「ポルノ・クイーンの誕生」 第8章 (4/5) Making of a Porn Queen Ch. 08 by Scribler 第1章第2章、第3章第4章第5章第6章第7章第8章 (1/5) (2/5) (3/5)
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ビルは、この前、コンピュータの前で作業していたのと同じ4階の部屋にいた。部屋の前に来ると、ビルの隣に可愛いブロンドの女の子が座っていて、彼が何か話しているところだった。ブロンドの娘の前のディスプレーには、昨日、撮影した私の写真が映っていた。クリスが登場する前の、私が自慰をしているところの画像。

どうしてか分からないけど、ビルが彼女に話しかけているのを見て、ちょっとやきもちを感じた。それに彼女が私の写真を見ていることにも、ちょっと恥ずかしさを感じた。

私がビルに声をかける前に、ビルの方が私に気づき、声をかけた。

「ステフィ! 入ってくれ。すぐに終わるから」

ブロンドの娘は私を見て、にっこりと微笑んだ。ビルは立ち上がり、私に両腕を回して抱き寄せた。私の唇にキスをし、それから彼女に向かって言った。

「ベッキー? こちらがステファニー。 ステフィ? こちらはベッキー・アンブローズ。彼女は雑誌のための写真の複製作業をしてる」

ベッキーは立ち上がり、手を差し出し握手を求めた。

「会えて嬉しいわ、ステフィ。いま、あなたの最初の画像に作業しているところなの。こんなこと言ってお気に障らなければいいんだけど、とってもエロいわよ、これ。あなた、絶対、男たちの人気者になるわ。私には分かる。…ただ、ひとつだけ問題があるの。あなたの名前のこと。何か芸名を考えている? たいていの女優は本名を使わないの」

さっきちょっと感じた恥ずかしさが、もっと強くなってきた。彼女の言葉を聞きながら、顔が熱くなってくるのを感じた。

「いいえ、芸名は何も… 芸名のことを考えすらしてなかったの」

「そう… 芸名があった方がいいと思うわ。だから、考えておいて。決まったら教えてね。でも、ちょっと急いで欲しいの。ロスに戻るときまでには、これを印刷に回さなければいけないから」 ベッキーは私の手を握ったまま話した。

「何か決まったらすぐに、知らせます」 と彼女に言い、それからビルに向かって 「もうランチに行かないと。セットに戻るまで1時間しかないの」 と言った。

ビルと二人で階下に降り、とても美味しくランチを食べた。食事の間ずっと、私たちはおしゃべりを続けた。それに、食べながら、芸名のことも考えていた。でも、これといって、特に、人から呼ばれたい名前は、何も出てこなかった。

ランチの後、ビルと二人でプール周辺を散歩した。ビルは夕食を一緒に食べようと、私を誘った。私は、今夜はマリア、トレーシー、マーク、それにヘレンと一緒に夕食を取りたいと言った。みんな私の友達だし、もっと言えば家族のようなものだから。それに、ビルには、私の時間を独占できるとは思って欲しくなかった。そこで、ビルも私たちと一緒にディナーに加わって、と誘った。

ランチの後、再びヘレンと一緒に別のシーンの撮影に備えて待機した。今度のシーンは、マリアは関わらない。彼女の撮影は今日の分は終了していた。今回は、サミーとピーターと言う名前のゲイの絡みだった。ピーターはとても優しい人で、勃起の反応も早かった。サミーも同じく反応が良かった。ではあるけど、シーンのセットに時間がかかったのも事実だった。

その日の撮影が終わる頃には、私の唇はかなり腫れ上がっていたし、ものすごくエッチな気分にもなっていて、ベッドが壊れるほどセックスしたい感じになっていた。ありがたいことに、マリアとヘレンも私と同じくらいエッチになっていたので、ディナーの前に3人でお互いの欲求を解放する素敵な時を過ごすことができた。

気分をすっきりさせた後、ドレスアップして、5人で外に出かけ、素敵なレストランに入った。マークは私たちに、今夜行くレストランはとてもシックなビストロなので、ドレスアップするように言っていた。それを言われた時、ビルのことが気になった。勝手にビルを誘ったけど、それでよかったのかしら? でも、マークは、全然大丈夫と答えてくれた。ビルも来れば、男はマークだけということにならないから、かえって良いのだと。

マリアとヘレンと一緒に1時間半もベッドにいて、2回は素敵なオーガズムを味わっていたけど、それでも、まだ私の身体の中に火がくすぶっていた。だから6人で車に乗り込んだあと、どうしてもビルを焦らしたい気持ちになっていた。レストランへ車で移動する間、私はずっとビルの太ももの内側を擦り続けていた。それと同時に、彼の手を持って私の太ももの内側を擦らせてもいた。

