「ジャッキー」 第13章 Jackie Ch.13 by Scribler 出所 1234 1/2 2/256789101112
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これまでのあらすじ
ジャックは妻アンジーの浮気現場を見てショックを受け、彼女と知り合った頃を回想する。彼は法律事務所のバイト、アンジーはそこの上司。仕事を通じ親密になった二人は交際を始め、その過程でジャックは女装の手ほどきを受け、ジャッキーという呼び名をもらう。ジャッキーは、女性としてアンジーとデートし、初めてアナルセックスをされ、オーガズムに狂う。やがて二人は同棲を始めた。ジャッキーはバレンタインデーの贈り物としてアンジーのためにメイドとなるが、期待に反してまるで性奴隷のように扱われる。しかし翌日、今度はジャッキーのためのバレンタインデーだと、アンジーはデートに誘い、ジャッキーに結婚を申し込み、ジャッキーもそれを承諾したのだった。

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二月の末、僕は初めてアンジーの両親と会った。二人とも、一人娘が結婚すると知って、大変な喜びようだった。ご両親はアンジーがレズビアンかもしれないと思っていたのだろうと思う。アンジーが父親に僕のことをフィアンセだと紹介した時、彼が安堵の表情を見せたように僕には見えた。

結婚式の日取りは6月末に決まった。アンジーと初めて出会った日のちょうどひと月前にあたる日だ。あの日、法律事務所の書庫に寝ころんでいたアンジーに僕がつまづいたのが出会いだった。

式までの4カ月は死ぬほど慌ただしかったが、何とか二人で頑張り、6月の最後の土曜日、アンジーの父親のカントリー倶楽部で僕たちは結婚した。

僕たちの結婚式は、普通の結婚式と何の変わりもないものだった。僕はタキシードを着て、アンジーは白いウェディングドレスにベールをかぶった姿だった。だた一つ違いがあるとすれば、僕たち二人とも服の下にはまったく同じ下着を着けていたことだけだった。二人とも白のレースのコルセットを締め、それにマッチしたブラジャーをつけ、同じくマッチしたパンティとシルクのストッキングを履いていた。アンジーはヒール高5センチのハイヒールであったが、僕はヒール高8センチの紳士靴を履き、二人の身長が同じになるよう調節した。

結婚式は素敵に進行したし、新婚旅行も最高だった。マウイ島のひと目につかないバンガローで2週間過ごした。もちろん、僕は、夜はジャッキーとして過ごし、昼はジャックとして過ごした。もっとも、誰にも見られない時は、ビキニ姿でビーチに出て、日光浴をした日も、二日、三日ほどある。

ハネムーンから戻るとすぐに、僕の世界が崩壊し始めた。まず、事務所から、二人が結婚した以上、僕とアンジーは同じ職場で働くことはできないと伝えられた。僕は別のパートナーのところに配置換えになり、アンジーは新しい調査員をあてがわれることになるだろうと。

僕は、事務所の方針に従うつもりではいたが、もちろん嬉しくは思っていなかった。一方、アンジーの方はかんかんに怒って、対抗し始めた。まず最初に、彼女は事務所を退職すると脅かしをかけ、僕に代わる誰かを自分で見つけるまでは、僕を手放すつもりはないと、勝手にストライキを始めた。もちろん、事務所の方では、アンジー、彼女自身が望む場合は別だが、そうでない場合は、僕に代わる人を見つけることは決してないだろうと知っていた。

とういわけで、最終的に妥結案が出された。それは、僕が事務所を退職し、フリーランスの調査分析員となるという案である。以前と変わらず僕は事務所に給与をもらうし、僕の調査が必要な人なら誰でも僕に仕事を指示することができる。その代償として、アンジーは常勤の秘書として主任調査分析員を使うことを諦めるということだった。

この妥結案に対してアンジーは喜んだわけではなかったが、これが最善の案だということも分かっていた。加えて、僕は他の人にはほとんど仕事を頼まれなかったので、事実上、大半の時間、僕を手元に置いておくことが可能だったのである。

