「ポルノ・クイーンの誕生」 第5章 Making of a Porn Queen Ch. 05 by Scribler 第1章第2章、第3章第4章

土曜日まで、私はデートのことでずっと興奮していた。デートに出かけるのは、本当に久しぶりだった。男としてデートをしたのは3回だけ。そのうち2回はうまく行ったけど、残りの1回は失敗だった。この土曜日の夜は、うまく行くはずと思っていたけれど、どうなるかはしてみなければ分からない。

映画の前にディナーを食べに行くことを考え、赤褐色のドレスを着ることにした。靴は黒のスティレット・ヒールのパンプス。ヒールの高さは10センチ。下着は、持っている中で一番セクシーなのを選んだ。赤のコルセットをつけて脇を引き締め、いつもに増してウエストを細く絞った。そのコルセットにはブラの部分がついていないので、偽乳房を押さえるため、レース・ブラをつけた。コルセットについているガーターで、ストッキングを留め、ブラジャーにマッチしたパンティを履いた。首の周りには、喉仏を隠すための赤褐色のチョーカーを巻いた。

着替えをした後、バッグに荷物を入れた。一泊するのを見越して物を詰め込む。ヘレンと本当に一泊することになるかどうか分からなかったけれど、その準備だけはしておきたかった。お化粧品に、ナイティは2夜分。それに翌日に帰宅するときに着る新しい服を詰め込んだ。

トレーシーは、今回も私に車を貸してくれた。おかげで、この夜は、ヘレンのベッドで過ごすことも可能性としてあると想定することができた。トレーシーは、私が、ヘレンを連れ帰って、私の部屋のベッドに誘い込むことはしないと考えたのだと思う。それは、あまり慎み深いことは言えないから。とすれば、帰宅が夜遅くなるにせよ、翌日の早朝になるにせよ、車で帰られるようにと、私に車を貸そうと考えてくれたようだった。

ヘレンの家は、よく知らない地域にあったので、見つけるのに少し苦労した。間違った角を曲がってしまったのが2回、バックをして車の向きを変えたのが2回。でも、迷ったのはそれだけで、その後、彼女の家を見つけることができた。彼女の家は、細い、静かな通りにあった。街頭がほとんどない暗い道だった。

私が着いたとき、ヘレンも出かける準備ができていた。黒いドレスを着ている。太ももがかなり露出しているドレス。足には、ヒール高7センチほどの金色のハイヒール。ヘアも整っていた。彼女が輝いて見えた。月曜日に会ったときよりも、ずっと輝いていた。玄関先で軽くキスをした後、2人で車に向かった。

まず最初に、ヘレンが知っている小さなイタリア料理のレストランに行った。食事と一緒に出てきた前菜はとても美味しかったし、私が注文したフェットゥチーネ・アルフレド(参考)も美味しかった。けれど、これは、コルセットがきつかったため、3分の1しか食べられなかった。

レストランを出て車に戻った時、ヘレンが訊いた。

「フェットゥチーネ・アルフレドは美味しくなかったの?」

「美味しかったわ。でも、前菜の後だったので、あまりお腹に余裕がなかったの。このコルセットは、何より、体重を減らすのに役立ってるわ」

ヘレンは驚いた様子だった。

「どうして、コルセットを着てるの? あなたには、そんなの不必要なのは、誰の目にも明らかなのに」

私はヘレンの手を握った。「ありがとう。でも、私はやっぱりこれが必要なの。お腹の脇が引き締められて、とても女の子っぽい体つきになれるから。それに、一旦、着慣れると、そんなに辛くはないのよ」

ヘレンは私のお腹に手を這わせた。「そうなの、知らなかったわ。私、コルセットを持っていないのよ。でも、確かに、ドレスの下がキュッと引き締まってる感じになってるわね」

「うふふ、私、コルセットは15着持っているのよ。ほとんど毎日つけてるわ。実際、この前の月曜日は着てなかったんだけど、着ていけばよかったと思っていたわ」

ヘレンは、私がずっとコルセットをつけてることが信じられないようだった。彼女は、映画館に着くまで、ずっとコルセットのことについて私に質問を続けた。

二人で、良くできたロマンティック映画を見た。たいていの男の人が女の子映画(参考)と呼ぶタイプの映画。とてもロマンティックな、泣けちゃう映画。

映画の間、ヘレンと私はずっと手を握り合っていた。時々、彼女の手が降りてきて私の太ももを愛撫していたけれど。映画が終わるころには二人とも涙を流していた。私は、これまで映画を見て泣いたことはなかったけれど、よく考えてみたら、男の子だった時は、ロマンティック映画自体、見たことがなかったのだった。

映画の後、ヘレンを家に送った。彼女は、寝酒を少し飲んで行ったら、と私を誘ってくれた。お酒はワイン、グラス1杯。でも、私がそれをひと啜りする間もなく、私たちはキスを始めていた。

二人、ソファに座って、長い間、キスをしたり愛撫をしたりしていたと思う。その後、ヘレンに連れられて寝室に入った。びっくりするほど女の子っぽい部屋で、フリルのレース飾りがたくさんあったし、ろうそくもたくさん。ヘレンがろうそくに火をつけた、その後、二人とも服を着たまま、抱き合ってベッドに倒れ込んだ。

私は、服を着たままで、むしろ満足していた。コルセット、ブラジャー、ストッキング、そしてハイヒールというようにたくさん着ていたから。ヘレンは、サテンのブラジャーとパンティ、そしてガーターベルトとストッキングだった。彼女は、寝室に入った時に、ハイヒールを蹴るようにして脱いでいた。

ベッドの上、二人並ぶようにして横になり、キスと愛撫を続けた。この前、二人がつながった時は、二人とも純粋に性欲を満足させるために、短時間でセックスをしたのだったけれど、今回は、心をこめて愛し合った。1時間以上、キスをしたり、体を触れ合ったりを続けた。それまで、どちらも相手の性器に手を出さずに。

最初に、新しい動きに出たのはヘレンだった。手を伸ばし、私のクリトリスを握ってきた。私はすぐに勃起して、彼女の愛撫に応えた。ヘレンは、私の勃起に気づいたようだった。

「これって、とてもエロティックだわ。今、私はとても可愛い女の子にキスをしているのに、手には、勃起した大きなペニスを握っている。私、今まで女の子としたことなかったから、今の私がどれだけ混乱しているか、想像してもらえると思うけど」

「ええ、言いたいこと、分かるわよ。トレーシーに、初めて女の子のように扱われて愛されたとき、私もものすごく混乱したんだけど、想像できるかしら。それに、マークとはじめてした時も。期待していたこととはまるで違った体験だった。そもそも説明することすらできない気がするけど、あの夜は、とても混乱したし、同時に本当に素敵な時を過ごしたの」

「マークとトレーシーって、あの映画を作ってるマークとトレーシーのこと? あなた、あの人たちとセックスしたの?」 ヘレンは驚いている様子だった。

「ええ、あのマークとトレーシー。私、あの二人の家のメイドをしているの。二人の家に住み込みで」 私はヘレンに答えた。もっとも、こういうことを言ってよいのか分からなかったけれど。

ヘレンは、パンティの中から私のクリトリスを引っぱり出し、擦り始めた。

「マークとトレーシーは変わったカップルだと聞いていたけど、本当だとは思っていないのよ。マリアとはどうなの? あなたたち二人もカップルなんじゃない? 少なくとも、とても親密な間柄だと思うけど、どう?」

どこまでヘレンに話すべきか分からなかった。けれど、トレーシーが日曜日にヘレンを家に招待するようにと言っていたので、ある程度は構わないと思った。

「マリアも、マークの家に住み込んでいるわ。彼女は料理担当。それに、私とマリアも愛し合う間柄」

ヘレンは私のあそこをさすりながら、優しく私にキスをした。

「ステフィー? あなた、自分がポルノ映画の世界を地で生きているってこと分かってる?」

ヘレンがそう言ったとき、私はただ笑うだけだった。けれど、突然、彼女が私のクリトリスを口に咥えこんだので、その後は低いうめき声しか出せなくなった。

フェラチオが好きとヘレンが言ったとき、私は、彼女がこんなに好きだとは分からなかった。彼女はフェラを始めてから20分以上、夢中になって私のクリトリスを舐め続け、私を噴射寸前まで何度も追い詰めた。私が噴射寸前になったり、あるいは少なくとも、いきそうと告げると、その度にヘレンは私のクリトリスから口を離し、私が落ち着くまで、他のところにキスをするのだった。

