「バースデイ・プレゼント」 第8章 original 第7章の続き

翌朝、目を覚ました僕は、シーツの中、満ち足りた気分で背伸びをした、ゆっくりと頭のもやもやが晴れていく。手を胸に這わせ、胸毛がちくちくとするのを感じながら、昨夜のセックスのことが徐々に頭の中に蘇ってきた。

ドナに、ゲイルと一緒にロープで縛られ、横棒に吊り下げられたこと。段階を踏んで自由を奪われていき、昨日、職場でゲイルと不実なセックスをしたことへの罰として、ゲイル共々、鞭打ちを受けたこと。そして最後に、ドナに大きなディルドでアナルを犯されたこと。その展開のそれぞれのステップで感じた圧倒的にエロティックな感情の数々。

普通なら決して行わないような、数々の性行為へとドナは僕を導き、そんなドナを僕は止めなかった。その行為はあまりにも快感に満ち溢れ、絶頂もあまりにも強烈だったため、ドナの導きに対して僕はほとんど抵抗しなかったのだった。

だが、あらためて考えてみると、僕たちはそろそろブレーキをかけなくてはいけないと思った。事態が度を越えてしまっている。ハイヒールを履いて歩き回ったり、他の女性に女として体を使われたりしているのだ。確かにセックスは大好きだが、もう充分だ。

そう思いながらベッドから這い出ようとすると、ドナが目を覚ましたようだった。

「どうしてこんなに早く起きるの?」 眠たそうに言う。

「仕事に行く準備をしなくちゃ」 そう言って、ベッドの端から脚を出して降りようとした。

「え、どうして? 今日は土曜日よ」 ドナは甘えた声を出し、僕の方に近寄り、両腕を回して僕に抱きついた。

「あ、そうか・・・ちょっとトイレに行ってくる。その後で、また寝なおそう」

バスルームに入り、鏡の前を通った。鏡の中、ブロンドの髪をばさばさにさせ、ナイティも乱れ、化粧もずれた女性が、僕を振り返るのが見えた。

トイレではピンクの下着を降ろし、女性のように便器に座って小便をした。用を済まし、立ち上がって、水を流す。もう一度、鏡を見て自分の姿を確かめた。バカとしか見えなかった。かつらを取り、カウンターに置いた。さらにピンクのネグリジェを脱ぎ、ガーター、ストッキング、そしてパンティも脱いで、同じところに置いた。タオルを取って、水で濡らし、顔から残っている化粧を、できるだけ拭った。

もう一度、鏡の中を見た。そこには、土曜日の朝に2時間ほど早く起きてしまった、胸毛を剃って、ヒゲが生えかかった、眠たげな男が写っていた。

寝室に戻り、ベッドの中に這いながら戻った。ドナが眠たそうに僕に擦り寄ってきて、手を胸に乗せた。すると、急に目を開き、僕を見た。

「私の可愛いビクトリアは、どこに行ったの?」 不満そうに口を尖らせている。

「ビクトリアは、バスルームのカウンターの上に乗っているよ。今ベッドで君と寝ているのはビックだよ」

「うーん・・・分かったわ。また、寝ましょう?」

僕はドナと寄り添いながら、再び眠りに落ちた。

しばらく経ち、僕たちはあらためて目を覚ました。僕は、ベッドから這い出て、ドレッサーの引き出しを開けた。パンティを脇によけ、BVDのパンツを持ってバスルームに行った。体に石鹸を塗りつけていると、体中で、毛がちくちくとするのを感じた。体毛が伸びてきているのだろう。これはちくちく痛いし、痒くなりそうだ。僕は、後先のことを考えず、かみそりを手にし、伸び始めている体毛をすべて剃った。肌がつるつる、すべすべになる。さあ、これで良い。

シャワーを止め、バスタブから出た。カウンターからタオルを引っ張って取ると、床に黒いレースのパンティが落ちた。それを拾い上げ、カウンターに置いたのだが、持ってきたはずのBVDがなくなっているのに気がついた。他に持ってきた衣類も見えなくなっている。