僕は依然と同じく事務所の資料室を使うことができたし、ネットも持っていた。ネットはときどき仕事の邪魔にもなるが、役に立つ道具であるのは間違いない。実際、在宅の仕事になって、アンジーのそばにいられないのは寂しかったものの、それなりに楽しんでいたと思う。それに、これも依然と同じく、アンジーに付き添って裁判所に行き、彼女の後ろに座って、法廷作業をする彼女の姿を見ることもできていた。もっとも、それができる回数は、期待したほど多くはなかったが。

在宅になって、家で仕事をするとき、最初はジャックの姿に着替えていたが、間もなく、ジャッキーの姿のままでいることが多くなった。ワイシャツとスラックスの姿より、ブラウスとスカート姿の方がずっと居心地がよくなってきたからである。一日の大半を女の子の服装でいようと思うと話したら、アンジーは嬉しそうな顔をしていた。

それからの半年間は、素晴らしい生活だったと思う。セックス相手として、アンジーはとても積極的だったし、その点では僕も負けてはいなかった。ウィークデイでも週に平均して3日か4日は愛し合ったし、週末はずっと愛し合う日々だった。もちろんアンジーが生理になった時は別で、その時は一切、その手の行為は中止になった。

平均して月に一日は、僕はメイド服を着るように求められた。普通は土曜日だった。その前日の夜に、アンジーはダイニング・テーブルに、僕があげたベルを置くのである。それは、翌日の朝にはメイドになっているようにということを示す合図なのだ。

メイドになってすることは、たいてい、僕が初めてメイドになった時とあまり変わらない。アンジーは一日中、僕をおもちゃのように扱った。ストラップオンで犯されたり、それを吸わされたり。それ以外の時は、仕事好きの可愛いメイドのように、家の掃除をした。初めての夜はベッドに手錠で拘束されたが、それはなくなった。ではあるものの、最初の夜と同じく眠る部屋は予備の寝室とされ、また、眠る時も、その日一日中身につけていたコルセット、ストッキング、パンティを脱ぐことは許されなかった。もちろん、興奮しきった股間を自分の手で慰めることも禁止。そこがようやく解放されるのは翌朝で、アンジーが僕の分身を口に入れて解放してくれるのである。

ふたりでダンスに出かけることも続けていた。女装した姿でである。もっとも結婚後は、ダンスする相手に僕たちが結婚していることを伝えることにしている。ただ、結婚していると伝えても、僕たちのダンス相手は全然ひるまないようだ。前と同じく、僕もアンジーもデートに誘われる。店の外のどこか、あるいは自分たちの家に行かないかと誘われるのである。

アンジーは僕に、誘ってくる男を裏の駐車場に連れて行ったら、とまで言っていた。連れて行っておしゃぶりしてあげたらと言うのである。もちろん、僕はそんなことはしないし、アンジーも僕に無理強いすることもない。これはただのお遊びで言ってることだと了解しあってるから。

夏が過ぎ、秋になり、10月になってようやく、僕は何か問題が起きていることに気がついた。10月の初めの頃、アンジーがとてもイライラするようになったのだった。ほんの些細なことでも、辛辣な言葉を言う。これはアンジーらしくなかった。彼女は普段は温厚な性格で、たいていのことでは苛立ったりしない。そんなある日、アンジーが遅くまで残業したことがあった。すると、その翌日には彼女は元の普段の彼女に戻っていたのである。

10月末あたりに、また同じようなことが起きた。その時も、残業をした翌朝は普通に戻ったのである。もっと言えば、その残業の翌日は、普段のアンジーよりも愛情豊かな振舞いをしていた。そして、それに似たことがさらにもう2回あった。その頃から僕は何かが起きてるのじゃないかと思うようになったのである。

