「ジャッキー」 第16章 Jackie Ch.16 by Scribler 出所 1234 1/2 2/256789101112131415
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これまでのあらすじ
ジャックは法律事務所のバイト、アンジーはそこの上司。仕事を通じ親密になった二人は交際を始め、その過程でジャックは女装の手ほどきを受け、ジャッキーと名付けられる。ジャッキーはアナル開発され、オーガズムに狂う。やがて二人は同棲を始め、そして結婚した。最初は幸せな結婚生活だったが次第にアンジーの変調が目立ってきた。尾行したジャッキーはアンジーが他の男に性奴隷のように扱われているのを目撃する。その事実をアンジーに暴露すると、彼女は泣き崩れた。アンジーはそのダンという男を憎しみつつも、手荒に扱われたい衝動から逃れられないのだという。ジャックはその性癖を容認し、ダンを家に呼んだ。ダンはアンジーを乱暴に扱うと同時にジャックを寝取られウインプとして侮辱する。そして、再びダンが訪れてくる日がやってきた。

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ダンが来た。すぐにドアを開けたい気持だったけど、僕はノックの音がするまで待った。ドアを開け、僕は決められていたセリフを言った。

「どうぞ、お入りくださいませ。そして私の淫乱な妻に、本物の男性とはどのようなお方なのかを教えてあげてくださいませ」

「何で俺がそんなことをしなくちゃいけねえんだ、チビ?」

僕は何と返事してよいか分からなかった。ダンは、先のセリフの後まで会話が続くとは言ってなかったからだ。僕はとっさに考え、返事した。

「私のペニスが小さすぎて、淫乱な妻を満足させられないからでございます」

「そう言われたら、しょうがねえな。どのみち、俺のズボンの中にあるデカマラが顔を出さなければ、せっかくの完璧エロ女が無駄になってしまうからな。無駄にしたらもったいねえから、その女を使ってやろう。案内しろ、チビ・ウインプ!」

僕は先に廊下を進み、ダンをリビングルームへと案内した。多分、僕はあまり速く歩いていなかったのだろう。ダンは何度も僕の靴のかかとを踏んだ。リビングルームに入ると、アンジーは床を見つめて正座していた。非常に従順そうにたたずむその姿は、とても美しかった。

ふたりでアンジーの前に進むと、ダンが言った。「これは何だ、ウインプ坊や?」

この時も自分で言葉を考えなければならなかった。ダンは、僕が自分から完全に服従する姿勢を見せることを求めているようだった。

「ダン様、これが私の淫乱妻です。妻は、大きなペニスをした本物の男性を必要としているのです。そのお方に満足させてもらいたがっているのです」

ダンはジャケットを脱ぎ、僕に手渡した。

「この女、そういう男が欲しくてたまらない様子だな。そのジャケットを掛けて、ビールをもって来い。その間に始めてやるから」

僕はできるだけ素早く動き回った。これだけ速く動きまわれば、おそらくリビングルームに戻る頃でも、まだ、アンジーが彼の服を脱がせているところだろうと思った。だが、その見積もりは完全に間違っていた。アンジーはダンを裸にしていたばかりでなく、すでに、彼の脚の間に正座し、毛むくじゃらの睾丸を舐めていたからである。

ダンは僕の手からビールを取ると、ごくりと一口飲んだ。

「おい、ウインプ。おかしいと思わねえか? 俺とこのエロ女が素っ裸でいるのに、どうして、お前だけ服を着てるんだよ? フェアじゃねえだろ。お前も服を脱げ」

このダンの言葉にショックを受けたと言うだけでは、明らかに言い足りない。ダンにランジェリー姿の自分を見られたら、確実に、ダンは嵐のような罵詈雑言を僕に浴びせるだろう。それは、僕にとって最大の恐怖のひとつだった。

ダンは僕が躊躇うのを見ると、やにわにアンジーの髪の毛を握り、ぐいっと引っぱった。それを止めさせるため、僕は素早く返事した。

「お願いです、ご主人様。どうか彼女を叩かないで。服を脱ぎますから」

アンジーの目に恐怖の色が浮かんでいるのが見えた。

「じゃあ、とっとと脱げ、ウインプ! 俺がこいつを殴り始める前にな!」 とダンが声を荒げた。

とても怖くて、シャツのボタンに指を掛けるのもやっとだった。ダンはじっと僕のところを見ていたので、本当は背を向けて脱ぎたかった。ダンがまだ髪の毛を握ったままでいたからか、アンジーも僕の動作を見つめていた。だから、背を向けるのは許容されないだろうと思った。それに、たとえ背を向けたとしても、ダンがコルセットをつけた僕の後姿を見るのは間違いない。

シャツのボタンを外すのに、何時間もかかったように思えたが、実際にはそんなにかかったわけではないのは確かだった。ボタンを全部外した後、両肩からシャツを降ろした。そして僕がコルセットを着けているのが露わになった。

「おい、たまげたなあ。お前は何を着てるんだ?」 僕のコルセット姿を見てダンが言った。「まったく、お前はウインプだと思っていたが、本当は女装好きなのか! さあ、ズボンも脱いで見せろ。その下に何を履いてるか俺に見せてみろ」

ダンとアンジーが見つめる中、僕は靴を脱ぎ、ズボンとソックスを脱いだ。それ以上を脱ごうとしたら、ダンが止めた。

「ほお、お前、真性なんじゃねえのか? そうだろ。俺もいろんな女を見てきたが、お前ほどセクシーな格好のは、そう多くないぞ。お前、化粧もするだろ。違うか?」

僕は恥ずかしさのあまり、頷くことしかできなかった。

「やっぱりな。なら、二階に上がって化粧して来い。それにセクシーなハイヒールも履いてくるんだ。お前がどんな淫乱女装になるか、見ることにしよう。お前が戻ってくるまで、お前のエロ妻に俺の相手をしてもらおう」

階段へと向かった僕の背中に、ダンが「腰を振って歩け」と声を掛けた。

階段を上がりながら思ったけど、ダンは僕を特段に辱めようとしてなかったことに気がついた。女装好きとは呼んでたけど、全体的にはある意味、優しく接してくれてたように思えた。この彼の行動はちょっと変だなあとは思ったけれど、疑念を持つことはしなかった。ともかく、この流れに歩調を合わせていこう、それがどういうことにつながるかは、様子を見ることにしようと思った。

急いでお化粧をしようとしたけど、女なら誰でも分かると思うけど、急ごうとすればするほど、時間がかかってしまうもの。結局、顔のお化粧を済ませ、ヘアをベストの状態に整えるのに20分近くかかってしまった。その後、ヒール高10センチのスティレットの黒いサンダルを履いた。足首にストラップを巻きつけて留めるタイプのハイヒール。アンジーは、この靴が僕が持ってる中で一番セクシーだと言っていた。

支度を終え、階段を降りた。お腹のあたりがぞわぞわしていた。絶対にダンは僕をからかうだろうと思っていたので、とてもナーバスになっていた。ただ、女装好きとか女々しいとか言われるのは我慢できると思った。実際、自分がどんな存在かを考えてみれば、まさにそういう存在なのだから。非常に女性的な男であり、確かに言われたとおりウインプとも言える男なのだから。

リビングに戻ると、アンジーがまだダンの脚の間に正座しているのが見えた。彼女は、ゆっくりとフェラチオを続けていた。吸うと言うより、ただ舐めているという感じだった。僕が来たのに最初に気づいたのはアンジーだったが、アンジーは、ダンが気づくまで、何も言わず口唇愛撫を続けた。

ダンは僕に気づくと身体を起こし、下腹部からアンジーの頭を持ち上げた。そして僕の姿を上から下まで眺めて言った。

「おお、思ったよりずっと綺麗じゃねえか。こっちに来い。お前が本当に男か確かめたい」

ダンのそばに近寄ると、彼は手を伸ばし、大きな手でパンティに包まれた僕の股間を撫でた。もちろん彼は簡単に僕のペニスを見つけた。とても勃起していて、パンティの前の部分を押し上げていたので、それは当たり前だったし、もっと言えば、亀頭がある部分に濡れたところもできていたのだから。