ようやく気が済むまでフェラをした後、ヘレンは両足を広げて私の腰にまたがった。

「ありがとう。私に好きなだけおしゃぶりアレをさせてくれたのは、あなたが初めてよ。他の人はいつも私の口に出したがったり、フェラをやめさせて、セックスに移行したりしたがったから。我慢して耐えてくれたお礼に、今度は私があなたにご褒美をしてあげるわね」

私が返事をする前に、ヘレンは腰を上げ、私のクリトリスをあそこに咥え込んでいた。彼女は、月曜日の時と同じくらい熱く燃えていた。ヘレンがゆっくりと腰を沈めてくる。私は、ただ、喘ぐことしかできなかった。

月曜日の時は、ヘレンは激しくて速い行為を求めていたが、今日は、それとは違って、ゆっくり、落ち着いたセックスをした。上下に体を動かしながら、腰をゆっくり回転させるように動く。私に与えている濃密な快感をできるだけ長く持続させようとしてくれていた。私は、あまり長くは持たないと思っていても、ヘレンは、長続きさせる方法を知っているようだった。

どのくらいセックスをしていたか、分からない。ヘレンは数回オルガスムに達していたが、それでも、私のことを限界ギリギリの状態に保ち続け、決して、限界を超えるところまでは行かせてくれなかった。だけど、どんな良いことにも必ず終わる時が来るもの。それは私たちが行っていたことにも当てはまる。永遠とも思えるような長い時間の後、とうとう私は、もう持ちこたえられないところに達し、ヘレンの中に噴射を始めた。その時のオルガスムは、それまでの経験では一番長く続いたオルガスムだったように思う。体の中のすべてが噴出しきったように思えた。

よく分からないけれども、射精後、私は気を失っていたようだった。目を開けると、ヘレンは私の上に覆いかぶさっていた。彼女は私の意識が戻ったのを見て言った。

「気がついたようね。あなたは、もう今夜はずっと眠り続けてしまうんじゃないかって心配になっちゃった。大丈夫? 私、相手のオルガスムを先延ばしにすることができるんだけど、それをすると、いざオルガスムになると、ちょっと強烈すぎるものになってしまうことがあるらしいの。自分でも分かってるんだけど」

「すごかったわ。あんなに長くギリギリの状態にされられ続けたことなかったもの。どうやるとできるの?」

ヘレンはくすくす笑った。

「正直言って、私にも本当のところは分からないの。ただ、撮影での仕事の時に思いついた技を使うだけ。勃起させなければならない男優たちの中には、とっても難しい人もいて、そういう人たちには、いっぱいお世話をしてあげなければいけないのよ。私のあそこの筋肉がペニスを包むときの包み方に大きな関係があるのは分かってるけど、どういう風になってるのかは、自分では説明できないわ」

私はヘレンを抱きしめキスをした。 「まさに才能に恵まれているのね」

「ありがとう。あなたも素晴らしいわよ。男の中には、女が、ああいう風にオルガスムをコントロールするのを嫌う人もいるの。私が何か彼らの弱点を握ってるように脅威を感じるらしくて、コントロール権を手放したがらないの。マッチョ心理のようなものね」

「うふふ。その点なら私にはまったく問題がないのは確か。だから、いつでも気が向いたときに、その技を使ってくれていいわよ」

ヘレンの顔を見ると、顔が愛らしくピンク色に染まるのが見えた。彼女は、恥ずかしそうに言った。

「・・・私、月曜日に、セックスをした後にあなたがしてくれたこと、してくれないかなと思ってるんだけど・・・だめ?」

「あなたのあそこをきれいにしてあげることのこと? だったら、むしろ私の方がお願いしたいことよ。じゃあ、体の向きを変えて」

私は、ヘレンに、仰向けになるように言ったつもりだった。その方が、ヘレンは楽な姿勢になると思ったから。だけど、彼女は違った風に取ったようで、後ろ向きになって、私の顔の上にあそこを降ろしてきた。この姿勢は私も良かった。実際、こういう姿勢の方が好きだから。この姿勢だと彼女の中に入っている体液がすべて簡単に外に流れ出てくる。

ヘレンを舐め始めたけれど、すぐに、私が出した体液の大半が、すでに彼女の体から流れ出てしまった後だと気づいた。だからと言って、私は舐めるのをやめることにはならない。彼女を格別きれいにしようと念入りに舐め続けたし、このチャンスを使って、彼女にもう一度オルガスムを感じさせてあげた。

予想していなかったことは、ヘレンも私をきれいにし始めたことだった。私が舐め始めるとすぐに、上に乗ってるヘレンは上半身を傾け、私のクリトリスの周辺を舐め始めた。最初は、躊躇いがちに、味見をするように、2、3回、ぺろりぺろりと舐める感じだったけれど、1分もしないうちに、美味しそうに舌鼓を打ち始めた。

ヘレンのあそこがすっかりきれいになり、私の方も、多分、同じくきれいになったと思う。するとヘレンは、体の向きを元に直し、私にキスをしてくれた。彼女は顔中に私の体液をつけていたし、彼女の口の中も同じで、キスをしているとき、私自身の体液の味がした。二人とも、競うようにして互いの顔面をぺろぺろと舐めあい、きれいにしあった。それが終わると、ヘレンは、はあーっと溜息をついて私の上に覆いかぶさった。

少し経って、ヘレンが私に言った。

「思ったとおりだったわ。あなたのスペルマの味、これまで私が経験したどの男性のとも違うの。月曜日にもそう思ったんだけど、今日、はっきり確かめたら、やっぱりそう。あなたのって、全然、苦くないのよ。甘くて美味しいの」

「多分、私が食べているものと関係があるのかもしれない。以前と違って、最近はずっとお肉を食べていないから」

「じゃあ、その食生活を変えないでね。今の味、大好きよ」

ヘレンはちょっと間を置いて、話しを続けた。「今夜は泊まっていけるの? それとも、帰らなきゃダメ?」

「それはヘレン次第だわ。私に泊まって欲しい?」 私は答えを知っていたけれど、あえて訊いた。

ヘレンは私にキスをして言った。「ぜひ泊まってって。寝るときの服、あなたに合うのを持っているか、調べてみるから。・・・あなたの、そのコルセット、とても似合っているし、きれいだけど、あなたがそれをつけたまま寝るなんて想像できないもの」

私はベッドから降りながら答えた。「万が一のために、泊まる用意をしてきたの。・・・一度、服を着させて。外の車のところに行って、バッグを取ってくるから」

「私がローブを羽織って外に出た方が、簡単じゃないかしら。車のキーを貸してくれる?」

ヘレンはそう言って、ベッドから出て、ローブを手にした。

私は手提げバッグを取り、ヘレンにキーを渡した。彼女が車のところに行っている間、私はトレーシーに電話をして、今夜はヘレンのところに泊まるので、心配しないよう伝えた。トレーシーは、連絡してくれてありがとうと言い、明日、ヘレンを家に招待するようにと念を押した。

ヘレンが私のバッグを持って戻ってきた。

「あなたが泊まる支度をしておこうと思いついたこと自体、信じられないわ。男の人で、そういうことを考える人、いないと思うし、私の知ってる女の子でも、多分、ほとんど思いつかないんじゃないかしら。でも、真面目な話、そうするのが正解だわよね。日中着ている服のまま寝るなんてできないし。そんなことしたら、次の日、絶対、人に変な目で見られちゃうもの」

「でも、私も、女の子の服を着始める前は、そういうこと考えもしなかったと思うわ」 私はバッグを受け取りながら返事した。

日課のアヌス洗浄を終えた後、私はヘレンと一緒にシャワーを浴びた。ヘレンは、どうしてエネマをするのかと、しきりに質問した。私は、誰か私とセックスしたがる人が現れたときのために念のためにしていると答えた。思うに、その時の私の答えがヒントとなって、その夜、彼女は私のアヌスにディルドを使ったのだと思う。あそこを洗浄しておく必要性は彼女も理解したようだった。そしてヘレンは私のあそこをディルドで犯すのも楽しいと思ったようだった。

