「ジャッキー」 第6章 Jackie Ch.6 by Scribler 出所 第1章第2章第3章第4章 1/2 2/2第5章
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これまでのあらすじ
妻のアンジーの浮気現場を見てショックを受けたジャックは彼女と知り合った頃を回想する。彼はある法律事務所でバイトをしており、アンジーはそこのすご腕の上司だった。仕事を通じ親密になった二人は、一緒に男がスカートを履くケルト祭りに行く。ジャックはアンジーに促されるままスカートを履く。ケルト祭りの帰り二人はアンジーのアパートでセックスをした。下着を用意してなかったジャックはアンジーの寝着で眠った。翌日、アンジーが運転するバイクでドライブを楽しんだ後、また愛し合う二人。その行為を通じ、ジャックは、アンジーに陰毛を剃られ、自分の出した精液を口移しされ、またアンジーの陰部から自分の精液を舐め取るのだった。

月曜日、アンジーは午前5時に僕を起こした。普通、僕は仕事がある日でも6時まで寝ている。それで十分、8時には職場に着くからだ。でもこの日は、僕はまず自宅に戻って、仕事に行くために着替えなければならなかったのである。僕は土曜日からずっと自分の着替えなどがないままだった。

シャワーから出てくると、アンジーは僕に白いパンティを差し出した。

「お願いだから、今日はこれを履いててくれる? 今日一日、あなたの可愛いおちんちんが私のサテンのパンティに愛撫されてると感じていたいの」

ちょっと嫌な感じだったので、「誰かに見られたらどうなると思う? みんなの笑いの種になっちゃうよ」と言った。でも、そう言いながらも、自分でも、その論理は通じないだろうなと思った。

「あら、いいじゃないの、ジャック。オフィスの人があなたの下着を覗くなんて、これまで、何回あった? あなたが、資料室の他の男の人と、誰も観てない時にエッチしてるなら話は別だけど?」

僕は彼女の言い方に、思わず笑い出してしまった。もちろん、僕がパンティとそれにマッチしたキャミソール(参考)を身につけたのは言うまでもない。

土曜日に着ていた服はすでに洗濯してあったので、僕は下着の上にそれを着た。すべて元通りではあったが、トランクスだけは不思議なことに消えていた。アンジーが投げ捨てたのじゃないかと感じたが、彼女はそれを認めようとしなかった。

着替えを済ませると、アンジーはスーツの中に着るものを僕に見せてくれた。それはラベンダー色のビスチェ(参考)と同じ色のソング・パンティ(参考)だった。ストッキングは黒に近い色で、ビスチェについてるガーターストラップで留められている。ハイヒールはヒール高8センチくらいのパンプス(参考)で、つま先のところが小さく出たデザインだ。僕は、今日一日ずっと、彼女のことについて口にできない事々をどうしても思い浮かべてしまうのだろうなと思った。

玄関先でさよならのキスをした後、僕は自分の冴えないアパートに戻った。部屋に戻るとすぐに、ふだん仕事に行く時に着るスーツに着替えた。パンティとキャミソールも脱ごうかと思ったが、すぐに、それはやめることにした。アンジーにチェックされるかもと心配したわけではない。単に、着替える理由がないと思ったからだ。

アパートを出るとき、インターネットで大きな花束を注文した。送り先はオフィスで、「僕の人生を変えてくれた女性に。感謝をこめて、ジャック」と書いたカードを添えた。このカードなら適度に上品で、誰も職場の部下が上司に送ったものとは思わないだろうと考えた。そもそも、裏の意味を差し引いても、仕事の点でアンジーが僕の人生を変えたのは事実なのだし。

僕は、普段の時刻と同じ8時ちょうどに職場についた。アンジーはいつも8時半に出社する。事務所が開くのは9時で、その30分前に来るのである。僕は出社すると、まずはアンジーのオフィスのコーヒーポットに電源を入れる。そうすると、彼女がベーゲルかクロワッサンを持って出社したときにちょうどコーヒーができるようになるからだ。

アンジーは、この日、ドーナッツを持って出社した。これまでなかったことだった。

「マイ・ハニーに美味しいスイーツを!」

彼女は見まわして、オフィスに誰もいないのを確かめてからそう言った。そして僕の右の尻頬を鷲づかみにして、ギュッと握った。彼女は普段は思慮深く見えるように振舞っているのに、これはマズイんじゃないかと僕は思った。