ダンは僕のペニスを一回ぎゅっと握って言った。

「おっ、確かに男だな。少なくとも、男だったのは確かだ。よし、それじゃあ、お前の妻の隣に座って、手伝いをしてやれ」

僕はゲイじゃないと言いかけたけれど、ダンの顔の表情を見て、言うのはやめた。ダンはノーという返事は受けつけないだろうと。

アンジーは、ダンの言葉を聞き、僕の腕をつかんだ。そして僕をぐいっと引き寄せ、隣に座らせた。そして僕の耳に顔を寄せ、小声で言った。

「彼を怒らせないで。いまのところ、ダンはとても機嫌がいいんだから。ダンのおちんちんを私のディルドだと思いこむの。そうすれば、やり過ごせるはず。目を閉じて口に入れるだけでいいのよ」

アンジーの言うとおりだと思った。ダンはいままでのところ優しく振舞ってる。僕をバカにしようと思えばいつでもできるのに、さっきは、思ったよりずっと綺麗だと言ってくれた。実際、僕のこの姿を見てダンは興奮しているようだった。

アンジーのリードに従って、僕は顔を前に傾け、ダンのペニスの頭部を唇で包んだ。

最初、アンジーのディルドのような感触なのだろうなと予想したけど、すぐに、それは間違いだと分かった。その頭部はディルドよりもずっと柔らかく、ベルベットのような感触だった。それに温かくもあった。実際、かなり熱を帯びた感じだった。

ダンのペニスは僕の吸引に何も反応しないだろうと思ったけど、それも違っていた。どこか震えるような動きをしていた。それに時々、急に跳ねたり、ヒクヒク痙攣したりするのも感じた。

さらに唇を広げ、ゆっくりと口に含んでいくと、ダンがうめき声を出すのが聞こえ、ペニスが少し収縮するのを感じた。

いや、口の中のこれをアンジーのディルドだと思いこむなどできない。ディルドに比べて、はるかに命が宿っているような存在だった。

それに、そんなに気持ち悪いことでもなかった。どういうわけか、ダンのペニスはアンジーのディルドより、しゃぶっていてずっと気持ちよかった。頭部は、ディルドよりもずっと柔らかく、舌に力を入れて擦ると、それに応じて柔軟に形を変える感じだった。プラスチック製のディルドなどより、ずっと口に馴染む感じだった。男性の身体についているという事実を無視すれば、ディルドなどより本物の方が、吸っていてずっと気持ちいいと思った。

ダンの出す声やペニスのヒクヒク動く感触から、どうすればダンが喜び、どうすると嫌がるか、正確に分かるようになった。舌でペニスの下側を擦ると喜ぶようだった。それに、歯で茎を軽く引っ掻く感じにするのも喜んでいた。逆に、歯であまり強く引っ掻いたり、あまり長く続けたりするのは嫌がっていた。確実に言えることは、彼のペニスを根元まで飲み込むと、とても喜んでいたということだった。彼の陰毛が鼻先をくすぐるくらいに飲み込むと、ダンはとても気持ちよさそうな声を上げていた。

どのくらいの時間、ダンのペニスをしゃぶっていたか分からない。それに、その間、アンジーが何をしていたかも分からない。ただ分かったことは、その行為の終わりがあっという間に来てしまったということ。

ダンの声が聞こえた。「おお、いいぞ。お前、ずいぶん上手だな。そろそろお前に褒美をくれてやろう!」

ダンに両手で頭を押さえつけられ、一瞬、恐怖を覚えた。ダンが、アンジーにしたように、喉奥にぐいぐい抜き挿しを始めるのではないかと思ったから。

でも、それも違った。ダンは頭を押さえたままでいた。そして後ろからアンジーが言うのが聞こえた。

「飲むのよ。ダンのクリームはとても大切なの。無駄にしてはいけないの」

最初、アンジーが何のことを言ってるのか分からなかったけど、次の瞬間、ダンの熱い精液がジェットのように口の中に噴出した。これにはビックリして、思わず顔を引っ込めそうになった。たぶん、そういうわけでダンは頭を押さえつけたのだろうと思う。私が逃れようとするのを防ぐため。

ダンの第1発目が口の中に溢れた。私はその熱さに驚いた。撃ち込まれたものを飲み込もうかと考える間もなく、二発目、三発目が撃ち込まれた。力強い噴流となって口の奥に当たるのを感じた。

やっとのことでそれを飲み下すと、さらに二発噴出し私の舌に当たった。結局、何発撃ちだされたか、途中から分からなくなっていた。ともかく、ようやくダンが射精を終えた時には、1リットル近く精液を飲みこまされたような気がした。

ダンの分身から緊張感が薄れたのを感じ、私はようやく終わったのだと思った。だけど、その時、私の後ろからアンジーが囁くのが聞こえた。

「彼を固くしてあげて…。私も欲しいんだから…」

私は何も考えず、ダンのペニスを咥えたまま唇を動かし続けた。それは確かに柔らかくなり始めてはいたけど、口を動かしているうちに、すぐに、また固さを取り戻してきて、さらに何分か続けているうちに、元通りの勃起に戻っていた。勃起を取り戻すと、ダンは私の頭を上げ、口から引き抜いた。

正直、口からペニスを抜かれて、私はちょっと名残惜しい気持ちになった。最初は口にペニスを入れることをあれだけ嫌っていたのに、知らぬ間に、それが大好きになっていた。こんなにも早く自分に変化が訪れたことに、自分のことながら、驚いていた。

私の口からペニスを抜くと、ダンが言った。

「ようし、どっちから先にやる?」

アンジーは両膝を突いたまま、上下に腰を振り、まるでおねだりする子供のような声で言った。

「私から! お願い! 夫が初めて男をしゃぶるのを見てたら、ものすごく濡れちゃっているの!」

ダンはアハハと笑い、じゃあお前からやってやろうと言った。

「二階の寝室に行きましょう? そこの方がもっとくつろげると思うから」 とアンジーは立ちあがり、ダンの手を握った。

他の時なら、私はアンジーの行動が少し変だと思ったと思う。何と言うか、アンジーはダンを毛嫌いしていたはずだし、ダンはアンジーをぼろ人形のように扱っていたはずだったのに、今の二人の様子は、全然そのようなものではなかったから。でも、この時の私は、生れて初めてのフェラチオをしたばかりで、頭の中が朦朧としていた。多幸感の状態になっていたと思う。何が何かはっきり分からなくなっていて、ともかく、この流れにあわせて行こうとしか思っていなかった。

アンジーは私の手も取り、三人で階段を上がり、寝室に入った。寝室に入るとアンジーは両手を広げて、愛しそうに包みこむようにダンを抱きしめ、キスを始めた。キスをしながら、ゆっくりとベッドへと導き、ふたりでベッドに上がった。

2分ほどキスを続けていたが、アンジーは私がまだベッドの脇に立っていることを思い出し、ベッドの上をトントンと叩いて言った。

「あなたもここに横になって」

私がベッドに上がると、アンジーはこちらに向きを変え、ダンにしたのと同じくらいの情熱を持って、私にキスをした。1分か2分くらいキスを続けていたと思う。急にアンジーがキスを解き、私の顔を横に向けさせた。次の瞬間、私はダンとキスをしていたのだった。

依然として多幸感でハイな気持ちになっていたのだと思う。この時、私は男とキスをすることに抵抗がなくなっていたし、驚いたことに、ダンも気にしていないようだった。

キスを始めて何秒かして、すぐに気づいたことがあった。それは、ダンとのキスはアンジーとのキスとはまったく違うということだった。アンジーとのキスは甘く優しいし、アンジーの舌使いもほとんど攻撃的なところはない。彼女が支配的な気分になっているときですら、どこか優しいところがあった。

それに比べるとダンのキスはずっと攻撃的だった。彼とキスしていると、誰が力を持っていて、支配的な立場にいるのかをはっきり教え込まれるような印象だった。そして、不思議なことだけど、キスを通してそのように教え込まれることが、私にはとても気持ちが落ち着くように感じた。