レストランに入っても、彼の太ももを触り続け、足先を使って彼にあんよ遊び(参考)もした。表向きはとても上品に振舞っていたつもりだったけど、トレーシーには何をしてたかばれていたみたい。ある時、彼女は私に顔を寄せて、「もう少し落ち着きなさいよ」と忠告した。その後は、私は本当にレディらしく振舞った。

ディナーの間、みんなで私の芸名について話し合った。いろんな候補が出された。とても滑稽なのやら、あからさまで下品なものまで。もちろん、他のお客さんに聞かれないよう、囁き声での会話で。でも、結局、何も決められなかった。

レストランを出て、ホテルに戻った。マリアとヘレンはトレーシーの部屋に呼ばれて行った。そのおかげで私は独りになった。トレーシーが私にビルのところに行くチャンスをくれたのだろう。とても嬉しく感謝している。

この日、いち日のビルの行動を見て、ビルが私と恋人同士であることを誰に知られても気にしないことを知った。もっと言えば、彼は、他の人がそばにいるときはいつも、あえて愛情たっぷりに私にキスをしていたと思う。彼がそれほど切実に辛抱強く私を認める行動を取ってくれたからか、私はどうしても彼と一緒に夜を過ごしたい気持ちになっていた。

マークたちがマリアやヘレンを連れて部屋に行った後、ビルは私に問いかけた。

「僕とダンスしてくれない? まだ、今夜はこれでおしまいって言う気分になれないんだ」

そう言ってビルは両腕で私を包み、抱き寄せた。私は彼の唇に軽くキスをした。

「私も同じ気持。でも、私がしたいのは、あなたの部屋に行くこと。ダンスなら、そこでもできるはずよ」

ビルはにっこりと微笑んだ。

「それは嬉しいけど、ほんとにそう思ってるの? 僕は、君には、君をベッドに連れ込むことにだけ興味を持ってると思われたくないんだ」

私は、誘惑的な笑顔をして見せた。

「うふふ… 私はあなたをベッドに連れ込むことに興味を持ってるの…。そんなことを言って、下品だと思われなければ良いんだけど…」

ビルは私に情熱的なキスをし、その後、私を連れてエレベータに向かった。

部屋があるフロアに着いた後、すぐにでも彼の部屋に入りたかったけれど、気になることがあってできなかった。彼の部屋に入る前にしておかなければならないことや、用意しておきたい物があったから。

私は、ちょっと待っててと言い、自分の部屋に駆け戻った。

自分の部屋に戻り、急いでお化粧を直し、新しい下着に着替えた。それに眠るときのナイティと、明日の朝に着る服も用意した。もちろん、エネマのセットも持っていかなければいけない。あれをしないと、清潔になってるという気がしないから。

外泊用の大きなかばんを持って戻ったけれど、ビルは部屋のドアの前で私を待ってくれていた。彼は、こんな大掛かりな荷物を持って出てきた私を笑ったりしなかった。ただ優しく抱いて、キスをしてくれた。部屋の中に入ると、彼はすぐに私を抱き上げ、寝室へと運んだ。

寝室に入るとビルは私を降ろして立たせてくれた。それからまたキス。二人せっかちにお互いの服を脱がせあいながらキスをした。

服を脱がせることに関してはビルの方がずっと楽だったと思う。というのも、彼は私のドレスのチャックを降ろすだけでよかったから。チャックが降りた後は、私のドレスはするりと床に落ちてた。

私の方は、もっと仕事が多かった。彼のネクタイを解き、スーツ・ジャケットを脱がせ、ボタンダウンのシャツを脱がしていく。その後、ズボンのベルトを外し、靴や靴下も脱がせた。

ビルは裸になったけれど、私の方は、まだコルセットとストッキングを身につけたままだったし、ハイヒールも履いたまま。その格好のまま、ビルは私をもう一度抱き上げ、ベッドへ連れて行ってくれた。

彼は私に唇を重ねたまま、優しくベッドへ降ろしてくれた。彼の手が私の身体を這い回っていた。まるで、私の身体のすべての部分について、一つ一つの感触を記憶に留めようとしているように心を込めて触っている。

彼の両手がパンティに掛かった。彼は、すごく強く引っ張って脱がしたので、破けてしまうんじゃないかと思った。でも、破けてしまっても私は気にしない。彼なら喜んで新しいのを買ってくれるはず。