9時になり、仕事を開始した。だが、実際は、それほどハードな日ではなかった。というのも、アンジーが割り当てられた訴訟案件の大半は、まだ交渉段階にあるか、後は裁判が行われるのを待っている状態かのどちらかだったからである。それに、僕たちの次の裁判は、感謝祭の休暇の後までなかった。もちろんアンジーには他の訴訟案件もあり、その仕事もあったが、特に緊急に決着をつけなければいけない案件はなかった。

アンジーが同僚の一人と雑談しに席を外していた時、受付嬢が僕が注文した花束を持って入ってきた。

「気を利かしたわね、ジャック。それにご昇進おめでとう!」 と受付嬢は僕に花束を渡しながら言った。彼女がカードを読んだのは明らか。僕はカードに過剰に感情を込めた言葉を書かなくて良かったと思った。

アンジーは戻ってきて、花束を見ると、「ジャック、こんなことしなくても良かったのに…」と言い、花束のところに行き、カードを読んだ。そして僕のところに来て、頬にキスをした。それから、もう一度、誰も部屋に入ってこないことをチェックしてから、言った。

「これは昇進のお礼? それともこの週末の?」

「両方です。ただ、ここの人に訊かれたら、昇進のと答えるけど。今の地位につけて、とてもうれしいのは事実だし」

アンジーは僕の手を取って、ギュッと握った。「私は、他にもあなたがついたところを見たいと思ってるポジションが二、三あるのよ」

「うーん、面白そうですね。どんなポジションか訊いてもいいですか?」 と僕はできるだけ小さい声で言った。

アンジーはまた強く僕の手を握った。そして、「今はダメ、待ってて。さあ、仕事に戻って」と言いい、また僕の頬にキスをし、僕を仕事に戻させた。

正午になり、アンジーは僕たちのためにランチを取りよせ、その後、1時に彼女は約束があると言って出て行った。僕が管理していた彼女の予定にはなかったことなので、どんな用件なのか分からなかった。だが、このようなことは珍しことではなく、アンジーの場合、これまでも頻繁にあったことだった。普通は、彼女の弁護士仲間との面談などの用件である。アンジーは4時には戻ってきて、その後、すぐに仕事に取り掛かった。

その日は、アンジーと僕は夜の7時まで仕事を続けた。週末に余計な邪魔が入ると嫌だからと彼女は僕に言った。

「新しい恋人ができたので、週末は全部フリーにしておきたいの。そうすれば思いきり楽しめるでしょう?」

ちょっと変だったのは、アンジーが他の人に僕たちの会話を聞かれるのをあまり気にしていないところだった。

仕事が終わり、二人で夕食に行った。アンジーが選んだレストランで、彼女のおごりだった。僕が、前に、この次いっしょに食べに出るときは僕が払ってと言ってたはずと苦情を言うと、彼女はこう答えた。

「もう、私におごってくれたじゃない? この前の土曜の朝食のこと忘れたの?」 

いかにもアンジーらしい応答だった。こういうふうに彼女は僕が予想しない形で、経済状況の差を補ってくれるのだった。

食事の後、僕たちはそれぞれの車に戻った。何分か抱き合い、キスをした後、僕は訊いた。

「今夜、君の家に行ってもいい?」

アンジーはちょっと考えた後、答えた。

「…ダメ。今度の週末まで待ちましょう。今夜、愛し合っちゃったら、なんだか慌てた時間になっちゃうと思うの。私、二人でいるときは特別な時間にしたいの。週末は丸々、二人でプレーできるから……」

僕たちはもう二分ほどキスした。その後、アンジーが言った。

「あなたにプレゼントがあるの」

そう言って離れて行き、彼女の車のトランクを開けた。中にはピンクの紙に包まれた箱が見えた。サテンとレースの大きなリボンがついている。見るからに女性っぽい包装で、僕がそれを受け取るのを誰か職場の人に見られたら、僕はとても恥ずかしかっただろう。多分、そういう理由から、彼女はそれを僕に渡すのを、ディナーの後まで待ったのだと思う。

「さあ、受け取って」 と彼女は箱を指さして言った。

その箱はかなり大きかった。長さ60センチ、幅は30センチ、高さも45センチはあった。箱を持ち上げると、それほど重くはなかったものの、確かに中に何かが入ってるという重量感はあった。僕は持ち上げながら、「なぜ、僕にプレゼント?」 と訊いた。

