「バースデイ・プレゼント」 第10章 original 第9章の続き

僕は、自分の胸につけられた、美しいピーチ色のブラジャーを愛しげに見ながら、顔に血が上るのを感じた。ペニスにも同じように血が集まっている。心の中に自分の姿のイメージを焼きつけながら、背筋を伸ばし、胸を張った。今朝、決心したにもかかわらず、今はこの姿だ。女物の下着を身につけ、様々な感情の葛藤に心を揉みくちゃにされている。

残りの下着も、今すぐ身につけてみたい。あの滑らかな生地に体を愛撫されたい。シルクの布地を秘部にあてがわれ、それでペニスと睾丸を優しく包まれたい。ナイロンのストッキングをガーターベルトのストラップに吊るし、つるつるのストッキングに剃毛した脚を優しく撫でられ、ふくらはぎを引き締めてもらいたい。

ドナに導かれるまでもなく、僕は、自分から身をかがめ、テニス・シューズを脱いだ。そして、立ち上がり、ジーンズのホックを外し、滑らかな脚に沿って、ズボンを降ろしていく。ソックスを脱ぎ、さらにはBVDの下着も脱ぐ。それからピーチ色のストッキングを手に取り、優しく包装から取り出した。

ドナは、口元に笑みを浮かべながら僕のことを見ていた。僕は、ストッキングを丸め、つま先からふくらはぎ、そして太ももへと滑らせた。勃起したペニスの先に、つるつるに滑らかな脚が見える。次にピーチ色のレース地のガーターを取り、それから値札を外した。腹の前でホックを止めた後、後ろ側にあるストッキングの留具に合わせるため、半回転させてずらす。片足をベンチの上に乗せ、体を横にひねって、ストッキングをガーターに留め、可愛いストラップを調節して、ちょうど良い長さにする。そして、同じことをもう一方の脚にも繰り返す。

次に、優美なレース・パンティを取り、タグを外した。滑らかな脚に沿ってゆっくりと履いていく。ナイロンに包まれた脚を下着が擦るサテンのような感触が堪らない。さらに、履いた後の、ペニスと睾丸とお尻がそれに包まれる感覚。これも堪らない。

振り返って、鏡の中、この美しいアンサンブルがどのように見えるか確かめてみた。かつらも化粧もしていないのに、鏡の中には美しい女性がいて、僕を振り返り見つめていた。手が、勝手に、今や痛いほどになってるペニスに向かい、優しくストロークを加えていた。そして僕自身、自分の手に合わせて腰を動かしている。

売り子の女の子たちの声が聞こえ、この取りとめもない物思いの邪魔をした。僕はゆっくりと我に返った。両腕を伸ばしてドナを抱き寄せ、キスをした。

「素敵だよ、ミス・ドナ!」

「私も気に入ったわ、ミス・ビッキー! これもあなたへのささやかなバースデイ・プレゼントの一部だと考えてね」

でも、ここまでだ。僕は背中に手を回し、ブラジャーを外そうとした。だが、ドナに止められる。

「そのままで、上に服を着てくれる? あなたが服の下にそれをつけていると思うだけで、私、あそこがトロトロに濡れちゃうの」

僕は、ドナに従って、ブラの上にシャツを着た。シャツの下、胸のラインがはっきりと見えているだろう。さらにパンティやストッキングもそのままに、その上にジーンズを履き、チャックを上げた。そして、ソックスに手を伸ばした。

「それは不要じゃない?」

ドナはそう言って、僕のソックスや下着をバッグの中にしまってしまった。

ストッキングのまま、テニス・シューズに足を入れた。なんか変な感じだったし、ゆるい感じもした。

ドナは、外したタグを集め、試着室のドアを開け、支払いをするため、カウンターに向かった。レジにいたのは、先ほどの店員とは別の店員だった。ドナにタグを渡され、それに目をやった。

「まあ、あれを着ることになさったんですね?」 と売り子はドナの顔を見ながら言った。「着ていらっしゃった衣類のためのバッグを差し上げましょうか?」

「ええ、お願い」

ドナはそう言い、紙袋を渡されると、バッグから僕の下着やソックスを取り出し、タグと一緒に紙袋の中に入れた。

売り子は、BVDや男物のソックスを見て、眼を丸くしていた。ちらりと僕の方を盗み見する。すぐに僕のシャツの下、ブラジャーの線が出ているのに気がついたようだった。売り子は冷静さを装いつつ、下着類のレジを打ち、ドナにレシートを渡した。

