「ジャッキー」 第4章(2/2) Jackie Ch.4 by Scribler 出所 第1章第2章第3章第4章 1/2
縦書き表示にする

1分ほどその姿勢で休んだ後、アンジーは僕の胸にキスをしながら言った。

「ジャック、素敵だったわ。ものすごく感じたわ」

「本当に?」

僕の返事は、信じていないといった声音になっていた。後から考えると、その時、僕はそんなことを言うべきではなかったと思う。でも、その時、僕はアンジーが嘘をついていると思ったのだ。そして、僕の返事を聞いてアンジーが緊張感を漂わせるのを僕は感じた。

「もちろんよ。何か間違いがある? まるで怒っているように聞こえたわ」

議論する時でも場所でもないと思い、僕は、「ごめん、さっきみたいな言い方をすべきじゃなかったね」と言った。

アンジーは身体を起こして、僕を見下ろした。

「いや、問題があるのは確かよ。それについてしっかり話し合わなくちゃいけないわ。私、あなたのこと本当に大好きなの。だから私たちの関係に、どんな問題もあって欲しくないの」

「気にしないでいいんだよ。さっき言ったのは間違いだから。君も素晴らしかったよ。このひと時を台無しにしたくないし」

そう答えたが、僕は彼女の視線を避けていた。

アンジーは僕の頭を引き寄せ、しっかりと眼が合うようにさせた。

「聞いて、ジャック。もし何か問題があるなら、きちんと話し合いましょう。二人の間に何も邪魔させたくないの。何を気にしているのか私にちゃんと話して」

いくら何も問題はないと言っても通じないと分かった。僕が気にしていることを言うまで、アンジーはずっと僕にプレッシャーをかけ続けるだろうと。僕はしかたなく白状した。

「うーんっと…さっき、僕が…その、君の中に入っていた時…君は楽しんでいるようには見えなかったんだ。君はあんなに興奮していなかった。君が自分で指を使い始めて、やっとああなったように見えたんだ」

「ああ……」 アンジーは僕から視線を背け、そして僕の胸板を指でなぞりながら話し始めた。

「私、これまでセックスでは問題があったの。私、普通、ああいう形でオーガズムに達することはできないの。あなたのアレが中に入ってることは、本当に気持ち良かったのよ。それは嘘じゃないわ、ジャック。あの感じは大好き。でも、どんなに激しく、どんなに速く動かれても、多分、私、イクことはできないの」

アンジーが顔を赤くして、恥ずかしそうに話すのを見て、僕は、これが彼女にとってセンシティブな話題なのだと理解した。僕はアンジーを抱き寄せた。

「ごめんね。知らなかったんだ。それ以上、話したくなかったら、もういいんだよ。僕は理解したから」

「できれば、今は話したくない気持ちなの。いつか、あなたが私の秘密を守ってくれると信じられるようになった時、あなたが十分理解してくれると感じられた時、全部、話すわ」

アンジーが語る間、僕の胸に彼女の涙が落ちるのを感じた。

僕はすぐに彼女には身体的というより感情的というべき問題があるのを察知した。それに、大半の感情的問題がそうであるように、それを語ることができるほどの信頼を人に寄せるのは簡単ではないだろう。アンジーの信頼を勝ち取るにはまだ長い時間がかかりそうだ。でも、喜んで頑張ってみようと僕は感じた。

僕はアンジーに顔を上げさせた。そして、僕は気にしていないことを伝える意味で優しくキスをした。彼女は、僕のキスにすぐに反応し、心を溶かし始め、やがて僕たちは再び情熱的にキスをしていた。アンジーは、僕が彼女を理解していることを示す印を必要としていたようだ。この時のキスは、彼女が求めていた印となったのだろう。

二人の欲望が高まり、抑えきれなくなってしまう前に、アンジーは僕を止めた。

「もう一度、私を愛してほしいと思ってるけど、その前に、二つのことのうち、どちらかをしたいわ。私、身体がこんなにベトベトした感じでいるの嫌なの。だから、一つ目は、一緒にシャワーを浴びて、さっぱりすること。もうひとつは、多分、嫌がるとは思うけど、あなたがあることをしてくれること…そのどちらか」