「あなたのことがとても、とても好きだから。それにあなたが私にお花をくれたから。私、あまりお花をもらわないの」 

彼女はそう言いながら、僕の車のトランクを開けて、助けてくれた。中に何が入ってるのかを訊いたら、「家に帰ったら、中を開けていいわ。でも、それまではダメ。中を見たら、すぐに何か分かるし、何のためかも分かるはず」と答えた。その後、僕たちは何分かおやすみのキスをして別れ、ようやく、二人それぞれの方向へと向かった。

家に着くと、ソファのそば、床の上に箱を置き、まずは飲み物を用意した。そしてスウェットパンツに着替えた。パンティとキャミソールはシャワーを浴びるときまで、着たままでいようと決めた。着ていて肌触りが気持ち良かったからというのもある。

ソファに座って、サテンとレースの紐を引っ張り、解いた。箱を開けると、まずは宝石箱が出てきた。その宝石箱の中には、カフスボタンが6個入っていた。これは変だなと思った。僕のシャツはすべてカフスにボタンがついている仕立てになっていて、カフスボタンは不要だったからである。

宝石箱の下にはティッシュが敷かれていた。それをはがした瞬間、どうしてアンジーがカフスボタンをくれたか分かった。ティッシュの下には新しい白いシャツが10着入っていたのだった。どれも非常に高価な仕立ての綾織シャツだった。

シャツの下には別のティッシュの層があった。その下には、予想していたものが入っていた。パンティとキャミソールのセットが12着分あったのである。それぞれ色違いで、いろいろな色があった。最初、こんな派手な色のものはシャツから透けて見えるので、着れっこないと思った。だが、その時、アンジーがくれたシャツのことが頭に浮かんだ。あのシャツは十分厚地になっているので、外からは中に何を着ているか全然見えないようになっている。アンジーがそこまで考えていたのは明らかだった。

ティッシュの4層目の下には、丈の短いナイトガウンが12着と、それと同数のマッチしたパンティが入っていた。僕が日曜日の夜に着たのと似たデザインである。その層の下には、また別の層があり、そこには僕が身につけたことがないものが入っていた。先のパンティとキャミソールのセットとマッチしたガーターベルトだった。これも12着。それにストッキングも12本入っていた。ガーターやストッキングについては、アンジーは僕に身につけるように頼んだことはなかった。だが、そう頼まれるのも時間の問題だろうと僕は思った。

僕はすべてを箱の中に戻した後、この状況について考え始めた。もちろん今は、アンジーが興奮するように彼女の下着を着ている状態にはなっていない。だが今は、自分自身のランジェリーを持っていることになった。アンジーは僕にそれを着て欲しがっている。これはアンジーが買ったのは確かだが、彼女の性格からすれば、今は僕のものとなっているのは確かだ。そうなると、状況のすべてが変わってしまう。

考えがまとまらないうちに電話が鳴った。受話器を取る前に、これはアンジーからの電話だと思った。

「もしもし? プレゼント、気に入ってくれた?」

「ああ、とても気を使ってくれてありがとう。でも、ひとつだけ訊きたいことがあるんだが…」 アンジーは僕の言葉を遮ることなく黙って聞いていた。「…僕は、僕が君のパンティやキャミソールを身につけたのは、君のを着ることで君が興奮してくれるからだと思っていたんだけど…」

「ええ、そうよ。あなたはとても優しかったわ…。でも、私ね、あなたがアレを着てとても楽しんでいるのに気づいたのよ。だから、あなたに、あなた専用のをあげることにしたの。それに、この週末、私の下着をあんまりたくさん使って楽しんだでしょう? だから私が着るもののほとんどすべて洗濯しなくちゃいけないのよ。でも、こうしてあなた専用のがあれば、私が貸してあげるのを待たなくてすむでしょう? 気に入ったものを自分で選べるわよ」

「でも、それでも君は興奮するの?」

「もちろん! あなたが自分の部屋で独り座って、セクシーなランジェリーを身につけてる。そう考えただけで、私、文字通りびちゃびちゃになってしまうのよ」

と、アンジーは息を切らして嬉しそうに話した後、誰かに聞かれるのを心配してるようにひそひそ声になって、

「もっと言うとね、それを想像しながら自分でしちゃおうと思ってたの。でも、今度いっしょに会う時までとっておきたいわ。あなたも、私のためにとっておいてくれる?」

と、続けた。僕はそうするよと言うと、

「いいこと? ストッキングとガーターを身につけるときは、ガーターの上にパンティを履くのを忘れないようにね。そうすれば、トイレで便器に座るときガーターとかを脱がなくて済むから」