その代わりに、ドナの化粧セットが椅子の前、ふたが開いたままで置かれていた。僕はもう一度、パンティを手にした。とても可愛く、繊細な感じだった。僕は、今日は、パンティを履かないつもりだったのだが、手にしているうちにどうしても着てみたくなってしまった。

腰をかがめ、脚を通してみる。その生地は、毛を剃ったばかりの脚には実に官能的だった。同じく毛剃りしたばかりの下腹部とお尻を、その滑らかな生地で包んだ。素敵な肌触りだし、デザインもそそられる。ペニスが息を吹き返してくるのが見えた。

あらためてこの2日間の行為を思い出し、信じられない気持ちになる。体全体が火照った感じになり、目覚めた時に思った決心が融けていくのを感じた。カウンターの上、ふたが開いたままの化粧セットを見て、顔につけてみたいという圧倒的な衝動がこみ上げてくるのを感じた。

ペニスが、また、ぴくんと跳ねた。僕は化粧台の椅子を引き、鏡の前に座った。

ドナとゲイルがしたことを思い出し、まずは軽くファンデーションをつけた。次に目に取りかかり、形を整えた眉毛を際立たせ、まぶたにアイシャドウを塗り、マスカラで注意深く広げた。目のところが充分女性的にいきいきした感じにさせた後、頬紅を頬骨の上のところにつけ、そして暗赤色の口紅をつけて仕上げた。ドナやゲイルがしてくれた時より、かなり派手目の顔になってしまった。あのような軽いタッチが欠けている感じだった。それから、お気に入りになってきているボディー・スプレーを体につけた。

寝室に入ると、ベッドの上に衣類が置いてあり、ブロンドのかつらが、丁寧にブラシされて、スターの頭を模ねた発砲スチロールの置物に乗せられていた。僕は黒いレースのブラジャーを取り、見てみた。ドナのブラよりは小さいカップだった。両腕をストラップに通し、身につけてみた。背中に手を回し止めようとしたが、ホックに届かないことに気づいた。そこで一旦、外し、腰のところに反対側にして巻きつけ、ホックを止め、それから後ろに回して、装着しなおした。すべて、完璧にフィットしているように感じた。

鏡を見ると、そこには、黒レースのパンティとブラジャーを身につけ、顔に化粧をした自分が立っていた。僕はいてもたってもいられなくなった。急いでドレッサーのところに行き、ブロンドのかつらを取り、慎重に頭に載せた。髪の毛を調節して、自分の愛らしい顔を取り巻くようにセットし、唇を尖らせて、キュートな表情を作ってみた。軽く頭を振って、髪の毛が肩をさわさわと擦るのを感じ、金色のヘアが自然な形で顔の回り、ふわりと広がるのを見た。にっこりと笑うと、自分がまるで男性を誘惑している娼婦になったような気がした。鏡の中の自分に投げキスをし、ベッドのところに戻った。

ガーターを取り、それを身につける。ストッキングを巻き上げ、つるつるの脚に滑らすようにして、履いていき、手のひらを這わせて、しわを伸ばす。爪にはまだピンクのマニキュアが残っていた。両手を前に突き出して、その爪を眺めた。

ベッドに向き直り、そこに置いてあった黒サテンのシャツを取り上げ、腕を通した。素晴らしい肌触りだった。ボタンを留めながら、うまくボタンが留められないのに気づいた。よく見ると、普段の男物シャツとは反対のボタン付けになっていたのだった。ブラウスだったのである。僕はボタンを留め、鏡の中を見てみた。素敵なブラウスだった。光沢があってキラキラ輝き、体にぴったりフィットしている。胸のところも、見栄え良くつきでている。