アンジーは、ふたつめのことをはっきり言わなかったので、僕は訊き返した。「ベトベト感をなくすもう一つの方法って?」

アンジーは顔を上げて僕を見た。全身を真っ赤に火照らせながら、彼女は言った。

「実は、二年ほど前につきあっていた男の人がしてくれたことなの。それをされている時に、それまでで一番のオーガズムを感じることができたの」

まだ、はっきりと言ってくれないので、僕はまた訊き返した。すると、彼女はこう答えた。

「その人は、私とセックスした後、よく、もう一度、私のあそこに顔を寄せて、舌であそこをきれいにしてくれたのよ。私も気持ち良かったけど、彼も同じくらい楽しんでいたみたいなの」 そして思い出し笑いをしながら言った。「うふふ…彼、そのことをクリームパイを食べるって呼んでいたわ」

僕は、その男がしたことを聞いて、ごくりと音を立てて唾を飲んだ。

「ああ…じゃあ、やっぱりシャワーを浴びた方が良さそうだな…」

アンジーは僕が怖気づいたのを見て笑い出した。

「アハハ、そのようね。私も、あなたが私の中に出したばっかりの気持ち悪いスペルマをあなたに舐めてほしいなんて思わないもの」

どうやらアンジーは、僕を心の狭い人間になった気持ちにさせるコツをつかんでいるのは確かだった。

アンジーのバスルームは、実に豪華で美しかった。広さは僕の寝室とリビングを合わせたほどもあった。大きなシャワールームに、ジェット・バス付きの大きな浴槽。カウンターの天板は大理石でできていて、床はイタリア風のタイル張りだった。

アンジーは使い捨ての洗浄機で身体の中を洗い、その後、僕が使っていたシャワールームに入ってきた。シャワーは、ヘッドが自由に動かせて、身体の好きな部分にお湯を当てられるようになっているので、実に気持ち良かった。それに、シャワーを浴びながらアンジーと一緒にしたことも、実に気持ち良かった。

僕がシャワーで汗を流し終わると、アンジーは僕の前にひざまずいて、再びフェラをしてくれた。僕はすぐに完全に勃起し、オーガズムぎりぎりまでになったが、彼女は最後の瞬間のところで止めてしまった。アンジーはどうしてやめてしまったのだろうか。さっき、彼女の昔のボーイフレンドのように口で清めることを僕がしなかったことと関係があったのか、それとも、僕がいちど出してしまうと、また勃起するのが難しくなるだろうと思ったからだろうか。僕には分からない。

ともかく、その後に彼女が取った行動に僕は驚いた。アンジーはシャワールームの床に寝そべって、僕にその場でエッチしてと言ったのだった。僕は、きれいになった彼女のあそこをもう一度、舐めたいと思ったけれど、アンジーはそれより僕のペニスの方を求めた。僕は、この機会が、僕が彼女の問題を理解していることを示す良い機会になると考えた。つまり、僕は、片腕で自分の身体を支えながら、もう片手で彼女のクリトリスをいじりながらセックスをしたのである。

今回は、アンジーは驚くほど急速にオーガズムに達した。僕の数えたところ、僕が射精してしまうまでに、彼女は5回か6回はオーガズムに達していたようだった。

射精し、二人の呼吸が元通りになると、アンジーは僕の顔を引き寄せ、キスをした。シャワーは出しっぱなしだった。シャワーに打たれながら、僕たちは横になったままキスを続け、余韻を楽しみながら、身体の疲労が回復するのを待ったのだった。

シャワーを出た後、大きなふわふわのタオルを使って二人で互いの体の水気を拭きあった。化粧水の類を持ってきていなかったので、アンジーの汗止め液を使った。花のような香りがしたが、他に何もなかったので、それを使うほかなかった。髪を乾かしブラシをかけた後、髪をポニーテールにまとめた。

寝室に戻ると、アンジーはレースのついた黒いサテンのパンティと、それにマッチしたキャミソールを着ていた。僕は、脱ぎ棄てたままだったセーターとTシャツを拾い上げた。

「僕のズボンはどこにあるか知ってる?」

「あら、まだ車の中だと思うわ。あなた、今夜は帰るつもりじゃないんでしょ?」 彼女の声にはちょっと気落ちしそうなトーンがあった。「…今夜はここに泊ってくれたらと思っているんだけど。明日、車で送ってあげようと思って…」

