「ジャッキー」 第14章 Jackie Ch.14 by Scribler 出所 1234 1/2 2/25678910111213
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これまでのあらすじ
ジャックは妻アンジーの浮気現場を見てショックを受け、彼女と知り合った頃を回想する。彼は法律事務所のバイト、アンジーはそこの上司。仕事を通じ親密になった二人は交際を始め、その過程でジャックは女装の手ほどきを受け、ジャッキーと名付けられる。ジャッキーは女性として、アンジーにアナル開発され、オーガズムに狂う。やがて二人は同棲を始め、バレンタインデーの翌日、アンジーはジャッキーに結婚を申し込み、ジャッキーもそれを承諾する。最初は幸せな結婚生活だったが次第にアンジーの変調が目立ってきた。尾行したジャッキーはアンジーが他の男に性奴隷のように扱われているのを目撃する。その事実をアンジーに暴露すると、彼女は泣き崩れたのだった。

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アンジーは、涙を武器に使ったことはなく、ワニの涙(参考)すなわち嘘泣きをするような人ではない。もっと言えば、僕は彼女が泣くのを見たことがほとんどない。あったにしても、いつも、苦痛など現実的に泣く理由があった。

手で涙をぬぐいながら言う。「あれを見てしまったのね。ごめんなさい。でも、たとえどんなことを見たとしても、私が愛する人はあなただけだと分かってほしいの。あなたが見た、私の行為は愛とはまったく関係がないこと。もっと言えば、毎回、あの切望に負けてしまうたびに、自分自身に吐き気を感じているの」

アンジーが何のことを言ってるのか理解できず、訊き返した。「あんなことをするなんて、どんな切望なんだ? 大きなペニスに犯してもらいたいという動物並みの欲望なんだろ? それに、ずっと前から他の男を愛人として抱えていたのだったら、どうして、そもそも僕に結婚を申し込んだんだ?」

アンジーは立ちあがり、僕に近づき、僕の手からグラスを取った。

「お願い、ジャック。あの男のことを愛人なんて呼ばないで。彼にはいかなる意味でも、まったく愛情を感じていないの。あなたが信じたいと思うかどうか分からないけど、私の真の愛はあなただけなのよ。あなた、ただ一人なの」

そう言って彼女はグラスを一気に飲み干した。

僕は何をバカなことをと笑い出したかったが、笑いを堪えて言い返した。

「そんなふうに平気で嘘が言えるなんて、よくできるものだ。君はあの男の前にひざまずいていたんだよ。ペニスを押し込まれた途端に、即、逝きまくっていた。前に、セックスでは逝けないって言ってたよね? 確かに、君は僕とでは逝けなかった。多分、大きさの点で僕のアレがあの男のに敵わないからなんだろ?」

アンジーは小テーブルに腰を降ろし、自分でウイスキーをグラスいっぱいに注いだ。「確かに、特別な場合でなければセックスでは逝けないとは言ったわ。でも、あなたは私の感情にそんなに無神経になれる人ではないはず。それには、大きさなんかほとんど関係ないのに…」

言い返そうとしたが、そうする前にアンジーは一気にウイスキーを飲み、話しを続けた。「…私が17歳の時だった。ダンと1年近くデートしたの。あなたが見た男がダンよ。ともかく、ダンは、デートするといつも私をぼろぞうきんのように扱った。最初から最後まで。愛し合ったことは一度もない。ただのセックスだけ。ダンは、私がオーガズムを感じたかどうか、まったく気にしなかったし、私の身体がセックスできる状態かどうかすら気にしなかった。生理の時ですら私を犯したわ。そんな時ですら、ダンは私の身体を使い終わると、私の口にペニスを突っ込んで、後始末をさせる…」

アンジーはまたもグラスにウイスキーを注いだ。3杯目だった。「…私は、そんなセックスを楽しんだことはなかった。だけど、それにもかかわらず、次第にそこからオーガズムを得るようになっていったの。ひどく病的なことを言っているとは思うけど…。セックスでオーガズムは得られないと言ったとき、私が意味していたのはそのことなの。安淫売のように扱われないと、逝けなくなったのよ。ダンはそんな私を知っているし、私がそんなふうにされるのを望んでることを喜んでいる。たとえ、ロールプレイでも、私にはダメなの。相手が本気で私のことをぼろぞうきんのように思っていると実感できて、初めて逝けるの…」

「そんなに嫌なら、どうして、あいつと会い続けるんだ?」

また、アンジーの目から涙が流れ始めた。今度はいつまでも涙が止まらないように見えた。

「私にも分からないのよ…」 泣きじゃくりながら続ける。「私も頑張ったわ…。でも…、でも止められないの。虐待されるのを切望しているようなもの。辱めを受けたいの…。いたぶられたいの…。ダンにやらされたことの数々…、それを聞いてもあなたには信じられないでしょう……」