こういうことが起きる時、アンジーは、決まって、残業から帰宅するとすぐに寝室に行き、シャワーに直行する。彼女が帰ってくる時間は僕はたいてい書斎にいて仕事をしている。アンジーは、僕が仕事を終え、寝室に上がっていくときまでずっとシャワーを浴びているのが普通だった。

11月末にも同じことが起きた。この時は僕はリビングルームで彼女の帰宅を待っていた。アンジーは帰宅するなり僕の前を通り過ぎてシャワーへ直行するだろうと分かっていたからである。

帰宅したアンジーを見た時、僕の知っているいつものアンジーとは別人のように見えた。髪はバサバサになっていて、お化粧も目の周りを除いてすっかり剥げていた。目のあたりの化粧は、泣き続けていたのではないかと思わせる乱れ具合だった。

何か悲しいことがあったのかと訊くと、アンジーは野良犬が車にはねられたのを見てしまい、泣いてしまったと答えた。それは可哀想にと僕はアンジーを抱きしめた。アンジーはしばらく泣いたが、その後、二階の寝室に上がり、シャワーを浴びに行った。

アンジーを抱きしめた時、ちょっと変な匂いがしたのに気がついた。何の匂いなのか分からなかったが、いつもの彼女の匂いとはまったく異なる匂いだった。

僕はアンジーの後に続いて寝室に行き、彼女がシャワーを浴びている間に、彼女の衣類を取り上げ、洗濯物入れのかごに入れた。その時だった。アンジーのパンティがくしゃくしゃになっていて、ところどころ破れているのに気づいたのである。こんなことは普通なかった。アンジーのランジェリー類はいつも完璧だったから。ちょっとでもほつれたところができたら、アンジーはすぐに捨てて新しいのを買うのが普通だったから。

その夜、僕たちはいつもどおりに愛しあった。素晴らしいセックスだった。だけど、ひょっとしてアンジーは僕に隠れて浮気をしているのではないかという悩ましい疑念が、どうしても頭から離れなかった。あらゆる状況証拠が、それを指し示している。だけど、僕は彼女を愛するあまり、それを認めることができなかったのだった。

最初は、なるがままにさせて、忘れてしまおうと思った。アンジーと別れたくなかったし、たとえ彼女が本当に浮気をしているとしても、ただの遊びだろうと期待し、やがてアンジーが元の自分を取り戻した後は、元の状態に戻れるだろうと。

1月の中旬になる頃には、僕はもはやこれ以上我慢ができなくなっていた。アンジーが再びイライラし始めたのを見て、まもなく彼女は僕に残業になると言うだろうと思った。今回は、アンジーを尾行することにした。何が起きてるのか、それを知るためだけに。

それは次の金曜日に起きた。昼過ぎ、アンジーは電話をよこし、残業をするので夜の9時か10時まで帰らないと言った。これは、僕にとっては、計画を実行に移せという相図でもある。

最初にしたことは、ジャッキーからジャックへの着替えである。ほとんどの部分は簡単に着替えができる。というのも偽乳房はブラジャーに収めてあるだけで、胸に接着剤でしっかりと固定はしていなかったから。とはいえ、指の爪からマニキュアを落とさなければならない。これにはちょっと時間がかかってしまった。

ジャックの姿になった後、僕は車に乗り、レンタカー会社に行き、そこでレンタカーを借りた。アンジーには僕のレクサスが後をつけるのを見られたくなかったからである。僕が借りた車は、ごく普通のシボレーの黒いミニバンで、窓が暗い遮光ガラスになっているものだった。バンに乗り換えた後、僕は会社のビルの向かい側に行き、そこに駐車し、待機した。

車の中、4時からずっとオフィスの前で待っていた。アンジーの車が駐車場にあったので、彼女はまだオフィスを出ていない。ちょうど5時になった時、アンジーが玄関から出てきた。まっすぐ車へと歩いて行く。

