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Cheaters never change 「浮気者は決して変わらない」

「うーん……。ちゃんとコックケージをつけているし、ふさわしい服装にもなっていると。ちゃんとジュエリーをつけてる? 言いなさい」

「つけています、奥様」

「見せてごらん。あら、ほんと。可愛いじゃない。あなたはブルーが良く似合うわ。良い子にしてたら、その色にマッチしたコックケージを買ってあげるわね。その方が良いでしょ?」

「ぼ、ボクは……普通に戻してくれたらそれだけで。仕事に戻りたいんだよ。そして……」

「普通? ダメよ。今の状態があなたにとっての新しい普通なの。だから、これに慣れた方がいいわね」

「で、でも……ボクは……ボクは男になりたいんだよ。し、シシーなんかは嫌なんだよ……」

「まあ、そういうふうに、つかえながら言葉を言うところも可愛いわ。男になりたいっておねだりしてる時ですら、自分の本性を隠しきれないのね、あなた?」

「お願いだよ、カレン……何でもするから」

「何でもするし、浮気もするんでしょ? これまでもチャンスはあったのよ、忘れてないでしょ? 思い出すのを手伝ってあげなくちゃダメなの? あなたは、新婚旅行から帰った1週間後に浮気をした。1週間よ? 結婚したばかりだったのに、あなたはさっそく秘書を相手にエッチしてた。それを知ったとき、すぐに離婚すべきだったかもね。でも、その当時は、あたしもあなたを愛していたの。それに、信じてもらえるか分からないけど、今もあなたを愛してるわ。だから、あたしはあなたにもう一回だけチャンスをあげた。確かに、しばらくの間は、あなたもおとなしかったわよね? 本当に。それとも、あたしがそう思い込んでいただけだったのかしら? ともかく、その後、あなたはまたも浮気をした」

「そ、それについては言ったよね、カレン。……ボクは浮気なんかしてなかったよ。仕事の件でシルビアにメールを書いただけだよ。メールを全部、見せてあげたじゃないか! 何もなかったじゃないか!」

「どう見ても、あなたは痕跡を隠したとしか思えなかったわ。あたしはこの家を出て行こうとした。忘れてないわよね? そう。もちろん、覚えてると。そんなに昔のことじゃないもの。で、あなたは、ひざまずいて懇願したわよね? それまでになかったほど必死になって、別れないでくれって懇願してた。だから、あたしも、最後にもう一回だけチャンスをあげたの。でも、今回は、あたしの条件に従うという形でのチャンス。あたしが何て言ったか覚えてる? ほら、覚えてるなら、ちゃんと口に出して言いなさいよ!」

「き、キミがここにいてくれるためなら、ぼ、ボクは何でもします」

「何でも。そう言ったのよね。で、実際あなたは何でもした。あなたは仕事を辞めた。豪胆だったわ、その点は。カッとして衝動的に辞めちゃったのかしら? でも、あの時感情を爆発させて辞めた後、あなたの分野で新しい職を見つけるのは難しかったと。で、結局、あたしに養ってもらう、専業主夫のシシーになったと。全部、一気に変わったわけじゃなかったわね。少しずつ変わっていって、気がついたら、鏡の中には今のあなたの姿が映るようになっていたのよね? その変化に、あなたはちょっと軽いパニックになってたようだけど」

「それを見て、キミは笑っていた」

「だって、笑わずにいられなかったもの。最近、あたし、ずいぶん笑うようになってるの。ていうか、あなたを笑ってるんだけど。で、一番、笑えるところがどこか、あなた、分かる?」

「ボクはいつでもこの家を出て行くことができること」

「そう、そうなのよ! あなたはいつでもあたしと別れることができるの。今の状態は、あなた自身が選んだことなの。あなたはこの家にいたいと思ってるの。誰にも強制されていないのに。あなたは別に奴隷じゃないんだもの。そう考えると、ひょっとして、あなたって、ずっと前からシシーだったんじゃないかって思うわ。今のその姿、それこそ、本来のあなただったのよ。こうなる運命にあったの」




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