Caption 38


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パムは息子のコリーを見て溜息をついた。グレート・チェンジから2年が過ぎようとしている。なのに息子は今だに自分自身の姿や、自分自身の振舞いに慣れていないのだ。

彼は高校を卒業してから1年も経っていない。いま彼は、大学の冬休みで、帰省している。故郷での生活をとても楽しんでいる様子だ。

だが、パムはどうしても思い出さずにはいられない。あのグレート・チェンジが起きた後の数ヶ月間、息子がどれだけ苦しんだかを。ほぼ半年間、息子は毎晩のように泣きながら眠った。そして、身体のサイズに合う服を着ることに同意するまでも大変で、半年より長い期間を要したのだ(コリーは、昔の、身体に合わない男ものの服を着るといつも言い張っていた)。

大学に行った後も、コリーは殻に閉じこもったままだった。彼は引きこもりになり、パムが恐れたとおり、うつ病になったのだった。

いまは、その面影がまったくなくなっている。大学で何が起きたのか、パムは知らなかったが、知りたいとも思わなかった。母親としては、コリーが自分自身で心穏やかでいられるようになったというだけで充分なのである(心穏やかどころか、今は、boiであることを実質、誇りに思っているようでもある)。

たった2ヶ月ほどなのに、すごい変わりようね、とパムは思うのだった。


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