「ああ、それは良さそうだ。ちょっと下に行ってトランクスを持ってくるよ。それを履いて寝ることにするから」

そう言って寝室のドアから出ようとしたらアンジーが言った。

「ええー? あれをまた履くなんて考えられないわ。あのトランクス、一日中、着ていたのでしょう?」

僕は笑いながら答えた。「でも、あれを履くか、裸で寝るかのどっちかなんだけど…」

「どっちもできないわね」 

そう言ってアンジーは自分のドレッサーの中を調べ始めた。そして何か白いものを出して言った。

「これはどう? あなたのサイズだと思うわ。これを着て寝て」

彼女から手渡されて、よく見た。それは白いサテンのパンティとキャミソールだった。頭を振りながら彼女に返そうとした。

「これは着れないと思う」

「どうして? 問題ないわよ」 まるでそれを着ない僕が馬鹿げているような言い方だった。

「だってこれは君の下着じゃないか。女物のパンティは履けないよ。僕は男だから」 ほとんど叫ぶような声になっていた。

アンジーは意味深げに微笑んだ。

「いいえ、当然、履けるんじゃない? 私以外に誰も知らないし、誰にも言わないって約束するから」

そして僕の手からパンティを取り、しゃがみ込んで広げて見せた。

「さあ、足を入れて履いてみて。履いたからといって、そのおちんちんが噛みちぎられたりしないから」

いまから思うと、この時、もっと抵抗すべきだったと思う。でも、アンジーは自分が思ったことを最後まで譲らない性格であるのを知っていた僕は、しかたなく、嫌々ながらも、パンティに足を入れた。

アンジーはパンティを引き上げ、僕の前も尻も、覆った。柔らかなサテンの生地にペニスと睾丸が包まれると、なぜか股間が少し興奮してくるのに気づいた。その夜、すでに3回射精していたけれど、そうでなかったら、確実に勃起していたと思う。

僕が少し興奮したことにアンジーが気づいたかどうかは分からない。気づいていたとしても、彼女はそのことには触れず、今度はキャミソールを着るのを手伝ってくれた。それも着終えると彼女は言った。

「ほら、これを身につけたからって死ぬわけじゃないでしょ。それにあなたはまだ立派な男性のままよ。さあ、一緒にベッドに入りましょう。明日は早く起きなきゃいけないから」

アンジーと僕はベッドに入った。僕は仰向けに横たわり、彼女は僕の胸に頭を乗せた。アンジーが、サテンのキャミソールの上から僕の胸やお腹を撫でるのを感じた。しばらくすると彼女が言った。

「もう、あの噂は間違いだって分かってると思うけど、どう?」

「噂って?」 僕は何の話か分からず、訊き直した。

アンジーは僕の左の乳首を軽くつねった。

「私が男嫌いだっていう噂…」

「それなら、君と資料室で出会った日から分かっていたよ。本当なんかじゃないって。でも、もうひとつの噂も間違いだというのは今日まで知らなかったけどね」 と僕はアンジーの肩を抱き寄せながら言った。

「うふふ… 私がレスビアンだという噂のことね? まあ、でも、それは半分ほんとうかもしれないわ」

僕はそれを聞いてびっくりし、跳ね起きそうになった。

「半分ほんとうかもって、どういうこと?」

アンジーは秘密を打ち明けるような声で話し始めた。

「うーん… あのね… 私、本当は、男性も女性も好きなの。これまでも女性と付き合ったことがあるし、とても楽しんだことは事実。もちろん男性とも付き合ったわ。あなたのような、まさに私の好みの男性と。それもやっぱりとても楽しんできたわ。男性と女性、どちらかを選ばなければいけないとしたら、男性を選ぶわね。優しくて思いやりがあって、自分の繊細な内面を怖がらずに打ち明けられるような男性を…」

アンジーが他の女性と性的な関係にあったと聞いて、僕は耳をそばだてた。二人の女が愛し合うイメージで興奮しない男は少ないはずだ。それに、彼女が、僕を好きなタイプの男性に含めていると言ったところでも、僕は耳をそばだてた。