アンジーは車に乗り込み、僕の乗る車のすぐ横を運転していった。彼女は僕に気がつかなかった。まったくその様子はなかった。僕は、可能な時はいつも他の車が数台、間に挟まるようにしつつ、できるだけ彼女の車の近くにつけて尾行した。

やがてアンジーは、古い家々が並ぶ小さな地区へと進んで行った。どの家も70年代に建築されたような家々だった。古い地域ではあるものの、荒れているわけではなく、管理もできている。ともあれ、各家の玄関先に停まってる車はすべてピックアップ・トラックだった。それから察するに、この地域は労働者階級の人々が住む地域だと分かる。

そのまま尾行を続けていると、アンジーの車がとある家の玄関前へと入っていった。僕はそのまま走り続け、2軒ほど先の家の前に止め、素早くライトを消した。この季節、この時間では辺りは暗くなっており、この暗闇なら僕のバンも見えないだろう。

アンジーは見知らぬ家に入っていくところを人に見られるのを気にしていたかどうか。それは分からないが、いずれにせよ、彼女はそんなことを気にしている様子は見せなかった。まったく辺りを見回したりすることなく、まっすぐに家の玄関へと歩いて行った。中から玄関に出迎えがくるまで、ほんの数秒だった。玄関ドアが開くと、すぐに中から腕が出てきて、アンジーを掴み、家の中に引っぱりこまれたのである。

ここで、僕の話しの最初に戻る。

あの男の家の外、寝室の窓の外に僕は立ち、結婚して半年しか経っていない僕の妻が、汚い床に正座し、他の男のペニスを舐めしゃぶるのを見たのだった。僕は凍りついたように立ちつくし、23センチはあるペニスが彼女の口に出入りする光景から目を離すことができなかった。

アンジーがどういう気持ちをしているか、僕には理解できていた。大変な太さだから、まずは唇が慣れるのを待たなければならない。そして、あの太い肉棒を口に入れるには、あごも充分にリラックスさせなければならない。僕も、同じ経験があるので分かるのだ。フレンチメイドの制服を着て、アンジーの前に正座し、ストラップ・オンのディルドで何度も口を犯された。あの時の僕と、今の彼女はまったく同じ気持ちを経験している。

ただ、この男は、アンジーが僕にするときほど、アンジーに対して優しくはなかった。アンジーは両腕を脇に降ろしたまま、正座していた。一方、男は両手で彼女の頭を押さえ、まるでおもちゃを扱うように前後に動かし、彼女の口を犯していた。間もなく、男はペニスの根元まで彼女の口の中に押し込むまでになっていた。アンジーの表情を見れば、男のペニスで窒息しそうになっているのが分かる。目には涙が溢れ始めていた。

男はペニスを出し入れしながら、アンジーに何か言っているようだった。窓が閉まっているせいで、男が実際に何を言っているのかは聞こえなかったが、それでも言っている言葉は想像できた。多分、乱暴な言葉で、「お前はチンポしゃぶりが巧い女だ」とか、「俺のチンポで喉奥を突かれてるお前の顔、最高だぜ」とか、そういう言葉だろう。もちろん、実際には聞こえていないのだから、そんな言葉は僕自身の頭の中から作りだされた言葉なのは事実なのだが…。

アンジーがどれくらいの時間、男に口を犯されていたのか、僕には分からない。時間がまったく止まってしまったように感じられていたから。

ともかく、アンジーが男のペニスのあらゆる場所を舐め、そのすべてを口に入れたのは確かだ。何度となく、男は強引にアンジーの頭を股間に引き寄せた。ごわごわの陰毛に彼女の顔が押し付けられているのを、僕は何度となく見た。男はアンジーが来る前にシャワーを浴びていたらよいと願うが…。アンジーのためにも、是非そうであってほしい。