その日、夜明け近くまで、数回、私とヘレンは愛し合った。互いに抱き合いながら、午前10時ごろまで眠っていた。眠る前にもう一度二人でシャワーを浴び、起きてからも、シャワーを浴びた。

朝、私が荷物をバッグに詰めている間、ヘレンは朝食を用意してくれた。食事の席に着きながら、私は彼女に言った。

「トレーシーが、今日、あなたを家に招いてくるようにと言ってたわ」

ヘレンは怪訝そうな顔をした。「あまり、良いことと思えないわ、それ・・・」

「どうして、そう思うの?」

ヘレンは、少し考えてから答えた。「本当のところ、トレーシーは本気で言ったのではないんじゃないかと思ってるの。ただの儀礼で、そう言っただけじゃないかと」

「いや、そうじゃないと思う。実際、トレーシーは決して嘘をつかない人なの。だから、本当にヘレンに来て欲しくなかったら、招待しなさいって私に言わないはず」 私はヘレンにトレーシーのことを誤解して欲しくなかった。

「本当に?」 私は、本当にそう、と答えようとしたけれど、その前に彼女は話しを続けた。「何と言うか、マークとトレーシーは私の世界とは違うように思うの。マークは本当に素敵な仕事仲間だし、トレーシーも、いつも私に優しくしてくれているわ。だけど、私は、あの二人のサークルには属していないと思うのよ」

「どうしてそう言えるのか分からないわ。マークたちのサークルに属していない人がいるとすれば、私が一番、そういう人物だもの。・・・ともかく、トレーシーは、本当にあなたに来て欲しくないなら、決して私に頼んだりしないのは確か。マークもトレーシーも本当に良い人よ。来ても絶対、後悔しないはず。絶対に」

ヘレンはしばらく考え込んでいた。

「オーケー。分かったわ。行くわ。でも、何か嫌なことになったら、あなたのせいにするから良いわね?・・・だけど、私、どんな服を着ていくべきかしら?」

「日曜日は普通、私たちプールサイドでくつろいで、日光浴をしているの。多分、水着は必要ね。裸で日光浴をするのが良いなら別だけど」

ヘレンは、ふーんと鼻をならした。「私をかつごうとしているでしょ? 私、あなたが着ているようなミニスカートを着ていくことにするわ。それにテニス・シューズで。万が一に備えてビキニも持っていくけど」

ヘレンが着替えている間、私はトレーシーに電話をし、ヘレンを連れて行くことを伝えた。トレーシーは、この知らせに、とても喜んでいるようで、待ち切れないので、急いで帰ってくるようにと言っていた。トレーシーは、何よりヘレンに会いたがっているという感触があった。

「ヘレンに気まずい思いをさせるつもりじゃないですよね? ヘレンには、あなたが彼女に家に来るように誘ったのは、儀礼でなく本気で言っていると話したので・・・」 私はトレーシーが誠実に誘ったと知っていつつも、念のために尋ねた。

「あなたがそんな質問をすることに、驚いているわ。ヘレンに来てもらいたくないのが本心なら、決して彼女を招待したりしません。それに、どんな理由があっても、ヘレンに気まずい思いをさせることもないから」

「ごめんなさい。儀礼で言ってるかもなんて思うべきじゃなかった」

「ま、それは気にしないで。許してあげるから。ともかく、急いで帰ってきて。あなたがいない間、すごく寂しかったんだから」

電話を切り、コーヒーを飲み終えると、ヘレンが寝室から出てきた。女子高生の制服のようなプレイド(参考)のプリーツ・スカート(参考)を履いていた。トップは袖なしのタンク・トップで、裾が短く、平らなお腹がすっかり露出している。お化粧もしていたが、軽めのお化粧だった。ヘレンは、10代の娘のように、とても若々しく、とても魅力的に見えた。手にはビキニを持っている。

「準備ができた?」

ヘレンは深呼吸してから言った。「ええ、これでいいと思うけど。ホント、何かの冗談じゃないといいんだけど」

「誓ってもいいわ。冗談なんかじゃないから。行く時は、私の車の後について自分の車で行きたい? それとも、一緒に乗っていく?」 ヘレンは多分、自分の車で行きたいと思っているだろうと知りつつも、聞いてみた。

ヘレンはキーの束を取った。「自分の車でいくわ。そうすれば、何か困ったことが起きても、自分で帰れるから」

トレーシーの家までは、さほど時間が掛からなかった。ヘレンはずっと私の後について車を走らせた。ヘレンと二人で家に向かうと、トレーシーとマークが玄関のところに立っていて、私たちを待っていた。マークはスピード(参考)の水着を履き、上にローブを羽織っていた。私はマークが日光浴をするときに、そもそも何か衣類を身につけているところを見たことがなかったので、これには少し驚いた。トレーシーは黄色のストリング・ビキニ(参考)を着ていた。このビキニは何度も見たことがある。もっとも、普通は、一旦、日光浴を始めれば彼女はすぐにビキニも脱いでしまうのだけど。

二人は私にハグとキスをして迎えてくれた後、ヘレンに関心を向けた。

「ヘレン、来てくれてありがとう。私、前からマークに、私たち、あなたのことを何にも知らないから、もっと知り合う機会を持つべきだと言っていたのよ。あなたのおかげでマークの仕事がすごく助かっているのだし」

「招待してくれてありがとうございます。私、あまりご迷惑にならなければいいんですが」

「迷惑だなんて、全然。私たち、プールで日光を浴びていたところなの。見たところ水着を持ってきたようね。着替える場所を教えるわ」

そう言って、トレーシーは、今度は私の方を見て言った。「ステフィー? あなたも水着を着て、プールサイドに出てきてね。マリアとローレルもすでに出ているの」

私は自分の部屋に向かうと、マークもプールサイドへと歩いていった。トレーシーとヘレンはトレーシーの寝室へ向かった。

水着に着替えようと服を脱いだところでマリアがやってきた。私を両腕で抱きしめ、ねっとりとキスをしてくれた。

「昨日の夜は、会えなくて寂しかったわ。あなたも、そう思ってくれてたらいいんだけど」

実際、マリアがいなくて寂しいと思ったのは事実だった。彼女のクリトリスを入れてもらって、抱きしめられたいと。でも、ヘレンがその埋め合わせをしてくれたのも事実。マリアはヘレンのことに嫉妬を感じていると知っていたので、思ったことすべてを言うことはしなかった。

「私も寂しかったわ。特に、今朝、目を覚ましたときは」

マリアと一緒にシャワーを浴びるのは、いつしても、楽しい。

「知ってるわよ。あの可愛い淫乱娘が私の替わりになって埋め合わせてくれたんでしょう?」 マリアはしかめつらをして見せたが、すぐに優しい笑顔になった。「・・・なんて、ただの冗談。もうヘレンのことに焼餅を焼いていないわよ。ねえ、彼女、ベッドでは良かった?」

「私に言えることは、彼女と寝るチャンスがあったら、是非とも、してみるべきだということ。本当よ、絶対、後悔しないから」

「ああ、そんな・・・詳しいこと聞かせてよ。今すぐ聞かせて」 マリアはベッドに弾むようにして座りながら言った。

私は、少し顔が赤らんだと思う。「あの・・・彼女、上手に動きをコントロールすることができるの。だから、相手を簡単にいかせることなく、ずっとオルガスムの寸前の状態に保ち続けることができるの。すごい苦悶を味わったわ。でも、すごく甘美な苦悶。あの瞬間、頭が爆発したような感じになれたの」

私は、ビキニを着ながら、その後もヘレンと行ったすべてをマリアに話した。

「わーお、何だか彼女、すごいセックス・マシンのように聞こえるわ。もっと彼女に親切にしなくちゃいけないわね」

「ヘレンは、本当に良い人よ。ベッドの中のことだけじゃなくって」 

私とマリアは、おしゃべりをしながらプールへと歩いていった。

プールサイドに行くと、ヘレンはすでにそこにいて、寝椅子に横になっているのが見えた。トレーシーも、ヘレンの隣の寝椅子に横たわっている。ヘレンの反対側の椅子には誰も座っていなかった。