いつしか、ダンにキスされることが気持ちよくなってきて、舌を口に入れられた時も嬉しくなっていた。そんな気持ちになっていたところで、ダンが私から離れ、アンジーへと関心を向けてしまった。なぜか寂しい気持ちになっていた。それから数分間、私は横たわりながら、ふたりがキスをするところを見ていた。ダンがキスをしている人が私だったらいいのにと思いながら。

キスをしつつも、アンジーが手をダンの身体の下に入れるのが見えた。ペニスを握って自分からあそこに導いていくのが見えた。それを受けてダンは、キスをしたまま、いったん背中を反らした後、腰を押し出して、アンジーの中に挿入した。

ダンとアンジーは唇をくっつけたままではあったけれど、ダンのペニスが入った時、アンジーが悲鳴を上げるのが聞こえた。それから振りほどくようにして唇を離し、はあーっと溜息をつきながら背中を反らし、言った。

「ああ、すごい…。私、入れられただけでもうイキそうよ、ダン! やって、お願い…。強くして……」

すぐにダンの腰が動き始めた。最初はゆっくりと長いストロークで動き、その太いペニスの全長を使ってアンジーに出し入れをし始めた。アンジーは引き抜かれるたびに、ああーんと悩ましい声を上げ、押し込まれるたびに、はっと切羽詰まった声で息を飲んだ。

でも、アンジーはいつまでもこのようなゆっくりとした動きで続けたいとは思っていないようだった。すぐに自分からも腰を動かし、ダンの安定したリズムにあわせて、強く股間を突き上げ始めた。

やがてそれから間もなく、アンジーが大きな声を出した。

「もっと速く動いて、ダン! もっと速く! 激しくやって! あなたのおちんちんが、ものすごく欲しいの!」

いま思うと、この時の私はまっとうな思考ができなかったのだと思う。私は自分の妻と、その妻を苦しめている男性がセックスをしている。その隣に横たわりながら、つながっているこのふたりを見ていたのだけど、私は、この二人の姿が何と美しいのだろうと思いながら見ていたのだった。

まるで、ずいぶん前から愛し合っている恋人同士のように見えた。互いのことを熟知し合っている恋人同士。ダンは、アンジーが求める身体の動かし方を熟知しているようだったし、アンジーも、ダンに何を言えば喜ぶか、言うべき言葉をすべて知っているように思えた。

アンジーはダンのことを虐待を好む最低の男のように言っていた。だけど、いまのダンは全然そうは見えない。それにアンジー自身も、この行為を楽しんでいるように見えた。いや、もっと言えば、過剰なほどこの行為を喜んでいると言える。

アンジーは、ほとんど常時イキ続けているようだった。ピストン運動のリズムにあわせて、あっ、あっ、あっ、あっと声を出し続け、その後、ひときわ甲高い声を上げて頂点に達し、このセックス、いままでで最高よと告げる。それを何回も繰り返していた。実際、本当に激しく、本当に深々と貫かれているにもかかわらず、何度も、もっと激しくやって、もっと深くやってとダンにねだり続けていた。

やがてとうとう、ダンが息を荒げながら言うのが聞こえた。

「ようし、やるぞ! たんまり出してやる!」

「ええ、ダン、そうして! 私の中にいっぱい出して! あなたのクリームで私をいっぱいにして!」

アンジーはそう叫び、またもオーガズムに達したのか、全身をガクガク震わせた。

それと同時にダンが雄牛のような唸り声を上げるのが聞こえた。叩きつけるように腰を突きだし、アンジーの奥深くにペニスを突き入れた。そして全身をぶるぶる震わせ、腰をぐいぐいせり出した。いままさにアンジーの中に射精をしているところなのだろう。

ひとしきり射精を続けた後、ダンががっくりと身体を崩し、アンジーに覆いかぶさった。もっとも体重でアンジーを押しつぶさないよう両ひじで支えて覆いかぶさっていた。ハアハアと荒い呼吸をしながらアンジーを抱きしめている。そして、やがて呼吸が落ち着くと、ふたりは再び唇を重ねた。どこか心が通じ合った男女がする狂おしいほど情熱的なキスをしているように見えた。

2分ほどそうした後、ダンがアンジーから抜け出て、ごろりと身体を半転させ、アンジーの横に仰向けになった。するとアンジーは、今度は私へ関心を移し、両腕を絡めて私を抱き寄せキスをした。

私とも2分ほどキスをした後、アンジーが言った。

「あなた? スペルマでいっぱいになった私のあそこ、あなた、舐めるのが大好きでしょ? ダンがあなたのためにたくさん置いていってくれたわ。よい娘になって、私のあそこをきれいに舐めてちょうだい。ダンに、あなたのこと恩知らずな娘だと思われたくないもの…」

私はこのことについて問い返すことすらしなかった。ダンがアンジーに中出ししたら、私が舐め清めることになるだろうと予想はついていたから。

この1年間、私はアンジーに射精した後、必ずいつも舐めて後始末をしてきていたし、いまは、彼女に言われなくても、そうするようになっていた。だから、ダンが出した後は私の舌でアンジーを清めるのは当然のこととしか思っていなかった。

肌をこするようにしてアンジーの下方へと身体を這わせ、大きく広げた脚の間に腹這いになった。彼女の陰部を見ると、かなり赤くなっていて、陰唇も大きく腫れていた。その入口のところに大きな白い塊が出ているのが見え、素早く舌でそれを舐め取った。そして、時間を無駄にすることなく、陰唇全体に舌を走らせ、中から漏れ出ていたクリームをすべて舐め取った。

外側をきれいにした後は、舌を中に差し込み、すくい出しにかかった。中には多量のザーメンと白クリーム状になった愛液が溜まっていた。アンジーが筋肉を使って絞り出したようで、大きな塊がどぼっと表に押し出されてきた。

舐めはじめて何分か経ったとき、私の脚の裏側に手が触れるのを感じた。もちろんアンジーの手であるはずがなかった。この部屋には後はダンしかいないのだから、私に触れているのはダンに違いないと思った。

ダンに触れられた瞬間、この次に起きることは予想がついていた。今度は私がダンに犯されることになるのだと、そう思った。そうとでも考えなければ、ダンが私の後ろにくる理由がないから。そうなってもしかたないとも思った。できるなら、優しくやってほしいと、そう願うことしかできなかった。

引き続きアンジーの陰部を舐め続けていたが、パンティを引っぱられるのを感じた。実際、私は自分から尻を浮かせ、ダンがパンティを引き脱がすのを手助けすらしていた。そのパンティが足先を抜けて行った後、ダンは私の両脚を広げ、そこに身体を割り込ませた。

その間も私はずっとアンジーの陰部に唇をつけたままだった。ダンは、私の脚の間に入ると、こんどは私の腰を持ち上げた。私は、顔をアンジーの股間に埋めたまま、お尻を高くあげ、両膝をベッドに突く姿勢にされていた。

この時、私は、ダンはすぐに私にペニスを押し込んでくるのだろうと思っていた。でも、ダンはその予想にまったく反したことを行い、私を驚かせた。私の尻頬の谷間に舌を這わせてくるのを感じたのだった。その彼の舌先がアヌスに触れた瞬間、私は思わず、ああんっと悩ましいうめき声をあげてしまった。

私は、アンジーとの交際を通じて、アヌスを舐められる快感をすっかり教え込まれていた。アンジーは私にディルドでアナルをするとき、アンジーは必ず私のあそこの穴を舐め、確実に快感を感じるようにしてくれていた。ダンの舌は、アンジーの舌より気持ちいいとまでは言えないにしても、気持ちいいのには変わりはなかった。そして、彼の舌がアナルの中に入ってきた時、私の唇から快感の悲鳴が漏れていた。

男性にアヌスを舐められ、あっ、あっと声を上げて快感に浸っている私…。

ふと気がつくと、ダンが私の脚の間に手を入れ、小さな陰嚢を優しく揉んでいるのを感じた。さらには私の勃起した小さなおちんちんも優しくしごいてくれている。

すでに興奮がとても高まっていて、普通だったらベッドに射精してしまっていてもおかしくなかったのだけど、ダンは、イキそうになると巧妙に私の睾丸を引っぱり、そのためにオーガズムに達するのを防いでいた。