と言った。

お喋りが終わりにさしかかり、互いにおやすみなさいと言う頃には、僕はすっかり説得されて、あのランジェリーは実際には僕のではあるけど、アンジーのために着る気になっていた。

シャワーを浴びた後、新しいナイトガウンとパンティのセットを身につけてベッドに入った。その時になって初めて、アンジーと一緒にベッドに入らないとひどく寂しく感じることに気づいた。

翌朝、目覚めた後、例の箱の中を漁り、その日に着るパンティとキャミソールのセットを探した。それに新しいシャツとカフスも取り出した。夜、帰宅したら、この新しい衣装を締まっておくための場所を作らなければいけないだろうと思った。

選んだのは、ベージュ色のセットだった。赤いバラと緑の葉の模様がついている。外から見えないようにと祈る気持ちでその上にシャツを着た。着た後、鏡を見て安心した。期待通り、シャツのおかげで外からは、中にキャミソールを着てるのが見えないようになっている。

ストッキングとガーターを見て、着るべきかどうか考えた。興味をそそられたが、やはり考え直して、着ないことにした。臆病者と言われそうだけど。

事務所に着くと、アンジーが囁き声でどんなものを着てきたのか僕に訊いた。僕も囁き声で選んだ下着を話した。彼女はストッキングとガーターベルトを着てこなかったのを知り、がっかりした顔をしていた。翌日、ストッキングとガーターも着て出勤した。アンジーはとても嬉しそうな顔をしていた。

その一週間はかなりのんびりと過ごした。事務所ではあまりすべき仕事がなく、時間つぶしの作業が大半だった。それでも僕もアンジーも7時まで仕事を続け、その後、一緒にレストランに夕食に出かけた。そして、食事の後、駐車場で、二人とも興奮のため我慢できなくなるまでキスを続け、二人ともすっかり興奮したまま、それぞれの家に帰っていくという毎日だった。

木曜日。夜、レストランにて注文の食事が来るのを待つ間、アンジーは、僕のズボンの上からガーターをいじってからかっていた。これは、最近、彼女が面白がってするようになったことである。

「明日、私の家に来るときは、月曜日に着るためのスーツを持ってくるのを忘れないでね。そうすれば、月曜に仕事に来る前に家に帰る必要がなくなるから」

「多分、ランジェリーもたくさん持って行った方がいいよね? 今夜、家に帰ったら洗濯しなくちゃいけない」

「洗濯するのはもちろんだけど、明日はランジェリーの方は何も持ってくなくていいわよ。もう、あなたが家に来る時に着るようにと、もうひとセット買ってあるから。しょっちゅう、あなたの家と私の家に運ぶのなんて馬鹿げているし」 と食事が来たとき彼女は言った。

ウェイトレスが去って行ったあと、僕は訊いた。

「もうひとセット買ったって?」

「ええ、そうよ。それに私自身にもたくさん買ったわ。あなたには、ドレスも、可愛いスカートも、トップも何着か買ったの。だって、いつもランジェリー姿でいるわけにもいかないでしょう? もう、この話しは明日にしましょう。誰にも聞かれないところでね。他の人にあなたがどんなものを着ているか知られたいなら話は別だけど…」

この言葉で、僕は黙らずにはいられなくなってしまった。食事の後も、そのことで何かを聞く気にもなれなかった。と言うのも、店を出て駐車場に行った後は、ずっとキスや愛撫を続けたからだ。あまり長い時間、外でくっついていたので、最後には寒さで二人とも震えていた。

その夜、僕は車を家へと走らせながら、この週末はどんなことになるのだろうと考えていた。

* * *

僕はあのバカ野郎の家の窓の外に立ち、妻があいつの大きなペニスをしゃぶっているのを見ながら、思いだしていた。あいつのトラックを見かけたのは、あの週末の時が最初だったのだと。

アンジーがあいつの家に行くところを尾行したときには、あのトラックはかなりボロボロになっていたが、あの最初に見かけたときは、それほどひどい状態にはなっていなかったと思う。とはいえ、その時点ですでにかなりおんぼろの印象はあったが。

もちろん、あの日の僕は、あのトラックにたいして注意を払わなかった。ハイウェイにある行き先案内のボードのようなものだ。そこにあるのは知っていても、注意を払ってみない限り、ちゃんとは見えていないものなのだ。

あの週末、僕はアンジーの家へと車を走らせていた。その時、向こうからあのトラックがやってきたのだ。アンジーの家に通じる道路を向こうからやってきて、僕の車とすれ違ったのだった。


つづく
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