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A Raw Deal 「不当な取引」

「ここで?」とザックはガールフレンドのアイリスを驚いた顔で見つめた。公園の中、あたりを見回した。すぐ近くには誰もいなかったけれども、公共の場所であることには変わりはない。「誰かに見られたらどうするの?」

「それこそ重要な点と言えるけど?」とアイリスはニヤリとしながら、オモチャを振って見せた。水滴の形をしたモノで、根元部分が膨らんでいて、すぼまった先には人造の宝石がついている。「これを入れなさい」

ザックは震える指でそのアナルプラグ(参考)を受け取った。潤滑剤の薄い皮膜でテカテカ光っている。少なくとも彼女は彼がそれを乾いた状態で使うのは望まなかったようだ。それほど大きなものではないが、挿入を容易にするものを使わないと、痛みをもたらすのは確かだろう。「お願いだから、これについて、もっと話し合いたいんだけど。ダメ? もう、こんな変な服装でこの公園に出てきたんだよ。それで充分、満足できるはずだと思うんだけど……」

「これは全部あなたが考えたことでしょ、ザック」とアイリスは鼻にしわを寄せた。「いや、違うわね。ふさわしい名前じゃないもの。ザック。これは明らかに男の名前。一方、あなたはセクシーなシシー。そうでしょ? あなたを呼ぶのに適切な名前を考えなくちゃいけないわ」

「ボクが考えたことなんかじゃないよ! ボクはただ……」

「レイシーというのはどうかしら?」 そうアイリスは言い、ザックは心臓が止まりそうになった。「あたしが彼女の名前を知ってるとは思わなかった? そうみたいね。でもね、知ってるの。それにこの名前、あなたのような人にふさわしい愛らしい名前だと思うわ」

ザックは顔をそむけた。レイシーとは、彼がアイリスと付き合いだした頃に浮気した相手の女性の名前だった。それ自体、彼にとってはそんなに楽しい出来事でもなく、彼は罪を免れていたとばかり思っていたのだが、それが間違っていたのは明らかだった。

「そ、それについては……説明できるよ……」

「いいえ、その必要はないわ。過ぎたことだものね。いいから、さあ、それを入れなさい」

ザック……いや、今はレイシーか?……ともかく彼は階段に腰を降ろした。不安と恥辱と困惑でお腹のあたりが痙攣してヒクヒク言っていた。脚を広げ、ドレスの裾を腰まで手繰り上げた。あそこの部分が露出して丸見えになる。彼は、自分の男性器がみすぼらしいことをよく知っていた。特に、この前、アイリスの友達であるサマンサをふたりの寝室に招き入れた後からは、いっそうはっきりと自覚していた。今でもサマンサの笑い声が聞こえるようだ。露骨に指をさした彼女の姿が見えるようだ。それまでの人生で、あれほど恥ずかしい経験はなかった。

その夜の出来事を思い出すだけでも涙が溢れてきたけど、ぐっと我慢してこらえた。というのも、アイリスは彼の小さいペニスを気にしたことは一度もないし、サイズを重視してるのは、アイリスのバカな友だちの方だけだから。加えて、彼はいかに粗末な一物とは言え、男性性として残されたモノを守り続けたいと切に願っていた。ともかく今は、誰かが通りかかり、恥ずかしい行為をしているところを見られることだけは避けたかった。だから、もはや躊躇するのはやめ、深呼吸して、その玩具をアヌスの入り口にあてがい、中へと押し込んだ。ハアッと声が出た。痛みからではなく、つるんと滑らかに入ったことへの驚きからだった。

「いい娘ね!」とアイリスは猫なで声で言った。「それを入れると、ヒップをちょっと振って歩くようになるわよ」

レイシーは立ち上がり、めくれたドレスを直した。体を動かすたびに、あそこの中のプラグの存在をいちいち意識してしまうのに気づいた。

「これでいい?」と彼は訊いた。

「あら、まだよ。あなたは自分の楽しい夢を実現したわけでしょ? だから今度はあたしの夢の番。そういう取り決めよ」

レイシーは頭を左右に振った。確かにアイリスの言ったことは厳密には正しいけれど、ふたりの間での取引からは、アイリスの方がはるかに多くのことを要求することになるという現実から逃れることはできないのだった。実際、サマンサを交えて3Pプレーをしたものの、彼が望んでいたプレーとはかけ離れたもので、サマンサに小さなペニスを笑われ、少しも楽しめなかった。これまで、アイリスはどんどん自分に有利に事実を積み上げてきているようだ。女装でドレスアップすることから始まり、ニセ乳房の装着、化粧、そしてウイッグ。どんどん外見を女性に変えられてきた。そして、今はおもちゃをアヌスに入れるところまで来てしまった。それでも、試練は終わっていないと言う。

「あとは何?」と彼は訊いた。

アイリスは笑顔になった。「あのね……職場に男がふたりいるんだけど。ジェームズとトミーって言うの。これから、あたしとあなたとで、そのふたりとダブルデートしましょう!」

「ああ、なんて……」と彼は唸った。

「あなたが考えてること、分かるわよ。その人たちにバレたらどうなるんだろう、って。そうでしょ? まあ、心配はいらないわ! ふたりともあなたの秘密を知っているもの。知ってる上で、そんなの気にしないって。ふたりとも行儀よく振る舞うって約束してるの。いい人たちだと思わない?」

「アイリス、お願いだから……」

「ダメよ。あたしは、あなたが望むことをしてあげたんだから。あたしはしたくなかったけど、してあげたの。だから、拒否はさせないつもりだからね。さあ、パンティを履いて女の子らしくシャンとして、約束を遂行しなさい! もちろん比喩で言ってるわ。だって、そもそも、あなたが履くもの持ってきてないんだもの。ちゃんと約束を実行する。さもなければ、あたしたちの将来がどうなるのか、あたし、責任持たないわよ。分かった?」

彼は言うとおりにした。「いいよ、さっさとやってしまおう」






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