まるで何時間も続いたか、ほとんど永遠に思える時間がすぎ、ようやく男はアンジーの口からペニスを抜いた。

すると、すぐさまアンジーはベッドに上がり、四つん這いになった。お尻を男に向けて高く掲げている。アンジーが誘うようにお尻を振るのが見えた。何か男に言ってるのも見える。その言葉はやはり聞こえなかったけれど。

男はベッドに上がり、アンジーの後ろにつき、そのペニスを叩きこむようにして僕の妻に突き刺した。その行為にまったく優しさなどなかった。相手を気づかってゆっくり挿入するなど、気配も見せなかった。最初の接触で、アンジーの愛しい陰唇を亀頭で押し広げ、次の瞬間、男の両太ももが彼女の尻頬に叩きつけられていた。

アンジーは、こんなにも急に突き入れられ、ハッと息をのんだように見えた。それと同時に、彼女の顔には、すでにオーガズムに達していることを告げる表情が浮かんでいた。口を大きく開け、声にならない悲鳴を上げている。悲鳴を上げたくても声が出せないほどの衝撃を受けている顔だった。身体全体がぶるぶる震えている。僕とするときは自分でクリトリスをいじるアンジーだったが、この時の彼女はまったくその助けを借りていない。

その後、男は出し入れを開始した。強く、深々とした出し入れだった。突き刺すごとに、アンジーの肺から空気を押し出しているように見えた。

アンジーが男の方を振り返り、肩越しに何かを言うのが見えた。だが、僕には言葉は聞こえない。ただ、激しくやってとせがんでるのだろうとは、想像できた。

時折、男は彼女の後ろ髪を握り、出し入れするのに合わせて、ぐいぐい引っ張った。また、彼女の尻頬を乱暴に平手打ちすることもあった。遠慮のない強い叩き方で、叩かれた衝撃で彼女の尻肉がぶるぶる揺れるのが見えた。当然、間もなく、彼女の尻頬は薄い赤色になっていた。

この男が妻を犯すのを見ているうちに、僕自身が勃起をしているのに気がついた。僕にはこれは全然理解できなかった。自分の妻が他の男に乱暴に犯されている。それを見て勃起するなんてあり得ないはず。この事実は、僕に何を教えているのだろうか?

このセックスを通して、アンジーは少なくとも3回はオーガズムに達したと思う。それは、彼女の脚の下に流れている液体の量からの推測にすぎないが、それでも、以前、僕に、セックスではオーガズムに達せないと言っていた女性から、こんな量が出てるのである。

ちゃんと時計を見たわけではないが、男は少なくとも20分は打ち込みを続けていた。男はペニスを引き抜くと、アンジーの髪を鷲づかみにして、自分の方を向かせ、前に正座させた。その次の瞬間、男は僕の妻の顔面に射精を始めた。

真珠のような白色の濃い精液がロープのように男のペニスから噴出し、アンジーの顔面に振りかかった。目にも鼻にも白いロープが降りかかり、そこを覆っていく。髪にかかったのもあった。

射精が終わると、男は依然として固いままのペニスを使って、アンジーの顔面にスペルマを塗りたくった。まるで、スライム状の絵の具で絵を描くような感じで。

ちょうどその時、僕は自分自身がオーガズムに達しているのに気づき、衝撃を受けた。履いていたパンティがみるみる濡れてくるのを感じたのだった。触れてもいないのに射精していると、驚いた。

僕自身のオーガズムの波が引いて行くのを感じながら、二人ともいったん休憩に入るのだろうなと思った。まだ夜は長い。これで終わるはずはないだろうと。いつもアンジーは9時過ぎでないと帰ってこない。いまはまだ7時だ。だが、すぐに僕の予想は間違っていたと知らされたのだった。

男は休憩など取らなかった。妻の顔にスペルマを塗りつけた後、またも口に突き入れ、再び腰を使って突き始めたのである。この男のペニスは決して柔らかくならないのだ。ちょっと固さが落ちた程度にしかならないのだ。たった今、多量の精液を顔面に撃ち出したにもかかわらず、あたかも、そんなことがなかったかのように、アンジーの口を犯し始めている。しかも前と変わらぬ強引な激しさで。