「あのアンサンブルはとても素敵です。きっと、喜んでいただけると思いますわ」 売り子は横目で僕を見ながら、にっこりと笑みを見せた。

僕は顔を赤らめ、何と言ったらよいだろうと、焦った。

ドナは、僕を救うためだと思うが、売り子に笑みを返して返事した。

「ええ、彼女は喜ぶはずよ。それに、私も」

そう言って、僕たちは、向きを変え、店を後にした。

モール内をドナと一緒に手をつないで歩いたが、シューズ・ショップの前に差し掛かると、ドナは優しく僕の手を引き、店内に入った。ドナは、すぐにヒール高12センチで、足首にストラップで留めるデザインの皮製のハイヒールを手に取り、店員に僕の足のサイズのものがあるかと尋ねた。店員の女の子は、ドナの足元を見ながら、当惑した顔を見せつつも、後ろからそのサイズのものを取り出した。ドナは、僕を椅子に腰掛けさせ、店員に言った。

「彼に、そのヒールを履かせて見せてくれる?」

女の子の店員は僕の姿をまじまじと見たが、シャツの下、ブラジャーのラインが透けて見えているのに気がついたようだった。僕のテニス・シューズの靴紐を解き、それを脱がした。そして僕の足先がストッキングのナイロンに包まれているのを見た。

彼女は何も言わず、僕の足にハイヒールを履かせ、ストラップを結びつけ、立ち上がった。そして、可愛らしい口元にかすかに笑みを浮かべつつ、僕に手を差し出して、立ち上がるのを手伝ってくれた。彼女は、ハイヒールを履いた僕が転ぶのを見たがっていたのじゃないかと思う。

僕はしっかり立ち、店の奥から入り口まで、ジェニーに教わったとおりにヒップを揺らしながら、優雅に歩いて見せた。

硬板のフロアーにハイヒールの音がコツコツ鳴り響く。鏡があったので、そこに映る自分の姿を見てみた。やはり、ヒールのおかげで、ふくらはぎからヒップにかけて、キュッと押し上げられ、たとえ男物のジーンズを履いていても、明らかに女性的な姿に変わっていた。

ドナは、パチパチと拍手をして、喝采をあげた。

「すごくゴージャス! それを履いたままで店を出ることにしましょう!」 

そう言いながら僕の元の靴を箱にしまってしまった。そして、店員に靴の支払いをし、そのショップを後にしたのだった。

店の外に出ると途端に、僕は周囲の目を惹きつけ始めた。モールの中をコツコツと音を鳴らせて歩いているので仕方がない。

僕は立ち止まり、ドナを振り返った。

「ドナ? もし、このままこれを続けるなら、どうしてもかつらが必要だよ。それにどこかで化粧をする必要もある。男か女かどっちつかずの服装のまま、変な目でこれ以上見られるのは耐え切れないよ」

ドナはにっこり笑い、二軒ほど先にあるお店を指差した。かつらをディスプレーしている。

早速、その店に入った.奥から男性が一人歩いてきた。こんな格好でいるのに、他の男と対面しなければならないと知り、僕は恐怖を感じた。

だが心配する必要はなかった。彼は、僕に向かって、大丈夫と言わんばかりに手を振って見せ、その後、ぴたりと手の動きを止めると同時に、僕の頭を指差した。

「ちょっと当てさせてくれる?・・・うーむ・・・ブロンドでしょ?」 

心がこもった言い方でそう言い、問うような表情で、剃り整えた眉毛を上げて見せた。

ドナはにやりと笑って、「とりあえず、選んでみるわね・・・」と言って、洗練されたスタイルのショートなブロンドのかつらを取り上げた。「これなんか、どうかしら?」

「素敵な選択ね! あなた、テレビの『コールドケース』(参考)のファンなんじゃない?」

彼はドナからかつらを受け取り、僕の頭に装着し、ハミングしながら、あちこち軽く触れ、髪の房をあれこれ動かした。

「頭を振って見せてくれる?」 

そう言う店員に促されて、僕は言う通りにした。

彼は、両手を上げて頬に寄せ、手のひらをあごの下にあてる格好をした。その両手の指先が左右の頬に触れている。

「まあ、すっごくゴージャス!」

店員は、先にドナが僕の靴について言ったのと同じ言葉を叫んだ。

「ねえ? ちょっとお化粧ができるような鏡が置いてあるところ貸してくれないかしら?」 とドナは、可愛い声で店員に尋ねた。

「お二人のような素敵なレディのためなら、喜んで! あっ、でも、・・・もっと良い場所があるかも・・・」

彼はそう言いながら、通路の向こう側を指差した。前腕をまっすぐに上げ、手首を曲げて示している。僕とドナは、彼が指差す方へ視線を向けた。そこには、グラマー写真スタジオ(参考)があって、店員たちが、忙しそうに、撮影を控えている女の子たちに化粧をしていた。

