「バースデイ・プレゼント」 第4章 (2/2) 1/2の続き

彼女の側から

微笑みながら車のエンジンをかけ、駐車場から出た。ビクトリアにキスをし、彼女のペニスをさすったが、そこが硬くなってくるのを感じた。家に戻った後も、楽しいことがもっと続くだろう。信号が赤になり、車を止めたとき、いつも目にはしていたが、特段、注意を払っていなかった看板が目に入った。

「シンディのランジェリーと装飾小物の店」

それを見て、ふと、思った。いま私たちは新しい関係について実験をして、試しているところ。そうである以上、この遊びの道具にどのようなものがあるか確かめて見るべきじゃないかしら。

信号が変わった後、交差点を曲がって、その店の駐車場に車を入れた。ビクトリアは驚いた顔で私を見た。

「ダメだよ。僕がこんな格好でいるときには困る。もう今夜はこれ以上、恥ずかしい目にあったら耐えられそうもないよ」

私は、ふざけ半分にわざと厳格な顔つきをして見せ、彼に言った。

「さっきは私のパンティを汚したし、今度は、私にノーって言うの? 家に帰ったら、絶対にスパンキングをしてあげなければ。本当にイケナイ娘だわ!」

店の明かりに照らされ、彼の顔が赤らむのが見えた。それに少し怒った表情も。

「ちょっと聞いてくれ。これはやりすぎだ。僕は君の娘でもなければ、女友達でもないんだ。僕は君の夫なんだよ。それに僕はビッキーでもなければビクトリアでもない。僕はビックだ。確かに、誕生日のびっくりプレゼントは信じがたいほど素晴らしかったよ、それは認める。だが、もう誕生日は終わったわけだから、ノーマルに戻るべきなんじゃないか? こんなのノーマルとは言えない」

夫が本気で怒っており、怒っているふりをしているわけではないのが見て取れた。

ふざけ半分に厳格な顔をしていた私だったが、急に悲しくなり、涙が溢れてきた。彼を傷つけるつもりはまったくなかった。ただ、新しい性的な楽しみを作り出したいということ、それだけだった。ティッシューを取って目を拭った。

「ごめんなさい、あなた。・・・ちょっと危険なこと、それを私が仕掛けて、あなたがそのスリルを味わう。あなたは、それを私と同じくらい楽しんでいると思っていたの。あなたを怒らせるつもりはまったくなかったのよ。ただ、あなたに興奮してもらいたかっただけ。そして、できるだけ、興奮し続けて欲しかっただけ。・・・今日は一日中、勃起していたって言ってたでしょう? だから、このささやかなゲームをあなたも楽しんでいると思っていたの。私は楽しんでいたわ。あなたを興奮させようと、いろいろ創造的に考えを巡らして、楽しんでいた。でも、もし、これが嫌ならいつでもやめるわ。だから、怒らないで」

彼の表情がみるみる溶けてくるのが見えた。怒りの表情は消え、彼のまなざしに、私が知っている、そして彼と初めて出会ったときから私が大好きな、あの愛情と思いやりに溢れた表情が戻ってきた。

「あ、いや。謝るのは僕の方だよ。多分、さっきは、僕の中の男性優位を求める部分にスイッチが入ったんだと思う。昨日の晩から、僕は、ずっと受身の立場だったからね。一瞬、遊びをしているという事実が頭から消えてしまっていたんだろう。ごめん。本当に・・・」

大丈夫だと分かった私は、夫の方に体を傾け、キスをした。2人のリップグロスを塗った唇が触れ合い、その滑らかさに、情熱の火花が燃え上がる。口の中で、2人の舌がもつれ合い、ダンスを踊った。ビックの息づかいが速くなるのを感じた。手を下げ、彼のあそこを触れた。夫は再び固くなり始めている。

夫は、私の涙目を覗き込んだ。

「君が僕にビッキーでいて欲しいと思うなら、僕もそれに付き合っていけると思うよ。あれこれ言っても、これまで、ちょっときわどいけど、楽しかったのは本当だったから」

私は安心し、これまでのことで私たちの関係が台無しにならなかったことを喜んだ。

「ホントなのね、ビクトリア?」

彼のあごに手をかけ、彼の瞳を見つめた。

「あなたが望むなら、いつでもやめていいのよ」

そう言って、パンティに包まれた彼のペニスをさすった。みるみる固くなっているのを感じる。その勃起を、愛しさを込めて、優しく上下に撫で続けると、彼の息づかいが次第に速くなり、瞳もキラキラと輝いてきた。

「ああ、本当だよ」 夫は、私に触られ、体をくねらせながら返事した。

「ホントにホント? ビクトリア?」

私はしつこく聞きながら、両手を彼の胸へ這わせた。サテンのブラジャーの上から彼の乳首を擦る。

「ああ、本当に本当だ」 彼は私の手に胸を押し出すようにした。

ブラジャーを通して指で触りつつ、彼の乳首を両手の親指と人差し指で挟み、くりくりと転がした。彼は小さい喘ぎ声を上げ、目を閉じた。それを見て、今度はいきなり、彼の乳首を強くつねった。夫は驚いて目を開き、口もぱっくりと開けた。私はすかさず彼の口を私の口で塞ぎ、舌を差し込み、深々とキスをした。驚いて緊張していた彼も、私のキスを受けて、半ばリラックスし、自分から胸を突き出して、私がつねるのに任せ、小さな声で喘ぎ続けた。

それから、顔を引き、キスを解いた。乳首もつねるのはやめ、ブラの上から優しく撫でるだけに。・・・そうしながら彼の瞳を覗き込む。

「じゃあ、もう私にノーと言わないように。言ったら、すべてはそこで中止。分かった? ミス・ビッキー?」

私が言ったことを理解したという表情が彼の目に浮かんだ。その視線が下へ降り、彼の胸をかすめ、その下方に起立しているペニスに向けられた。そしてそこから跳ね返るように、上に戻ってきて私の目を見る。彼の口からは、非常に女性的な言葉が返ってきた。

「分かったわ。もうノーとは言わない」

私は自分のシートに座りなおした。

「そう、それでいいわ。さあ、口紅を直してショッピングに行きましょう?」

彼はジーンズのポケットに手を入れ、グロスの小瓶を取り出し、ふたを開けた。私は彼にティッシュを渡した。

「最初に、乱れてしまったグロスを拭き取らなければダメよ」

彼は、にっこり微笑む私を見て、微笑み返した。

「僕は、まだ、この口紅関係のこと、よく知らないと思う。これからもっと勉強しなければね」

彼はティッシュで叩くようにしてグロスを拭き取り始めた。

「あなたはすごく物覚えがいいと思うわ。信じられないほど潜在能力を持っている人だと思う」

「潜在能力って、何になる能力?」 彼はグロスを拭きながら呟いた。

「とても素敵な恋人になる能力よ」 

彼にウインクをして見せた。

「あなたには、適切な素質がすべて備わっているもの。それに、元来とても美しいし。いろいろ考えると、とてもワクワクするわ」

2人ともグロスをつけなおした。彼が自分でドアを開けようとするのを見て、私は言った。

「私がするから待って」

「これにも慣れてきそうかな」 夫は、そう言いながら車から降りた。

「あなたなら、いろんなことに慣れることができるわ。たくさんあると思うけど」

そう言って微笑み、彼の背中を軽く叩いた。そして、彼の耳元にキスをし、軽く耳たぶを噛んで囁いた。

「これは最初のお仕置き。まだスパンキングが残ってるんだから」

2人で「シンディのランジェリーと小物の店」に入る。彼は笑みを浮かべていた。

「待ち遠しいよ」


つづく
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