「心が望むものをすべて」 第4章 (3/3) (2/3)

何週間か過ぎた。ダニーは、月曜日の午後に加えて火曜と木曜の夕方も、セリーヌの個人授業を受けるようになっていた。コルセットの装着も続け、減量が進んでいた(ほら、10センチもウエストを締め付けられて胃や他の内臓が圧迫されているのよ、どれだけ空腹感を感じられると思う?)。そのおかげで、彼女は普通の状態でも60センチというウエストになっていた。それに反比例して、ヒップからお尻にかけては、涎れが出そうな90センチに膨らんでいる。他のファッションでも、言うまでもないのだが、特に、小さなビキニを着せると、彼女の官能的な体が映えて見える。

私は、最近、彼女に豊胸手術をさせることを真剣に考え始めていた。美しく膨らんだヒップと共に、彼女のナチュラルな胸も膨らんできている。乳首も硬く膨らみ、敏感になってきていた。偽乳房をつけると、彼女は本物の巨乳美女のようにとてもセクシーに見えるのは事実。でも彼女の素敵な乳首を偽乳房で隠すのは、犯罪行為と言える。だから、豊胸によって、本当の胸になってくれたら・・・

それに、もうひとつの夢についても、その実現についてたくさん考えてきていた。彼女が男といるところを見る夢。男が、彼女を、男が女を奪うように、奪っているところ・・・もちろん彼女の体の仕組みの制限内での話だが・・・ともかく、その様子を見てみたいと思っていた。適切な男性を見つけるのはちょっと難しいだろうけど、不可能ではない。もっと言えば、私は、男性2人が参加する、あのシナリオのことがとても気に入っていた。ダニーと私が一緒に男たちに抱かれるというシナリオのこと。

ええ、分かっている。白状しなければ。私は、あのロン・ランドールのことを想っていた。彼のような逞しく素敵な男性と知り合いになって、想いを巡らさない女の子などいるだろうか? 

彼は、あの後、私の職場に定期的に電話をかけてくるようになった。もちろん、家を買うといった電話ではない。私は、多少、浮気心を持って彼と話しをし、それとなく、私が彼に異性として興味があることをほのめかした。だが、正直、まだ彼に会う気持ちにはなっていない。ロンに会いたいと思うことに少し罪悪感を感じていたからだ。

このような心情は初めてだった。これまでは、私を疼かせるタイプの男を見かけたら、いつでもすぐに、その男をゲットし、セックスをしてきた私である。それは、ただの罪のない遊びだったし、誰も傷つけるわけでもない。ダニーと結婚した後でも、夫婦生活とは別に遊びまわってきたし、それがダニーとの夫婦生活に脅威となることは一度もなかった。ダニーが、私が一番愛する男性であるのは変わりなかったし、気ままに拾った肉体自慢の男を求めて、代わりにダニーを捨てるなど、まったく考えたこともなかった。ダニーとは、この話題で話したことはない。そういうことを彼の目の前に突きつけたくなかったから。他のやり方で、それとなく彼に認めさせる方法をとっていただけ。

だが、そのルールが変わった。私が変えたのだった。いまや、ダニエルは私の人生をかけて愛する人になっていた。私自身は、彼女を改造するのは、他でもなく彼女自身のためと自分を納得させてきていた。ただ、ダニーの変身が、私自身にも、大きな旨味をもたらしてきていたのも事実。

「ダニー」も「ダニエル」も、一度たりとも、私に隠れて浮気をしたことはない。もっと言えば、彼女は、私の「疼き」を満足させるために人が行えることの、最も極端なことを喜んで行ってきてくれている。私が夢にも思っていなかったほど、彼女は私を満足させてくれている。それでも、私は、依然として、男に対する欲望も持っていたのだった。それは、「ダニエル」を作り上げるために、私が「ダニー」から奪ってしまった側面でもあった。