「…初めてダンのもとに戻った時、私はバーに呼び出された。そして、そこでダンの仲間たち全員の前で乞食みたいにおねだりさせられたわ。みんなの前で売春婦のように私を犯してくださいと言わせられた。ダンは私を男子トイレに連れて行った。私は、汚い床にひざまずかせられ、その場でフェラをさせられた。そして、小便用の便器に顔をくっつけんばかりにして、便器につかまる姿勢を取らされ、後ろから犯された。乳首にピアスをしてるのもダンの命令から。決して外してはいけない。ダンは、知りあいを呼び出しては私を犯させた。それは今も続いている。時には街でひろった赤の他人を連れてくる時もあるの…」

アンジーはまた一気にグラスを空にし、続けた。「…病院にも行ったけど、全然、役に立たなかった。医者に処方された薬ですら、それを飲んでも、もっといたぶられたいという気持ちを高ぶらせることにしかならなかった。そして、今は、とうとう、ダンのためにあなたまで失おうとしている…」

アンジーはさらに激しく泣き始め、言葉はしどろもどろになっていた。僕はアンジーのことが哀れに思え、両腕で抱きしめた。アンジーは僕の肩に顔を埋めて泣き続けた。30分は泣き続けて、ようやく泣きはらしたようで、顔をあげた。

「ごめんなさい。あなたをこんな目に合わせてしまって、本当にごめんなさい。心からこんなことはやめたいと思ってきたけど、でも、どうしてもやめられないの。あなたが私と別れたいと思っても、仕方ないわね…」

すでに、この時までには、僕の怒りは完全に消え失せていた。あるのは腕の中にいるこの女性に対する愛情だけになっていた。

「君と別れたいなんて思っていない。これまでも、そして今も。君があいつと会うのを自由にさせていたのは、僕の不注意でもあるし」

アンジーは少しだけ笑顔になった。何時間ぶりだろうと思えた。

アンジーは僕の唇に軽くキスをした。「あなたほど優しい人を知らないわ。あなたは、私が本当はダンなんかと付き合いたくないことをちゃんと理解してくれている。なのに私ったら。本当は二度と、日常的な頻度であの男に好き勝手にされるのを許してはいけなかったはずなのに。あなたは私が出会った最良の人だったのに。でも、もうダメね。とうとう、私はそんな大切なあなたを失ってしまった」

アンジーは再び声を上げて泣き始めた。10分くらい泣き続け、やがてゆっくり収まった。

僕は彼女をしっかりと抱きながら、このことの意味を考えた。そして、アンジーはダンが行う虐待を求める気持ちをコントロールできないのだという結論に達した。これは確かに病気である。正常な人なら、意図的にそういう虐待を行われるのを求めることはない。これは病気なんだと考えると、もはや、このことでアンジーを責めることはできなくなった。つまり、愛する人が癌になったからと言って、その人と別れることなどありえない。それと同じことだと。

アンジーは思う存分泣きはらすと、立ち上がり、言った。「もう私は出ていくべきよね。あなたにはあなたの人生があるから」

そう言ってドアの方へ向きを変えたアンジーだったが、ふらふらとよろめき、僕の腕の中に倒れ込んだ。

思わず二人とも笑ってしまった。

「僕が車で家に送るべきだと思うよ。君は運転できる状態じゃない」

アンジーは僕の頬にキスをした。「優しい人。どんな人もあなたのことをそう思うでしょうね。でも、本当に、もうこれ以上、私はあなたに迷惑をかけられないわ」

「迷惑じゃないよ。元々、君が来なくたって、そうするつもりだったから」 と彼女を助けながら言った。

アンジーは驚いた顔をした。「それって、家に戻ってくれるということ?」

「そうだよ。もし君が僕を受け入れてくれるなら、だけど」 と着替えを始めながら言った。

「ダンのことはどうするの? 私、ダンのところに二度と行かないとは約束できないのよ! これまでも何度も頑張ったけど、そのたびに失敗しているのよ!」 アンジーは必死に訴えた。

「それについては一緒に考えよう。君がまたあの男にどうしても合わずにいられなくなったとしても、そのことは理解するよ。僕はただ、それを知りたくないだけ」

アンジーが肩をがっくりと落とすのが見えた。

「それはできないかもしれないの。この前、ダンが言ったのよ。そろそろ旦那に、自分がどんな淫乱女と結婚したか、実態を教えてやってもいい頃だな、って。ダンのことだから、次に会うときは、絶対、あなたも一緒に来るように求めてくるわ。そういう人なのよ。いつも私を精神的にいたぶる新しい方法を探してくる…」