私はいつしかアンジーのあそこから顔を上げていた。彼女の広げた脚の間にいつつも、両ひじをついて顔をあげ、ダンの口唇愛撫を受けながら、ああっ、ああんと喘ぎ、悩ましい溜息をついて快楽に浸っていた。

すると突然、ダンがアヌスから舌を引き抜き、私の真後ろの位置に膝立ちになった。そして、そのすぐ後にローションをつけた指がアヌスに触れるのを感じた。それが滑るようにして中に入ってくる。その瞬間、私は思わず、ああ、いいぃぃ…と快感の声を出していた。

ダンは最初は1本指で、その後、2本指で私のアヌスに出し入れを続けた。数分間続いたと思う。彼は指で私のアヌスを犯しながら、もう一方の手では睾丸を包み、優しく揉んだ。私がイキそうになると、毎回、すぐに睾丸の根元をギュッと引っぱり、オーガズムに達するのを遅らせた。ダンの巧みな愛撫のもたらす快感に私はすっかり翻弄され、ひっきりなしによがり声を上げていた。

3本目の指も入れられた時、私はもう我慢ができなくなっていた。小さな声だったけど、「お願い、私を犯して」とねだる言葉を繰り返し吐くようになっていた。腰が勝手にダンの手へと突き返すように動いていた。指で与えられるもの以上のものが欲しくなっていた。

そして、とうとう淫欲の情熱に駆られ、私は大きな声で叫んだ。

「お願い、ダン! おちんちんで犯して! 中に入れてほしいの。私に本物の男のおちんちんを感じさせて!」

そのすぐ後に、ダンのペニスの頭部がアヌスに入ってくるのを感じた。生れて初めての経験。ディルドを入れられるのは慣れていたけど、彼のはそれより太く感じたし、気持ちよさの点でも勝っていた。温かく柔らかなのにもかかわらず、芯があって固くも感じられる。

頭部が入った後、ダンはさらに数センチ中に入れ、私に「大丈夫か?」と訊いた。

「いやっ! もっと入れて欲しいの! ダン、お願い。やって!」 そう言いながら、お尻を彼に向けて突きあげた。

するとダンは背中に覆いかぶさり、私を持ち上げ、四つん這いの姿勢にさせた。首筋や背中の肌に唇を這わせながら、さらにもう数センチ入れてきた。あそこの中にみっちりと埋め込まれる充満感に、再び、溜め息が漏れる。

ダンはそこまで入れた後、ゆっくりと出し入れの動きを始め、また少し奥へと入ってきた。

その間アンジーが何をしていたか、私には分からない。四つん這いにされた後、まるで犯される私を見ているかのように目の前に彼女の陰部があったのは覚えていたけど、次の瞬間には、彼女はどこかへ行ってしまっていた。でも、本当に正直にいえば、ダンが出し入れを始めた後は、アンジーが何をしているかは全然気にしなくなっていた。

ダンは何分かゆっくり出し入れを繰り返した後、次第に深々とえぐる動きに変わってきた。突き入れるたびに、少しずつ深度を増していく。一度にたくさんではないけど、徐々に奥へと入ってきているのは確かだった。そして、いつしかダンの太ももがお尻に当たるまでになっていた。

この時までにすでに私は常時よがり声を出している状態になっていた。ああん、ああんと声を出し、もっと強くやってとよがり、ねだる。

男性にされるのは初めてだったけど、バージンであると言うのは間違いだ。その時までに1年以上はアンジーにアナルセックスをされていたので、アヌスを貫かれることには充分慣れていたし、その快感も教え込まれていた。それに実際、ダンのペニスはアンジーのディルドなどとは比べ物にならないほど気持ち良かった。いくらされても満足できず、もっと、もっと欲しくなるようになっていた。

ダンは、私が充分対応できるのを知ると、本格的にピストン運動を始めた。力強い出し入れを受け、私はさらに快感の渦に翻弄されていった。

それまでは四つん這いだったけれど、今度は上半身を持ち上げられ、両膝をついた姿勢にさせられた。後ろから彼の両腕に包まれ、抱きしめられた。胸元、胸、脇、お腹と身体じゅうの肌に彼の手が這いまわり、優しく擦られた。

ダンは私のあそこに力強くペニスを突き入れつつ、睾丸を撫でてくれたし、私の胸にたまった贅肉もいじってくれた。どうしてか分からなかったけれど、胸の贅肉を揉まれ、とても気持ち良かった。

さらには、首筋や耳、そして肩の肌にキスされ、甘噛みされた。これも本当に気持ち良く、私はうっとりと陶酔しながら、その愛撫を受けとめた。理由は分からないけれど、これが、本当の男性が女性を愛するやりかたなのだろうなと感じていた。

ダンの愛撫やキスを受け続け、私はオーガズムの直前にまで高められていた。いつでも爆発的にイッテしまいそうと感じていた。でも、ダンは私を絶頂のがけっぷち状態に保ち続け、決してその先に行かせてくれなかった。

ダンは様々な体位で私にセックスを続けたけれど、私が一番好きな体位は終盤に差し掛かった時にしてくれた体位だった。ダンはいったんペニスを引き抜き、私の身体を半転させ、仰向けにさせた。そして素早く私の両脚を大きく広げ、押し曲げ、胸に膝がつくほどにさせた。その姿勢にさせた瞬間、再び私の中に戻り、今度は全力を使って激しいピストン運動を始めたのだった。

この体位だとダンの顔が見えるので、私は大好きだった。ちょっと白髪が混じっている茶色の髪の毛。顔にはしわも浮かんでいるけど、渋い男らしい顔。胸は逞しい筋肉がついていて、お腹は引き締まり、腹筋が何筋か浮かんで見える。なかなかのハンサムで、とても素敵に見えた。その素敵な男性が、険しい顔をしながら私を見つめ、激しく動き、快感を与えてくれている。

彼を見つめていると、顔に限界に差し掛かっている兆しが浮かんでいるのが見えた。そう長くはもたない様子だった。そう気づいたのと同時に、私はアヌスをきゅきゅっと締めつけ始めた。

「おおっ! そいつは効くな。もうすぐイキそうだぞ。お前のまんこにいっぱい出してやる!」

その1秒後、身体の中、ダンのペニスがさらに大きくなるのを感じ、そのさらに1秒後、私の中で彼が爆発するのを感じた。熱いものが直腸を満たし、それとほぼ同時に私の小さなペニスが噴射を始めた。こんな激しい射精は初めてで、いつまでも噴出が収まらないのではないかとすら思った。まるで、ダンのペニスが体内で噴射するたびに、それとシンクロして私のペニスも噴射しているような感じだった。こんな素晴らしい感覚は、それまで味わったことがなかった。

彼のペニスは私の中で依然として射出を繰り返していたけれど、ダンは私の顔の左右に両ひじをついて覆いかぶさり、唇を重ねてきた。私も両腕を彼の背中に回し、彼を包み込むようにして抱きしめた。ふたりとも互いに舌を出しあい、口の中、絡み合わせた。

そして、それがその夜のことで私が覚えている最後のこととなった。

翌朝、目が覚めた時、私はベッドの真ん中にいるのに気づいた。しかも、まるで一夜を過ごした後の恋人同士のように、私はダンの腕に包まれ、彼の胸板に頭を乗せて横寝になっていた。後ろを見ると、アンジーはベッドにはいなかった。最初、アンジーはどこに行ったのだろうと不思議に思ったけれど、時計を見ると9時半になっているのに気がついた。アンジーは普段から土曜日は早起きする。もう起きていて当然だと思った。

それにしても、自分がダンにすがりつくようにして眠っていたことに驚いた。そもそも、ダンはここにいるはずではないと思った。この時間ならもう帰っているはずなのにどうして?