パンティを脱がした後、ビルは私のクリトリスを隠してた場所から外に出してくれた。ビルは、私のそれがあるのを気にしていたかどうか。でも、そんなそぶりは少しも見せず、優しく擦り始めた。やがて私は、赤ちゃんのような泣き声をあげて悶えていた。

私も、ただなされるがままになっていたわけではなかった。両手で彼の男性を立ち上がらせようとしていた。でも、その作業はほとんど必要なかった。最初から、彼のはすっかり勃起していたし、プレカムで濡れていたから。睾丸の方も、ぱんぱんに膨れていて、今すぐにも中に溜まっているものを出したくてうずうずしているのがはっきり分かる。

私はもう待ちきれなくなって、彼の肉棒を引っ張った。

「お願い、ビル… 私にして… 中に入って欲しくてたまらなくなってるの… して、して、お願い……」

ビルが準備万端になっていたか分からなかったけど、彼はもちろん私の願いを断ることはなかった。私の脚の間に身体を割り込ませ、お尻を抱え上げた。両膝が胸に触れるくらいまでお尻を上げられた。彼の指がアヌスに入って来たけど、何か濡れたものを感じた。潤滑液を塗ってくれてたみたい。

そして、とうとう彼のペニスが私の中に入ってきた。ビルは、ゆっくりと根元まで入れた後、私に愛の行為を始めた。

最初はゆっくりと安定したリズムで動いていた。でも、やがて二人の解放されたいという欲求が高まってくると、ビルは力強い突きで私に出し入れを始めた。

その間、私はずっとよがり泣きの声を上げ続けていた。激しく出し入れされながら、彼にしがみついていた。自然に足の指が内側にカールしていた。

もはや堪えられないと感じると同時に、オーガズムが洪水のように押し寄せてくるのを感じた。そして次の瞬間、私は、ああーんと弱々しい泣き声をあげて絶頂に達していた。クリトリスから濃い白濁が噴射して、滝水のように私の身体に降りかかった。

夢のような射精が終わり、ようやく落ち着いたと思った頃、お尻の中をビルの熱い体液で満たされるのを感じた。たったそれだけのことなのに、私はまたもオーガズムに達していた。

激しいセックスだったけれど、二人ともほんの少ししか休んでいなかった。ビルは、私のコルセットのところに顔を寄せて、私が放ったものを舐めてくれた。それが終わると、今度は私がくるりと向きを変え、ビルのペニスを口に入れて、きれいに舐めてあげた。そしていつの間にか、彼のはまた固くなっていた。ビルも今度は私のクリトリスを口に入れて、私も固くなるまで吸ってくれた。

もう一度、愛の行為が始まった。でも、今度は前より時間をかけた行為。それに、行為の間、何度かいろいろ体位も変えた。私が上になって動いたり、彼が私を四つんばいにして後ろからしてくれたり。

再びビルが私の中に発射してくれたとき、私は仰向けになって、ハイヒールを履いた足を彼の耳の近くに上げていた。この時は、私は射精しなかったけれど、ビルは気を使って、優しく私を吸って、最後に彼の口の中に出すまで続けてくれた。

愛の行為の後、私はビルとバスルームに行き、彼に私がアナルを洗浄するところを見せてあげた。そのことを私は全然恥ずかしいと思わなかったし、彼も喜んでいたようだった。

洗浄の後、彼と二人でシャワーを浴び、それから一緒に身体を絡めあいながら眠りに落ちた。朝、目が覚めた後も、もう一度、愛し合い、それから私はシャワーを浴び、彼を残して部屋を出た。

この日は、初めてプロ女優としてカメラの前に立つことになっていたので、私は朝からとても興奮していた。朝食を、マーク、トレーシー、ヘレン、マリア、そしてもちろんビルと一緒に食べた。途中、マイクも加わった。私にサインして欲しい書類があるという。最初の書類は、二日前に撮った写真の出版許可書だった。

マイクはその書類に書かれていることを私に説明しようとしていたけれど、法律的なごちゃごちゃしたこととやらがいっぱいあって、マイクの言ってることの大半は、理解できなかった。私はあまり考えずに書類にサインした。マークは私が困るようなことは決してしないから、大丈夫だと思う。

私が最初の書類にサインすると、マイクはとても安心した様子だった。そして、すぐにもう2つ書類を出した。これは、これから撮影する映画と、その宣伝のために使う写真のための書類。すべての書類にサインすると、マイクは私の額にキスをし、がんばってねと言って立ち去った。