「あ、いやあ、こんな服装じゃ・・・」と僕が言うと、彼は「それなら、・・・」と言って、写真スタジオから2軒先に行ったスタイリッシュな女性服を売っている店を指差した。

ドナが眼を輝かせ、かつらの代金を払い、店員の頬にチュッとキスをした。

「おや、まあ、嬉しいわ。でも、もう一人の人にはしてもらえないのかしら?」

ドナは、アハハと笑って、腰に手をあてながら僕の方を見た。

「どうなの? ミス・ビッキー?」

僕は、どうしてあんなことをしたのか自分でも分からないが、この女性的な店員に体を寄せ、もう片方の頬にキスをし、「ありがとう」と呟いたのだった。恥ずかしさで顔が真っ赤になった。

「まあ、可愛い人! いいのよ、ありがとうなんて言わなくても」 

彼は、向きを変えて店を出て行く僕たちにそう言い、僕にウインクをして見せた。僕は耳まで真っ赤にさせながら、ドナの方を向き、ちょっと立ち止まった。

「こんなの全然、面白いことじゃないよ!」

「あら、あなた、分からないの? とても面白いじゃない。これもそれも、全部、お遊びなんだから。性的なことも、変態じみたことも関係ないの。ただのジョーク。悪意も何もないわ。ただ、ちょっとだけあなたを当惑させて、もっと楽しいものにしたいだけ。さあ、行きましょう? 最初に、お化粧をしてもらって、それから写真のための服を買いに行きましょう? いいわね? ミス・ビッキー?」

ドナは、そう言って僕の手を掴み、ぐいぐい引っ張るようにしてグラマー写真の店に連れて行ったのだった。

可愛い顔をした店員が近づいてきた。僕のかつらやハイヒール、それにブラジャーが中からTシャツを押し上げているのを見て、彼女はにんまりと笑い、僕の手を取った。

「お2人のどちらがメーキャップをなさりたいのか私には分かりますわよ」

彼女は、僕のあごに手を掛け、僕の頭を左右に傾けて、顔を詳しく調べた。

「女性の中には、このような顔の構造をしていたら死んでもいいのにと思う方もいらっしゃると思いますよ。これですと、私たちの仕事はとても簡単になるでしょう。ほんと、お金を頂くのが気が引けてしまいそうなくらい」

それからTシャツとジーンズに眼をやった。

「写真撮影の時に、ご自由に着ていただける、衣類を各種そろえておりますので、衣類の方は問題ありませんから」

ドナが話しかけた。

「私たち、最初にメーキャップをしてもらうことにするわ。その後で、服を買いに行くつもり。撮影の時間には戻ってくるけど。それで良いかしら?」

「ええ、全然、問題ありません。それじゃあ、始めましょうね。私、デビーです。お客様の担当をさせていただきます」

そういうとデビーは僕の手を握り、メーキャップ用のブースへと連れて行った。ドナは椅子を引き寄せ、腰を降ろして、僕の化粧を見ることにしたようだ。

ブースの中、椅子に座った。デビーはヘア・クリップを取り出し、僕の髪の毛を留め、顔にかからないようにした。それから、新しい洗顔用の布を出し、それをお湯で濡らした。細部にも気を配りながら丁寧に顔を洗い、その後、濡れを拭き取る。綺麗な女性に顔に手を入れてもらうことは、もうすでに僕にはおなじみのプロセスになっていた。

何人かの客たちが僕の方をじろじろと見ていたのに気づいていたし、あるカップルなどはくすくす笑いを抑えようとして、結局、笑い声を漏らしてしまったのにも気づいていたが、僕は、ゆったりと椅子に落ち着き、リラックスしようと思った。僕を知ってる人がいないことだけを願った。モールの中では知り合いの顔は見かけなかったのは確かだし、僕も知り合いがいないか眼を見張っていた。誰か知ってる人を見かけたら、素早く身を屈めて隠れようと思っていた。