それにもう一つ、どうして私はアンジーでなく、ダンにすがりついているのだろう? おそらく、最初はアンジーと抱き合って眠っていたのだろうけど、彼女が起きた後、自然と寝返りをうち、ダンに抱きついたのだろうと思った。

でも、正直に告白すると、彼の腕に包まれているのは気持ちよいと感じていた。自分が守られているような気持ちになり、そしてどういうわけか、そのような感覚が不思議な幸福感をもたらしていた。もっと言えば、ずっとそうしていたいと思いたくなるほど。でも、いつまでもそうしていてはいけないとも思った。少なくとも、ダンに抱かれているところをアンジーには見られたくないと思った。

私はベッドからすり抜け、新しいナイトガウンとそれにマッチした下着、それにローブを掴んでバスルームへ入った。シャワーを浴びたかったし、自分でエネマもしなければと思った。いまの私のあそこの中にはダンのスペルマが残っているのは確かだから。

素早くシャワーを浴びた後、コーヒーを飲みに階下に降りた。そしてアンジーの姿を見つけたのだった。キッチン・テーブルに座って新聞を読んでいる。

私が近づくと彼女は笑顔で言った。

「おはよう。コーヒーができているわ。自分で注いで、ここに来て一緒に飲みましょ。あなたの特別クリームはここに用意してあるから」

アンジー自身はコーヒーには牛乳と決めていて他は受けつけない。なのでクリームのことを私の特別クリームと呼んでいる。それにフレンチ・バニラ風の風味である点でも特別だった。アンジーは、これは彼女には甘すぎると言っていた。

コーヒーを注いで、テーブルに向かった。そして、前夜に何もなかったかのように、ふたり普通にキスをした。

私は昨夜のことをアンジーが悪く取っているのではないかと、ちょっと心配していた。ダンとセックスしたことではない。あれは強制されてしたことだから。そうではなくて、私があのセックスで快楽に狂ったことにアンジーが気を悪くしているのではないかと思っていた。確かに、私は喜び楽しんだ。だけれど、もう二度とあのようになってはいけないとも思っていた。

アンジーはキスをしながら片手を私のお尻にあて、左側の尻頬を握って、ぎゅぎゅっと握った。これは珍しいことではなく、初めて私たちが結ばれた夜以来、彼女がしてきていることだった。これは、アンジーがすべて問題ないと思っている時にする合図だと理解している。

腰を降ろすと、アンジーは私のコーヒーに特別クリームを注ぎ、そして言った。

「そろそろ、私たち、女同士のお話しあいをする時期だと思うの。これからあなたに、あなたが理解できないかもしれないことを話すわ。いくつか、あなたが不快に思うことも言うかもしれない。でも、私たち、持ち札を全部テーブルに出さなくちゃいけないと思うから」

昨夜のことだと思い、すーっと意識がジャックに戻るのを感じた。

「昨日の夜のことについてだったら、何と説明してよいか分からない。でも、僕がゲイではないのは君も知っているはず…」

そこまで言ったところで、アンジーは僕の唇に指をあて、僕を黙らせた。

「昨日の夜のことだけじゃないわ、ケーキちゃん……」

アンジーが僕のことをケーキちゃんと呼んだのは、これが初めてだった。奇妙に思ったけれど、それに口を挟むのはやめた。話しの続きを聞きたかったから。

「…それにあなただけのことでもないの。私、これまでずっと長い間あなたに不誠実だったのよ。そろそろ、潔く白状する時期かと思って…」

「不誠実って、どんな…」

何を言われても許すつもりではいたけど、訊いてみた。

「たくさんあるわ。でも大半はダンについて…。昨夜の私たちの振舞いから、あなたも気づいたはずよ。ダンについて私が言ったことは本当ではなかったと。ええ、確かに私はダンを切望している。それは本当。でも彼は一度も私を虐待したことはないの」

「どうして? 僕は、君とダンのことをあの家の窓から見たんだよ。それにこの家でもダンはずいぶん君に虐待的だったじゃないか」

「それは全部、あなたのための演技だったの。この状況を私がコントロールできないでいるとあなたに思いこませるための演技。私が他の男と情事を重ねてると知ったら、あなた、対処できなくなって暴走すると思ったから。実際、私が思った通りになったでしょう? あなたは自暴自棄になってあんなふうに私から逃げて行った」 アンジーは僕の手を握りながら言った。

「あの窓から見たんだ。あれは決して愛し合っているようには見えなかった。まるで、ダンが君のことを安淫売のように扱っているとしか見えなかった」

「スパイをするにはお粗末だったのよ。あの日、私はオフィスから出た時あなたを見かけていたの。バンのサイドの窓は黒塗りだったかもしれないけど、フロント・ウインドウは透明なのよ。あの家の前に車を止めた時もあなたがいたのを見ていたし、家の中でも窓の外にあなたが立っていたのを見ていたの。実際、あのシーンはあなたのためにダンと演技して見せていたのよ」

「ダンと付き合ってどのくらいなんだ?」

「もう5年になるわね」

僕は愕然とした。

「どうして? 僕たちの結婚前から君とダンが愛し合っていたなら、そもそも、どうして僕と付き合いを始めたんだ? なぜダンと結婚しなかったの? 結婚までとは言わずとも、同棲したら良かったじゃないか。どうして僕を巻き込んだんだ?」

「まず最初の質問に答えると、ダンには奥さんがいるの。二つ目の質問には、私はあなたが大好きになったのが答え。法律事務所のあの資料室であなたと出会ったあの日、私、あなたのこととてもキュートだと思ったわ。あなたの私への接し方も大好きだった。バーに一緒に行っても、あなたは決してその状況を利用して私に手を出したりしなかった。あなたはいつも完全に紳士的に振舞っていた。それからの3ヶ月、あなたはこれ以上ないというほど、完璧に振舞っていたわ。だからケルト祭りに一緒に行ったときには、すでに私はあなたにぞっこんになっていたの」

僕はどういうことなのか状況を理解しようと、質問した。

「ダンの奥さんは、君たちがずっと付き合ってることを知ってるの?」

「いいえ。ダンの奥さんは、8年前から医療施設に入っているのよ。多分、施設からは出てこれないでしょう。ダンは、世間体のことを考えると奥さんと離婚はできないし」

アンジーの声にはちょっと悲しみを感じているような雰囲気があった。

「でも、本当に分からないのは、どうして、僕と結婚した後もダンと会っているのかだ。たいていの人は結婚したら、他の人と会うのをやめるものだよ。少なくとも、何年間かは…」

アンジーは僕の声に怒りがこもっているのを察知したと思う。

アンジーは目を逸らして言った。「どうして私がダンと会い続けているか、その理由は知らない方がいいと思うわ」

僕は苛立ちを感じながら言った。「アンジー。話すんだ。君は軽はずみな10代の娘じゃあるまいし、僕に結婚を申し込んだときに、自分で何をしているか分かっていたはずだよ。あの時ですら、君はダンとヤリまくっていたんだろ?」

「ええ、そうよ! あの時もヤリまくっていたわ。というか、彼にヤリまくられていたと言うのが正確だけどね」 アンジーは明らかに怒っていた。「本当にわけを知りたいなら話すけど、あなたは、私の答えを気に入らないと思うわよ」

僕は、この話し合いをクールダウンしたいと思った。互いに大声で罵りあっても、ほとんど良いことはないだろう。僕はできる限り落ち着いた声になって言った。

「君は僕を好きになったと言ったし、僕も君が好きになったのも事実だ。ふたりは愛し合っているんだ。だから、もし、僕たちの関係で何か問題があるとしたら、それをふたりで解決しようよ」

アンジーも落ち着きを取り戻したようだった。

「私たちの関係は、ほとんど完璧だわ。一つも変える必要はないと思うの。私がダンの元に戻ってしまう理由は一つだけ。でもそれは変えることができないこと。だから、私たちは、いわば手詰まり状態にあるの」

アンジーの言う問題が何であるか、僕には分かっていた。そして、それを修復する方法もないというのはアンジーの言うとおりだった。

「僕のペニスの大きさ。それなのか?」

アンジーはほとんど笑い出しそうになっていたが、何とか堪えたようだった。

「あなたの脚の間にあるあの小さなモノをそう呼びたいなら、ええ、そうよ。あなたが気づいていたかどうか分からないけど、私は一度もあなたのアレをペニスと呼んだこともおちんちんと呼んだこともないわ。ダンにはちゃんとペニスがある。大きくて太くて、私をイカせることができるおちんちんが、ちゃんとあるわ…