トレーシーは私が出てくるのを見て言った。

「ステフィ、ヘレンの隣の寝椅子に横になるといいわ。あなたの背中にローションを塗ってあげるから」

横になるとすぐに、トレーシーは、私の背中に、彼女の特別製のローションを塗り始めた。どうしてか分からないけど、トレーシーは、私のためにローションを塗っていたというより、むしろヘレンのために塗って見せているような気がした。その感じは正解だったようで、トレーシーは私の背中を塗り終わると、ヘレンの方に目を向けた。

「ヘレン? あなたの背中にもローションを塗っていい? これ、私の特別製のローションなの。これを塗ると、肌がとても良く焼けるのよ。金色がかった茶色に」

「ええ、ご迷惑じゃなかったら、そうしていただけますか?」 

「ご迷惑だなんて言わないで」 トレーシーはそう言いながら、ヘレンの方へ体の向きを変えた。

トレーシーはヘレンの背中、そして脚にローションを塗っていた。はっきりとは分からないけれど、トレーシーの手が微妙に震えていたと思う。トレーシーは、単に肌にローションを塗るだけでなく、指を使って、肌に擦りこんでいるようだった。それを続けながら、トレーシーが乳首を固くさせているのが、はっきりと見えた。

トレーシーは背中と脚にローションを塗り終えると、ヘレンに声を掛けた。

「ねえ、ヘレン? ちょっと訊いてもいい?」

ヘレンは、首をひねって、肩越しにトレーシーへ顔を向けた。 「ええ・・・」

トレーシーはヘレンの背中の真ん中に手のひらを当てながら言った。

「あのね、マークと私は、ヌードで日光浴をするのが好きなの。今、そういう格好になったら、あなた、気分を害するかしら? 私、あなたを嫌な気持ちにさせたくないのよ」

ヘレンは笑い出した。「うふふ。ステフィーから話しは聞いていたんですが、私、彼女の言うことを信じなかったんですよ。いいえ、気分を害するなんて、全然。だって、私は、セットでは、毎日、裸の人を見ているわけだし」

ヘレンが最後の言葉を言い終わらないうちに、トレーシーは立ち上がり、ビキニを脱ぎ始めていた。ヘレンは、トレーシーの姿から目が離せないようで、トレーシーが全裸になり、長椅子に戻るのを、じっと目で追っていた。トレーシーは、ヘレンに体を向けたまま自分で自分の体に日焼けローションを垂らし、首、胸、そしてお腹へとローションを塗りこみ、それから横になって、日光浴を始めた。その間、ヘレンはずっと彼女を見続けていた。

ヘレンは、マーク、マリア、そしてローレルが裸になるところも見ていた。マリアとローレルは一緒になって、まるでショーをして見せるように、マークの体にローションを塗り、その後、二人は互いの体に塗りあった。マリアもローレルも、全然、興奮した様子を見せていなかったのが、私には理解できなかった。二人とも、全然、勃起していなかった。

30分ほど経った時、トレーシーが言った。

「ヘレン? そろそろ仰向けになったほうがいいわよ。さもないと、背中だけ焼けすぎになってしまうわ。なんなら、水着を脱いでも大丈夫よ。ここは奥まったところだから、誰にも見られないの」

私はヘレンは脱がないだろうと思っていた。けれど、予想に反して、彼女は立ち上がってビキニを脱いだのだった。ヘレンは裸になっても、ほんの少ししか恥ずかしがっていないようだった。トレーシーを見ると、彼女の方はヘレンが裸になったのを見てとても満足しているようだった。

ヘレンが全裸になって、再び腰を降ろすのを見てトレーシーが言った。

「ヘレン? お願いがあるんだけど、私の背中にローションを塗ってくれるかしら?」

先にトレーシーがヘレンの背中に塗ってあげたわけだから、ヘレンが断るなど、想像できない。ヘレンはローションのビンを手にし、トレーシーの背中に塗り始めた。見ていると、ヘレンは、最初は、看護婦がするような手つきでローションを塗っていたけれど、次第に、もっとエロティックな手つきで塗るようになっていった。ヘレンがトレーシーの肌に手を這わすことを楽しんでいるのは明らか。トレーシーの完璧ともいえる丸いお尻に塗る時も、本当にエロティックに撫でていた。時々、揉んでもいる。

ヘレンはトレーシーの背中に塗り終わると、自分の寝椅子に戻り、仰向けになって、自分で前の部分に塗り始めようとした。でも、トレーシーはそれを許さない。

「それは、私にさせて」

ヘレンは簡単に自分で前に塗ることができるのだから、トレーシーが手伝いをしてあげる必要はまったくない。だから、私は、ヘレンが断るとばかり思っていた。でも、ヘレンは、躊躇せずトレーシーにローションを手渡したのだった。

トレーシーはローションを受け取ると、ヘレンの寝椅子の横へと動いた。最初に、まずヘレンの眼鏡を外す。それから、ヘレンの顔全体にローションを塗り始める。とても官能的な塗り方。指先だけを使って、ヘレンの顔の隅々まで丁寧に塗りつけていく。やがて彼女の顔はオイルでキラキラ輝いていた。

次にトレーシーは、首、そして胸元へと移った。だけど、胸には触らない。ヘレンの小ぶりの乳房は飛ばして、次にお腹へと移っていく。

この時点ですでにヘレンは別世界にいるようにうっとりとした顔になっていた。目を閉じ、唇から小さく猫が鳴くような声を上げている。見てると、ヘレンは、トレーシーが触れるたびに、お腹をヒクつかせ、平らにへこませていた。

トレーシーは、その後、股間のところは飛ばして、脚へと移っていった。脚への塗りこみもヘレンに効果をもたらしていたと思う。トレーシーが軽く触れるだけで、ヘレンは自分から進んで脚を上げ、塗り込みを求める動きをしていたから。トレーシーは、ただローションを塗るだけではなく、肌に刷り込みながら優しくマッサージしていた。ただ、ローションを刷り込んでいるように見えても、それ以上のことをしているのが分かった。

その後、トレーシーは、さらにローションの量を多くして、降りてきた道を逆に登っていき、とうとう、もう一度、ヘレンの胸のところに戻った。そして、今回は、彼女の乳房を飛ばすことはしなかった。手にたっぷりとローションを取って、小ぶりの乳房に塗り始める。

この時点ですでにヘレンの乳首は、小石のように固くなっていて、つんと尖り、2センチ近く勃起していたと思う。トレーシーの指先が、右の乳首に触れた瞬間、ヘレンは、まるで痛みを感じているようなうめき声を上げた。もちろん、ヘレンのうめき声には痛みが関係ないのは確かだけど。

トレーシーはヘレンの乳房をいじり続けながら、覆いかぶさるようにして顔をヘレンに近づけ、唇にキスをした。ヘレンは、すぐにそれに応じ、両腕をトレーシーの首に巻きつけ、自分からキスを返した。すぐに、二人のキスは熱を帯び、舌が絡み合い始めた。

1、2分、キスを続けた後、ヘレンはトレーシーの首から右手を離し、トレーシーの左の乳房に触れた。トレーシーの方も、左手をヘレンの足の付け根のVゾーンへ動かした。

それから5分間ほど、ヘレンはトレーシーにキスを続けながら、絶えず、ううん、ううんとよがり声を漏らしていた。その声が突然、ハアハアと息を切らす声に変わった。オルガスムが襲ってきたのだろう。体全体を震わせながら、股間をトレーシーの手にぶつけるように、繰り返し腰を突き上げていた。クライマックスに近づくにつれて、喘ぎ声は、また、よがり声に戻り、そして次に大きな悲鳴に変わった。

ヘレンのオルガスムが落ち着くと、トレーシーはキスを続けながら、手をヘレンの股間から離した。その後、キスを惜しむように、ゆっくりと唇をヘレンの唇から離す。ヘレンはうっとりとした顔でトレーシーを見上げた。