ドナは、作業をずっと見守り続けていた。終わりに差し掛かると、ドナは徐々に嬉しそうな笑顔になっていた。

最後に、デビーは椅子に手を掛け、くるりと回して、僕を鏡に向かわせた。

自分の目が信じられない。まるで、モデルか映画スターのよう。無意識的に手を頬へ上げて、本当に自分の顔なのか、確かめていた。

確かにドナにしてもらったときも素晴らしく変身できたが、これは、何か、何レベルも上の仕事のように思われた。自分の顔の細部を確かめていると、ペニスが固くなってくるのを感じた。これまでの人生で毎日、僕が鏡の中で見てきた顔。その顔が、このような顔になるのが可能だとは! まったく想像できなかった。

デビーが僕の股間に眼を落とし、にっこり微笑むのを見た。すでに女の子の股間とは明らかに違った形になっている。デビーはドナの方を見て、彼女の視線を捉え、また僕の股間に眼をやった。

「どうやら、彼女も喜んでいただいてるようですわね?」 と言って、ドナに笑みを見せる。

「あら、ほんと! そのようね!」 とドナも店員に微笑み返した。

ドナは続けた。

「私たち、2、3軒先のお店に行ってドレスを買ってこようと思うの。今、支払いを済ませて、後で撮影の時に戻ってくることにしても構わないかしら?」

「ええ、もちろん」

店員は僕たちをレジに連れて行き、ドナは支払いを済ませた。

「それではお待ちしておりますね。素敵なドレスが見つかると良いですね。あの素晴らしいお顔に良くマッチしたドレスが」

デビーは、店を出て行く僕たちの背に声をかけた。

写真スタジオを出て、衣服店へ行く。短い距離だったが、僕は、すれ違う人々に何度か振り返られた。

何かセクシーでフリルのついたドレスを求めてお店に入ったのだが、ドナは、結局、そういうドレスではなく、ピンク色の愛らしい感じのドレスを選んだ。実質上、シースルーと言ってよい。それを見て僕は息を飲んだ。とてもセクシーで、驚くほど薄い。それを身にまとった自分の姿を思い浮かべた。僕は、待ちきれなくなり、ドナを引きずるようにして店の奥の試着室へと向かった。

ドナからドレスを受け取り、試着室に入って鍵をかけた。注意深くTシャツを脱ぐ。せっかくセットした髪の毛を乱さないように、気を使って頭から脱ぎ去る。脱いだTシャツを脇に放り投げ、椅子に腰を降ろし、ハイヒールの止め具を外して、一度、ヒールを脱いだ。それから立ち上がり、ストッキングを履いた脚からジーンズを滑らせて降ろし、足を蹴るようにして脱ぎ捨てた。

ほとんど息を止めるようにして、ドレスのボタンを外し、頭からかぶって着てみた。ドレスのさらさらとした生地が、ブラジャーを撫で、次に、ガーターそしてパンティを滑り降り、最後に両太ももを優しく擦り撫でていく。その時の、きわめて女性的で甘美な感触がたまらない。スカートが舞うように動くことにより、かすかに空気が動き、パンティに覆われたペニスに繊細な刺激が与えられる。それを感じ、ゾクゾクと身震いした。

だが、その時、僕は、背中のボタンを留めることができないことに気がついたのだった。ドレスは、胸元は大きく割れているが、背中は首の付け根まであって、そこを留めるボタンは小さく、いくつもあったのである。何度か試みたが、どうしても手が届かない。僕は、完成した姿になってから試着室を出て、外で待っているドナを僕の美しい姿で驚かしたかったのだが、どうやら、それはできないようだ。

仕方なく、再び椅子に座ってハイヒールを履きなおし、留め具を付け直して立ち上がった。それからドアをちょっとだけ開けて、ドナに声をかけた。

「ちょっと背中を手伝って!」

ドナは、驚いた風に口を開けた。どうしても笑いを押さえ切れない様子で、試着室の中に入ってきた。

「今の可愛い言葉、どれだけ女の子っぽかったか、あなたには分からないかもね」

僕は、何のことか分からず、聞きなおした。

「どれだけの女たちが、どれだけの回数、今あなたが言ったことと同じことを、パートナーに頼んできたか知っている?」

ドナはにんまり笑顔のまま、僕を後ろ向きにさせ、小さなボタンを留め始めた。

僕はドナが言ったことの意味を考え、僕自身に起きつつあることを思い、驚いていた。普通なら気づかない、ごく些細な、日常的なことについてすら、僕は女性的な行動や習慣をするように強いられているのだ。