「…でもね、あなたの小さいアレが入ってきても、私、ほとんど感じられないの。少しでもあなたに挿入していると実感してもらうためには、私の方から筋肉を使って締めつけなくちゃいけないのよ。でもね、それって大変だし、身体が痛くなってしまうの。だから快感なんて全然感じない…

「…現実をちゃんと見据えましょう、ジャック。あなたとの性交は、1本指でされているようなもの。それが私にとっての現実。もっとも指なら少なくともクリトリスも擦れるから、イクことはできるけど。あなたのアレではダメ」

「すまないが、これでも最善の努力はしているんだ」 と僕は憮然として言った。

アンジーは頷いた。「ええ、ケーキちゃん、あなたが努力しているのは知っているわ。でも悲しいことに、それでは充分でないのよ。誤解しないでね、あなたは素敵な人で、大好きなの。でもあなたの小さなアレはがっかりなの。あなたのアレは小さすぎて私を満足させられないばかりでなく、あなたにはダンのようなスタミナもない。他のことは何もかも素敵なのよ。舌やお口を使って私に何度も素敵なオーガズムを与えてくれた。でも、私が本物のおちんちんを欲しくなった時はダメなの。あなたには適切なものが備わっていないのよ」

これまでの人生でこんなに気落ちしたことはなかった。うつむいてテーブルを見つめながら僕は言った。

「じゃあどうしたらいいの? 僕は自分の身体は変えられない…」

アンジーは、まるでこの質問が出るのを待っていたかのように、パッと顔を明るくさせた。

「選択肢は3つあるわ。一つは離婚すること。私はこの選択肢には反対。あなたも反対してくれるといいと思っている。2つ目の選択肢は、このままの生活を続けること。あなたは、夫としての仕事は本物の男性に明け渡して、寝取られ夫として生きていく」

「本物の男性というのはダンのことを言ってるんだね?」

「その道を進むとすると、ダンがその一人になるわね。私は他の男たちとも付き合うかもしれないわ。でも、その場合も私たちのことを秘密にはしないつもり。あなたが気に入ろうが気に入るまいが、私は、うちの寝室で男たちをもてなすつもりよ。それに、男たちに、あなたが私の夫だと教えるし、どうして私が他の男が必要なのかも教えるつもり。男たちにヤッテもらって、あそこをスペルマでいっぱいにしてもらった後は、もちろんあなたを寝室に呼び出して、男たちが見ている前で舐め清めてもらうつもり」

「そんな、何て意地悪なことを…」

「あら、それで終わりじゃないわよ。あなたは寝取られ夫なわけだから、私とのセックスもなしになるの。と同時に、あなたは前のように男物の服しか着てはいけないようになる。さらに、私がいる時でなければ、どんな性行為も控えるように要求するつもりよ。となると、あなたにできることは、私の前でオナニーすることだけになるわね。それに、言っておくけど、私、そのオナニーもあなたが全然楽しめないようにさせるつもりよ」

二つ目の選択肢はまったく好きになれなかった。それなら、むしろ一つ目の選択肢の方がずっと良いように思えた。

「それで、第3の選択肢は?」

アンジーが急に元気を増すのが見えた。僕の手を握って話し始めた。

「3つ目の選択肢が私たち二人にとってベストだと思っているの。三つ目の選択肢はというと、私たちレズビアンの恋人同士になるのよ。まず、手始めに、あなたの女性化を次のレベルに上げようと思うの」

「次のレベルってどういう意味?」 僕は話しを聞く前から、この選択肢がいいと思い始めていた。少なくとも、これなら、ふたりは一緒でいられる。

「もうすでに始めていることだけど、それをスピードアップすること」

アンジーはそう言って、身を乗り出し、僕の胸を握った。余分な脂肪がついたと思っている、僕の胸肉を。

「これをもっと大きくするの。そうなったら、もう男性服は着れないわ。あなたには女性服だけ」

僕の胸に起きてることにアンジーが関係しているのを知り、ショックを受けた。

「ちょ、ちょっと待って。すでに始めたことをスピードアップするって、どういうこと?」

アンジーはにっこり笑って、はにかむような顔で言った。

「この4カ月ほど、あなたに女性ホルモンを与え続けてきたの。とうとう、その効果が見えてきたところ。ダンも、あなたに可愛いおっぱいができてるのに気づいたわよ」

再び唖然とした。彼女がそんなことをしてたなんて、全然、気づかなかった。

「ど、どうやって? それに、なぜそんなことを?」

「どうやって、というのはとても簡単。あなたのコーヒーのクリーマーにホルモンを入れてきたの。どうして、私があれを特別クリーマーって呼んできたか分かる? なぜの方の質問には、あなたを愛しているからというのが答え。私と別れてほしくないの。いつまでもあなたと一緒にいて、愛し合っていたいから。シーメールの彼女としてね。それに、あなたには男たちとも愛し合ってほしいの。外に出かけて、男と付き合うたび、あなたにはそんな人いないのにと思って、いつも罪悪感を感じていたわ。だから…」

アンジーは僕の胸を愛撫しながら、興奮して語り続けた。

「どうして僕に男と付き合ってほしいなんて? 僕がゲイじゃないって、君も知ってるのに!」

アンジーは、やれやれと言わんばかりに両手を宙にあげた。

「それを言うの、お願いだからやめてくれない? もちろん、あなたがゲイじゃないのは知ってるわ。あなたがゲイだったら、そもそも私を愛したり、私のあそこを舐めたりできないでしょう?」

「じゃあ、どうして僕に男と愛し合ってほしいと言うのか分からないよ。これって、僕のペニスが小さすぎることに対する何かの懲罰なの?」

そう問う自分の声に、再び苛立ちの色が混じっていることに気がついた。

アンジーも再び怒りだしているようだった。

「ジャック! ちゃんと現実から目を逸らさないで! あなたは、どんな女にとっても、魅力的な存在には見えないの。まあ、あなたのような男に落ち着いちゃう女はいるかもしれないけどね。あなたのようなちっちゃな代物しかもっていない男と一緒になってしまうような女。でも、そんな女たちは決して幸せになれないわ。どんどんくすんで行くだけよ」

「世の中、大きなペニスを持った男を求める女ばかりじゃないよ」

アンジーは高笑いした。

「アハハ! ひょっとすると、あなたでも、本物の男を知らない女を見つけることはできるかもね。でも、あなたは自分が男として不十分なことをいつも思い知らされることになるのよ。あなたは、あの細くてちっちゃなモノをその女に突っ込むたびに、自分はこの女に本物の味を味わわせていないって思い知らされることになるのよ」

もちろんアンジーの言うとおりだった。でも、どうして、こんな言い方をするのだろう。こんな傷口に塩を擦りこむような言い方をしなくてもいいのに。

「どうして、そんなに意地悪なんだ。もし僕のことがいらないなら、さっさと離婚して、好きにすればいいじゃないか」

アンジーは悲しそうな顔をした。

「私があなたのことを愛していないと思ってほしくないからよ…。私は心の底からあなたのことを愛しているの。あなたほど私が愛している人は、いままで誰もいなかったわ。だから、離婚したくないの…

「…それに加えて、どうして私がダンと付き合っているか、それもあなたに分かってもらいたくて、こういうことを言っているの。あなたに隠れて浮気している状況がとても嫌なのよ。あなたが私のことをとても信じ切っていて、あなたに不実を働いていると思っていなという状況が、とても嫌なの。実際、私には他の男たちがいるとあなたがようやく思ったのは、私があなたにヒントを残し始めてからだったでしょう?」