次にストーン・ウォッシュのジーンズと取り、脚を通した。これもまた、ジッパーのところが普通とは反対になっていた。腰を揺すりながらジーンズを引き上げ、軽くジャンプして、お尻のところをフィットさせた。ジッパーを上げる時、息を吸って腹をへこませなければならなかった。チャックをあげ、ボタンを留めたあと、振り向いて、もう一度、自分の姿を見た。ジーンズが腰から脚にかけてぴちぴちに密着している。これも素晴らしく似合ってるとは思ったが、非常に動きづらかった。ガーターの止め具のところが浮き出て、見えている。

床には黒いストラップつきのハイヒールが置いてあった。ベッドの端に座り、ヒールにストッキングを履いた足を入れようとした。ズボンがきついので、非常に苦労した。何とか履いた後、安堵の溜息をつきながら立ち上がった。黒いストッキングを通して、かすかに足の爪に塗ったピンク色が見える。ヒールのおかげで、お尻が突き上がる感じになり、ふくらはぎの線が強調されて見えた。鏡の中の自分が凄いと感じた。セクシーだ。ドナの助けを借りずに、自分だけで、この姿に変身できたことが信じられなかった。

ヒールで床をコツコツ鳴らしながら、小部屋に入った。ドナはソファに座ってテレビを見ていた。彼女はまだガウンを羽織ったままだった。

「まあ、素敵じゃない!」 ドナはにっこり笑いながら僕を見た。

「ありがとう」 そう答えて、くるりと一回転してみせた。僕は、この女装ごっこはもう止めようと決心したことをすっかり忘れていた。

「ねえ、あなた? テーブルの上に黒いバッグにお金と車のキーが入ってるの。お願いだから、ちょっとコーヒーとドーナッツを買ってきてくれない?」

僕は、テーブルに行きかけて、立ち止まった。唖然としていた。

「こんな格好じゃ、行けないよ」

「こんな格好って?」

「女物の服だよ!」

ドナはソファから立ち上がり、僕を寝室の鏡の前に連れて行った。

「あなたの姿を見てみて? 何が見える?」

「美しいブロンドの女性。でも、この衣装の下に何が隠れているか、僕は知ってるんだよ」

「それはそれでいいの。他の人は誰も知らないんだから。ジェニーが教えてくれた歩き方を忘れないこと。それに明るい裏声で話すことも忘れないでね。唯一の問題は、あなたに誰か男性が近寄ってきた時どうするかだけ。さあ、お願いよ、ドーナッツを買ってきて。私、ちょっとゆっくりしていたいの」

ドナは、そう言って僕のお尻を軽く叩き、玄関から送り出した。僕はバッグを手に車に向かった。車に乗り込み、ハイヒールを履いた足で何とかペダルを踏むので、ぎこちなかったが、何とか道路に車を出す。車を出すとき、隣人の一人が僕の方をじっと見ていた。彼の顔には不思議そうな表情が浮かんでいた。

ドーナッツ屋の前に車を寄せ、エンジンを切り、車のドアを開けた。両脚をそろえて外に出してから、体を持ち上げるようにして降りる。注意深く横に体をよけてから車のドアを閉め、歩き方に注意しつつ店の前へ歩いた。

店の中に入った途端、数人の男性客の視線を感じた。コーヒーを飲みながらテーブルに座っていた男性たちで、瞬時に私の体に視線を走らせている。ああ、こういうことが、女の人たちが毎日経験していることなのか、と思った。

少し体を揺すりながら、カウンターへ歩いた。彼等に目の保養をさせてあげる。カウンターで注文をしたとき、レジにいた10代の若者が、鼻を膨らませるのに気づいた。僕の女物のボディー・スプレーの香りを嗅いだのだろう。彼はお釣りを出そうとして、コインを全部床にばら撒いてしまった。

「まあ。でもそのままでいいわ」 できるだけ可愛らしい裏声を使った。「後であなたが拾ったら、それを自分のものにしていいわよ」

ドーナッツが入った箱とコーヒーを受け取り、セクシーに歩いて店を出た。食べ物を持ちながら車のキーを出すので苦労していると、車から降りたばかりの男性が、駆け寄ってきた。