僕はそれ以上、見続けることができなかった。窓から目を背け、レンタルしたバンに戻った。アンジーが戻ってくる前に、バンをレンタカー会社に返さなければならないし、自分の車で家に戻っていなければならない。アンジーには僕が外出していたのを知られたくなかった。

車を飛ばしながら、僕は、目撃したことを振り返り考えた。自分の命よりも大切と愛した女性。その女性が他の男に身体を捧げていた。最初、どうしてアンジーがこんなことをしてるのか分からなかった。僕は彼女が求めることをどんなことでもしたし、彼女がどんなことを求めても、それに疑義を挟んだりしなかったのに。だが、あの男がペニスを挿入した瞬間、アンジーがオーガズムに達したところを思い出した。その時になって初めて、僕はどうして彼女がこういうことをしたのか悟った。

そして次に、僕には彼女を満足させられる代物を持っていないことを悟った。僕のは小さすぎて、彼女が切望しているオーガズムを与えることができなかったのだ。それにアンジーが僕のペニスをまともな呼び方をしたことがないことも思い出した。いつも「可愛いの」とかと呼んでいたし、女装した時は「クリトリス」と呼んでいた。

それを悟った時、僕は気力が失われていくのを感じた。自分がまともな男でないことに対する絶望感に満たされた。それに、これからはアンジーを以前と同じような目で見ることができなくなったことも知った。あの男と大きさの点で決して敵わないと知りつつ、彼女と愛することなど、今後、決してできないだろう。

この情事は、かなり前から続いていたに違いない。僕たちが婚約するずっと前から。あの男のトラックが僕たちが住む地域を走り去るのを、去年、何度も見かけたことがある。あのトラックを目撃した日は、必ず、アンジーに面会の約束ができ、二人とが異なった時間に職場から帰った日だった。アンジーの面会相手はあの男だったのだ。僕がオフィスで働いている間、アンジーは僕たちのベッドで彼に性奴隷のように奉仕していたのだった。

もう二度とアンジーの顔を見ることができないと思った。彼女の顔を見るたび、あの男が彼女を犯すところを思い浮かべることになるだろう。

これから何をすべきか、決心するまで何分もかからなかった。アンジーが帰宅する前に、衣類をまとめて家を出るべきだ。自分自身の生活のためばかりでなく、アンジーの幸せのためにも、そうすべきなのだ。アンジーは僕に隠れて浮気をしているのは事実だが、それでも僕は彼女を深く愛している。

レンタカー会社に戻る代わりに、僕はまっすぐ家に帰った。アンジーが帰宅するまで、荷物をまとめる時間は2時間もないと知っていた。できるだけ迅速に作業した。紳士物の衣類しか集めなかったが、紳士用の下着を持っていなかったので、パンティは何着か集めた。普通の紳士用下着を買いに店に行くまでは、そのパンティで過ごそうと。

夜の9時、できる限りのすべてを二つのスーツケースにまとめ終えた。もうすぐアンジーが戻ってくるので、すぐに出発しなければならなかった。まだ持っていきたい物があったが、彼女が戻る前に出なければならない。

そして、かろうじて間にあったのだった。僕たちの住居地域を出てすぐ、アンジーの車が走ってくるのを見かけたからである。あの黒いミニバンに乗っていたのが僕だとは、彼女は決して気づかなかっただろう。

2時間後、僕はレンタカー会社にミニバンを戻し、自分の車へスーツケースを1つずつ運び入れ、そして車に乗り込んだ。そして酒屋に立ち寄りウイスキーを1本買い、安宿を見つけ、そこで悲しみを酒で紛らわしながら、一夜を過ごしたのだった。

アンジーと僕の銀行口座は別々だったので、自分が使えるお金はあった。僕が稼いだお金は僕の口座へ、彼女のお金は彼女の口座に振り込まれている。僕たちはもっぱら彼女の口座を使っていたのだが、アンジーは給与を別々にしておきたいといつも言っていたのだった。