「ありがとう。こんな感じになるなんて知らなかったわ。つまり、女の人とすることのことだけど・・・」

トレーシーはにっこり微笑んだ。「女相手でも構わないって気にさえなれば、もっとずっと良くなるわよ。後で、どのくらい良いか教えてあげるわ」

「それはとても嬉しいんだけど、マークについてはどうなの?」 ヘレンは、マークがそばにいるのを思い出して訊いた。

トレーシーはヘレンの唇に優しくキスをした。

「マークは気にしないから大丈夫。でも、彼も後で私たちに加わりたがるはずよ。彼、あなたのことセクシーだと思っていて、あなたとベッドを一緒にしたらどんなだろうと何度も思ったことがあるの。私、知ってるもの」

ヘレンは顔を真っ赤にさせた。

「私、全然、セクシーじゃないわ。少なくとも、そう言ってくれた人は誰もいないし」

「いいえ、私が言ってるじゃない。それにマークも。ステファニーもそう思ってるのは確かね」

トレーシーは、そう言って、もう一度ヘレンにキスをし、それから自分の寝椅子に戻った。

私は、ヘレンに、大丈夫かどうか訊こうとしたけれど、マリアに声をかけられ、言いそびれてしまった。

「ステフィー? 悪いけど、ランチの準備に手を貸してくれない?」

返事をする間もなく、マリアは私の手を引いて、私を立たせた。それから、引っ張るようにして家の中に連れて行った。

キッチンに入るとマリアが言った。

「邪魔をしちゃってごめんなさい。でもね、ヘレンには、トレーシーとしたことをあなたが見ていたと知らせたくなかったの」

マリアはカウンターに皿を6枚並べた。

「私、何も悪いことを言うつもりはなかったわ」

マリアは冷蔵庫を開け、中からボールをいくつか取り出しながら返事をした。

「それは分かってるわ。でも、あなたが、ヘレンが初めてのレスビアン経験をした事実について言うつもりだったでしょう? ヘレンのためにも、あなたがそれを言って、彼女の気持ちを乱させたくなかったのよ。もし、あなたがそのことを言ったら、彼女、多分、恥ずかしい気持ちになって、もう2度と繰り返したくないと思ったかも知れないわ。その手の気持ちは、しっかり知っておいた方がいいかもしれないわね」

マリアはプレートにレタスを並べ、その上にツナサラダを山盛りに乗せた。そして、さくらんぼ、トマト、きゅうりのスライス、みかんの房を添えて飾る。マリアがそれをしている間、私はフォーク・ナイフ類と、ワイングラスを6つ取り出した。マリアはワインを飲むことになるとは言っていなかったけれど、多分、飲むことになるだろうと私は思った。

プレートの盛り付けが終わった後、マリアに訊いた。

「ワインは、どんなのがいいかしら? ・・・それと、トレーシーがヘレンのことを求めていたって知っていた?」

マリアは冷蔵庫からワインを3本出しながら答えた。

「あら、ちょっと焼餅? その質問への答えは、ノーね。私は知らなかったわ。でも、そうじゃないかなとは感じていたけど。実際、今日までトレーシーがヘレンに誘いをかけていなかったことの方に驚いているのよ。多分、ヘレンがあなたと楽しんだという事実から、ヘレンにはバイの気があるのがはっきりしたと考えたんじゃないのかしら。それがなかったら、トレーシーも、ヘレンに接近しても、どういう受け取られ方をするか自信がなかったと思うわ」

私はワインのボトルを開けながら答えた。

「もちろん、ヘレンは、私のことを気に入ってくれたのだから、バイの気がなくちゃおかしいわね」

「もちろん、そうね。でも、ヘレン自身はそのことに気づいていないかもよ。人の気持ちはデリケートなものだというのを忘れないこと。ストレートの男や女の子だと、あなたを見て、男だと言うでしょう。たとえ、あなたが女の子のように見えて、女の子のように振舞って、女の子のような服装をしていても。あなたが実際は男だと示すものは、あなたの足の間にぶら下がっているものだもの。ストレートの人は、そこを見て、あなたは男だと言うわけ。バイの人は、それも見るけど、そこから、女の子になろうとしている男の子の姿を見出すのよ。どっちの人がどこに眼をつけるかにかかわらず、私たちにとっては、セックス・パートナーになる可能性がある人には変わりないわ。ヘレンは、あなたを女の子として見てるけれど、ストレートの心もあって、それはあなたを男として見ている。まあ、あなたの場合は、どちらの見方をされても、大丈夫ね」

私はマリアの言うことを理解した。それに、トレーシーが、ヘレンにはバイの気があると知って彼女を誘う気になったことも理解した。

「でも、マリアは、トレーシーとヘレンがバイセクシュアルだと知っていたの?」

「そうねえ、トレーシーは絶対そうと確信していたけど、ヘレンについては、あなたと寝るまでは分からなかったわ」

「私はトレーシーがバイだとは気づかなかった」

マリアは笑い出した。

「えーっ、どうして気づかなかったの? いいこと。普通のポルノ映画では3つのことが起きるものなの。一つは、女の子がおしゃぶりをして顔にスペルマを振りかけられること。2つ目は、その娘はバギナを犯されることになるし、アナルもされちゃうの可能性も大きいこと。そして、3つ目には、映画にもう一人、女の子が出ているなら、その女の子ともすることになること。必ず、レズシーンが絡んでくるものなのよ。だから、そもそもバイセクシュアルでない女だったら、この業界では長続きできないものなの。そして、トレーシーの場合、もうたくさん映画に出ているわけだから、彼女がバイセクシュアルでないはずがないのよ。それに、そうじゃないとしたら、どうして私やあなたをそばに置いておくと思う? トレーシーは私たちと一緒だと、ストレートとバイの両方の世界の美味しいところを楽しめるのよ」

料理をプールサイドに運び始めたので、私は、それ以上、質問をすることができなかった。プールに行くと、すべては、トレーシーとヘレンが楽しんだ前と変わらない状態に戻っていた。マークとローレルは、まったく位置を変えていないようだった。

プールサイドのテーブルで、みんなとランチを食べ、その後、もう少し日光浴をした。4時ごろになって、みんなシャワーを浴び、夕べに向けて服を着ることにした。ヘレンとトレーシーは、トレーシーの寝室にあるシャワーへ行ったし、マークとローレルはローレルの部屋のシャワーを、私とマリアは、私の部屋にあるシャワーを使った。

私は、トレーシーが、私のことを誘いもせず、ヘレンを彼女の寝室に連れて行ったのを見て、最初、少し取り残されたような気持ちになった。だけど、ふと、2人はシャワーを浴びる以上のことをするつもりなのだと気づいて、なるほどと思った。私も混ざると事態がややこしくなるだけだと。それに、ヘレンはレスビアン的な嗜好を探り始めたばかり。だから、私がそばにいると、恥ずかしさが勝ってしまい、うまく行かないかもしれないとも。

マリアも私も、私の寝室に行けば、2人っきりになれることを忘れてはいなかった。寝室に入るとすぐに、彼女と抱き合っていた。キスから始めたけれど、すぐに熱が高まり、気づくと、私は仰向けになっていて、マリアのクリトリスで私のあそこを深々とえぐられていた。マリアは、私が絶頂を迎えるまで愛し続けてくれた。それにマリアも同時に達していた。マリアが私のお尻の中をいっぱいに満たしてくれたすぐ後に、私も噴水のようにしぶきを上げ、自分のお腹の上に振りかけていた。

互いに口を使って清めた後、一緒にシャワーを浴び、着替えを始めた。日曜日なので、服を着ると言っても、最小限の服しか着るべきではないということになる。私はライラック色の下着と、それにマッチしたブラジャーとシュミーズを着て、その上にライラック色のサテン地のローブを羽織った。マリアは黒サテンのパンティと同じく黒サテンのローブを着た。胸にはブラをつけず、露出したまま。

マークの書斎にいくと、そこには彼とローレルがいて、すでにカウチにくつろぎながら映画を見ていた。私たちが入っていくと、マークは私を隣に座らせた。ローレルとマリアは反対側で並んで腰をかけた。