このようなことで、私は、ロンに会うことに、居心地の悪い罪悪感を感じていたのである。

私は理屈を作り上げた。つまり、もし仮に、ダニエルが、私と同じように男とセックスできるようになったら、どうだろう? そうなったら、私が他の男とセックスしても、何も罪悪感を感じる必要がなくなるのじゃないか? と。

だが、ダニエルは、私以外の人とセックスをすることに、いまだ、これっぽっちも興味を示していなかった。ましてや他の男とセックスするなど、問題外。彼女なら、グウェンやレキシとセックスをしようと思えば、何の問題もなく、すぐさまできるであろう。もっとも、私の本能なのか、そうじゃないのか、私にはどうしても、そのような事態に適応できないのではあるけれども・・・。ともかく、ダニエルは、そのうちの一方のグウェンについてはすでに断っている・・・そうダニエルは私に伝えた・・・それに、もう一方のレキシとも、仮に何か彼女と行うような状況が生じたとしても、ダニーなら断るだろうというのも確かだった。

この状況に、私はフラストレーションを感じていた。愛する人に、他の人と浮気をするように納得させるにはどうしたらいいのか? いや、そもそも、その、他の人とセックスする場に、私も一緒にいるなら、それは浮気にはならないのだと、そう納得させるにはどうしたらよいのか?

私が見つけた答えはと言うと、それは、納得させるのは無駄だという答えだった。納得させるのではなく、彼女を誘惑し、浮気するように仕向けちゃうという答え。

次にロンが電話してきたとき、私は、次の火曜日の夜に向けて、彼とあることを準備した。つまり、私はロンに、私の「ルームメイト」が最近ずっとアレをしていなくて、必死になって誰かを探しているところだと伝えたのである。ロンに、テリー・ケネディも一緒に連れて私たちの家に来るように求めたのだった。ちょっとした「4人プレー」ができるかもと。電話の向こう、期待に目を輝かせているロンの顔が目に浮かぶようだった。

電話を切った後、私は心の中で計画を練り始めた。

私より、ダニーが性的に燃えあがりスイッチ・ボタンを知っている人は誰もいない。火曜の夜、彼女は化粧学のレッスンから戻ってくるだろう。そこで私がダニーに言う。

・・・「あの男の子たちが遊びに来てるの。ちょっとした挨拶のつもりなんでしょうね。少なくとも、何かお酒を出してあげるけど、いいわよね?」と・・・。

彼女がリラックスし始めたら、私は彼女を愛撫し始め、そしてキスをする。

・・・「ちょっとショーを見せてやって、あの男の人たちにやきもちを焼かせてあげましょう?」と・・・。

彼女がとろけてきたら、後はまったく苦労する必要がなくなるだろう。彼女はテリーの腕の中に、そして私はロンの腕の中に包まれることになるはず。さらにもう何杯かお酒を飲んでいるうちに、ダニーの秘密がばれたとしても、テリーは、そんなこと気にしなくなるかもしれない。そうじゃないかなあ? テリーが気にしたとしたら?・・・まあ、そのときはそのときで何か良い案を捻出しよう。肝心な点は、これが上手くいけば、私は、なんら罪悪感を感じる必要なく、ロンとのセックスを楽しめるようになれるということ。

ロンたちは、火曜の夜、9時きっかりに現れた。私は、時間を守る男性が大好き。今夜は楽しい夕べになりそう。ダニーは10時ごろに帰ってくるから、時間は十分にある。

私はロンにお酒の置いてある場所を教え、飲み物の用意を頼んだ。その間、私はキッチンに行き、すでに用意しておいたスナックをトレーに並べてリビングに持っていく。そして3人でカウチに座り、気楽になごみながら、ダニーが来るのを待った。