最初、僕はホテルには一晩だけ泊まり、その後、自分のアパートを探すつもりだった。だが、不幸にも、そうはならなかった。ホテルの部屋に荷物を運び入れたとたん、強烈な絶望感に襲われたのである。

それから三日間、僕はベッドに横たわったままだった。ずっと、あの窓から見たことを反芻していた。加えて、アンジーと僕の生活についても、様々なことを思い出し、反芻していた。僕は彼女のことをとても愛している。彼女と別れることを思えば思うほど、絶望の度合いが深くなっていくのだった。

三日間、ベッドに横たわりながら、自分を憐れみ、自分の男性としての無能さを怨んだ。テレビはついていたが、見なかったし、何も食べられなかった。水を何杯か飲んだだけ。それも、何かの義務のように感じて飲んだだけだった。ウィスキーを買ったけど、結局、キャップを開けたものの、一滴も飲まなかった。シャワーも浴びず、髭も剃らず三日間過ごした。月曜の午後には、自殺を真剣に考えるほどになっていた。

ドアをノックする音を聞いたのは、月曜の夜だった。最初は無視したけど、ノックの音はしつこく続いた。とうとう、僕は我慢できなくなり、「誰か知らないが、どっかに行ってくれ、僕を一人にしてくれ」 と言った。

だけど、その言葉は、ドアの向こうの人物にもっと強くノックさせることにしかならなかった。

絶え間なくドアをガンガン叩くようになり、僕は飛び上がって、独りにしてくれと言うために、ドアを勢い良く開けた。少なくとも、そう怒鳴るつもりだった。ノックをしてたのがアンジーだと気づくまでは。

アンジーは、あの眩い笑顔で微笑んだ。それを見た瞬間、僕の心は彼女の元に戻った。それでも、僕の理性と僕の自我は、戻ってはいない。バタンとドアを閉めようとしたが、それより速く、アンジーはドアを掴み、部屋の中にするりと入ったのだった。

彼女は部屋を見回して言った。「どうしたの、ジャック? 誰かとしけこんでたの?」

彼女が冗談でからかっているのは分かったが、僕はそんな気分じゃなかった。

「しけこんでたのはどっちなんだ! とっとと、ここから出て、君のオトコの元に行ったらいいんじゃないのか!」 と僕は怒って言った。

アンジーが僕の言葉にショックを受け、僕がそれを言ったことに傷ついているのが見えた。直ちに彼女は言い返してきた。

「ただ冗談を言っただけよ。あなたのこと、本当に心配してたのよ。置き手紙もなかったし、どこにいるか誰にも言わなかったから」

「ふん! 僕がいなくなって、さぞかしハッピーだったんじゃないかと思ったけど? もう、いつでも好きな時に恋人を家に連れ込めるんだから。週末じゅう、ずっと一緒にいられるだろ!」

僕は金曜に買ったウィスキーを開け、グラスに注ぎながら言った。

アンジーは僕に近寄り、手からグラスを奪おうとした。

「あなた? 私の恋人はあなただけよ。ねえ、何のことか私に話して」

僕は彼女の手からグラスを奪い、言った。「アンジー、僕は君があいつといるのを見たんだよ。金曜日、君が職場を出た後、僕は尾行したんだ。君はまっすぐあいつの家に行った。そして、家に入って5分もしないうちに、もう寝室に入っていたんだ」

アンジーの顔に浮かんだ表情は驚きの表情と言っただけではまったく表現不足だろう。秘密が暴露され、僕がすべてを知ってることを理解したのだ。

アンジーはハンドバッグでお腹を押さえるようにして、崩れるようにベッドに座った。それとほとんど同時に、目に涙が溜まり始め、その後ゆっくりと、その涙が頬を伝い落ち始めた。


つづく
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