映画を見ていると、マークが腕を私の肩に回して、私をぐっと引き寄せた。映画の間じゅう、私は何回か彼にキスをして、時々彼のペニスをいじった。マークとローレルは、私とマリアがしたことと同じことをしていたと思う。と言うのも、彼のは半立ちにしかならなかったから。

映画が終わるとマークは私を抱き上げ、太ももの上にまたがらせた。

「今夜は、俺も君も、自分自身でやりくりしなければいけない感じだな。トレーシーは、新しい女性の愛人を見つけたようで、お菓子屋に入った子供のように喜んでいるから。多分、また太陽が昇ってくるまで、ストップしたくないと思っているんじゃないかな」

私はマークに抱きつきながら答えた。

「私やマリア、それにローレルの3人がいるのだから、あなたは決して自分自身でやりくりする必要はないと思うわ」

「と言うことは、俺が今夜、君のベッドで寝ても気にしないということかな?」

この言葉を聞いて、私はこの上なく嬉しい気持ちになった。マークと最後に一緒になってから、もう一週間も経っていたから。クリトリスが反応してピクンと動くのを感じた。

「嬉しい! 今夜、私と一緒に寝てください。是非!」

マークは微笑んで、私のクリトリスをちょっとしごき、それからキスをしてくれた。

ランチがとても遅かったので、夕食として軽いスナックを食べるだけで済ました。それから四人でもう一本映画を見て、その後、おやすみと言いあった。

マークは私の手を取り、私の寝室へと向かった。部屋に入るとすぐに、マークは私を抱き上げ、ベッドの上に降ろした。

彼自身もベッドに上がり、私にキスを始める。とても甘くて心がこもっているキス。マークは急かす様子はなく、ゆっくり落ち着いている感じだった。

長いキスの後、マークはゆっくりと私の首、胸へと、下の方へ唇を這わせて行った。私のおなかのところに来ると、ピアスをしたおへそを吸いながら、私のパンティを脱がしてくれた。おへその周辺に、キスの雨を降らせながら、手でクリトリスを優しく擦ってくれる。

次にマークがしたことに、私は驚いてしまった。最初、舌が下腹部を這い、恥丘を舐め、陰嚢をなぞってくれたのだけど、クリトリスをちょっと舐めてくれた後、これまでしなかったことをしてくれたのだった。私のクリトリスを口の中に入れたこと。

最初は唇で優しくキスしてくれたのだと感じた。でも、突然、そのまま彼の唇は私のシャフトを包んで、呑み込んだのだ。クリトリスの先端が彼の喉奥に触れるのを感じた。私はそれだけで、ミルクを出してしまいそうになってしまった。けれど、マークの口の中に出してしまうのだけは避けたい。何とか我慢して堪えた。

マークがこれまでフェラチオをしたことがあったのかどうか、私には分からない。でも、彼はやり方を心得ているように感じられた。何秒もしないうちに、私はいじめられている女の子のようなうめき声を上げたり、悲鳴を上げていたりしていた。彼の口の中に出すのだけはするまいと堪え続けていたので、なおさら苦しい喜びだった。

マークは、私の悶絶を楽しむかのように、クリトリスを含みながら頭を上下に動かしていた。口を引くたび、強く吸い上げる。

マークがそれでもいいと望むなら、彼の口の中に出すことは簡単だったけれど、私はそれは避けたかった。

「ああん、もうダメ・・・マーク、お願い! 私のあそこにやって! 私の中に突き入れて、思う存分、叩きつけて欲しいの! お願い! あそこに欲しいの! 入れてくれないとダメなの!」

マークは私の願いを受け入れてくれて、ようやく、クリへの攻撃をやめてくれた。私の両脚を抱え、腰を浮かせ、今度は後ろの穴に口唇愛撫を始めた。彼は、本当に永遠とも思えるほど長い時間、私のあそこを舐め続けてくれた。

そこが充分にほぐれ、濡れた後、彼は両膝をついて体を起こし、唾でペニスを濡らした後、挿入を始めた。

マークが、この前、私の直腸を広げてくれたのは1週間前になる。だから、時間が空いていたわけで、最初、いくらか痛みを感じた。でも、彼の大きな頭の部分がすっぽりと中に納まった後は、痛みは急速に消えていった。

マークは、最初、ゆっくりと動いて、少しずつ中に進んでくる動きをした。けれど、私の表情を見て、私が全部入れて欲しいと願がってるのを分かってくれたのだと思う。私の足先が頭に近づくほど脚を高く引き上げた後、本格的に出し入れの動きを始めた。

淫乱女を相手に、欲望を満たすために、相手の体を道具のように扱うセックス。引く時は、亀頭だけが中に納まっているところまでズルズルと引き抜き、その後、力強くペニスの根元まで一気に突き刺す。彼に貫かれるたびに、私の体から空気が押し出される。こういう風に愛されると私は弱い。快楽に狂っていく。女の子のような悩ましい声が私の唇から漏れ出ていた。

マークは、早いピッチで激しく私に打ち込みを続けた。全身が汗まみれで、体が動くたびに、私の体にぴちゃぴちゃと降りかかった。やがて彼は息づかいが苦しそうになり、唇をすぼめて吸っては、はあっと吐き出すようになった。それを見て、彼の熱い種子液を体内に感じることになるのは、間もなくだろうと思った。

私は手を股間に持っていき、自分のクリトリスを握ろうとした。彼がいく時に私もいけるようにするため。でも、その点でもマークは私の先を行っていた。私よりも先に、彼の大きな手が私のクリトリスを握り、出し入れの動きにあわせてしごき始めたのだった。

これには、もはや、私も堪えきれなくなり、大きな声で叫んでいた。

「お願い、中に出して! 中をいっぱいにして、マーク! 熱い汁で私のおまんこを溢れさせて!」

マークは傷ついた野獣のような低いうめき声をもらした。そして、次の瞬間、私は体の中に熱いものが満ちてくるのを感じた。彼がオルガスムに達している。それが引き金となって、私も頂点に達した。クリトリスから濃くて白いものが紐状になって噴き出し、私のお腹に降りかかった。

長いオルガスムの後、マークはぐったりとなり、私の上に崩れ落ちて覆いかぶさった。彼の体重に潰されそうになったけれど、気にしなかった。いや、むしろ、彼の重い体に包まれることで、愛され守られているように感ぜられ、心地よい。

彼の体に包まれ、私はうっとりとしていたのだけれども、彼はあまり長くはその姿勢を保ってくれなかった。マークは身体を反転させ、それを受けてペニスが私のお尻からするりと抜け出た。彼は仰向けになっていた。でも、それと同時に私の体も横向きにさせてくれた。私は横寝になって、マークの顔と対面した。マークは私を引き寄せ、乱れた呼吸が落ち着くのを待ちながら、私に優しくキスをしてくれた。

ようやく呼吸が落ち着いた私は、しなければならない仕事があることを思い出した。大好きな仕事。するするとベッドの上を這って下がり、ついさっきまで私の中を満たしてくれていた男根を清める仕事に取りかかった。マークは、まだ完全には柔らかくなっていないのを知って、驚く。彼の素敵な肉柱は、まだ硬さを保ったままだった。

それが今までどこに入れられていたかは無視して、素早く口に含んで、舐め清めを始めた。少し強めに吸って、尿道に残ってる体液を美味しく頂き、ぺろぺろと舌を駆使して全体をきれいにしていく。マークのペニスが私に入る前と同じきれいな姿になるまで、さほど時間は掛からなかった。でも、舐め清めの仕事が終わっても、まだ、彼のペニスは柔らかくなっていなかった。もっと言えば、また、さらに固くなってきている気がする。

そのまましゃぶり続けて、2分ほどすると、すっかり勃起を取り戻し、また、できそうな状態になっていた。

その時、頭に手を添えられるのを感じ、私は顔を上げた。

「もう一回して欲しいって言おうとしているのかな?」

私はうっとりとした顔でペニスの頭をぺろりと舐めた。

「あなたとなら、いつでも」

マークは、二人の顔が近づくまで私の体を引き上げ、私にキスをした。

「それじゃあ、今度は、君に動いてもらうことにしようかな」

マークが何を望んでいるか、すぐに分かった。少しもためらわず、すぐにマークの上にまたがり、両脚で彼の腰を挟んだ。それから、私の足の間に手を伸ばし、素敵な勃起を握って、私の穴へとあてがった。