***

気がつくと、水曜日のお昼近くになっていた。電話が怒ってるような音で私の耳に鳴り響いている。グウェンからだった。大丈夫かと心配している。電話もせずにこんなに遅刻するのは私らしくないと、言っている。私は体の具合が悪いので、もう少ししたら電話をかけなおすと伝えた。それは嘘ではなかった。頭がガンガンする。まさに死人になった気分(参考)。あそことアヌスがヒリヒリして痛い。ずきんずきんとしている。昨日の夜、私は一体何をしたの? 何も思い出せない。

這うようにしてバスルームに行き、トイレに行った。そのまま、すぐにベッドに戻りたかったが、もう起きなくてはいけないのは分かっていた。シャワーを浴びた。時間をかけてじっくりと熱いシャワーを浴び、体を丁寧に洗った。そのおかげで、多少なりとも気分が直った。シャワーから出て、テリー(参考)のバスローブを羽織り、ベルトをきつく締めた。そしてふらふらの足取りで寝室に戻った。

そういえば、ダニーはどこにいるんだろう? ぼんやりとだが、昨夜のことを思い出す。ロンとテリーを家に招いたのだ。ダニーも交えて、4人で楽しむつもりで。ともかく飲み物を飲みながら、ダニーが来るのを待っていたところ・・・あ、あの飲み物! 

私は急いでリビングに行った。何もない。キッチンに行った。流しの水切りかごにグラスが3つあった。ひとつ取り上げて光にかざし、調べた。曇りひとつない。飲み物の染みも、指紋すらなかった。きれいに洗われた後だった。腹の奥からじわじわと恐怖感が沸き起こってきた。ダニーはどこに?

彼女の寝室に走った。彼女が寝た形跡がまったくない。私の計画では、昨夜は、ダニーが帰ってくる前に、私が場を盛り上げ、良いスタートを切っておいた後、帰ってきたダニーが「割り込んできて」テリーと仲良くするはずだった。だが、ロンとテリーは別の計画を立てていたのだ!

ダニーの寝室はからっぽ。ベッドのシーツにもしわひとつなく乱れていない。じゃあ、どこにいるの?

私は、すっかり混乱したまま、リビングに戻った。気を落ち着かせながら、というか、気を落ち着かせようと努めつつ、そこにしばらく立ち尽くしていた。混乱で頭にモヤがかかったようになっていた。だが、何かがそのモヤの向こうから私に突き刺してこようとしている。私の意識を向けさせようとピリピリ刺してくる。それは・・・音だった。引きずるようなキリキリした甲高い音。

部屋の中を見回した。書斎へ通じるドアが開いている。そこを入ると、音がさらに大きくなった。ようやく、その音がコンピュータのハードディスクから出ている音だと気づく。ダニーは、またつけっ放しで出て行ったのだろうか?

違う。ダニーではない。コンピュータは一晩中、動作していたようだった。画面には、見たことがないスライド・ショーが写っていた。

私が主人公で、ロンとテリーとセックスをしているスライド・ショー。仰向けになった私。次は男の上に乗った私。次は四つんばいの私。ロンとしているところ。テリーとしているところ。さらに同時に2人としているところ。

彼らは三脚にデジタルカメラを乗せ、リモコンかタイマーを使って撮影したに違いない。どの写真でも私の顔ははっきりと写っていたが、彼らはカメラから顔を背けていたか、画面の外になっていた。

彼らはいったい何を私に飲ませたのだろう? GHB? X? 何であれ、連中は私の体を使って思う存分楽しんだのだろう。その後、巧みに自分たちの形跡を片付け、立ち去ったのだ。私も、自分の体に残された彼らの形跡を、シャワーによって自分で洗い流してしまっていた。かなりリハーサルを繰り返した用意周到の出来事の匂いがする。連中の犠牲者は、私が最初ではないと直感的に感じた。

犠牲者? 私は彼らに両腕を広げて、歓迎して家に招き入れたではないか。なのに、なぜこのようなことをわざわざしたのだろう? こんなことをしなくても、結局は、セックスをすることになったはずなのに。

男たちの中には、女の方が「やってもいいよ」と言うのでは満足しない者がいるのだろう。多分、そういうこと。それとも、連中は私が気が変わるかもしれないと思ったのだろうか? 最低の、けだもの野郎ども! 私は自分がひどく汚された気分だった。

でも私が愛する人は今どこにいるのだろうか? このドブねずみどもが、彼女に何かしたのだろうか? 