朝食を済ませた後、衣装部門に行ってお化粧と衣装決めをすることになっていた。衣装では、スカートはとても丈の短いミニスカートで、やっとパンティが見えないで済む程度だったし、トップの方はカット・オフのTシャツで胸の丘の下半分ほどが見えてしまうようなものだった。ブラジャーはくれなかったし、つけなさいとも言われなかった。

豊胸手術を受けた後、ブラなしでいるのは、この時が初めてだった。確かに、私の胸はつんと立っているし張りもあるのでブラジャーは必要なかったけれど、それでも、どういうわけか、ブラジャーをつけていないと、何か裸でいるような感覚があった。そこでTシャツの上に、ボタンは留めないままで、シルクのボタンダウンのブラウスを羽織った。

靴はハイヒールではなく、履き口のところにレース飾りがついた白いアンクル・ソックス(参考)と白いテニスシューズを与えられた。多分、春休みを楽しむ娘たちはセクシーなハイヒールなどは履かないからということなのかもしれない。その後、ピンク色のスーツケースを渡され、正面玄関に行くように言われた。

正面玄関に行くと、そこにはマークがいて、6人の他の女の子たちに話しをしていた。私が来るのを見て、マークが言った。

「良かった、これで全員集合だ。最初のシーンについては、君たち7人がバンから出てくるところを撮りたい。みんなでキャアキャアとはしゃいで出てきてほしい。君たちは春休みに入ったところで、みんなで大いに楽しもうとしているという設定を忘れないように。ステファニー? 君が最初に降りてくること。その後に続いて、サミー、ブリジット、アマンダ、サリー、トリキシーと続いて、最後がタバサだ。全員がバンから降りたら、運転手からスーツケースを受け取って、みんなでまとまってホテルに入り、ゆっくりとフロントの方に歩いて行くこと。いいね?」

全員でバンに乗り込み、撮影のキューが出るのを待った。待っている間、私は他の女の子たちを観察した。

タバサは、この集まりの中で抜きんでて一番可愛い人だった。長いブロンドの髪の毛をしてて、完璧といえるスタイルで顔を縁取っている。とても女性的な顔つきをしてて、本当に、本物の女の子のように見えた。私よりも5センチほど身長が高く、ウエストはほっそりとして、女っぽい腰つきをしてる。胸も私のより大きいけれど、彼女の体つきにうまくマッチしてるみたい。

アマンダとサリーは、どちらかというと、私も含めた他の女の子よりは、女性っぽくなかった。正面から二人の顔を見たら、確かに女の子に見えるけれど、横から見たら、前は男だったんだなって分かるかもしれない。身体の点では、二人とも十分女性的で、細く長い脚に大きな胸が魅力的。でも、やっぱり、前は男だったのだなって思わせるところが残ってた。

バンのドアが開くのを待っているとき、運転手役の男の人について、サミーが突然、ジョークを飛ばした。それを聞いて、私たちは一斉に笑いだした。まるで女子高生の集団みたいに。マークでも、これ以上うまい段取りは計画できなかっただろう。というのも、運転手がドアを開けたとたん、バンの中から女たちの笑い声が聞こえた形になったから。

カメラは、バンから出る女の子に一人ずつ焦点を当てて撮影した。私たち全員がスーツケースを受け取ると、みんなでまとまってホテルに入り、フロントに向かった。その間、カメラはずっと私たちのミニスカートや、揺れるヒップを横から撮り続けていた。そしてフロントデスクの前に集まったところで、マークが「カット!」と叫んだ。

次に、私たちは、映画でのそれぞれの役名を教えられた。チェックインするときに、その名前を使う。一人ずつ、フロントに立っているマリアにカードを渡す。マリアは、そのカードの名前をコンピュータに打ち込み、その後、ドアのキーを差し出し、部屋が何号室になるか教えるという手順だった。

その時になって初めて、私は、私がトリキシーと同じ部屋になると分かった。キーを受け取った後は、みんなでゆったりとエレベータの方へ歩く。私たちの後をカメラが追って、撮影すると、そういう流れになっていた。

このシーンは、完成版ではあまり長いシーンじゃないけれど、それでも撮影には2時間以上かかった。その撮影後、私たちは30分、休憩時間をもらった。その間にマークは3階フロアにセットを組み立てる。

マークはクルーと一緒に3階に行く前に、私とトリキシーに、二人、仲良くなっておくようにと言った。というのも、ランチの後、最初に撮影するセックス・シーンは、私たち二人の絡みになるからと。

