Caption 39


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ポールは大きなヨガリ声をあげた。女のような甲高い声が部屋に響いた。身体を上下に動かし続ける。巨大な黒いペニスが彼の濡れたアヌスに出入りを繰り返す。

クレート・チェンジの前は、彼は兵士だった。まあ、陸軍の資材配達の事務の仕事だったが、それでも軍隊に所属していた。だが任務期間が終わりになったものの、彼は再登録はできないだろうと知っていた。軍以外の職場で仕事を得たいと思っていたわけではないし、他に何ができるかも分からなかった。売りに出せるようなスキルもなければ、大学で勉強する気持ちも持っていなかった。

ベルが生物エージェントを撒き散らしたのは、実際、彼にとって渡りに船といってよかった。声が変わり、身体が縮小し、男性に対して性的な欲求を持ち始めた当初は、彼はグレート・チェンジをそういうふうには見ていなかった。しかし、男たちが彼に視線を向けていること、もっと言えば、自分の身体を欲しがっていることに気づくのに時間はかからなかった。そして、そういうわけで、ポールはそのことを自分のために使うことに決めたのである。

それは大変うまくいった。男たちは彼にいろんなものを買い与え、彼を支え、些細な苦情にも気を使てくれた。それもこれも、彼の気を引くためにである。ポールは、男たちに甘えたり、焦らしたりする方法を覚え、最後には、男たちを喜ばす方法も覚えた。

だが、ポールは自分の容姿がいつまでもこのままであるわけがないのを知っている。なんだかんだ言っても、彼はバカではないのだ。というわけで、彼は夫にできそうな男を探し始めた。

彼がヘンリーと出会ったのはグレート・チェンジのおおよそ4年後の頃だった。その半年後にふたりは結婚し、ポールは比較的裕福な生活を始めている。考えてみれば不思議なことだった。ポールは大人になったら何になろうかと様々なことを考えていたのだが、夫ご自慢の専業主婦になることだけは、そのリストにはなかったことだったから。

とはいえ、彼は幸せである……曲がりなりにも。


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