ボタンを留め終えたドナは、僕を再び前向きにさせた。彼女は、その途端に口を大きく開け、眼をまん丸にさせた。

「ああ、ビクトリア! 本当に言葉にできないわ!」

ドナは、両腕を広げて僕を抱きよせ、恥丘をサテンのドレスに包まれた僕の恥丘に押しあて、ディープキスをしかけてきた。彼女の口紅に輝く唇が僕の唇と重なり合い、二人の舌が絡み合う。

しばらくキスを続けた後、ようやくドナはゆっくり僕から離れた。キスの間、僕は、まともに呼吸もできなかったため、ハアハアと息を切らせていた。ドナは、脱ぎ棄てた僕の衣類を拾い上げ、シューズ・ショップでの買い物の時にもらった大きな紙袋に、それを入れた。

「来て! 自分でも見てみるべきよ!」

ドナは僕を引っ張って、試着室から出て、鏡の前に立たせた。

鏡を見た時の感情は、どう表現してよいか分からない。実にセクシーで、実に劇的。その気になれば、「プレーボーイ」誌のグラビアに出られるかもしれない。

女性の服に着替えながら、僕はむしょうにドナと愛し合いたいと思っていた。いや、もっと言えば、ドナ、ゲイル、そしてジェニーのすべてとセックスをしたくなっていた。さらに、鏡に映った自分の姿を見て、このビクトリアとも、この、僕が知るうちで最もセクシーで美しい女性ともセックスしたいと、むしょうに衝動が込み上げてきたのだった。鏡の中のこの女とやりたい!

パンティの中、勃起が怒り狂い、下着の生地を強く押し上げているのを感じた。美しいドレスの流れるように軽い襞が気ままに風にたなびく。それだけで、僕の下半身の状態が他人に見え、僕は恥ずかしい思いをしてしまうことだろう。

下着は、スカートの生地を通してかすかに透けて見え、そこから延びる脚は、自分の脚ながら、美しく長く伸び、足先のネイルを塗ったつま先がストッキングに包まれたまま、ハイヒールの先で顔を出し、実に洗練されて、かつセクシーに姿を見せている。

この勃起を逆向きにして、自分自身のバラのつぼみに突き入れることができたらいいのに、と本気で思った。それほど、このビクトリアが欲しくてたまらない気持だった。

ドナは、僕の状態を察しつつ、僕の手を取って、店内を見回した。少し近寄り、もう一方の手でドレスの上から軽く僕の股間を撫で、耳元に囁いた。

「まだ、ダメ。・・・まずは、写真を。・・・あなたの素敵な姿を後になっても思い出せるようなものが、ぜひとも欲しいの。その後、あなたを家に連れ帰って、あなたが失神してしまうまで、激しく犯してあげるから・・・それまで待ってて」

ドナは僕の手を引いてレジへ行き、ドレスの支払いを済ませ、僕と手をつないだまま、写真スタジオへと歩き出した。女性らしく腰を振り、ハイヒールをコツコツ鳴らせて歩く。その僕の姿を、モールを歩いていた通行人たちすべてが足を止めて見ていた。決して大げさに言ってるわけではない。

写真スタジオでは、店内からデビーが僕たちが入ってくるのを見ていた。口をあんぐり開けて、僕たちのところに近寄ってくる。

「なんと、まあ! これまでうちに写真を撮ってもらいに来た女の人の中で、あなたが一番美しいわよ。本当に! 信じられない!」

他の女性スタッフたちの方を向きながら、デビーは僕の手を取り、くるりと一回転するようにさせた。

「みんな、信じられる?」

全員が、担当していた客をただちに置き去りにし、僕の回りに群がってきた。髪の毛に触れたり、ドレスのひだをひらひらさせたり、僕の手を貴重品を持つような手つきで取って、ネイルを調べたり、顔をじっくり点検したり。くすくす笑って、互いに意見を述べ合っている。

