Caption 37


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「ヤダ! ノックくらいしてよ!」

「あら、恥ずかしがらなくてもいいじゃない? boiと女の子の間には、隠すものが何もないものなのよ。それに、どうせ、あんた、オトコとは言えないしね」

ミグエルはバスルームのドアが開く音を聞いて、振り返った。彼はシャワーを浴びようとしていたところで、ほとんど裸になりかけていたところなのである。

バスルームの入り口には彼の姉が立っていた。顔にかすかに笑みを浮かべている。彼の姉がグレート・チェンジの結果を楽しんでいるのは明らかで、1年前のあの日からずっと、ミグエルを容赦なくからかい続けてきたのである。あの、極悪のベル博士が世界を変えたあの日から。

最初、ミグエルは自分は感染しないと思っていた。だが彼は間違っていた。彼は、感染を受けた数少ないラテン系男性のひとりだった。そして、グレート・チェンジ後の1年間、数多くの偏見に見舞われてきたひとりであった。

毎日、ミグエルは思った。ラテン系のboiはどんな生活を送ることになるんだろうと。そして、毎日、彼はアメリカで生活したいと切に願った。この国より、アメリカの方がboiたちが受け入れられているからである。たぶん、いつの日か、彼はアメリカに行くだろう。ミグエルは、何よりも、その日が早く来ることを願っているのである。


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