腰をくいっと押し下げると、男根が再び私の中に入ってくる。今回はまったく痛みがなかった。それに私のあそこはマークが放った体液で充満していたので、潤滑の心配もいらない。

マークのシャフトを支柱にして上下に動き始めた。最初は、ちょっと動きがぎこちない感じ。この体位になったことがなかったので、動き方が分からず、強張ってぎこちない動きをしていたから。マークは私の気持ちを察したようだった。両手を私の腰に添え、動き方をガイドしてくれる。

間もなく、私は、二人とも楽しめそうなリズムを取れるようになった。ポルノ映画で見るような速く叩きつけるようなリズムではなく、ゆっくりと安定した、上下の動きで、私にはとても心地よかった。マークも、安定したリズムに入った後は、腰から手を離し、リラックスした様子で、動き続ける私を見ていた。そして、私を見ながら、私のクリトリスをいじり始める。

全然勃起していなかったけれど、触られて気持ちが良いのは確かで、何分かされているうちに、確かに勃起し始めていた。それが原因となって、私のリズムも変化し、知らぬうちに、速い動きに変わっていた。アヌスの筋肉でマークのペニスをギュッギュッとしごき始める。

そのまま、10分くらい動き続けていたと思う。突然、マークに身体を引き寄せられ、抱きしめられた。私が動くのをやめさせようとしているのだろうと思ったけど、次の瞬間、体をくるりと回され、仰向けにされていた。マークは、正常位の体位になるよう、挿入したまま、二人の上下の位置を変えたのだった。

正常位になった後、マークは、ゆっくりと、そして深々と差し込むストロークで動き始めた。私のクリトリスは勃起したまま、ぶるんぶるんと揺れている。それを見てマークが言った。

「自分でさすってごらん」

私にゆっくりと出し入れを続けるマーク。彼の顔を見上げながら、勃起を手に取り、彼のリズムに合わせてゆっくりとしごき始めた。

この体勢でしばらく愛し合った後、マークは、一度、私から抜け出て、私の体を再び反転させ、うつぶせにした。

命令されるまでもなく、私は四つんばいの姿勢になって、お尻をくねくねと振り、お尻の感触でマークの男根を探りまわった。熱い棒の先端をとらえ、自分から、裏穴の入り口にマークの亀頭が来るようにした。そして、悲鳴にも似た唸り声を上げながら、お尻を突き出し、自分から、マークのシャフトで身体を貫いた。

マークは、再びゆっくりと深いストロークで動き始めた。私も彼のリズムに会わせ、挿入の動きにあわせて、自分からお尻を突き返した。

私の積極的な反応に、マークはとても満足しているよう。

「いいぞ、ステフィ。そうやって、俺のちんぽを使って、好きなだけ快楽をむさぼるんだ」

「はい・・・」

私は、言われた通りに夢中になって動いた。だんだん良くなってくる。これまでマークがしてくれたどんな時よりも気持ちよくなっていった。ああん、ああんと声を上げながら、お尻を突き出し、自分から、マークのペニスを使って繰り返しアヌスを貫く。積極的に動く私を見て、マークはさらに言葉を加えた。

「いいぞ、ステフィ。気持ち良いんだな? おまんこが俺のちんぽをぎゅうぎゅう締め付けてくる。俺よりも激しく動いてるじゃないか、ステフィー! もっと激しく動くんだ。俺が動かなくても済むように」

「ええ、気持ちいいの・・・感じるの・・・」

そう喘いで、一度、根元までマークのペニスを入れた後、括約筋をぎゅっと絞り、咥えて離さないようにさせた。その締め付けに、マークが唸り声を上げるのが聞こえた。彼は、抽迭を繰り返しながら、私のお尻を平手打ちし始める。

「ステフィ! すっかり淫乱女になってるな! こんなにきつく締め付けてきたり、自分から腰を振って咥えこんだり。すっかりエロ女になってるじゃないか!」

私は肩越しにマークの方に振り向いた。本当にエロ狂いした女のような顔をしていたと思う。

彼は笑顔で私を見ていた。その笑顔を見て、さらに勇気付けられ、一層激しく腰を突き上げ、一層きつく締め付けた。それを受けて、マークは一層大きなうめき声を漏らし、それを聞く私はなおも一層激しく動いた。

何秒か後、マークが苦しそうな声を上げた。

「うおおっ! そろそろいきそうだ! お前のおまんこに俺の男汁をたっぷり出してやる!」

その言葉に、何も考えていないのに、返事の言葉が勝手に口から出ていた。

「ああ、出して! マーク! おまんこ、いっぱいにして! 熱い種液で私を満たして!」

マークはもう一度、大きな唸り声を上げた。次の瞬間、お尻の中に熱い液体がドクドクと注ぎ込まれるのを感じた。

マークは、射精と同時に、私のシュミーズの下、ブラジャーの中に手を滑り込ませ、左の乳首を痛いほどつねった。ビリビリとした電撃のような刺激が全身を駆ける。身体が震え始め、クリトリスが、触れてもいないのに、ピクピク痙攣し、跳ねた。そして、またもねっとりした体液を噴射していた。白い体液がベッドのシーツに降りかかる。

強烈なオルガスムを感じ、射精が終わると同時に、私はベッドへがっくりと崩れ落ちた。目を閉じ、ハアハアと喘ぐことしかできない。マークも私に続いて、喘ぎながら崩れ落ち、私の背中にどさりと覆いかぶさった。その時の動きで、マークのペニスは強い力で私のアヌスを突き刺し、それを受けて、私の肺に残っていたわずかな呼気がフウッっと吐き出された。

その後、多分、私は気を失ってしまったのだと思う。次に耳にしたのは、マリアの声だった。

「ステフィ? 起きる時間よ! 目覚ましをセットし忘れたんじゃない?」

目を開け、あたりを見回したけれど、マークの姿はなく、私は一人で眠っていた。マリアが膝をついてベッド脇に座っていて、微笑みながら私を見ていた。

「ずいぶん満たされた顔で寝ていたわね」

私も笑みを返し、彼女に助けられてベッドから這い出た。

マリアはキッチンに戻り、私は、毎朝の決まった仕事をしに浴室に入った。体の中も外もきれいにした後、お化粧をし、メイド服に着替え、今日一日の仕事に取りかかる支度を終えた。

キッチンに入ると、マリアが私に言った。

「朝食は後で食べて。マークは、仕事に行く準備がすっかりできているの。今、朝食が来るのを待っているところなのよ」

トレーシーの寝室に3人分の食事を運ぶため、カートを使った。マークの朝食と、トレーシーの朝食、そして残りの一食は多分ヘレンの分だろう。ローレルは、トレーシーとマークと一緒に夜を過ごした場合を除くと、いつもキッチンで朝食を食べていたから。

寝室に入ると、マークはトレーシーの化粧台に腰をかけて、まだベッドの中にいるトレーシーとヘレンとおしゃべりをしていた。トレーシーは、毎朝そうであるように、この日も裸のままだった。マークは着替えを済ませていた。ヘレンは多分、裸のままなのだと思ったけれど、シーツをかけたままなので、胸から下は分からない。

マークの朝食を彼の前にセットしたとき、彼が手を私の脚から上へと滑らせ、お尻を軽く揉むのを感じた。どういうわけか、私は、くすくす笑いたい気持ちになってしまった。けれど、何とか堪え、ただにっこりと彼に微笑みかけた。マークも笑みを返してくれた。

トレーシーの膝の上にトレーを置いた時、彼女は私の手を取った。

「あのね、今朝はヘレンが私と一緒にバスタブに入ることになるの。だから、あまり一杯にお湯を張らないようにね」

「かしこまりました」

そう答えて、今度はヘレンの膝の上にトレーをセットした。彼女が顔を赤らめるのを見て少し驚いた。なぜだか分からないけれど、どうやら、ヘレンは、今のこの状況にいることを恥ずかしがっている様子。それとも、彼女が身体を起こしたとき、シーツがずれて、滑り降り、胸が露わになってしまったからかもしれない。