僕はドナを探した。彼女は、この群れから退いて、陰のところに立って見ていた。満面に笑みを浮かべていた。

女性スタッフたちは、徐々に、それぞれの客の元へと戻りはじめ、戻った後、今の騒ぎの理由をお客に説明した。その結果、客たち全員からも驚きの眼差しでじろじろ見つめられることになってしまった。

デビーに連れられ奥の撮影室へと入った。早速、撮影が始まる。撮影は1時間もの長時間になり、その間、デビーは私を何度もなだめすかしていた。いろいろなイアリングのセットを出して、僕に試しては、撮影を繰り返す。イヤリングは小さく可愛いのもあれば、長く、垂れるのもあった。

それを見てドナが口を出した。

「ビクトリア? 今すぐあなたの耳にピアスをしたほうが良さそうね。そうすれば、もっと良いイアリングを使えるから」

デビーも声を出した。

「私ども、普通はこんなに長く時間をかけないんですよ。でも、お許しがあれば、今回の写真のうち何枚かを総支配人に送りたいと思っているんです。ショップの広告用の写真にしてもらうために。誰も、あなたが女性じゃないことに気づかないと思いますわ。その点は、私たちの間でのちょっとした秘密としますので」

僕が答える前にドナが返事をしていた。興奮した口調で、どれでもお好きな写真を使ってくださいと答えている。

「素敵! それに、ご返金もしますね。多分、今回の撮影代全額に加え、もし、また当店をご利用していただけるならの話しですが、次の撮影の分もまかなえる額になると思いますよ」

「まあ、ビクトリア。そうしましょう? いいでしょう?」

ドナは、僕にそう言ったあと、デビーが言った言葉の意味を思い出し、デビーの方を向いて、「もちろん、またこのスタジオに来ますわ」と言った。それからまた僕の方を見て、「いいわね!? ミス・ビッキー?」と言った。

僕はドナの僕に対する口調が急に変化したのに気づき、すこしうつむき、伏せ目がちになって返事をした。

「それであなたが満足なさるなら、私にとっても嬉しいことです」

お尻を打ち据える乗馬ムチのことが頭に浮かんだのである。僕は、そのように慎ましく答えるほかなかった。

「素晴らしいわ」 とデビーは僕を無視してドナに答えた。「彼女なら、きっと素晴らしいモデルさんになると思いますわよ」

デビーは僕たちをレジに連れて行き、代金を返却し、それから僕たちの名前と電話番号を訊いた。

「これからもお付き合い、お願いしますわね。今日のお写真は2週間ほどででき上がります。当店をお選びいただき、とても感謝しております。本当にセンセーショナルなお客様でしたわ」

言葉の最後のところを話すとき、彼女は僕の方をまっすぐに見ていた。僕は顔が火照るのを感じた。

「あなたも、素敵で芸術的な仕事をしてくれてありがとう」 と僕は答えた。

「いいえ、いいえ、お客様こそ、芸術作品そのものですもの。私はちょっと彩りを添えただけ」 とデビーは微笑み、バイバイと手を振りながら、店を出て行く僕たちを見送った。

二人でモールの中を歩いた。ドナは僕の衣類が入った袋を持っている。スターバックスに立ち寄って、コーヒーを買い、小さなテーブルに座って飲むことにした。コーヒーをテーブルに置き、ドレスのしわを伸ばして、優雅に腰を降ろす。それから、ドナと向かいながらも、テーブルの横の方へ脚を伸ばし、脚を組み、ハイヒールを履いた足をぶらぶらさせた。スカートを整え、隠すべきところがはだけないようにする。

ドナは、通り過ぎる人々の様子を観察していた。みんな、洗練された服装の二人のブロンド美女がコーヒーをすすっているのをじろじろと見ていく。

「私、これまで何度も自分の誕生日の時にプレゼントをもらって喜んだことがあったけれど、今回、あなたの誕生日にプレゼントしてあげた時より楽しいことはなかったわ。あなたも私と同じくらい楽しんでくれているといいんだけど?」

「いいんだけど? なんて言わなくても大丈夫だよ。今年の誕生日のことは一生忘れないと思うから」

「ねえ、ちょっと想像してみて? もう、これからは、毎年、あなたの誕生日はダブルの誕生日になるのよ。ビクターの誕生日とビクトリアの誕生日」

「でも、ちょっと白けさせてしまうかもしれないけど、今は、まだ、ビクトリアの誕生日だけ。ビクターはここにはいないの」

そう言って僕は微笑み、この数日間という短い間に僕に起きた様々なことを思い起こした。

「いずれにせよ、私、今ほど楽しくて興奮していることがないの」

ドナはいきなり僕の両手を握り、愛しそうに擦った。そのため、近くの人たちにさらにじろじろ見られることになった。

僕はまた顔を赤らめた。どうやら、この先もこうやって何度も顔を赤らめることになるのだろうなと悟った。まあいいさ、その見返りとして、ドナと信じられないような素晴らしいセックスができるのなら、それもまた構わない。