これは予想してないことだった。だけど僕は素早く答えた。「その時は、その試練を二人で乗り越えよう」

そのすぐ後、僕たちは一緒に家に帰った。その夜、僕たちは1ヵ月も会っていなかったかのように愛し合った。アンジーの女陰を舐めている時、ダンのペニスが彼女に出入りする光景が頭の中に浮かび、どうしても、ぬぐい去ることができなかった。そして、どういうわけか、そのイメージのため、僕はいっそう激しく彼女のそこを舐め続けたのだった。

次にアンジーが再びイライラし始めたのは、それから3週間後のことだった。彼女が、その衝動を抑えこもうと頑張っていたのは確かだったけど、でもその戦いに負けそうになっていたのも確かだった。

そうなった場合については前もって話しあっていて、アンジーがどうしてもダンに電話をしたくなった時には、僕に教えるようにと合意していた。秘密に会うことは絶対にないようにと。

とうとうアンジーはもうこれ以上我慢できなくなったらしい。僕の職場になっていた書斎に入ってきて、言ったのだった。

「どうしても電話したくなったの。本当に頑張ったわ。でも、どうしてもダメなの。傷ついたら、ごめんなさい」

「大丈夫だよ。いいよ、いいんだ、電話して」 と僕は仕事机の上の電話を指差した。

アンジーは受話器を手にしながら、何度も僕の方を振り返った。「ここで電話してほしいと言ったのはあなたなのよ。私が彼に言う言葉を、あなたが訊きたいと言ったのよ」

「もう秘密はナシと言ったはずだよ。もしこれが君の人生の一部なら、僕もそれに関わりたいんだから」

アンジーは何度か固唾を飲み、ようやく受話器を取り、電話した。

「ダン様? 淫乱女のアンジーです」 彼女は僕の顔を見ながら、そう言った。

「私のおまんこが燃えるように疼いています。私のような淫乱女を扱う方法をちゃんと知っている本物の男性に満たして欲しいと疼いているのです」

これを言いながらアンジーは顔を真っ赤にしていた。

アンジーは、二分ほど向こうの言う言葉を聞いていた。

「夫がその場にいられるか、私には分かりません」

アンジーは受話器を耳にピッタリ押し付けていたが、それでも、向こうの男が彼女を怒鳴りつける声は聞こえた。少しして、アンジーは言った。

「はい、分かりました、ご主人さま。夫に伝えます。次にダン様が淫乱の私に会うときは、夫が立ち会うようダン様が求めになっていることを伝えます。お時間を取らせてしまい申し訳ございません」

そう言ってアンジーは電話を切った。

僕がいる前で電話をかけさせられ、アンジーはかなり恥辱を感じたかもしれない。でも、僕は、これがどういうふうに進むのかを知っておきたかった。面白そうだからとか、そういうつもりで、これをさせたのではない。電話をオープンにさせることで、何らかの形で、アンジーが立ち直ることに役立つのではないか。僕は、一種そう期待しているところがあった。

電話を置き、アンジーが言った。

「彼、明日の7時に家に来るわ。あなたにもいて欲しいって。そうすれば、あなたが結婚した女がどんな淫乱女かしっかり見せることができるからって。明日、ダンがいたぶったり恥辱を味わわせようとしているのは、私だけじゃない。そう思う。できれば、あなたにっだけは、あまりキツイことはさせないでくれるといいんだけど…」

そう言う彼女の目にみるみる涙が溢れてくるのが見えた。

僕はアンジーを抱き寄せ、顔にキスをし、涙を吸い取った。その夜、できる限りの優しさでアンジーを愛した。たとえ何があろうと、僕は彼女を愛している。それを彼女に知ってほしかった。

翌日、僕は朝からずっと緊張していた。不安感で落ち着かなかった。一日の大半を家の掃除をして過ごした。長い間、落ち着いて座ってることができなかったからである。

午後5時、アンジーがオフィスから帰ってきた。二人、何度かキスをした後、アンジーはシャワーを浴びに二階に上がった。

6時半、アンジーが降りてきた。全裸でであった。化粧が驚くほど濃かった。

どうして裸なのかと訊くと、彼女は肩をすくめ、顔を赤くしながら、こう言った。

「家で会う時は、こういう格好で玄関に出迎えろというのがダンの要望なの。どこか他の場所で会うときは服を着ててもいいんだけど、下着は履いてはダメ。脱いでおかないとダメなの。さもないと、服ごと、引き裂かれてしまうのよ」

僕は彼女を抱きしめた。玄関のチャイムが鳴るまで。


つづく
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