「つまり、僕のことをそういう男性と見てくれているということ?」

「もちろんよ。あなたは、とても思いやりがあって気が利く男性。とても優しく愛してくれたわ。でも、欠点も少しあるわね。例えば、着る物についてのこだわりとか。ほら、さっき、私の下着を着るとき、とても動揺したでしょう? 単に隠すべきところを隠すための布切れにすぎないのに。単に、布地の材質が違うだけなのに、変だわ」

「確かにそうかもしれないけど、でも、これは女性のための下着なんだから仕方ないよ。君にナヨナヨした男に見られたくないからだったんだ」

アンジーは僕の頬にキスをした。

「あなたのこと、ナヨナヨした男だなんて絶対思わないわ。だから、私の前でマッチョ男のように振舞わなければいけないなんて思わないで。私は、あなたの繊細な側面に惹かれたの。それに、正直言うと、あなたが私のパンティを履いているのを思うと、すごく興奮しているのよ」

「本当? でも、どうして僕が君のパンティを履いていると興奮するの?」

アンジーはいきなり僕にキスしてきた。情熱的なディープキスだった。

「分からないわ… 私が女性にも気があることと関係があるのかもしれないし、あなたが履いているのが私のパンティだからかもしれない。でも、確かなことは、今この時も、私のあそこがすごく濡れていること。あなたが私に下着を履かせさせてくれた時から、ずっと濡れっぱなしになってるの」

アンジーは嘘をついてるわけではないことを証明するように、僕の手を取って彼女の下着の中に導き入れた。彼女の柔らかな部分に触れたとたん、彼女が信じられないほど濡れていることを知った。クリトリスに触れると、そこもすっかり固くなっていた。触れたとたん、アンジーは、悩ましい溜息を漏らした。

僕がクリトリスや陰唇を指でいじり始めると、アンジーは僕の手を離し、僕の股間に手を伸ばしてきた。僕の履いているサテンのパンティの上から優しく撫ではじめる。僕は、自分がすでに勃起しているのを知り、我ながら驚いた。

アンジーは僕のペニスを擦り、僕は彼女のクリトリスを撫で続けた。僕と彼女のどちらが大きな声をあげていたか、あまりはっきりしない。だが、最初に身体を震わせ始めたのはアンジーの方だった。

彼女は、僕の指に急速に頂点に達してしまった。だが、僕は一回だけでやめるつもりはなかった。彼女がいちど達した後も、僕は続け、やがて二人とも、悩ましい声を上げていた。その声が途切れるのは、甘くキスし合う時だけだった。

アンジーは3回か4回は、頂点に達したと思う。そしてようやく僕も限界に達する時が来た。アンジーに擦られながら、僕はオーガズムに達し、全身を震わせながら、パンティの中に噴射した。

彼女は最後の一滴まで搾るようにしてしごいた後、ゆっくりと手の動きを緩め、やがて終わった。それから僕の顔を引き寄せ、キスをした。僕の顔にあてがった彼女の手は濡れていた。彼女の指に僕の放った精液がついていた。

長い心のこもったキスの後、アンジーが言った。

「ほらね、パンティを履くと素敵なことが起きるでしょう? でも、今は、ちょっと身体をきれいにしなきゃいけないわね。それに代わりに履くパンティを持ってこなくちゃ」

僕は浴室に行きシャワーを浴び、身体をさっぱりさせた。寝室に戻ると、アンジーはベッドに座っていた。手には、黄色のレース模様がついたパンティを持っていた。それもサテンの布地だった。

さっきまで僕が履いていた白いパンティは無地のものだった。サテンの布地であったものの、この新しい下着ほど女性っぽいモノではなかった。この新しい下着は、それこそ、見るからにおんなオンナしたものだった。股のところが切れあがっていて、縁に小さなレース模様が施してある。アンジーが履いているのと同じように、恥丘を覆う部分もレース模様になっていた。

僕は無意識のうちにそれを履く姿勢になっていたのだと思う。気がついたら、アンジーに履かされていた。

僕がパンティを履くと、アンジーは、キャミソールの方も交換し、そのパンティにマッチした黄色のキャミソールを出してきた。その二つはセットになっているので、そろえて着ないとダメなの、とアンジーは僕に言った。

言われたとおり、それを着て、僕は彼女と部屋のろうそくを吹き消した。そして再びベッドにもぐりこみ、二人、身体を寄せ合った。それから何分も経たないうちに僕は安らかな気持ちで眠りに落ちていた。


つづく
TOPに戻る