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New suit 「新しい水着」

「いい水着だな」

「何? あ、ありがとう。カミラがボクに買ってくれたんだ」

「俺は皮肉で言ってたんだぜ? マジで言うけど、お前、何てもんを着てるんだ?」

「水着だよ? 彼女は、超ファッショナブルだって言ってるよ。2年くらいのうちに、皆がこういうのを着るようになるって」

「多分、女たちはな」

「また、その話? ほんとに? 誰でも知ってるよ? 男のファッションと女のファッションには別々の基準があるべきだって考え方は……」

「時代遅れだって言うんだろ。ああ、お前が髪を伸ばした時に訊いた時も、お前、そう言ってたな。化粧をし始めた時も。脚の毛を剃ったときも。その議論は理解してるさ」

「だけど、同意してないんだよね?」

「ランス、ぶっちゃけて言うと、お前、まるで女にしか見えないぞ! 女だ! 誓ってもいい。お前と一緒に出歩いたら、大半の人は、俺たちをカップルと思うはずだぜ?」

「で、それって、そんなに悪いこと? ボクがあんまりブサイクすぎて、ボクがキミのパートナーになってる世界を想像することすらできないって、そう言いたいわけ?」

「え? いや、そういうわけじゃ……違うよ……つか、そんなことを言ってるんじゃないんだよ!」

「じゃあ、それって、ただのホモ嫌いってことじゃない? 言いたくないけど、キミがそんな偏見に凝り固まった人だったなんて知らなかったよ、アダム」

「俺は……なんていうか、俺はホモ嫌いなんかじゃないよ。ゲイの人たちも大好きだ。本当に。俺は、ただ……」

「過剰に反応してるんじゃないかって言いたいの? ちょっと、聞いて。ボクはこういう服装をするのが好きなの。ボクは可愛い服を着ることができるってことが好きなの。そして、それでボクが男らしくなくなるというなら、それで何が悪いって思ってるの。でも、アダム、キミはもっとちゃんとした人だと思ってたんだよ。本当に。キミが、キミとは違う人もいるというのを頑固に認めたがらないのを見て、ちょっと、ボクはキミとの関係を考え直したくなってしまったよ。ボクは、キミはそんなんじゃないと思いたいけど、そうじゃなかったみたい」

「お、俺……何て言っていいか分からない」

「助けてあげる? ただ、こう言えばいいんだよ。『わーお、ランス! 今日のキミはすごく可愛いよ! いいねえ、好きだよ……その水着!』って。そんなに難しいことじゃないと思うけど」

「わ、分かったよ。わーお、ランス。今日の君はすごく可愛いよ。君の新しい水着、俺、大好きだよ」

「素晴らしい。だって、キミが喜ぶと思って、こういうのを買ったんだから! ボクたち双子みたいになれるかも! キミが体毛を剃ったら……ね、分かるよね? じゃあ、一緒に来て。みんながここに来る時間までに、キミの姿をすっかり変えておきたいと思ってるんだ、ボク」




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