたしの後ろについた。「いつでも好きな時に出て行っていいんだよ。出て行きたかったら、別に止めないから」

その通りだと分かっている。あたしは、囚われのプリンセスじゃない。彼は以前から、いつでも出て行っていいとはっきり言っていた。さらに、あたしがまた自立できるようになるまで経済的にサポートしてくれるとさえ言ってくれた。でも、あたしは出て行きたかった。ここから逃げて、自分の人生のカケラを拾い集めたいと思っていた。

でも、できなかった。どうしてもできなかった。信じてほしいけど、実際に逃げようと頑張ったのだった。何十回と、実際にこの家の外へと出たことがあったのだった。多くはないけど、バス停のところまで行けたときもあった。でも、毎回、あたしは這うようにして戻ってきたのだった。毎回、あたしをここにおいてと、あたしが死にそうなほど求めていることを与えてくださいと、彼に懇願してきたのだった。本当に嫌だった。だけどとても気持ちが満たされた。自分は、息をするのを止められないのと同じで、どうしてもそれを止められなかったのだった。今は、それが分かる。

でも、どうして、そんなふうになってしまうのだろう? デビッドは言うまでもなく、どんな男にであれ、脚を開いて迎え入れるというのを想像しては、嫌悪感に襲われた時があったのを思い出す。それはそんなに前のことではないし、確かに普段はそういう感情を無視しようと努めてはいるけれど、今でも、心の奥の片隅に小さく残っていて時々顔を出してくる。そうはいっても、あたしは、これまであれだけたくさんの時間と労力を払って、ホルモン摂取から食事制限や運動やその他のいろんなことをして、自分を女へと……ああ、こんな自分を思うことが嫌で嫌でたまらないけど、自分を彼が望む女へと変えてきたのだった。舌にピアスまでしたし、髪を伸ばし、乳房もつけて腰も膨らませた。あたしを見たら誰でも、あたしのことを10代の女の子と思うと思う。

あたしはそういうこと全部嫌悪している。なのに、あたしはどうして出て行けないのだろう? どうして、あたしは、かろうじて残した男性であることの印を大事にして、あたしから男らしさを奪ってしまった状況から逃げようとしないのだろう?

彼があたしの中に彼自身を押しこんできた瞬間、それらの疑問への答えを与えられた。エクスタシーが噴火し、あたしの全神経系に行きわたる。デビッドのおちんちんが愛しくてたまらなくなる。荒々しく体をむさぼられるのが嬉しくてたまらなくなる。そして、あたしが求めるものが、今後も与え続けてもらえるなら、どんなことでもしようという気持ちになっていく。

それ以外のことは一切関係なくなる……この多幸感を突きつけられたら、他のことは何でもない。そして、こういう状態にあたしができることは何もないと思い知らされる。




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