「おや、手伝いましょう」 そう言って、ドーナッツの箱とコーヒーを持ってくれた。

「ありがとう」 と答え、車のドアを開け、乗り込んだ。彼からドーナッツとコーヒーを受け取る。

「いいえ、どういたしまして」 彼はにっこり微笑んで、ドアを閉めてくれた。

僕は、女性が僕たち男性に対して持っているパワーのことを分かり始めていた。車の中、ミラーに映る自分の顔を見ながら、そのことについて、しばし、考えた。なるほど、男に対してパワーがあるんだなあ、と改めて感じた。

家に戻り、食べ物やキーやバッグを抱えながら、玄関に向かった。玄関ドアの突起部にヒールが引っかかり、ちょっとよろけてしまった。家に入り、小部屋のドアのところに行く。中では、ドナが、昨夜、撮ったビデオを見ながら、自慰をしていた。僕が帰ってきたのを見て、ドナは照れ笑いをした。

「ビッキー? 手伝って。私をいかせてくれない? もうちょっとでいくところなの」

僕は食べ物を置いて、ドナの足の間にひざまずいた。

「喜んでいたしますわ。ドナ様」

できる限りの愛らしい裏声を使って、そう答え、今、やり方を調教されている作業を始めた。実際、非常に上手にできたと思っている。

彼女の側から

指をビクトリアの美しいブロンドの髪の毛に絡ませ、彼女のグロスで輝く唇を私のラビアに引き寄せる。彼女の柔らかい舌先が私の濡れた割れ目を探る。それに合わせて腰を突き上げ快楽を貪る。

彼女はソファの脇にひざまずいている。顔を私の秘密の場所に埋めながら。ブロンドの髪の毛は、私のお腹に広がり、シルクのブラウスが彼女の胸をきつく包み、ジーンズは彼女の淫らで曲線美に溢れるお尻の輪郭を描いている。

片方の膝は立てたまま、ハイヒールのつま先をカーペットに突き立てている。もう一方の膝は床につけ、足先を後ろに、足裏を上にしている。そのヒールは天井に向かってピンと立っている。

彼女の脚の間は見えない。だけど、あの黒パンティの中で何が起きてるかは想像できる。私の陰部になされている素敵なレズビアンの口づけ。そのキスが感じられる、舌の動く様子が目に見えるよう。同時に、私は、この、私に口唇奉仕をしてくれている素敵な女性が、私の愛する夫であるということも知っている。

目を上げ、テレビの中のシーンを見てみた。3人の美しい女性が愛し合っている。そのうちの2人は、信じられないほど体を密着させた形で縛られていて、ドアの上の横棒に吊り下げられている。その2人がクライマックスに達したちょうどその時、私も頂点に達した。強烈な電流が私の頭を直撃し、爆発し、大きな滝のように、轟音を立てて崩れ、流れ落ちていくのを感じる。熱を持った水が、頭の奥から全身に怒涛となって流れ落ち、体全体から、緊張と力を洗い流していくのを感じる。

私はがっくりとソファに背をもたれさせた。ビクトリアは、素敵な舌で私のラブ・ジュースを美味しそうに舐めている。

彼女の顔を私の顔に引き寄せ、キスをした。2人の口紅をつけた唇が、互いに相手を覆いつくそうと競い合い、2人の舌が絡み合う。彼女の口が私の愛液の味がするのに気づいた私は、急に、彼女のあそこの味を味わいたくなる。

彼女を立たせ、私はその前にひざまずく。ジーンズのチャックを降ろし、ヒップの下まで引き降ろす。可愛い黒シルクのパンティがあらわになる。彼女のペニスはパンティの上に頭を出していた。そのパンティを、睾丸が出きるところまで降ろし、私はすぐに口に入れた。