彼女の側から

ショッピングのお出かけをして、その展開にとても満足している。計画していたよりも、はるかに楽しい結果になった。家に車を走らせながら、私は携帯電話を取り出し、ゲイルの家に電話した。

「ゲイル? 私、ビクトリアとモールから家に向かっているところなの。彼女、新しいドレスと素敵な下着を着ているのよ。見てみたい?」

「もちろん。すぐに行くわ」 ゲイルは興奮した口調で言った。

「分かった。じゃあ、また」

電話を切った時、車はちょうど「シンディのランジェリーと小物店」の前の交差点に差し掛かっていた。あの美しいジェニーが働いているお店。私は衝動的に、その店の前に車を止めた。そしてミス・ビッキーの方に目をやる。

「来て! ジェニーに見せてあげましょうよ」

そう言って車を降り、助手席側に回って、ビクトリアのためにドアを開けてあげた。彼女の手を握りながら、店へと入っていく。すぐにジェニーの姿を見つけた。彼女は、レジのところに立っていて、カウンターの後ろにいる従業員に話しかけているところだった。

ジェニーのところに歩いていくと、彼女も私に気づいて、にっこり微笑んだ。それからビクトリアの方へ目を向けた。途端に目を大きく見開いて、ハッと大きく息を呑んでいる。

「ええ?? これがあのミス・ビッキー? ありえない!」

「いいえ、まさしく彼女よ。今、ちょっとショッピングしてきたところなの。あなたのお店を見かけたら、どうしても彼女のことをあなたに見せびらかしたくなっちゃったの」

「なんと! ああ、ビクトリア、ほんと信じられないわ」

ジェニーはそれから少し落ち着きを取り戻し、間を置いてから、笑みを浮かべて彼女に訊いた。

「歩き方の方は、その後、どう?」

ビクトリアはくるりと向きを変え、13センチ高のヒールを履いているにもかかわらず、優雅に店内を歩いて見せた。スカートの裾は、太腿を撫でながら優しくなびき、歩むたびにヒップが左右に揺れる。店の向こう端まで行くと、片足を軸にして、くるりと反転して見せた。それに応じてスカートが捲れ広がり、その下の下着とガーターが顔を見せた。それから、笑みを見せながら誇らしげに私たちのところに歩き、戻ってくる。

「合格?」 ビクトリアが訊いた。

「ビクトリア? あなた、頭の先から足先まで、すべて美しいわ! この店内のショーウインドウだろうと、今すぐ、あなたを押し倒して、犯してしまいそうよ」

私は微笑みながら、ジェニーに訊いた。

「私たち、もう少ししたら、家で友達と会うことになっているの。あなたも来る? 彼女を犯すのだったら、ここよりもちょっとだけプライベートな場所をあなたに提供してあげられると思うから」

ジェニーは私に微笑んだ。彼女はハンドバックをずっと抱えていたのだが、改めて、そのハンドバックをしっかり掴んだ。

「私、15分前にオフになっていて、これから何をしようかと考えながらブラブラしていたところだったの。もう決まったわ。車であなたの車の後をつけていくわね」

家に着き、裏ドアを開けた。ちょうどその時、ゲイルの車が来て、中から彼女が出てきた。彼女も素敵なドレスを着ていて、スポーツバッグを持ちながら私たちのところに近づいてきた。

ジェニーをゲイルに紹介する。二人はすぐに互いを誘惑するような振る舞いで、褒めあった。それからゲイルはジェニーからビクトリアへ視線を向けた。途端に満面に笑みが浮かぶ。

「ボス? 私が一緒に働いた中で、ボスが一番美しいわ」

それから私に顔を向けて話しを続けた。「これからプレーするのね?」

「ええ。あなたもビクトリアもお尻をスパンキングされた仲だから、楽しみが分かるはずよね」

私は、優しくそう言って、3人の美女を家の中に招き入れた。


つづく
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