トリキシーと二人でリフレッシュ・コーナーに行ってソーダを飲んだ。その間に、彼女の体つきを観察した。彼女は私より10センチ以上は背が高いけれど、背が高いのは脚の長さによるものと言えた。腕も長く、手はほっそりとして指が長かった。私が知ってるTガールは大半が長い髪の毛をしていたけれど、彼女はそれに比べると、かなり短い髪をしていた。色は茶色。瞳は、くりくりと丸くて、チョコレートのような色で、鹿の目を思わせた。

二人で飲み物を手にロビーのソファに座って、出番の呼び出しが来るのを待った。腰を降ろすとすぐにトリキシーは私の手を握って言った。

「マークの話しだと、あなた、今回が初めての女優の仕事だそうね? ということは、これまでカメラの前でセックスした経験がないということ?」

「プロとしては初めてだけど、アマチュア作品なら、マークや他のお友達と何本か撮ってもらったことがあるのよ」

トリキシーはにっこり笑った。「それは良かったわ。ということは、少なくとも、どういうことが求められているか分かってるということね。されると嫌なことって何かある?」

私はちょっと考えてから答えた。「う〜ん… 私、まだ、嫌だと思うことは、したことがないと思うの」

トリキシーは嬉しそうに私の手を揉んだ。

「それも良かった。どうやら私たち、この仕事をものすごく楽しめそうな感じね。普通だと、マークは、いったんカメラが回り始めたら、私に好きなことをさせるの。もちろん、何か特別に撮りたいことがある時は別だけど、そうでないときは私に任せるわ。一応、私の方が経験がありそうだから、最初は私にリード役をやらせてくれる? もし、私があなたが嫌だと思うことをしたら、その時は軽く私を押し返してくれる? そうしたら、やめるから。いいわね?」

「ええ。いいわ。ありがとう」

その時、マークに呼びかけられ、エレベータに乗るよう言われた。

3階に着くと撮影が開始。私たち7人そろって、自分たちの部屋に向かった。サミーが最初の部屋に入った。彼女はルームメイトなしなので、一人部屋だ。タバサとアマンダがサミーの向かい側の部屋。ブリジットとサリーは、その隣の部屋で、その向かい側が私とトリキシーの部屋だった。

部屋に入るとすぐに、マークはカットと声を上げ、そのシーンが終わった。マークは、トリキシーと私にランチを食べて、午後の1時には準備が出来ているようにと指示を出した。他の女の子たちには、本日の出番はこれで終了と伝えていた。

私は自分の部屋に戻りシャワーを浴び、午後の撮影に備えて丹念に洗浄を行った。身体を清め、メーキャップもなおした後、昼食を取りに下のロビーに行くことにした。

部屋を出ると、ちょうど同じくトレーシーも部屋から出てきたところだった。トレーシーは私の姿を見るとすぐに、両腕を広げて見せ、私は近づいて、彼女の腕の中に飛び込んだ。二人抱き合いながら、しばらくキスをした。

トレーシーは、私の唇から唇を離すと、こう言った。

「今朝はどうだった? 万事順調だといいけど?」

「そう思います。マークは、どこもまずいところがないような様子だったから」

二人でエレベーターに向かって歩きながら話しをした。

「問題はなかったみたいね。それで、午後のシーンについてだけど、改めて、やりたいという気持ちになってるかどうか… どう? 私もマークも、あなたには義務でやるというふうに思ってほしくないの。取りやめにするのは、今からでも遅くないのよ?」

「そういうふうには、全然感じていないんです。やってみたい。そのことについてはずいぶん考えてきました。今は、試してみたいと本当に思ってるんです」

二人でエレベータの前に来て、エレベータが来るのを待っていた。トレーシーは私の額にキスをした。

「そういう気持ちでいてくれて、嬉しいわ。それで、今夜のことなんだけど、マークが、私に、あなたを今夜、私たちのベッドに招待してくれって言ってたの。でも、ビルと予定があるなら、断ってくれてもいいんだけど」

私は、ビルとよりもトレーシーとマークとベッドに入る方が、ずっと好きだった。誤解してほしくないのだけど、ビルとのセックスはとても楽しんでいる。だけど、マークとトレーシーと一緒のセックスは、それよりはるかに楽しいのだった。

「今夜あなたがたとベッドを共にする栄誉を嬉しく存じ上げますわ。今日は早めに撮影が終わるといいわ。そうなれば一緒に過ごす時間が長くなるから」

私の大げさな言葉遣いにトレーシーは、アハハと笑い、私をもう一度抱きしめた。「今夜は、ビルをもてなすのは、マリアとヘレンに任せることになるかもね。彼のような良い男が欲しいと思ってる女の子は、ここには他にもいることを教えてあげましょう」


つづく
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