他の男たちと言うのを聞いて、僕はまたショックを受けた。

「男たちと言ったよね? いったい何人いるの?」

「本当の数は私にも分からないわ。ダン以外では、たぶん10人から15人くらい?」 アンジーは少し自慢しているような声で答えた。

「15人だって?…… その中には僕たちが結婚する前の男も含まれているの?」

「結婚前からのも何人かいるけど、大半は結婚後だわ」

「なんて早いんだ。少なくとも結婚の誓約書のインクが乾くまで待とうと思わなかったの?」

僕は、再び怒りがこみ上げてくるのを感じた。

アンジーも僕の怒りに気づき、からかうような口調で言った。

「たぶん、乾いていなかったわね。式を上げた後、私が席を外してトイレに行ったのを覚えている? 本当はね、あの時、あなたのつき添いのお友達をリネン置きのクローゼットに連れ込んで、ヤッテもらってたの。それから、披露宴パーティの時も、別のあなたのつき添いの人とヤッタわ。もちろん、ダンにもヤッテもらったわ。ハネムーンに出かける前に」

本当にアンジーの言葉かと耳を疑った。頭に血が上っていた。

「アンジー! 少なくとも新婚旅行から戻るまで待てなかったのか? 誰かれ見境なく、脚を広げてちんぽを嵌めてもらうのは、それからでも遅くはないんじゃないのか!」

「私を責めないでよ。女の子は、結婚式の日にはちゃんとした男に抱かれる権利があるものなのよ! そんな特別の日をあなたの情けないミミズみたいなものに任せるなんて、できっこないじゃない。私は当然の権利を行使しただけよ」

アンジーの目に炎のような強い感情が浮かんでいた。

僕は完全に打ちひしがれていた。自分の妻が淫乱女だったばかりか、僕の親友もそれを知っていたとは。これからは、彼と会ったとき、どんな顔をすればいいのか。彼は、僕が結婚式の日に寝取られた男と知っているのだ。こんなのって……、二度と目が覚めない悪夢なのか。

僕はアンジーの顔を観察した。どこかに良心の呵責を感じているところがないかと。…だが、そんな表情はまったくなかった。明らかに自分にはどこも悪いところはないと思っているようだった。僕が何か言うのを待ちながら、ただ睨み返しているだけ。

しばらく沈黙を続けた後、ようやく僕は口を開いた。

「僕をこんな目にあわせるなんて…信じられないよ。僕を愛しているとは言ってるけど、やってることは、僕をゴミのように扱っているじゃないか」

「その通りよ、ジャック。私はあなたをゴミのように扱ってる。でも、私はあなたに隠れてコソコソすることにうんざりしたの。家には完璧に素敵なベッドがあるのに、わざわざホテルにチェックインすることに、もううんざりなの。時間を気にしながらセックスすることにも、うんざり。たっぷり時間を掛けて、楽しみたいの」

「でも、どうして今なの? どうして結婚する1年前じゃなかったの? どうして結婚する前にカミングアウトして、僕に言ってくれなかったの? 理解できないよ」

そう訊きながら涙声になっていたのを知っている。でも、そんなことを気にする心境になかった。

アンジーは、またかと言わんばかりに溜息をついた。

「あなたのことを愛しているって言ったでしょ? 愛する人と結婚して、同時に、セックスも楽しみ続ける。それができると思ったのよ。でも、いまは、それでは満足できないと分かったわ。誰かとヤッテても、あなたがそばにいないと罪悪感を感じるのよ」

「ということは、君は僕に、君が他の男とセックスするところを見ていてほしいと? そう言ってるんだよね? 他の男が好き放題に君の身体を使っている間、僕に椅子か何かに座って見ていろと、そう言ってるんだよね?」

アンジーは僕の手を握って言った。

「私が求めているのは、あなたも一緒に加わってくれること。私と男の寝るベッドにあなたも入ってほしいの。私は、あなたがその男のおちんちんをしゃぶったり、その男に抱かれたりするところを見たいの。その男が私を犯している時は、私のそばに横たわっていてほしいの。私とあなたとで、その男と3人プレーしてもいいわ」

アンジーは、とても真剣な顔でそう言った。言ってる言葉に何も間違ったところはないと、そう考えているのではと信じそうになった。

でも、それは僕にとっては大きな問題がある。

「アンジー、そんなことできないよ。僕は男とベッドに入るなんてできない。いくら君が求めたって、僕はゲイになることはできないよ」

アンジーは苛立ったように答えた。「何も、私のためにゲイになれなんて言ってないわよ。バカねぇ。あなたには本来の自分自身になってほしいだけ。あなた自身のセクシュアリティを受け入れてほしいだけよ」

僕は頭が混乱してきていた。

「アンジー。君は僕がストレートだと知っているじゃないか。ストレートなのに、どうして他の男とそんなことができると思うの?」

「プッ! アハハハハ!」

アンジーは突然笑い出し、2分近くも笑い続けた。

「そのストレートという言葉で、ヘテロセクシュアリティを意味してるんだったら、こう言っちゃ悪いけど、あなた、全然ストレートなんかじゃないわよ」

「いや、ストレートだよ…」 と僕は自己弁護に回った。「昨日の夜のことを言ってるなら、思い出してよ。僕はああするように無理強いされたんだよ。ダンとしたようなこと、自分から求めてやったわけじゃないんだよ」

「もう、お願い…」 とアンジーはコーヒーポットを取りにカウンターに行きながら言った。そして僕たちのカップを持って戻り、話しを続けた。

「昨日の夜、私もあそこにいたのよ? 忘れたの? ダンの素敵なおちんちんをおしゃぶりする時、最初は確かに強制されたのかもしれないわね。でも、彼がイクまで吸い続けたのは、誰だった? あなたでしょ?」

「ダンがそれを求めていると思ったからだよ。僕を隣に引き寄せ、これをディルドだと思いこんでヤッテと言ったのは君じゃないか」

「ウフフ…。そうじゃなかったんじゃない? 違う? ダンはあなたに、私がおしゃぶりするのを手伝ってやれと言ったのよ。あなたは、ちょっとだけおしゃぶりして、後は私に預ければ、それで充分だったのよ。なのに、あなたったら、いったん可愛い唇に咥えこんだ後は、もう手放そうとしなかったじゃない。ケーキちゃんったら、独り占めしちゃって…。最後まで全部一人でやってた。あなたがいくら否定しようとしても、あなたが好きでやっていたことくらい、私にもダンにも分かったわ」

喜んでしたわけじゃない! と叫びたい気持だった。でもいくら言ってもアンジーは信じてくれないだろう。悲しいのは、僕自身、自分が信じられないことだった。黙ったまま、目の前のカップを見つめていた。アンジーはカップにコーヒーを注ぎ足した。

それから彼女はクリーマーを取り、僕のカップにたっぷりと注ぎ入れた。「さあどうぞ、ケーキちゃん。あなたの大好きな特別クリームをたくさん入れてあげたわ」

そのコーヒーを飲むことが何を意味するか、今や僕も知っている。それを飲めば、僕は女の子になる、あるいはアンジーの言うシーメールになる意思を固めたことを意味するだろう。自分でもそうなりたいのか、なりたくないのか、分からなくなっていた。僕はまだ、自分はストレートであり、ゲイではないと、その点にこだわりを持っていた。

アンジーは、僕が自分がゲイではないとこだわりを持っていることを察したのか、話しを続けた。

「あなたがダンにセックスされてどれだけ感じまくっていたか、私もダンも知ってるわ。あなたが昨夜のように大きなよがり声を上げるところ、私、初めて見たのよ。この1年半の間、私、毎週5回はディルドであなたにアナルセックスをしてきたのに、あなたが触れられもしないのにクリームを噴射するなんて一度もなかった。なのに、どういうこと? それに、あの時あなたがダンにヤッテってお願いしてたのも知ってるし、私の記憶が正しければ、本物の男のおちんちんを感じさせてっておねだりしてたはず」

アンジーが言ったことは間違いではない。ついさっき起きた出来事のように鮮明に思い出していた。本物の男性を受け入れるとどんな感じになるか、それを知りたく、ダンにおねだりしていたのだ。