彼女の香水の香り、そしてつるつるに剃ったお腹の肌の滑らかさ。手をガーターのストラップの下に滑り込ませ、両手で彼女のお尻を押さえた。頭を沈め、そして持ち上げる運動を始める。彼女の固いペニスに沿って上下に動かす。その間も、吸い込みつつも、舌で全体を舐め回る。

彼女は私の頭を掴んで、体を支えた。ヒールを履いているのでバランスを崩しそうになってるのだろう。私も彼女のお尻をしっかり押さえ、彼女を支えた。それから、右手の中指を、彼女のお尻の割れ目に沿って滑り込ませ、その奥のバラの蕾を擦る。

そこを擦る私の指に彼女が反応するのを感じる。私の指に、かすかにお尻を押し返している。頭を後ろに倒し、口を半開きにさせて、喘いでいる。

私はもっと深く吸い込み、喉の奥へと彼女を導いた。同時に指を彼女のアヌスに深く押し込む。その中の前立腺を見つけ出し、優しく擦り上げた。

彼女が震えだし、両脚を強く踏ん張るのを感じた。そして私の口の中に撃ちだすのも。私は少し引き下がり、彼女が出す愛のローションを吸い、飲んでいく。かすかに塩味がするそれを味わい、いくらか口の中に溜め込みながら、彼女が柔らかくなるまで、ゆっくり飲み下していく。

果てた彼女を床に引き降ろし、優しく、だけど、ねっとりと彼女の可愛い口にキスをした。彼女が出したジュースを彼女にも分け与える。彼女の口にそれを押しこむと、彼女は驚いたように目を見開き、私を見つめた。でも、私の舌に促されて、彼女はそれを受け入れ、飲み込んでいった。

彼女を誘うようにしてカーペットに横たわらせ、二人並んで横になった。彼女は私の腕に頭を預け、私はシルクのブラウスの上から、彼女の乳首を優しく撫でる。私の夫が、こんなにセクシーで、繊細で、女っぽく、そして素敵なセックス相手になるとは、夢にも思っていなかった。

私は、2人の愛の行為において、先導役になるのを楽しんでいたし、想像と感情の領域で、ビクトリアをさらに開発していくことにも喜びを感じていた。彼女は、わずかにしか抵抗しなかったし、予想外の従順さで私の支配になびき、調教を受け入れてくれた。夫も、私と同じくらい、この新しく見出した豊かな官能性を楽しんでいるのが見て取れる。そして、多分、この快楽を、無制御にならないようにして拡大していくためには、どんな類のことをすればよいのか、思いをめぐらしていることも。

私は、このプレーを一種の定例行事のようにはしたくなかった。そんな風にしたら、すぐに飽きてしまうのは確かだから。それに、私たちどちらにとっても品位を落とすような行為にも入り込みたくはなかった。

「ビクトリア? このプレーを続けるとして、どんなことをしてみたい?」

「横になりながら、僕も同じことを考えていた。僕たちが受け取ったEメールを読むと、公の場で女装したり、女物の服を買い物したりして興奮する男たちがたくさんいるようなんだ。僕も、外出した時、時々、恐ろしいと思ったことがあったけど、同時に危険なスリルを感じたのも事実だよ」

「私も同じようなことを考えていたわ。セックスは大好きだけど、異性装の性的魅力の追求には、セックス以上の何かがあると思うの。ショッピング旅行に出かける計画を立ててみない? この都市の遠く離れた反対側辺りで」

ビクトリアはにんまり笑った。口紅がずれてるし、髪も乱れきっている。

「この上なく同意だ。自分でも同意するのが信じられないけど。多分、僕は、正気を失ってるんだろうな。でも、君のせいで、僕は旅に出てしまったし、この旅は、どんどん引き返すのが難しくなってきている。そのショッピング、女性が同行者でもいいよね? 多分、男物を着たままで買い物に行くのは難しそうだから」

彼は私の腕に包まれながら、顔をすり寄せ、優しく私にキスをした。とても女っぽい振る舞いだったし、気持ちの篭ったキスだった。


つづく
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