3人が朝食を食べている間、私は浴室に入り、タブにお湯を入れ、トレーシーのエネマを準備した。ヘレンもエネマの用具を使うのか、迷ったけれども、もしヘレンが使うのなら、多分、ヘレンの分も用意するように命じられるはずだと考え、準備はしなかった。

バスの準備ができたことをトレーシーに伝えようと浴室を出ようとしたら、マークが浴室に入ってきた。すぐに私を両腕で抱きしめて、ねっとりとキスをしてくれた。

「昨夜の君は最高だったよ。また、できる時が待ち遠しいな」

彼の褒め言葉に、私は顔が赤らむのを感じた。

「あなたも、最高でしたわ。私も、また中に来てくれる時が待ち遠しいです。でも、昨日の夜、一緒だったことをトレーシーは知ってるんですか?」

「トレーシーは、俺が誰と夜を過ごしたか、いつでも知っているんだ。俺よりも詳しくね。だけど、君と過ごそうと決めたのは、彼女じゃなく、俺の気持ちからだ。気になるかも知れないから、教えておくが」

このマークの言葉に、なぜか、自分が特別な存在になったような気持ちになり、嬉しかった。マークは、もう一度、私にキスをし、その後、仕事に出かけた。

トレーシーはヘレンと朝食を食べた後、自分でエネマを行い、その後、ヘレンと一緒にバスタブに入った。ヘレンはエネマを使わなかったし、トレーシーに「使ってみる?」と訊かれたとき、恥ずかしそうな顔をしていた。

二人がバスに浸かっている間、私は寝室に行って、ベッドのシーツを取り替えたりと、ベッドメイキングを行った。それから寝室内の掃除もした。その時、ベッドの横にストラップ・オン(参考)のディルドが落ちているのを見つけた。私が初めてこの家に働きに来た夜にトレーシーが使ったディルドだった。トレーシーとヘレンのどちらかが、もう片方に対して使ったのは確かだけど、どちらがどちらに使ったかは分からなかった。でも、すぐに、トレーシーが使ったに違いないと思った。ヘレンがそれをつけた姿が想像できなかったから。

トレーシーたちはバスタブの中、お湯に浸かってじゃれあった後、バスから出た。その二人のお手伝いをして、バスタオルで、二人の身体を拭いてあげる。それから、二人の肌にモイスチャライザーを擦り込んだ。この時が、この日の朝では、マークにキスされて、昨夜はとても素敵だったよと言われた時に次いで、私にはとても楽しいひと時だった。

トレーシーとヘレンの体から水気を拭き取り、全身にモイスチャライザーを塗って、しっとりとした肌にしてあげた後、私は、食事後の汚れた食器と洗濯物を持って、寝室を出た。バスから上がった二人が、その後、何をしようとしているか分からなかったし、二人がしたいと思った場合、私はその場にいない方が良さそうと思ったから。

キッチンへ入ると、マリアとローレルがキッチンテーブルに並んで座っていた。ローレルは、マリアをおしゃべりをしながら朝食を食べていた。それに二人は手を握り合っていて、膝頭を触れ合わせているのにも気づいた。それを見て、二人は一緒に素敵な夜を過ごしたのだと分かった。

私も朝食を済ませ、その後、洗濯機をセットし、ダイニング・ルームの掃除に取りかかった。

ちり払いをしていると、ヘレンが入ってきた。彼女は、私の手を両手で握って、言った。

「もう出かけるわ。1時間以内にセットに行かなくちゃいけないの。でも、出る前に訊いておきたいことがあって。つまり、私とトレーシーがああいう風になったこと、気にしている? あんな風に振舞っちゃって、ごめんなさい。あなたを傷つけるつもりはなかったのよ」

ヘレンは、トレーシーと夜を過ごしたことに罪悪感を感じているのが分かった。でも、私には彼女が罪悪感を感じる必要はまったくないと思っていた。私はヘレンの手を口に引き寄せ、優しくキスをした。

「全然、傷ついてなんかいないわ。それに罪悪感なんか感じるべきじゃないわよ」

「本当? 私は、あなたと一緒にここに来たのに、気がついたら、他の女の人と一緒の部屋に閉じこもって愛し合っていたの。こんなこと、これまで一度もなかったのに」

「昨日の夜は、楽しんだ?」

そう訊くと、ヘレンは顔を赤らめ、恥ずかしそうに頷いた。

「なら、それを訊いて私も幸せよ。それに、土曜日にあなたとしたことは、とても素敵で、もう一度したいと思っているの。もっと言うと、今度の金曜日に、またできたら良いなって。一緒にディナーを食べて、映画を見に行くということだけど・・・」

ヘレンは顔を上げて私を見た。眼に悲しそうな表情を浮かべていた。

「ということは、もう私たちセックスできないということ?」

私は笑い出してしまった。

「いいえ、もちろん、またできるわ。私がセックスのことしか考えていないように思われたくなかったから、そう言っただけ。友達としてあなたのことが好きだし、あなたと出歩くことが好きなの。友達関係を大事に思ってることを知って欲しかったから」

ヘレンは私を抱きしめた。

「私もあなたに友達になって欲しいわ。私たちの友情関係は何にも邪魔されたくないとも思ってるの。でも、私が望んでいるのは、エッチできる間柄の友達関係になること。私、あなたと一緒に寝たとき、最高だと思ったし、それは続けたいの。でも、あなたが良かったら、できればトレーシーともセックスをしたいと思っているの」

「問題ないわ。だって、私もトレーシーやマークとセックスを続けるつもりなんだもの。それについて、あなたも問題ないと思ってくれると助かるけど・・・」

ヘレンは私を見上げて、にっこり微笑み、顔を赤らめた。

「実は言っておかなくちゃいけないと思うんだけど、トレーシーが言ってたの。今度一緒に夜を過ごす時は、マークも一緒にベッドに入るだろうって。彼女、愛する相手はいつもマークと共有することにしてるって言ってたわ。それに、今朝、マークのことじっくり見てから、私、そうなることが楽しみになっているの」

私たちは声に出して笑い、それからキスをした。ヘレンは、もう行かなくちゃと言った。彼女を玄関まで見送りながら、今度の金曜日にデートをする約束をした。玄関先にはトレーシーが待っていて、彼女もヘレンにキスをして、彼女を送り出した。

ヘレンが出て行った後、トレーシーは私の手を握って言った。

「昨日の夜のこと、気にしてないわよね?」

「ええ、もちろん。お二人が楽しい夜を過ごされたこと、とても喜んでいます」

「ヘレンに飛びつく前に、あなたに少し伝えておくべきだったかもしれないと思ってるの。あなたたち一緒に寝たわけだから、もう二人は他人が割り込めない間柄かもしれない。そうだとしたら、どうしようって・・・」

私はトレーシーが真剣に考えているのが見て取れた。彼女の心配を消してあげなければと思った。

「私、自分はそんなに早く誰かとすごく親密になれないと思っているんです。ヘレンのことはとても大好きだけど、一度寝ただけで、そんなに早く、約束しあうような間柄になれるとは思っていないんですよ」

「私もそういう気持ちだったわ。マークに出会うまでは。幸い、マークは、私に一夫一婦の関係を決して求めなかった。ともかく、マークと出会わなかったらどうなっていたか分からないわね。それはそうと、一緒に来てちょうだい。あなたに仕事があるの。それから、今日の午後は、私のベッドにも来て欲しいわ、ステフィー。女の子同士で遊びたいから」

その「女の子同士の遊び」は、大半、オーラル・セックスになった。でも、トレーシーは、私を犯せるようにとストラップ・オンも装着していた。確かに、それも気持ちよかったけれど、トレーシーは、やはりマークとは違う。そのディルドを相手に、私はアナルの筋肉を使って締め付ける練習を行った。今度、マークに抱かれる時に、このテクニックを使って彼に私がどれだけ感じているか伝えられるかもしれない。

そして、そのチャンスはすぐにやってきたのだった。次の日の夜、私はトレーシーとマークの寝室に招かれたのだった。


つづく
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