そして、改めて自分が愚かなゲイボーイだと認識させられ、目から涙が溢れだした。

アンジーは僕を両腕で包むようにして抱き、僕が泣く間、ずっと抱いていてくれた。「大丈夫、何もかもうまくいくから」と気休めの言葉を言っていた。だけど、僕にはそう思えなかった。自分がこんなことになるなんて。最悪のことだと思った。

しばらく僕を抱いた後、アンジーは言った。

「いいの、いいの。大丈夫。あなたはおちんちんをおしゃぶりするのも、ずんずん突かれるのも大好きなんでしょう。私も大好きだから。私は、本物の男性におちんちんを嵌めてもらうのが大好きで、あなたもそう。だからこそ、このコーヒーを飲んで、可愛いシーメールになるべきなのよ。そうなったら、私と二人でデート相手を共有して、素敵なセックスを楽しめるわ。それに彼氏たちが帰って行った後は、私たち女の子同士で愛し合うこともできるわ」

「じゃあ、僕がゲイでも一緒に愛しあえるということ?」

「もうそのゲイの話しはうんざり。あなたはゲイじゃないわ。あなたは私と同じ、バイなの。ええ、もちろん、これからもあなたと一緒に愛しあうわよ。女の子ふたりが愛しあうように、愛しあうの。私、あなたの素敵な舌を手放したくないもの。確かに、あなたとは普通の性交は今後一切ありえないけれども、他のやり方で、充分埋め合わせができるはずよ」

すでにアンジーが注いでから時間が立っていて、コーヒーは充分さめていた。私はカップを取り、コーヒーを口に含んだ。前のコーヒーとは違った味がするのに気づいた。口に入れたコーヒーをごくりと飲み、アンジーに言った。

「中に入ってると知ってるからか、ホルモンの味がしたわ」

「それより、私がいつもの2倍入れたからじゃないかしら。それに加えてね、あなたに飲んでほしいお薬も用意してあるの。これから2ヶ月くらい様子を見て、あなたがどれだけ成長するか確かめてみましょう? その結果次第では、私と同じように豊胸手術をしなくちゃいけないかもしれないわ…さあ、最後まで飲んで」

コーヒーを飲み終えた後、アンジーに訊いた。

「私と普通の性交はもうしないって、どうして?」

「何のためにするの?…」 と再びカップの半分までコーヒーを入れ、その後クリーマーを注ぎながらアンジーが言った。

「…あなたも今は了解してるはず。あなたの小さなアレ、というか大きなクリトリスとでも言うべきかしら、ともかくアレでは私は何の快感も得られないの。それに、私、思うんだけど、あなた、私にセックスする時より、私がフェラをしてあげる時の方が気持ちいいんじゃない? 私にはあなたが思ってることが分かるのよ…

「…ジャッキー? あなた、私のあそこからあなたが出したスペルマを舐め取ることができなくなって寂しいと思ってるのかもしれないわね。でも、その点は大丈夫。充分に代わりのスペルマを用意してあげるから。私、たくさん男たちを連れてこようと思ってるの。そして、私たちにヤッテもらう。そうすれば、毎回、あなたは私のあそこを舐められるわよ」

アンジーはどこでそんなに男を見つけてくるのだろう? それは分からなかったけれど、アンジーなら言葉通りに実行するだろうなと思った。

3杯目のコーヒーを飲み終えると、アンジーはさらにもう1杯注ぎ、それから彼女のブリーフ・ケースを開けた。

最初に出したのは錠剤が入ったビンだった。5本ほど出し、私に差し出した。続いて、何か法廷に提出する類の書類を取りだした。

「そのビンに書いてある指示に従ってね。残りが少なくなってきたら私に教えて。すぐに補給するから」

続いて書類を私に差し出し、言った。

「これは、あなたの名前をジョン・アンダーソンからジャクリーヌ・マクドナルドに法的に変更するために裁判所に提出する書類。これからは、あなたの苗字じゃなくて私の苗字で行くの。その方が理にかなっているから。と言うのも今日現在、ジャック・アンダーソンという人は存在してないから。実を言うとね、もう3日前からジャックは存在していないの」

これには驚いたけれど、もう彼女に反論する気はなかった。アンジーはいつも自分が思ったことを押し通してきたので、反論してもほとんど意味がないと知っていた。それに、そもそも私に何ができるの?

「これからは、あなたは私の妻。私はあなたの面倒をみるわ。月曜日になったら、銀行に行って、名前が変わったことを伝えてきて。それに運転免許の事務局に行って、新しい免許証も取ってくること。クレジットカード会社には私が電話を入れて、処理をするわ。来週中に、あなたの持ってる男性用の衣類をすべてまとめて、慈善団体に寄付してくること。それで、やっと、ジャックと永遠におさらば…

「…さあ、さあ、おしゃべりはそこまで。そろそろ朝食の準備に入って? この家には本物の男性がいるということを忘れないで。彼、とてもお腹がすいているはずよ。いい? ケーキちゃん?」

「でも、どうして急に私のことをケーキちゃんと呼び始めたの?」 私は食事の用意をしようと立ちあがりながら訊いた。

「ダンが使いだしたのよ。昨日の夜、あなたが気を失った後にね…。あなたのお尻を見てるとスポンジケーキを思い出したんだって。とても柔らかくて、弾力性があるって。あなたの身体を優しく撫でながら、ケーキちゃんって呼んでたわ。私もその呼び方がちょっと気に入ったの」

私は顔が火照るのを感じた。「私もその呼び方、気に入ったわ。でも、ダンは私のことをまた欲しがると思う?」

アンジーは、私が自分自身のことを受け入れたのを知り、うふふと笑った。

「ダンをその気にさせるのには、全然、問題ないと思うわよ。昨日の夜、あなたが気を失った後、彼、延々とあなたのこと褒めていたもの。すごくセクシーだし、最高だって。ずっとあなたの身体を撫で続けていた。あんまり彼があなたのことを褒めるもんだから、私、少し妬けてきちゃったほど。ずいぶん前から、ダンはシーメールに興味があることを知ってたわ。とても女性的なシーメールにね。だから、あなたがスキャンティを着てドレスアップして見せたら、彼、サルのようになってあなたに襲いかかると思うわ。だから、また抱いてもらえるかどうかなんてことに、その小さな頭を悩ませなくていいはずよ」

そんなやり取りをした後、私は朝食を作り始めた。ベーコンの香りが家を満たすと、ダンが二階から降りてきた。彼は私たち両方にとても優しく、アンジーと私に交互に何度かキスをした後、食卓に腰を降ろした。朝食後、3人で再び寝室に入り、ダンが勃起できなくなるまで、何度も素晴らしいセックスを堪能した。同じ日、夜にも行為を繰り広げ、楽しんだ。

それからの3ヶ月、アンジーはその言葉に忠実に、男たちを家に連れ込んできた。彼女は、私のようなシーメールに対してまったく嫌悪感を持っていない男だけを選んで連れてきた。もちろん、ダンは常連で、定期的に招いてきている。

アンジーと話しあったあの日から3ヶ月後、私は豊胸手術を受けた。今は堂々たる87センチのCカップの乳房をもっていて、私の彼氏たちに愛されている。術後の傷が癒えた後、アンジーと同じく乳首にビアスをした。それに加えて、彼女と一緒におへそにもピアスをした。

私が間違って理解していたことはたくさんあったけど、最も大きな間違いは、あのピックアップ・トラックのことだった。私がアンジーを尾行して、ダンといるところを見つけたあの家。実は、あの家はダンが購入した家であり、改装して再度売りに出すことにしていた家だったのだ。あのトラックは、改装の建設業者が放置していた車であって、ダンの車ではなかったのだった。

ダンは建設業者ではなかった。彼は、連邦裁判所の判事だった。アンジーは彼が判事となった裁判を何件か担当していたのだった。もちろん、二人が親密になったのは、その後であった。

どうして、それを私が知っているかと言うと、私はいまダンの個人秘書となっているから。彼が必要とすることならどんなことでも用意するのが私の仕事。そしてその仕事の中には、普通の秘書には思いもよらない仕事も含まれている。

私の人生は決して完全ではない。だけど、今の私になっていなかったら、もっとひどい生活になっていたかもしれない。


おわり
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