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Changing the System 「システムを変える」

「どうして、そんな目でボクを見てるの? 何か変?」

「いいえ、何も。ただ、あなたを見てると、時々……何て言うか……以前の面影が丸っきりなくなっちゃってるなあって思って」

「そこが重要な点だよ、アラーナ。ボクが以前のボクのように見えてたら、これ、何もうまくいかなくなるんだから」

「ええ、うん。分かってる。そこに文句を付けようとしてるわけじゃないの。ただ……最初にこのアイデアを思いついた時、あなたがこんなふうに変わるとは予想してなかったから」

「例えば? 女性っぽくなるとか?」

「曲線美たっぷりというか、柔らかそうな体つきとか。分からないけど。でも、言いたいこと分かるでしょ? あなたが摂取してきたアレ、あなたの体に本当にすごい効果を発揮してるわ。本当に元に戻せるって100%確信していいのかしら?」

「そう、箱には書いてあったけど? 摂取を止めれば、ゆっくりと元の姿に戻っていくって。まあ、筋肉は元通りにならないとは思う。またジム通いを始めるまではムリだね。でも、それは必要な代償だよ。そうじゃない? 忘れないでね、これはキミのアイデアなんだってこと」

「分かってる」

「まさか、後悔してる? これまでのことが丸で無駄になるってなったら、嫌だからね」

「いいえ、後悔してないわ。今も、あなたと同じくらい、あたしもこの計画にコミットしてるわ。あのバカどもは、こういうことになって当然よ」

「だよね。でも、あいつらが本当にボクを雇ったらどうなるのかな? キミが、そんなことにはならないって思ってるのは知ってるけど。あいつら、男性至上主義のバカの集まりだから、職場に女性は入れたくないと思うはず、って。でも、ボクの履歴や資格の方がキミのよりずっといいんだよねなあ」

「まさにそこが重要な点。もし、あいつらがあなたを採用しなかったら、あなたが女だと思ったから採用しなかったと分かるし、もしあなたを採用しても、賃金は男性社員よりずっと低いことが分かる。そういう連中だもの。どっちにせよ、それを記録して、裁判所に持ち込むの。そうやって、あたしたちは、この世の中のシステムを変えていくのよ」

「ああ、そうだよ。ただ、こんな姿にならなくてもよかったら、もっといいのにと思っただけ」

「あたしも同じように思ってるわ。でも、何もしないと、望むことを実現できないから。そうでしょ? ついでだけど、これを言って慰めになればいいけど、あなた、本当に可愛いわ。素敵よ」

「ありがとう、って言うべきかな。多分」






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