警察に電話しようと、電話機に手を伸ばしたときだった。画面に映った何かが目を捉えた。その画面を見るため、スライドがもう1周するのを待たなければならなかった。そして、その問題の画面を確認した。2枚ある。ダニーが写っていたのだ。彼女は、寝室に立って、そこで起きていることを見ていたのだ。ロンたちは、私に夢中になっていて、彼女が私たち3人を見ていたことに気づいていないようだった。

どうして彼女は何も言わなかったのだろう? 叫び声をだすとかして、私を助けてくれなかったのはなぜ? 

スライドがまた新しい周に入っていた。今度は彼女のイメージを熱心に調べた。2枚の写真は、ダニーの感情のすべてを物語っていた。彼女の顔に浮かぶ表情は、2枚でひどく違っていたのである。最初の表情は、目を大きく見開いて驚いている表情。そして2枚目の表情は・・・侮蔑そのものの顔。

すぐに、胃が締め付けられる感じになった。急いで、ドレッサーのところに行き、引き出し類を、一つ一つ開けた。全部、空になっていた。彼女の寝室に戻り、クローゼットを調べた。彼女に買ってあげた衣類で溢れんばかりになっているはずである。だが、そこにあったのは、何もかかっていないハンガーが6つほどぶら下がっているだけ。

ダニーは勘違いしている。彼女は、私がこの卑劣な男たちに薬物を飲まされたことを知っていない。彼女は私を喜ばすために、さまざまなことを経験し、それを行ってきた。その彼女がある日、外から帰って来て、私が、フライデーズで会った男たち2人とセックスをしているのを見た。・・・しかも、夫婦のベッドで・・・そして彼女は思ったのだろう・・・しかたないと。違う? ダニー?

私が理想的な貞淑な配偶者ではなかったのは本当。この男たちとセックスする意図で、私は彼らを招いたのも本当。ええ、そう。ダニーにも参加させようと思っていた。だけど、それは彼女が求めていたことではなかった。そうよね? ダニー? 私は彼女にこの計画を伝えすらしてなかった。びっくりプレゼントにするつもりだったから・・・

私はクローゼットの床にお尻をついて座った。脚を組んで、あぐらの形。両肘をひざにつけて、手のひらで顔を覆った。 私は何てことをしてしまったのだろう? 

そのときの情景がはっきりと想像できる。彼女は静かにこの部屋へ戻り、ドアを閉めた。口や態度には出さずとも、心の中、怒りで燃えながら。彼女が、こういう風に静かに消えたことを、私はむしろ幸いに感じている。おかげで、あの男どもはダニーが帰ってきたことに気づかなかったのだ。彼女は、私のような仕打ちにあわずに済んだのだ。さもなければ、あのけだものたちが彼女の秘密を知り、そして・・・

ダニーは、彼らが私の体を遊びつくして家を出て行くまで、この部屋でじっと待っていたのだろう。それからクローゼットから衣類を出し、次に私たちの寝室に来て、ドレッサーの中のものを出したのだろう。その間、私はベッドの上、素っ裸で大の字になっていた。彼女から3メートルも離れていないところで。ダニーには、私の淫らな寝姿は、オルガスムをたっぷり味わった至福の状態と写っていただろう。満足しきって、ぐっすり眠っていると。

ダニーは出て行ってしまった。彼女が消えたことに、ロンたちは関係ない。私自身が彼女にそうさせたのだ。私は延々と泣き続けた。そして、その後、警察に連絡した。


つづく
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